弐十手物語』(にじってものがたり)は、小池一夫原作・神江里見作画による日本漫画。『週刊ポスト』(小学館)にて、1978年3月から2003年11月まで連載された。単行本は小学館からビッグコミックスレーベルで刊行され、全110巻に及んだ。テレビ時代劇にもなり、1984年に放送された。

弐十手物語
ジャンル 青年漫画、時代劇
漫画:弐十手物語
原作・原案など 小池一夫(原作)
作画 神江里見
出版社 小学館
掲載誌 週刊ポスト
レーベル ビッグコミックス
発表期間 1978年3月 - 2003年11月
巻数 全110巻
漫画:新・弐十手物語
原作・原案など 小池一夫(原作)
作画 神江里見
出版社 小学館
掲載誌 文芸ポスト
発表期間 2004年3月 - 2005年12月
漫画:新・弐十手物語 つるじろう
原作・原案など 小池一夫(原作)
作画 神江里見
出版社 小池書院
掲載誌 ガッツポン
発表号 創刊号 - Vol.5
発表期間 2011年10月 - 2012年8月
テンプレート - ノート
プロジェクト 漫画
ポータル 漫画

完結後ほどなく、続編『新・弐十手物語』が『文芸ポスト』(小学館)にて2004年3月から2005年12月まで連載された。

さらに6年を経て、『新・弐十手物語 つるじろう』が『ガッツポン』(小池書院)に創刊号(2011年10月発売)からVol.5(2012年8月発売、以後休刊)まで連載された。

概要 編集

大岡越前の下で同心として働く藤掛飯伍と配下の由造、菊池鶴次郎の働きを描く捕り物時代劇。序盤は飯伍を主人公にして動いていたが、後に鶴次郎を中心にした人情物語になった。

