山口フィナンシャルグループ

日本の金融企業グループ

株式会社山口フィナンシャルグループ(やまぐちフィナンシャルグループ)は、山口県下関市に本社を置く金融持株会社

株式会社山口フィナンシャルグループ
Yamaguchi Financial Group, Inc.
山口FG本社(山口銀行本店)
山口FG本社(山口銀行本店)
種類 株式会社
機関設計 監査等委員会設置会社[1]
市場情報
東証プライム 8418
2006年10月2日上場
略称 YMFG、山口FG
本社所在地 日本の旗 日本
750-0025
山口県下関市竹崎町4丁目2番36号
北緯33度57分1.3秒 東経130度55分30.6秒 / 北緯33.950361度 東経130.925167度 / 33.950361; 130.925167座標: 北緯33度57分1.3秒 東経130度55分30.6秒 / 北緯33.950361度 東経130.925167度 / 33.950361; 130.925167
設立 2006年10月2日
業種 銀行業
法人番号 5250001007270 ウィキデータを編集
事業内容 銀行、その他銀行法により子会社とすることができる会社の経営管理、ならびにそれに付帯する業務、金融持株会社
代表者 椋梨敬介(代表取締役社長兼グループCEO
資本金 500億円
(2023年3月)
発行済株式総数 2億6435万3616株
(2023年3月)
売上高
  • 連結:1573億24百万円
  • 単独:125億1百万円

(2023年3月)
営業利益 単独:32億95百万円(2023年3月)
経常利益
  • 連結:256億98百万円
  • 単独:253億8百万円

(2023年3月)
純利益
  • 連結:253億91百万円
  • 単独:54億1百万円
(2020年3月期)
純資産
  • 連結:6146億65百万円
  • 単独:3565億40百万円
(2023年3月)
総資産
  • 連結:12兆2116億45百万円
  • 単独:4575億24百万円
(2023年3月)
従業員数
  • 連結:3797人
  • 単独:505人
(2023年3月)
決算期 3月31日
会計監査人 有限責任あずさ監査法人
主要株主
(2023年9月)
主要子会社 #関係会社参照
外部リンク www.ymfg.co.jp
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傘下に地方銀行である山口銀行(山口県下関市)、北九州銀行福岡県北九州市)、第二地方銀行であるもみじ銀行広島県広島市)を持つ。略称はYMFG("Y"と"M"は「Yamaguchi」と「Momiji」のそれぞれ頭文字から)、山口FG

概要 編集

2006年10月2日に山口銀行ともみじホールディングス(当時のもみじ銀行の金融持株会社)の株式移転によって新設された。当初もみじ銀行はYMFGの孫会社という形態だったが、2007年4月1日付でもみじホールディングスがもみじ銀行に吸収合併され、もみじ銀行はYMFGの直接の子会社となった。後述の通り、2011年10月3日に山口銀行の九州内の店舗を分離して北九州銀行が開業したことから、現在はYMFGの傘下に山口銀行、もみじ銀行、北九州銀行の3行が属する形となっている。

本社は山口銀行本店内に置かれている(YMFGでは、子会社化した山口銀行を大家としている)。シンボルマークは山口・もみじ両行のイメージカラーである緑とオレンジに赤を加え、「Y」と「M」をモチーフとしたものとなっており、両行のシンボルマークとは異なるものが採用された。北九州銀行開業後は、前記の3色と同行のイメージカラーである黄色のラインを「YMFG」の文字の下にそれぞれ引いた新たなシンボルマークがグループ発行の文書[広報 1][広報 2][広報 3]や各種グッズ等で用いられている。 2022年11月にブランドスローガン及びロゴ、テレビCMの刷新を発表した。

