朝鮮語の南北差

北朝鮮と韓国の間の朝鮮語の違い
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朝鮮語の南北差(ちょうせんごのなんぼくさ)では、大韓民国(以下「韓国」又は「南」という。)と朝鮮民主主義人民共和国(以下「北朝鮮」又は「北」という。)における朝鮮語言語的差異を扱う。なお、適宜延辺(以下「中国」又は「中」という。)の朝鮮語についても扱う。

南北朝鮮で用いられている言語はいずれも分断国家となる以前の標準朝鮮語を引き継ぐものであり、言語としては同一であるが、国家分断の長期化とともに細かな点でいくつかの差異が見られる。以下に南北の言語規範を中心に[1]言語的な差異を記述する。

漢字使用の問題については「漢字復活論」を参照。また正書法については「朝鮮語の正書法」を参照。

総論 編集

朝鮮語の正書法は、1933年に朝鮮語学会が制定した「朝鮮語綴字法統一案한글 맞춤법 통일안)」[2]が朝鮮解放後も引き続き南北で用いられたが、1948年の大韓民国と朝鮮民主主義人民共和国成立後、両国はそれぞれ異なる言語政策をとることとなった。

南北で言語規範を別々に改訂することによる正書法や発音法上の相違点の拡大に加えて、近年では外来語の取り入れ方の違いが目立つようになり、南北の出身者が意思疎通に支障を来している例も報告されている[3][4]

北朝鮮 編集

北朝鮮では、1954年に「朝鮮語綴字法조선어 철자법)」を制定し、現行正書法における章配列の基礎が形成されるとともに、これにより規範上、はじめて南北の正書法に差異が生じた[5]

続いて、1960年代に入りいわゆる主体思想が台頭するのとあいまって、言語政策が大きく転換された。そして金日成「朝鮮語を発展させるためのいくつかの問題」(1964年)、金日成「朝鮮語の民族的特性を正しく生かすことについて」(1966年)を受け、1966年に内閣直属の国語査定委員会が「朝鮮語規範集조선말규범집)」を発表し、これにより主に分かち書きの面において南北の言語規範の差異が拡大した。その後1987年にこの「朝鮮語規範集」が改訂されたが、分かち書きに関しては、さらに2000年に「朝鮮語分かち書き規範(조선말 띄여쓰기규범)」、2003年に「分かち書き規定(띄여쓰기규정)」が別途制定され、これが使用された。

「朝鮮語規範集」については、2010年に再び改訂が行われ(主に発音法)、これが2023年現在最新の言語規範である。

韓国 編集

韓国では、1933年の「朝鮮語綴字法統一案」を引き続き用いつつ、数次の草案制定作業が行われ、「ハングル正書法한글 맞춤법)」[6]及び「標準語規定(표준어 규정)」を定め、これにより多少南北間の差異が拡大した。その後、2014年及び17年に「ハングル正書法」が改正され現在に至る。

字母 編集

朝鮮語を表記するのに用いられる字母については、南北で違いがない。ただし、活字においては、は韓国では の字体が主に用いられるのに対して、北朝鮮では専ら  のような字体が用いられるという違いがある。その他にも字形・デザイン差のレベルでは細かな違いが存在している[7]

字母に関して、韓国では合成母音字母、および合成子音字母は独立した字母として扱われないが、北朝鮮ではこれらの合成字母も独立した字母として扱われる。

子音字母の名称が南北で異なるものがある。

字母 名称 発音
中国 [8] [9] 中国[10]
기역 기윽 기윽 [-역(여기, 여글)] [-윽(으기, 으글)] [-윽(으기, 으글)]
디귿 디읃 디읃 [-귿(그시, 그슬)] [-읃(으지, 으들)] [-읃(으시, 으슬)]
시옷 시읏 시읏 [-옫(오시, 오슬)] [-읃(으시, 으슬)] [-읃(으시, 으슬)]
지읒 지읒 지읒 [-읃(으시, 으슬)] [-읃(으지, 으즐)] [-읃(이시, 으슬)]
치읓 치읓 치읓 [-읃(으시, 으슬)] [-읃(으치, 으츨)] [-읃(이시, 으슬)]
키읔 키읔 키읔 [-윽(으기, 으글)] [-윽(으키, 으클)] [-윽(으기, 으글)]
티읕 티읕 티읕 [-읃(으시, 으슬)] [-읃(으치, 으틀)] [-읃(으시, 으슬)]
피읖 피읖 피읖 [-읍(으비, 으블)] [-읍(으피, 으플)] [-읍(으비, 으블)]
히읗 히읗 히읗 [-읃(으시, 으슬)] [-읃(으시, 으슬)] [-읃(으시, 으슬)]
기역 기윽 쌍기윽
디귿 디읃 쌍디읃
쌍비읍 비읍 쌍비읍
시옷 시읏 쌍시읏
쌍지읒 지읒 쌍지읒

