日本映画監督協会新人賞

日本映画監督協会新人賞(にほんえいがかんとくきょうかいしんじんしょう)は、日本映画監督協会映画監督に対して贈る賞。その年度(1月〜12月)に公開された映画作品の新人の監督から選ばれる。DGA(全米監督協会)の様に、助監督・製作担当までが一つのチームとしてノミネートされることはなく、映画監督のみに贈られる賞。発表時期は対象年度の翌年の毎年2月下旬〜4月中旬だったが、現在は毎年8月下旬に発表される。

日本映画監督協会新人賞
受賞対象新人映画監督
日本の旗 日本
主催日本映画監督協会
報酬トロフィー
初回1960年
最新回2022年
最新受賞者山﨑樹一郎
公式サイトhttps://www.dgj.or.jp/

2013年第28回東京国際映画祭より日本映画監督協会との提携企画として、新人賞受賞作の上映と、上映後のシンポジウムが開催されている。

本賞における新人の監督の定義は、長編で3本以内の作品を手がけている監督としている。自薦、他薦を受け付けた中から一次候補を数十作品程度まで絞り、審査員がその候補作品全てを鑑賞ののち、議論を経て選出している。また、「作品賞」ではなく、「監督が監督を選ぶ賞」という趣旨の性格を持っている賞である[1]