沿革 編集

  • 2006年(平成18年)10月 - 設立。東京証券取引所市場第一部に上場
  • 2007年(平成19年)
  • 2009年(平成21年)4月 - 井筒屋ウィズカードの発行済株式全株を取得[2]
  • 2010年(平成22年)10月 - 北九州金融準備株式会社(現:北九州銀行)を設立。
  • 2014年(平成26年)12月 - ワイエムリースを連結子会社化。
  • 2015年(平成27年)
    • 3月27日 - ベトナムベトコムバンクと業務提携を締結[3]
    • 10月1日 - 連結子会社である株式会社やまぎん信用保証が株式会社やまぎんカードホールディングスを吸収合併。やまぎん信用保証がワイエム保証に商号変更[広報 5]
  • 2016年(平成28年)
  • 2017年(平成29年)10月 - 山口県の物産を県外に売り込む「地域商社やまぐち」を山口県などと協力して設立[広報 7]
  • 2021年(令和3年)11月 - アイフルとの合弁による新銀行構想をめぐり、独断で旧知の経営コンサルタントを1億円以上の報酬で雇用するなどのワンマン体質が問題視された吉村猛会長兼CEOが6月の株主総会の直後の取締役会で解任された問題をめぐり、金融庁は報告書の提出を命令。なお、10月14日に取締役会で取締役辞任を求められた吉村は辞任に応じておらず、12月24日の臨時株主総会で解任が諮られることとなり、新銀行構想は中止された[6]

歴代社長 編集

氏名 就任日 退任日 出身校
1 福田浩一 2006年10月2日 2016年6月29日 慶応義塾大学経済学部[7]
2 吉村猛 2016年6月29日 2020年6月25日 東京大学経済学部[8]
3 椋梨敬介 2020年6月25日
(現職)
早稲田大学大学院商学研究科[9]

北九州銀行の開業 編集

「地域密着型金融」を謳い、山口県や広島県と共に、山口県の西隣で、山口銀行の主力営業エリアの一つとなっていた福岡県北九州市での営業活動にも力を入れてきた。2010年3月には、YMFGにより福岡県北九州市を本店とする新たな地方銀行「北九州銀行」の設立準備を発表した[広報 8]。設立形態としては、YMFGの子会社として準備会社を設立し、同社が銀行免許を取得した上で、九州内における山口銀行の全事業を吸収分割で継承し、旧山口銀行北九州支店を本店とする。この方法は埼玉りそな銀行の開業経緯に類似しており、実際YMFGもこれに倣ったと報じられている[10]

2010年度から3か年の中期経営計画に於いては、北九州銀行の設立によりYMFGの北九州市における“地元化”を推し進めると共に、山口・もみじ両行と共に山口・広島・北九州エリアで「地域別の銀行ブランド展開」を徹底し、グループ内のカード会社・証券会社と連携してYMFG全体として構造改革によるリテールビジネスを実現させたいとしている[広報 9]。この動きに、北九州地区で激しい貸し出しシェア争いを続ける西日本シティ銀行福岡銀行ふくおかフィナンシャルグループ)は警戒感を強めている[10]

2021年の経営の混乱 編集

山口フィナンシャルグループの前会長兼最高経営責任者(CEO)の吉村猛は消費者金融大手アイフルとの共同出資による新銀行構想を独断で進めたとして、ほかの取締役と対立。6月の株主総会直後の臨時取締役会で、会長兼CEOから事実上解任される。

2021年10月14日、臨時取締役会を開き、吉村猛に対し、取締役から退くよう辞任勧告を決議したと発表した。年内に臨時株主総会を開催する方針を決め、吉村の解任議案の可決を目指したが[11]、総会直前になって吉村は辞表を提出した[12]

一つのYMFG 編集

2013年度からの3か年中期経営計画では“地域を育み、ともに成長する金融グループ”を目標として、『一つのYMFG』というキーワードを掲げた。この計画では、企画・立案機能を持株会社に集約し、それにより発生した余剰人員を営業の現場に振り向けるとともに、3行が「根ざす地域に深く関わっていくとともに、地域同士を連携させ、地域を育んでいく」という基本方針の下で、グループ間の重複店舗の整理や支店機能の見直し等を行った上で、給与体系など各社間で統一できるものはグループで統一するなど、対内・対外認知度を高めることでグループ内での一体感を醸成することを目指すという[広報 10]。これに沿って2017年春から、傘下3行とも学卒採用を一本化する[13]