」の名称は、南では『訓蒙字会』(1527年)における名称を受け継いだのに対し、北・中国では「-ㅣ으-」という語形を利用して機械的に名称をつけている[11]

また、濃音字母の名称は、南・中国では「쌍-(双)」を冠するのに対し、北では「된-(濃い…)」を冠する。

辞書の見出し語の配列 編集

辞書の見出し語の配列は以下の通りである。


  • 子音字母(頭音)
南:
北:
中:
  • 母音字母
南:
北:
中:
  • 子音字母(末音)
南:
北:
中:

北では、合成字母(合用並書を除く。)を正規の字母として基本字母の後に(画数順に)配列する。また、子音字母「」は、終声(音価あり)のときはの間に配列するが、初声(音価なし)のときは母音から始まるものとみなし、の後に配列する。

中国(2016年改訂)では、合用並書を含め、合成字母をいずれも基本字母の後に配列する。また、子音字母「」は、初声・終声(音価の有無)を問わずㅅとㅈの間に配列する。

これに対し、南では、合成字母を基本字母の配列の中に配列する(例: ㅏ→ㅐ→ㅑ、ㅗ→ㅘ→ㅙ→ㅚ→ㅛ、ㄱ→ㄲ→ㄴ、ㄷ→ㄸ→ㄹ)。また、子音字母「」は、中国と同様にいずれもの間に配列する。

音声 編集

南北の標準語における子音・母音の音素の種類とその数についてはともに同じであるが、音声的な特徴に若干の相違がある。およそ、原則として韓国の標準語の発音はソウル方言に依拠し、北朝鮮の標準語である文化語の発音は平壌方言に依拠しているため、音声的に若干の違いが見られる。

子音 編集

子音については以下のような違いが認められる。

  • //,//,//は、ソウル方言では歯茎硬口蓋破擦音[ʨ][ʨʰ][ʨʼ]で現れるのが一般的であるが、平壌方言では歯茎破擦音[ʦ][ʦʰ][ʦʼ]に近く発音されるのが一般的である(자동(自動) 南[ʨadoŋ],北[ʦadoŋ][12]
  • 南北の標準語において、流音//は, 鼻音//, //の直後に立たない。その場合、//は鼻音//に交替する。ただし,北の標準語では,//,//,//,//の前では,//のまま発音することが許容される[14]。右標準発音を表にまとめると次のとおりである。
つづり 南の発音 北の発音 中の発音 漢字表記 解説
통로 통노 통로 通路
독립 동닙 동립 獨立
침략 침냑 침냑 / 침략 침략 侵略 //の後に/ㅑ, ㅕ, ㅛ, ㅠ/が続く場合
협력 혐녁 혐녁 / 혐력 혐력 協力
[参考] 분량 불량 分量 原則どおり。
[参考] 생산량 생산냥 생산량 / 생산냥 生産量 //と//の間に形態素の境界がある場合

※発音表記を「/」で区切ったものは、右側が許容発音である。

頭音法則 編集

近代朝鮮語においては、主として漢字語に対し頭音法則(詳細は後述「頭音法則」を参照)と呼ばれる子音推移が適用されてきた。

南では,この法則に従い漢字語では頭音に//の一部と//が立たない。

これに対して、北では原則として頭音法則を適用しないため,語頭に//・//が立ちうる。ただし、北のこの発音は朝鮮語の歴史的推移を無視し、借用語の語頭子音が保存されていた時代の発音を規範として人工的に復活させたものである[15]

なお、現実には,北でも老年層の話者を中心に,語頭の//・//が発音できず、南と同じ発音をしている者も少なくないと見られる。

実際に、牡丹峰楽団の公演などでも次のような非規範的な発音がみられる(例:렬차→열차(列車)、륙보병사단→육보병사단(六歩兵師団)など)。また、これと反対に標準発音では脱落するが、実際には脱落しない現象として、次のような例も見られる(例:대열→대렬(隊列))。

また、頭音法則は本来朝鮮語におけるすべての語に適用されるべきものであるが、近代以降の借用語に関しては、南においても頭音法則を適用しないつづり・発音を規範としている。そのため「라디오/라지오ラジオ)」はそのまま[ɾadio/ɾaʥio]として発音することとなるが、老年層の中には南北問わず[nadio/naʥio]と発音する人物が少なくない。

