心拍出量(英語:Cardiac output、略称:CO、記号での表記:)は、心臓によって単位時間当たりに送り出される血液量を表す循環器学の用語である。 CO値は、dm3/minやL/minなどの多くの物理単位を使用して表される。

心拍出量に影響を与える簡略化された要因と関係式。
CO=心拍数(HR:Heart rate) X 一回拍出量(SR:Stroke volume)
どちらもそれぞれに関連する要因によって変化する[1]

侵襲的、または非侵襲的にCOを測定する方法は数多くあり、それぞれ独自の利点と欠点が存在する。この値は、一回拍出量(SV:Stroke volume)とともにグローバルな血流のパラメータで、心拍出量と一回拍出量、そして心拍数(HR:Heart rate) の関係は次の式として表される。

(1)

被験者の体の大きさとは無関係にCO値が正常範囲内にあると判断する際には、式(1)と体表面積(BSA)を用いて心係数(CI)を算出する必要がある。 これは心係数のページで詳述される。

心拍出量に影響を与える要因 編集

 
心拍出量に影響を及ぼす主要因子を階層化した要約

心拍出量は、心拍数と一回拍出量の積で算出されるが、それぞれに関わる要因を明確化する。

心拍数 編集

一回拍出量 編集

一回拍出量(SV)は拡張終期容量(End‐diastolic volume:EDV)と収縮終期容積(End‐systolic volume:ESV)の差となる。( 

EDVとESVそれぞれに関わる要因
  • 前負荷:心臓より前(静脈側)に負荷をかけること[2]
    • 静脈還流(venous return)
    • 充填時間(Filling Time)
  • 収縮力:心臓が収縮する力
    • 自律神経支配(autonomic innervation)
    • ホルモン
  • 後負荷:心臓より後(動脈側)への負荷

心係数 編集

標準的な体重のすべての休息中の哺乳動物において、CO値は体重との間に0.1 l / min / kgの傾きを有する比例関係である[3]。 一方、脂肪は他の除脂肪組織と比較して、質量あたり約65%の酸素要求量を有することから、肥満の被験者における正常なCO値の計算はより複雑である。 このことから、正常な値を求めるには、 すべての血流パラメータを使用して求める必要がある。

関連項目 編集

出典 編集

  1. ^ Betts, J. Gordon (2013). Anatomy & physiology. pp. 787–846. ISBN 1938168135. http://cnx.org/content/m46676/latest/?collection=col11496/latest 2014年8月11日閲覧。 
  2. ^ やさしくわかる!麻酔科研修 p113
  3. ^ WR Milnor: Hemodynamics, Williams & Wilkins, 1982