関係会社 編集

連結子会社

  • 株式会社山口銀行
  • 株式会社もみじ銀行
  • 株式会社北九州銀行
  • ワイエム証券株式会社
  • 株式会社井筒屋ウィズカード[注 1]
  • ワイエムコンサルティング株式会社
  • 株式会社YMFG ZONEプラニング
  • 三友株式会社
  • 株式会社ワイエム保証
  • ワイエムアセットマネジメント株式会社
  • ワイエムリース株式会社
  • 株式会社やまぎんカード
  • もみじ地所株式会社
  • 株式会社ワイエムライフプランニング
  • 株式会社保険ひろば
  • 株式会社データ・キュービック
  • 株式会社YMキャリア
  • にしせと地域共創債権回収株式会社
  • 株式会社イネサス
  • 山口キャピタル株式会社
  • 地域商社やまぐち株式会社
  • もみじカード株式会社

持分法適用関連会社

イメージキャラクター 編集

2013年から山口市出身の卓球選手である石川佳純をグループのイメージキャラクターに据え、一定口数の応募があった場合にグループから石川へ強化費として寄付を行うという定期預金「かすみん定期」の販売を行っていた[広報 11]。しかし石川は2023年5月に現役引退。2022年度販売分で販売終了した。

また、2013年下期からは下関市出身のマラソンランナーである中本健太郎安川電機所属)もイメージキャラクターとして加わっていた。

2022年12月からは傘下3行でCMなどを一新統一。「この世界で。この街で。このじぶん。YMfg」という新しいスローガンを掲げ、青木柚(あおき・ゆず)と祷キララいのり・きらら)を起用した「ユズとイノリ」シリーズを展開している。[14]

シリーズのうち、「ユズの場合」では、主人公ユズの大学の先輩役として若葉竜也(わかば・りゅうや)を起用。2023年12月より放映を開始した「ユズの場合#2」では、会社の先輩役として高良健吾(こうら・けんご)を起用している。[広報 12]

もみじ銀行ではこれらとは別に、広島東洋カープの選手を起用した独自の広告活動を行っている(前身の広島相互銀行時代からの流れで球団運営会社の主要取引銀行である)。

脚注 編集

注釈 編集

  1. ^ 北九州市の百貨店・井筒屋ハウスカードを扱う会社。井筒屋の子会社として設立後、井筒屋と伊勢丹の業務提携に伴い、伊勢丹のカード子会社である伊勢丹アイカード(後のエムアイカード)に売却されるが、伊勢丹の経営統合後における経営見直しで2009年4月にYMFGが伊勢丹保有の全株式を取得して子会社化。

出典 編集

  1. ^ コーポレート・ガバナンス - 株式会社山口フィナンシャルグループ
  2. ^ 山口FG、井筒屋ウイズカード社を買収」『山口新聞』、2009年4月1日。2015年10月11日閲覧。
  3. ^ 山口FG、ベトナム大手銀と提携 取引先の進出支援」『日本経済新聞』、2015年3月28日。2015年4月1日閲覧。
  4. ^ 山口FG 資産運用会社設立」『山口新聞』、2015年12月30日。2016年1月1日閲覧。
  5. ^ 資産運用会社を設立 山口FGなど地銀7グループ」『山口新聞』、2016年3月19日。2016年5月19日閲覧。
  6. ^ 女屋泰之、堀篭俊材「新銀行構想、検討を中止 山口FG 金融庁が報告徴求命令」『朝日新聞』、2021年11月2日。2021年11月3日閲覧。
  7. ^ 「山口FG社長に福田山口銀頭取。」『日本経済新聞』、2006年5月23日、夕刊、3面。
  8. ^ 「山口フィナンシャルグループ社長、山口銀行頭取、吉村猛氏(新トップ)」『日本経済新聞』、2016年5月14日、朝刊、5面。
  9. ^ 地域再生を考える(12)」『月刊ウェンディ』、2019年6月15日。
  10. ^ a b MSN産経ニュース (2010年5月30日). “我こそは地元銀…新銀行設立で北九州が金融激戦区に”. 産業経済新聞社. 2010年11月29日時点のオリジナルよりアーカイブ。2010年6月13日閲覧。
  11. ^ https://www.yomiuri.co.jp/economy/20211014-OYT1T50214/amp/
  12. ^ 山口FGの吉村前会長が取締役辞任 株主「混乱の責任をとるべき」朝日新聞デジタル2021年12月23日付
  13. ^ 山口FG、採用を総合職に一本化 来春入社から」『日本経済新聞』、2016年3月29日。2016年5月19日閲覧。
  14. ^ 山口フィナンシャルグループ:「ユズとイノリ」CM特設サイト”. 2024年1月10日閲覧。