そのほか固有語である名詞「」は、正書法・標準発音法は南北でそれぞれ//,//とされているが(『あなたのための行進曲』参照)、実際には南でもに//と発音・表記されることが多い。

母音 編集

母音については以下のような違いが認められる。//はソウル方言では円唇の度合いがより弱く、平壌方言では円唇の度合いがより強い。国際音声記号で示すと、ソウル方言が[ɔ̜]であるのに対し、平壌方言は[ɔ]である。この円唇性のため、ソウル方言話者が平壌方言の//を//に近く聞き取ることがある。

また、北において、「//と//,//と//を混同する現象」(『文化語発音の常識』)が指摘されている。

南でも、//と//は、若年層のソウル方言では、明確な区別を失っている。

ピッチ 編集

ピッチパターンはソウル方言と平壌方言で異なるが、その違いについて詳しい研究は進んでいない。1992年刊『朝鮮語大辞典(조선말대사전)』には若干の単語に音響機器を用いた単語のピッチが3段階で示されているが、例えば「꾀꼬리(コウライウグイス)」のピッチは/꜔.꜒.꜔/("232";1低2中3高の3段階)と示されているなど、ソウル方言のピッチパターンと異なる表示が散見される。

表記法 編集

形態に関する表記 編集

-아/-어 編集

ㅣ系母音語幹 編集

語幹末音がの母音語幹の接続形は、南では他の陰母音語幹と同様-어が付くが、北では-여が付く。ただし、発音上は南においても-여と発音することが標準語規定によって許容されている。-

原形 -아/어形 日本語
피다 피어 피여 咲く
내다 내어 내여 出す
세다 세어 세여 強い
되다 되어 되여 なる
뛰다 뛰어 뛰여 跳ぶ
희다 희어 희여 白い
[参考]
잇다

이어

続く
ㅂ不規則用言 編集

ㅂ不規則用言の接続形は、北では,陽語幹は-와,陰語幹-워と表記する。他方,南では、2音節以上の語幹は全て-워と表記する。

原形 -아/어形 日本語
곱다
고와
美しい
고맙다 고마워 고마와 ありがたい
춥다
추워
寒い
무겁다
무거워
重い
不規則用言 編集

不規則用言の接続形は,南では/-ᅟᅡᇂ, ᅟᅣᇂ/は/-, /に ,/-ᅟᅥᇂ, ᅟᅧᇂ/は/, /に変化するが,北ではいずれも/-, /となる。

原形 -/ 日本語
노랗다 노래 黄色い
누렇다 누레 누래
하얗다 하얘 白い
허옇다 허예 허얘

濃音として現れる語尾等 編集

終声を含む語尾は、南ではの直後の疑問を表す語尾が濃音字でつづられるほかは平音字で綴られるが、北では全ての直後が平音字でつづられる。これらの語尾は語源的に連体形-ㄹの後の平音が濃音化した形であるところ、北の表記法では-ㄹの直後の濃音を平音字で表記するが、南の表記法では濃音字で表記する[16]

意味
-ㄹ까? -ㄹ가? …するだろうか?
-ㄹ쏘나? -ㄹ소냐? …せんや
-ㄹ게 -ㄹ게 …するからね

また、語根に接尾辞又は語尾がつく場合において南では濃音として表記されるものが北では平音として表記されたり,またその逆となるものがある。

語源 意味
길쭉이 길죽이 길쥭 長めに
길찍하다 길직하다 길즉ᄒᆞ다 とても長い
아리땁다 아릿답다 아ᄅᆞᆺ답다 美しい
섣부르다 서뿌르다 설우르다 不慣れだ

接尾辞「-이」 編集

擬声・擬態語に「-이」が付いた語は、南では当該擬声・擬態語に「-하다」又は「-거리다」が付きうるか否かによって語根と接尾辞を分けて、或いは分けずに表記するが、北では双方とも語根と接尾辞を分けずに表記する。

日本語
더펄이 더퍼리 おっちょこちょい
오뚝이 오또기 起き上がり小法師
일찍이 일찌기 早く
깍두기 カクテギ(大根キムチ)
동그라미
반드시 必ず (分けて表記する반듯이は「まっすぐに」の意味)

また、一部の語では、南北で「-이」と「-히」のどちらを付けるかが異なる。

日本語
가뜩이 가뜩히
걀쯤이 걀쯤히
엉거주춤히 엉거주춤이

二重パッチム 編集

正書法上、「ㄺ, ㄼ, ㄾ, ㅀ」等の二重パッチムで終わる語根に子音で始まる接尾辞が合わさる場合の表記については、ほぼ同様の定めがなされている。しかしながら、次のような語において表記に違いがある。