登場人物 編集

菊地鶴次郎
南町奉行所同心。情に厚く、何事にも本気で向き合う性善説論者。三枚目で女にはもてないが、彼に惚れた女はみな死ぬため「死に神鶴」の異名を取る。一見なよなよと気弱に見えるが、着ている羽織を一挙動で相手の頭に被せる、という独自の捕縛術を使い、場合によってはそのまま真剣の一突きでとどめを刺す。辛い出来事を吹っ切る時には、わざと大げさに鶴の真似をする。
藤掛飯伍
同じく同心。男前で女性関係多数。厳しく触れがたいことから「狼の睾丸」の異名を取る。
羽子板の由造
飯伍の岡引
大岡越前守忠相
鶴次郎や飯伍の上司である南町奉行。
下野の新八
公儀お庭番「猫座」の頭領。鶴次郎をやんちゃで放っておけない弟のようだと評す。また、鶴次郎は彼が倒れた際、たった一人の親友だったと泣き崩れた。
ろう女
大岡越前守の紹介で飯伍と出会い、男女の関係に。後に飯伍の妻となる。飯伍の男根の型を取った経験がある。
鬼神のお松
鶴次郎の最初の女。はりつけにより刑死。
可盃のおりん
鶴次郎の2人目の女。長年の酒の飲み過ぎにより病死。
二八そば屋のおよね
鶴次郎の3人目の女。巾着切りの元締め茶釜の栄禅一党を捕らえるも、その際に腹を刺された傷により死亡。
十六後家の千万
物陰に潜んでいた、八兵衛の子分に刺されて死亡。
閻魔小兵衛(おせん)
流産により死亡。
鶴次郎にワザと嫌われるように振る舞ったのち、その元を去る。
お紺
川に沈んだ鶴次郎の十手を拾うため水死。
夢香(大門四郎兵衛)
吉原の元締の娘で、自身も遊女をしている。秋葉の紫匂から鶴次郎を庇い、撃たれる。遺言で大門四郎兵衛の跡目を鶴次郎に託し、息絶える。
花蝶
吉原の廓より身請けされ、その後は不明。
西海屋の潮女
阿芙蓉中毒に耐えるため鶴次郎に抱かれる。鶴次郎の女というわけではない。
かもめ
鶴次郎が八丈島で勤めている間に男を作ったことにより関係解消。
手づま師のお竜
複数の女関係を持つ鶴次郎に不満を持っていたが、彼の生き方を理解し、影から支えていくことを誓っていたが、その後は登場しなくなり、消息不明に。
鈴江
鶴次郎の初恋の女性。薬種問屋の店を守るため、鶴次郎と一緒になることはできないと身を引く。
お若
斬首により刑死。
娘手妻師の露之丞
鶴次郎が八丈島に行ったことでフェードアウト。
和泉屋の清良井
鶴次郎が八丈島に行ったことで別れる。
お角
護送中に海で覚悟の自殺。
おかん
鶴次郎とともに流罪地の八丈島へ。再び鶴次郎が八丈島へ訪れた時には病死していた。
助鷹の女々
上方の殺し人を束ねるこぶしの仙造に撃たれて死亡。
お杉
鶴次郎が上方に旅立ったことで別れる。物語の後半で死んだ妻として登場する。
千世
くノ一である黒髪との戦いにより死亡。
くノ一である黒髪との戦いにより死亡。
くらま
鶴次郎の妻。幕府に仕える隠密組織・「猫座」の一員。
浮羽蘭
捕殺組の元締めの娘。鶴次郎に惚れていたが、婚約者の相談をしに来た際、彼女のことを想った鶴次郎に振られる。
おくま
鶴次郎を殺そうとした子分から、鶴次郎を庇い撃たれる。その後、鶴次郎に背負われながら、東照宮を訪れ、陽明門の前で息絶える。
別所伊刀
くらまを亡き者にしようとした巫女。鶴次郎の妻。くらまとも仲が良くなり、共に鶴次郎を守っている。
お来世
鶴次郎の妻。
三姉妹の長女。鶴次郎の妻。
三姉妹の次女。鶴次郎の妻。
三姉妹の三女。鶴次郎の妻。
石出帯刀(あふち)
牢屋奉行所の奉行。男装をしている。首を刺され死亡。桃波の双子の妹であったことが後に明かされる。
たえ
薩摩の元・くノ一。鶴次郎の妻。
桃波
安倍楠女を名乗る女陰陽師。熊野への2度目の旅の際に再会する。刺されて死亡。
七輪二十五
薩摩の別式女。鶴次郎の妻として彼の側に仕える。吉原から脱出する際、追ってくる風魔衆から皆を守ったが、刺され倒れる。
きり
鶴次郎の妻。旅の疲れにより、高熱と肺炎を患い死亡。
花川戸のもやい
鶴次郎の妻。一度、彼女の事を考え、自身を死んだことにして別れたが、いつの間にか復縁している。襲われて死亡。
加務風泊
鶴次郎の妻。桔梗屋敷で医者として働いていたが、全焼後は消息不明。
お涼
鶴次郎の妻。大奥で女中達に乗り移ったあの世の妻たちの中にいた事から、死んだと思われる。
左橋寛子
真言立川流の女陰陽師。刺されて死亡。
おとき
鶴次郎の妻。鶴次郎とその妻達の生活を支える為、美濃屋へと戻る。
小面真菰
鶴次郎の妻。
お吉
くノ一。鶴次郎の妻。現在は尼寺で尼として過ごしている。
井草兼
奉行の娘で、貧乏神と呼ばれていた大女。鶴次郎に惚れ徐々に痩せていき、父ですら驚くほどの美人になる。鶴次郎の妻。父の仇を討とうとするが、斬られて死亡。
牙走り(綾)
鶴次郎の妻。
卯女
鶴次郎の妻。刺されて死亡。
柳生真比等
鶴次郎の妻。
漁火のおけい
鶴次郎の妻。
綾姫
鶴次郎の妻。
亀緒
色くノ一。鶴次郎の妻。自害する。
蜂橋死能
鶴次郎の妻。

テレビドラマ 編集

弐十手物語
ジャンル 時代劇
原作 小池一夫(原作)
神江里見(劇画)
企画 能村庸一
松平乗道
脚本 志村正浩ほか
監督 工藤栄一ほか
出演者 名高達郎
音楽 宇崎竜童
オープニング 「弐十手物語のテーマ」(作曲:宇崎竜童)
エンディング 「一人が好きですか」(野口五郎
国・地域   日本
言語  日本語
製作
プロデューサー 加藤貢
制作 フジテレビ
東映
放送
放送チャンネルフジテレビ系列
放送国・地域  日本
放送期間1984年4月12日 - 同年7月12日
放送時間木曜22:00 - 22:54
放送枠フジテレビ木曜夜10時枠時代劇
放送分54分
回数13回
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テレビドラマ版は1984年4月12日から同年7月12日まで、フジテレビ系列の毎週木曜22:00 - 22:54(JST)に放送。この枠では初の1時間連続時代劇で、最初は約6か月、全24話の予定でスタート[1]視聴率は第1話は10.1%(ビデオリサーチ、関東地方)[1]だったが、第2話以降は平均5%台と低迷し[1]、わずか3か月、13回で打ち切りになった。