広報・プレスリリースなど一次資料

  1. ^ 『平成23年度中間決算説明会資料』 (PDF) - 山口フィナンシャルグループ、2011年12月5日発行、2012年3月23日閲覧。
  2. ^ 『YMFG REPORT 2011.9 : 山口フィナンシャルグループディスクロージャー 2011 中間期 情報誌編』 (PDF) - 山口フィナンシャルグループ、2012年1月発行、2012年3月23日閲覧。
  3. ^ 『YMFG REPORT 2011.9 : 山口フィナンシャルグループディスクロージャー 2011 中間期 資料編』 (PDF) - 山口フィナンシャルグループ、2012年1月発行、2012年3月23日閲覧。
  4. ^ 山口フィナンシャルグループとクレディセゾンとの包括提携について』(プレスリリース)山口フィナンシャルグループ、山口銀行、もみじ銀行、クレディセゾン、2007年3月30日http://corporate.saisoncard.co.jp/wr_html/news_data/20070330_02.pdf2015年10月11日閲覧 
  5. ^ 連結子会社の合併に関するお知らせ』(プレスリリース)株式会社山口フィナンシャルグループ、2015年8月24日http://www.ymfg.co.jp/news/2015/news_0824.pdf2016年1月1日閲覧 
  6. ^ 株式会社山口フィナンシャルグループとの資産運用会社の共同設立について』(プレスリリース)株式会社大和証券グループ本社、2015年12月28日http://www.daiwa-grp.jp/data/attach/1791_96_20151228a.pdf2016年1月1日閲覧 
  7. ^ 「地域商社やまぐち株式会社」の設立及び設立記念式典の開催について山口県庁・報道発表、平成29年(2017年)9月25日、2018年12月31日閲覧。
  8. ^ 新銀行の設立準備の着手について』(PDF)(プレスリリース)山口フィナンシャルグループ、2010年3月26日http://www.ymfg.co.jp/news/2010/news_0326.pdf2010年6月11日閲覧 
  9. ^ 平成21年度IR資料・グループ戦略編” (PDF). 山口フィナンシャルグループ. 2010年6月11日閲覧。
  10. ^ 中期経営計画(YMFG中期経営計画2013)の策定について』(PDF)(プレスリリース)山口フィナンシャルグループ、2013年4月26日http://www.ymfg.co.jp/news/2013/news_0426c.pdf2013年8月17日閲覧 
  11. ^ 石川佳純選手応援定期預金「かすみん定期」の取扱開始について』(PDF)(プレスリリース)山口フィナンシャルグループ・山口銀行・もみじ銀行・北九州銀行、2013年4月26日http://www.ymfg.co.jp/news/2013/news_0426.pdf2013年7月20日閲覧 
  12. ^ YMFGブランドCM第2弾の放映開始について-青木柚さんがYMFG社員と共演・先輩役は高良健吾さん-』(PDF)(プレスリリース)山口フィナンシャルグループ、2023年12月1日https://www.ymfg.co.jp/news/assets_news/news_20231201_1.pdf 

外部リンク 編集