日本語
넋두리 넉두리 愚痴
널따랗다 넓다랗다 広々としている
널찍하다 널직하다
얄따랗다 얇다랗다 薄っぺらい
짤따랗다 짧다랗다 細々としている

「-이오/이요」 編集

体言に付く/-이요/は南では接続形で「이요」、終結形で「이오」と表記されるが、北では双方とも「이요」と表記される。

日本語
이것은 낫이요, 저것은 붓이다. 이것은 낫이요, 저것은 붓이다. これは鎌で、それは筆だ。
이것은 책이오. 이것은 책이요. これは本です。
이것은 사전이요, 저것은 자료집이오. 이것은 사전이요, 저것은 자료집이요. これは辞典で、これは資料集です。
[参考]이리 오시오. 이리 오시오. こちらに来なさい。
[参考]좋지요. 좋지요. 良いでしょう。

漢字語に関する表記 編集

頭音法則 編集

南ではㄹ, ㄴを初声に持つ漢字が語頭に来るとき、頭音法則が適用されるのに対して、北では頭音法則が適用されない。従って次のような差異が生ずる。

(1)ㄹを頭音に持つもの 編集

南では、を初声に持つ漢字が語頭に立つときは、当該が、直後に母音[i]或いは半母音[j]が来る場合には、それ以外の母音が来る場合にはと綴られる。

これに対して、北では頭音法則を適用せず、常に初声のを維持する。

漢字表記
낙하 락하 落下
냉수 랭수 冷水
연습 련습 鍊習
유의 류의 留意
이익 리익 利益

南では、률・렬は語頭に加えて、母音及びㄴの後でも율・열とつづられる。

これに対して北では常に률・렬とつづられる。ただし、発音上の例外として、北で//、//は便宜上、母音の後でそれぞれ[]、[]と、ㄹ以外の子音の後でそれぞれ[]、[]と発音する。

南発音 北発音 漢字表記
규율 규률 [규율] 規律
선열 선렬 [서녈] [선녈] 先烈
법률 [범뉼] 法律
행렬 [행녈] 行列
열렬 [열렬] 熱烈
(2)ㄴを頭音に持つもの 編集

同様に南では、を初声に持つ漢字が語頭に立ち、及び当該ㄴの直後に母音[i]あるいは半母音[j]が来るときは、と綴られる。

これに対して北では頭音法則を適用せず、常に初声のを維持する。

漢字表記
이승 니승 尼僧
여자 녀자 女子

固有語については、頭音法則の対象ではないが、次の語については、南北で頭音法則類似の差異を生ずる。

意味
愛しい人
(3)固有語化した漢字語 編集

固有語化したごく一部の漢字語については、(固有語としての)発音通りに表記する結果、北南で同じ、又は異なる表記となったものがある[17]。なお,これらは、辞典上漢字語として扱われない点に注意を要する[18]

語源となる漢字語 備考
나사 羅紗螺絲
나팔 喇叭
요기 療飢
남색 람색 남색 藍色 従来、北・中ともに固有語化した漢字語として、남색と綴っていたが、北では、現在漢字語として扱うこととなっている。람홍색からの類推と考えられる。
양 / -냥 南では、語頭に来るときには、頭音法則を適用する[19]
形式名詞の場合には、例外となる[20]
궁량 궁냥 窮量
원수 원쑤 怨讐怨讎

これと反対に、元来固有語であったものが発音上の類推により、漢字語に転化したものもある。

語源
우레 우뢰 (雨雷) 울에우르-+-

なお、南においても「)」、「)」といった姓は、「)」、「)」などの姓と区別するために、あえて「)」、「)」と表記することが認められており[21]、またこれを表記通りに読むことがある。

漢字表記
류시원 柳時元
(4)接頭辞がある場合・合成語 編集

接頭辞がある単語や合成語の場合、南の標準語では語中でも頭音法則が適用されるが,北では頭音法則は適用されず,発音上,通常の同化現象が生じる(その他,形態部の境界では「ㄴㄹ」が「ㄴㄴ」になる現象も生じる)のみである。

南発音 北発音 漢字表記
해외여행 해외려행 [해외여행] [해외려행] 海外旅行
국제연합 국제련합 [국제연합] [국제련합] 國際聯合
역이용 역리용 [영니용] 逆利用
연이율 년리률 [연니율] [년니율] 年利率
열역학 열력학 [열려칵] 熱力學
중노동 중로동 [중노동] 重勞動
비논리적 비론리적 [비놀리적] [비롤리적] 非論理的
공염불 공념불 [공념불] 空念佛
남존여비 남존녀비 [남존녀비] 男尊女卑