歴代受賞者一覧 編集

注:受賞年は下記の表記年の翌年となる

年度 受賞監督 受賞
年齢
対象作品 備考
第1回 1960年 大島渚 27歳 青春残酷物語
第2回 1961年 羽仁進 33歳 不良少年
第3回 1962年 浦山桐郎 32歳 キューポラのある街
第4回 1963年 該当者なし
第5回 1964年 該当者なし
第6回 1965年 熊井啓 35歳 日本列島
第7回 1966年 中島貞夫 32歳 893愚連隊
第8回 1967年 藤田敏八 35歳 非行少年 陽の出の叫び
第9回 1968年 該当者なし
第10回 1969年 出目昌伸 37歳 俺たちの荒野 奨励賞
第11回 1970年 小川紳介 35歳 日本解放戦線三里塚
第12回 1971年 東陽一 37歳 やさしいにっぽん人
第13回 1972年 伊藤俊也 35歳 女囚701号 さそり 奨励賞
第14回 1973年 田中登 36歳 女郎責め地獄 奨励賞
第15回 1974年 該当者なし
第16回 1975年 該当者なし
第17回 1976年 神山征二郎 35歳 二つのハーモニカ 奨励賞
第18回 1977年 橋浦方人 33歳 星空のマリオネット
第19回 1978年 該当者なし
第20回 1979年 クロード・ガニオン 30歳 Keiko
第21回 1980年 小栗康平 35歳 泥の河 奨励賞)及び、1982年度米アカデミー賞外国語映画部門ノミネート
第22回 1981年 井筒和幸 29歳 ガキ帝国 奨励賞
第23回 1982年 該当者なし
第24回 1983年 森田芳光 33歳 家族ゲーム
第25回 1984年 該当者なし
第26回 1985年 澤井信一郎 47歳 早春物語
第27回 1986年 原一男 41歳 ゆきゆきて、神軍 初ドキュメンタリー受賞作品
第28回 1987年 山本政志 31歳 ロビンソンの庭
第29回 1988年 金佑宣 36歳 潤の街
第30回 1989年 阪本順治 31歳 どついたるねん
高嶺剛 41歳 ウンタマギルー
第31回 1990年 北野武 43歳 3-4X10月 奨励賞
渡辺文樹 37歳 島国根性 奨励賞
第32回 1991年 周防正行 35歳 シコふんじゃった。
第33回 1992年 平山秀幸 42歳 ザ・中学教師
真喜屋力 26歳 パイナップル・ツアーズ 真喜屋と當間は最年少受賞(受賞当時は年齢不詳)
中江裕司 32歳
當間早志 26歳
第34回 1993年 岩井俊二 30歳 if もしも/打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか? 映画作品ではなく、『if もしも』内で放送されたテレビドラマ作品
寺田靖範 29歳 妻はフィリピーナ
第35回 1994年 古厩智之 26歳 この窓は君のもの 最年少受賞
第36回 1995年 利重剛 33歳 BeRLiN
第37回 1996年 犬童一心 36歳 二人が喋ってる。
第38回 1997年 原將人 47歳 20世紀ノスタルジア
第39回 1998年 豊田利晃 29歳 ポルノスター
第40回 1999年 塩田明彦 38歳 月光の囁きどこまでもいこう
第41回 2000年 緒方明 41歳 独立少年合唱団
第42回 2001年 石岡正人 41歳 PAIN/ペイン英語版
第43回 2002年 金守珍 48歳 夜を賭けて
第44回 2003年 佐々部清 45歳 チルソクの夏
第45回 2004年 井口奈己 37歳 犬猫 女性監督の受賞では初
第46回 2005年 高橋泉 32歳 ある朝スウプは
第47回 2006年 小林聖太郎 35歳 かぞくのひけつ
第48回 2007年 横浜聡子 29歳 ジャーマン+雨
第49回 2008年 タナダユキ 33歳 百万円と苦虫女
第50回 2009年 入江悠 30歳 SR サイタマノラッパー
第51回 2010年 大森立嗣 40歳 ケンタとジュンとカヨちゃんの国
第52回 2011年 砂田麻美 33歳 エンディングノート 「ゆきゆきて神軍」以来のドキュメンタリーでの受賞。劇場興収は1億円突破。
第53回 2012年 島田隆一 31歳 ドコニモイケナイ
第54回 2013年 市井昌秀 38歳 箱入り息子の恋
第55回 2014年 小林啓一 43歳 ぼんとリンちゃん 選考委員は、足立正生(委員長)、大森立嗣鹿島勤仲倉重郎本田昌広舞原賢三森岡利行
第56回 2015年 松永大司 41歳 トイレのピエタ 選考委員は、石岡正人(委員長)、朝原雄三小中和哉原田徹本田隆一
第57回 2016年 小路紘史 30歳 ケンとカズ 選考委員は佐々部清(委員長)、五十嵐匠石川均井上眞介松原信吾
第58回 2017年 岩切一空 26歳 花に嵐 選考委員は大森一樹(委員長)、三枝健起鈴木元中村義洋福岡芳穂
最年少受賞(古厩智之らとタイ)、平成生まれの受賞としては初
第59回 2018年 上田慎一郎 34歳 カメラを止めるな! 選考委員は神山征二郎(委員長)、井上泰治児玉高志雑賀俊朗本木克英
第60回 2019年 照屋年之[2] 47歳 洗骨 選考委員は内藤誠(委員長)、市野龍一金田敬中村義洋花堂純次
第61回 2020年 HIKARI 37セカンズ 選考委員は足立正生(委員長)、神山征二郎小林要高原秀和松島哲也
第62回 2021年 片山慎三 41歳 さがす 選考委員はいまおかしんじ大森立嗣小林啓一高橋伴明水谷俊之
第63回 2022年 山﨑樹一郎[3] 44歳 やまぶき 選考委員はいまおかしんじら5人

脚注 編集

  1. ^ 「小さな物語をあくまでもフィクションとして仕立てて観る方々に届けていく」10/25(水) トークショー:日本映画監督協会新人賞『やまぶき』」『第36回東京国際映画祭(2023)』2023年10月29日。 {{cite web}}: Cite webテンプレートでは|access-date=引数が必須です。 (説明); 不明な引数|accessdat=は無視されます。(もしかして:|access-date=) (説明)
  2. ^ “ゴリさんに監督新人賞 映画「洗骨」 日本映画監督協会”. 沖縄タイムス. (2020年3月26日). https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/551682 2020年5月14日閲覧。 
  3. ^ 22年度日本映画監督協会新人賞に山﨑樹一郎監督」『文化通信.com』2023年8月31日。2024年4月5日閲覧( 要購読契約)

関連項目 編集

外部リンク 編集