出演者 編集

ほか

スタッフ 編集

主題歌 編集

一人が好きですか

放映リスト 編集

各話 放送日 サブタイトル 脚本 監督 ゲスト
第1話 1984年

4月12日

狼と鶴 志村正浩 工藤栄一 上州屋正右衛門:小池朝雄、土田:犬塚弘北見唯一

お常:山口美也子、梅造:岩尾正隆、丑蔵:勝野賢三

第2話 1984年

4月19日

恐雨の向うから 常吉:中村嘉葎雄、お島:金沢碧

遠州屋徳之助:菅貫太郎、石出帯刀:藤巻潤

第3話 1984年

4月26日

鬼神の女 野波静雄 小野田嘉幹 鬼神のお松:山本みどり、政:平泉成、勢力:五味竜太郎
第4話 1984年

5月10日

新米 古田求 牧口雄二 彦坂陣内:芦屋雁之助手塚理美

おいま:初井言榮、袖屋丹兵衛:鈴木瑞穂、暗闇の忠兵衛:黒部進

第5話 1984年

5月17日

やさしい男 山田隆之 松造:伊藤敏八、お美乃:菊地優子

お舟御前:内田良平、海猫の才蔵:鹿内孝浜田晃

第6話 1984年

5月24日

売れ残り 下飯坂菊馬 太田昭和 およね:浅利香津代加藤嘉

煙の重蔵:出光元片桐竜次

第7話 1984年

5月31日

顔のない悪魔 中村勝行 原田雄一 おさと:沢田和美、伊勢屋:内藤武敏

大林隆介、以蔵:福本清三

第8話 1984年

6月7日

雨蛙が愛した女 中村努 太田昭和 おゆう:范文雀、信介:蟹江敬三小柳圭子
第9話 1984年

6月14日

散歩する死者 志村正浩 原田雄一 藤乃:本阿弥周子、河野源蔵:和崎俊哉、おきみ:三浦リカ

村上大学:深江章喜、太田備中守:原口剛曽根晴美、森川弥之助:西田健

第10話 1984年

6月21日

女の甘い罠 古田求 小野田嘉幹 おうめ:あべ静江、袖屋丹兵衛:鈴木瑞穂、稲取の半兵衛:江幡高志

根津の留吉:花上晃、仙蔵:きくち英一雪絵ゆき加納みゆき鈴川法子

第11話 1984年

6月28日

六人の容疑者 保利吉紀 歌吉:なべおさみ、真鍋山左衛門:長谷川明男、おしの:泉じゅん、おとよ:風祭ゆき

伊助:林家珍平、久兵衛:藤岡重慶、店主:梅津栄、治八:岡部正純岡八郎

第12話 1984年

7月5日

吉原恋心中 本田英郎 原田雄一 藤枝外記:林与一、おきよ:かたせ梨乃、与平:綿引勝彦、綾衣:西崎みどり

諏江軍十郎:真田健一郎、西田屋伝右衛門:小沢象川浪公次郎

最終話 1984年

7月12日

越前、誘拐!

三十一文字の謎

中村勝行
保利吉紀
お涼:三林京子遠藤征慈、弁造:内田勝正、石出帯刀:藤巻潤、

弥七:野口貴史、牢名主:小田部通麿河合絃司、甚八:妹尾和夫

脚注 編集

  1. ^ a b c 週刊TVガイド 1984年6月15日号 p.25「REPORT・低視聴率に泣く!?『弐十手物語』『スポーツ宝島』打ち切り
フジテレビ系列 木曜22時枠時代劇
前番組 番組名 次番組
(なし)
弐十手物語
フジテレビ系列 木曜22:00 - 22:48枠
時代劇スペシャル
※21:02 - 22:48
弐十手物語
夏の怪談シリーズ
【つなぎ番組】

乾いて候
※以上22:00 - 22:54
フジテレビ 木曜22:48 - 22:54枠
弐十手物語
【当番組より時代劇枠】
【当番組よりネットワークセールス枠】
夏の怪談シリーズ
【つなぎ番組】

乾いて候
※22:00 - 22:54