また、「)」や「)」等の接尾辞のある単語や合成語として、固有語や(欧米の)外来語の後に結合する場合、南の標準語では頭音法則が適用されて「」「」等になる[22]が、北では適用されず、常にを維持する。

南発音 北発音 漢字併用表記 意味
개연(꽃) 개련(꽃) [개연(꼳)] [개련(꼳)] 개蓮(꽃) コウホネ
구름양 구름량 [구름냥] 구름量 雲量
에너지양[23] 에네르기량[24] [에너지양] [에네르기량] 에너지量/에네르기量 エネルギー量
숫용 수룡 [순뇽] 숫/수龍 雄龍
어머니난 어머니란 [어머니난] [어머니란] 어머니欄 母親欄
가십난 [가심난] 가십欄 ゴシップ欄
[参考] 생산량
[생산냥]
生産量 生産量
[参考] 투고란
[투고란]
投稿欄 投稿欄

字音 編集

朝鮮漢字音のうち、南でであるものは、北ではとつづられる(ただし発音は南でも []、[])。また、朝鮮漢字音のうち、北で계であるものの一部は南では게と綴られる(ただし発音は北でも [] となる)。

漢字表記
몌별 메별 메별 袂別
폐쇄 페쇄[25] 페쇄 閉鎖
폐지 페지 페지 廢止
휴게 휴계[26] 휴계 休憩

一部の単語において、本来「ㄴㄴ」だったものが「ㄹㄹ」と発音されることがあり、南では慣習に従い「ㄴㄹ」と表記する一方、北では「ㄴㄴ」と表記する[27]

発音 漢字表記
곤란 곤난 곤난 골란 困難
한라산 한나산 한나산 할라산 漢拏山

一部の漢字において字音が異なるものがある。

漢字 用例
漢字表記
갹출 거출 醵出
왜곡 외곡 외곡 歪曲
오류 / 귀류법 오유 / 귀유법 오유 / 귀유법 誤謬 / 歸謬法
끽경 / 만끽 긱경 / 만긱 喫驚 / 滿喫

また、一部の単語において、通常の字音と異なる字音が出現することもある。

漢字表記 備考
표지 표식 표식 標識 南における「識」の通常の字音は「
알력 알륵 알륵 軋轢 北における「轢」の通常の字音は「
나침반 라침반 라침판 羅針盤 中国における「盤」の通常の字音は「

南では、/나침판/と発音する場合の漢字表記は、「羅針판」である。 北では、/라침판/と発音する場合の漢字表記は、「羅針板」である。

合成語に関する表記 編集

사이시옷 (間の) 編集

体言語根が合成される際に、南ではいわゆる「사이시옷(間の)」を表記するが、北ではこれを原則一切表記しない。但し、北においても새별(新しい星)/샛별(明星)等の対立のあるものについては、発音上の差異を考慮して表記することとしている[28][29]

南発音 北発音 日本語
젓가락 저가락 젇까락/저까락
시냇물 시내물 시낸물 小川の水
나뭇잎 나무잎 나문닙 나무입 木の葉
숫양 수양 순냥 雄羊
샛별 샛별
새별
샏뼐 明星(=金星)
빗바람 빗바람
비바람
빋빠람 빋빠람
비바람
雨混じりの風

ㅎの挿入 編集

体言語幹が合成される場合に生ずるㅎの挿入について、南では次音節の初声を激音で表記しする。北でも原則同様であるが、雌雄を表す「수, 암」に限って、これに続く語彙が激音化して発音される場合であっても原形通り表記する。

南/発音 語源 日本語
암퇘지 암돼지 아ᇡ-돼지암-ㅎ-돼지 雌豚
수캐 수개 숳-개수-ㅎ-개 雄犬
암컷 아ᇡ-것
[参考] 휘파람 휴ᄑᆞ람휴-ㅎ-바람 口笛
[参考] 안팎 안파ᇧ안-ㅎ-바ᇧ 内外

合成語の語根の表記 編集

合成語の表記はそれぞれの語根を明示することを原則とするが、「こんにち語根が明確でない」ものについては語根を明示しないとしており、これについては南北ともに同じである。しかし個々の合成語を見ると、どの場合に語根が明確でないと見るのかという分析の違いから、いくつかの合成語において表記法の違いが見られる。

発音(南) 発音(北) 語源 日本語
올바르다 옳바르다 [올바르다] 옳-바르다 正しい
달걀 닭알 [달걀] [다갈] 닭의-알 / 닭-알 鶏卵
벚꽃 벗꽃 [벋꼳] 벚-꽃 桜の花
[参考] [] 버찌の縮約形 さくらんぼ
널빤지 널판지 [널빤지] [널판지] 널-板子(판ᄌᆞ) 板材
날짜 날자 [날짜] 날-子(ᄌᆞ) 日数、日付
손뼉 손벽 [손뼉] 소ᇇ벽-- 手のひら
안간힘 안깐힘 [안깐힘] 안-간힘 全力
아내 안해 [아내] 안해 / 안ᄒᆡ 家内(妻)

上の例で、「正しい」という意味の単語は、南では「」の部分を語根が明確でないものとして発音通りに「올바르다(正しい)」と表記しているのに対し、北では、前半部を「옳다(正しい)」の語幹と見て「옳바르다」(発音は南と同じ[올바르다])と表記している。逆に「桜の花」という意味の単語は、南では「(=버찌)(さくらんぼ)」と「(花)」の合成語と捉えているのに対し、北では語根が明確でないものとして「벗꽃」とつづる。

また、「」(歯、虱)の合成語に関して、南では発音通りに「」と綴るのに対し、北では原形通り「」と綴る。

発音 日本語
앞니 앞이 [암니] 前歯
머릿니 머리이 [머린니] 頭虱

転訛に関する表記 編集

標準語とも関連する問題であるが、ㅏ/ㅓを含む音節の後にㅣを含む音節が来る場合に前舌母音化(앞모음되기)してㅐ/ㅔとなることがある。

これをどの程度表記・標準語(文化語)に反映するかについて、南北差がある。

語源 日本語
냄비 남비 日本語の「なべ」
곰팡이 곰팽이 곰팡-- かび

縮約語に関する表記 編集

「-하다」の縮約形 編集

「-하다」の縮約形について、北では、ㅏの省略のみを認めるが、南・中では、하全体を省略することを認める。

原形 日本語
넉넉하지 넉넉지 넉넉치 넉넉지 十分だ、豊かだ
생각하건대 생각건대 생각컨대 생각건대 思う
만만하지 만만치 しなやかだ
적절하지 적절치 適切だ
심심하지 심심치 退屈だ、味が薄い、非常に深い
적합하지 적합지 적합치 적합지 適う、向く
깔밋하지 깔밋지 깔밋치 깔밋지 小ぎれいだ

また、一部の語は、南で発音どおりに表記される。

原形 日本語 備考
아무렇든 아무튼 아뭏든 いずれにしても 南では、아무러하다の縮約形として아무렇다のみを認め、아뭏다を非標準語と整理している。

「-이-」用言の縮約形 編集

「-이다」用言の縮約形に関して,南北で次のような違いがある。

原形 縮約形 日本語
第I語基 第III語基 第I語基 第III語基
고이다 고이어 고이여 괴다 괴어 고여 괴여 고여 支える、溜まる
보이다 보이어 보이여 뵈다 뵈어 보여 뵈여 보여 見える、見せる
쓰이다 쓰이어 쓰이여 씌다 씌어 쓰여 씌여 書かせる、書ける

その他の縮約形 編集

原形 縮約形 日本語
아니에요 아니예요[30] 아녜요 안예요 ~ではない

分かち書き 編集

分かち書きの規定については、南の正書法での全10項に対し、北の正書法では全6項と、南に比べて簡潔に整理されている[31]。概して北に比べて南の正書法では分かち書きを多くする傾向にある。主要な違いは以下の通りである。

形式名詞 編集

形式名詞(南では의존 명사〔依存名詞〕、北では불완전명사〔不完全名詞〕と称される)の直前は、南では分かち書きし、北では続け書きする。数詞と助数詞の結合もこれに準ずるが、南では一部続け書きが許容されている。

日本語
내 것 내것 私のもの
할 수 있다 할수 있다 することができる
한 개 한개 1個
두 시 삼십 분/두시 삼십분 두시 삼십분 2時30分

1つの概念を表すもの 編集

2単語以上が合わさって1つの概念を表すものは、北では助詞が間に入ったり品詞が異なる場合であっても、原則続け書きをする。ただし、続け書きをすると意味が二通りに解釈されたり、一単位の文字数が余りにも多くなる場合においては分かち書きが許容される。

これに対し、南では原則的に分かち書きをする。ただし、南でも、①複合語や、②補助用言、③固有名詞・専門用語においては続け書きが許容される。

解釈(南) 解釈(北) 解釈(中) 日本語訳等
영어 사전 영어 사전」は、国立国語院『標準国語大辞典』に登載されておらず、一単語(複合語)とは見なされないため、原則[32]どおり分かち書きをする。 영어사전 名詞同士が吐を伴わずに結合し、1つの対象、現象、状態を表す[33]ものは、続け書きをする。 영어사전 固有の対象の名称[34]は、続け書きをする。 英語辞典
국어사전 国立国語院『標準国語大辞典』に一単語(複合語)として登載されているため、続け書きをする。 국어사전 국어사전 国語辞典
경제 부흥 상황 いずれも一単語と見なされないため、原則[32]どおり分かち書きをする。 경제부흥상황 경제부흥상황 名詞同士が吐を伴わずに結合し、1つの対象、現象、状態を表す[35]ため、続け書きをする。 経済復興状況
전개해 나가고 있는 / 전개해나가고 있는 補助用言は、分かち書きをするが、-아/어に続くものは、続け書きをすることができる[36] 전개해나가고있는 -아/어/여」、「-고」形の用言が他の動詞と合わさって一つの行動等を表すとき(語結合)は、続け書きをする[37] 전개해나가고 있는
  • 나가다」や「있는」は、補助用言であるため、分かち書きをする[38]
  • ただし、「나가다」は、-아/어に続く補助用言であるため、続け書きをする[39][40]
展開していっている
여러 말 할 것 없이 말 할」は、「말(을) 하다」の助詞を省略した形であるため、一単語とみなされず、分かち書きをする。その他の単語も原則どおり分かち書きをする。 여러말할것없이 異なる品詞が吐を伴って結合し、1つの対象を表すため、全体として1つの発音のかたまり(말소리덩어리[41]と見て、続け書きをする[37] 여러 말 할 것 없이
  • 冠形詞「여러」は、接頭辞的に用いられる場合[42]には該当しないため、原則[43]どおり分かち書きをする。
  • 말 할」は、一単語とみなされず、分かち書きをする[44]
  • 固有語不完全名詞「」は、前の単語と分かち書きをする。
  • 副詞「없이」は、名詞と副詞が結合して副詞を構成する場合[45]には該当しないため、原則どおり分かち書きをする。
全て言うまでもなく、要するに
두말없이 国立国語院『標準国語大辞典』に一単語(複合語)として登載されているため、続け書きをする。 두말없이 異なる品詞が吐を伴わずに結合し、1つの対象を表すため、続け書きをする。 두말없이
  • 名詞と副詞が結合して副詞を構成するため、続け書きをする。
つべこべ言わずに、言うまでもなく
남궁억 박사 / 남궁 억 박사
  • 「남궁억」は、姓と名であるため、続け書きをする。ただし、二字姓のため、姓・名の境界が分かるように[46]分かち書きをすることが許容される[47]
  • 「박사」は、官職名等であるため、姓名と分かち書きをする[47]
남궁억박사 「남궁억」は、姓と名であるため、続け書きをする[48][49]

「박사」は、官職名等であるため、姓名に続け書きをする[48][50]

남궁억박사 「남궁억」は、姓名であるため、続け書きをする[51]。「박사」は、呼称語であるため、姓名に続け書きをする[52][53] 南宮檍博士
서울 대학교 인문 대학 / 서울대학교 인문대학 서울 대학교 인문 대학」は姓名以外の固有名詞であるため、単位別に分かち書きをすることが許容される。 서울대학교 인문대학 固有の対象の名称のうち、節をなしながら続く[54]ものは、各節ごとに分かち書きをする[48] 서울대학교 인문대학 党組織、行政区域等の名称は、全体と部分等の間を分かち書きする[55] ソウル大学人文学部
김설미 어머니
김설미 어머니
いずれも一単語と見なされないため、原則どおり分かち書きをする。 김설미 어머니
김설미어머니
続け書きをすると2種類の意味に理解されうるものは、意味がとおるように分かち書きをする[56] 김설미 어머니
김설미어머니
続け書きをすると他の意味が生ずる場合には、意味単位別に意味がとおるように分かち書きをする[57] 金雪美のお母さん
↔金雪美母さん
중증 급성 호흡기 증후군 / 중증급성호흡기증후군 専門用語であるため、続け書きが許容される。 중증급성호흡기증후군 / 중증 급성 호흡기증후군
  • 名詞同士が吐を伴わずに結合し、1つの対象を表す語結合は、続け書きをする。
  • ただし、単位が著しく長いため読解するのが困難なとき[58]は、意味単位で分かち書きをすることができる。
중증 급성 호흡기증후군
  • 専門用語は、続け書きをする[59]
  • ただし、著しく長いため理解するのが困難なときは、意味単位で分かち書きをする[60]
重症急性呼吸器症候群

韓国における分かち書きの現状 編集

原則は上記の通りであるが南においては、分かち書き与否がその語が一つの単語なのか複合語なのか、というあいまいな基準に左右されることから、実際には分かち書きの統一があまりとれていない。

例えば、「국어사전(国語辞典)」という語の場合、これを2単語と考える人は分かち書き(국어 사전)をするし、1単語と考える人は続け書き(국어사전)をするし、というように、何をもって1単語と見なすかによって実際の分かち書きはまちまちに行われている。

基本的には,国立国語院の『標準国語大辞典』が標準とされ,例えば,先述の「국어사전(国語辞典)」の場合は続け書きとされているが,これに掲載されていない語彙については,結局各自に判断することとなる。

なお,北では,1単語であるか否かに関係なく続け書きをするため、このような問題は生じない。

語彙 編集

南の標準語はソウル方言を基礎としており、北の標準語(「文化語」と称される)は平壌方言に依拠するところがある。しかし、南北ともに標準語の語彙・語形は1936年に朝鮮語学会が定めた「査定した朝鮮語標準語集사정한 조선어 표준말 모음)」を基礎としているため、基礎的な語彙において南北間の差はほとんど見られない。その一方で、政治体制・社会制度の相違に起因するさまざまな新造語には差異が生じつつあり、この傾向は今後さらに増していくものと見られる。

政治体制・社会制度の相違による差異 編集

南(漢字表記) 北(漢字表記) 日本語
한반도韓半島 조선반도朝鮮半島 朝鮮半島
한국 전쟁韓國戰爭 조국해방전쟁祖國解放戰爭 朝鮮戦争
초등학교初等學校 소학교小學校 小学校
우체국郵遞局 우편국郵便局 郵便局
친구親舊 동무[61] 友人

北で用いている「동무(友人の意)」は朝鮮固有語であり、もともとは朝鮮全土で広く用いられていた単語であるが、南北分断後に北でロシア語товарищ(友人、同志)の訳語として用いられるようになってからは南で用いられなくなった。

また、北では漢字を早い時期に廃止したので、同音異義語を回避するために、いくつの漢字語を固有語に置き換えることが確認できる。南でも国語純化政策のため、北と同じ言葉を使う場合がある。

南(漢字表記) 日本語
홍수洪水 큰물 洪水
매점賣店 가게 売店
양파洋파 둥글파 タマネギ
가발假髮 덧머리 かつら
압정押釘 납작못 画鋲

また、南では外来語の単語が、北では漢字語や固有語で表現することもある。

北(漢字表記) 日本
헤어드라이어 건발기乾髮機 ヘアドライヤー
소프라노 녀성고음女聲高音 ソプラノ
호텔 려관旅館 ホテル
헬리콥터 직승비행기直昇飛行機 ヘリコプター
원피스 달린옷 ワンピース
캐러멜 기름사탕기름沙糖 キャラメル
햄버거 고기겹빵[62] ハンバーガー

外来語の差異 編集

現在、南では国立国語院1986年に制定した「外来語表記法」、北では国語査定委員会が2001年に制定した「外国語表記法」(외국말적기법)により、それぞれ標準の外来語表記が規定されている。

南ではアメリカ英語から導入された外来語が多く、北ではロシア語から導入された外来語が多いので、両者の間で違いが生じる場合が少なくない。また、同じ英語外来語であっても、音の取り入れ方が南北で異なり、結果的に異なる語形になることもある。

また、漢字圏を除く外国の国名・地名については、南では英語名を用いるのが一般的であるのに対し、北では現地言語による名称が用いられる。中国の地名・人名については、南では中国漢字音で表記されるのが一般的であるが、北では北京베이징)を除いて朝鮮漢字音で表記される。日本の地名においては、南は平音・激音を使うのに対し、北では平音・濃音で表記する(詳細は「日本語のハングル表記」を参照)。

語源(南) 語源(北) 語源(中) 日本語 解説
트랙터 : tractor 뜨락또르 : трактор 뜨락또르 : трактор トラクター 南の外来語表記法では、原語にかかわらず、原則無声音を激音に転写する。北の外国語表記法では、ロシア語の無声音を濃音に転写する。
스타킹 : stocking [ˈstɑːkɪŋ] 스토킹 : stocking [ˈstɒkɪŋ] 스타킹 : stocking [ˈstɑːkɪŋ] ストッキング 南はアメリカ英語、北はイギリス英語。なお、北の外来語表記法(2001年)では、子音記号前の[s]を쓰と、母音記号前の[t]をㅌと書くことが原則であるが、朝鮮語大辞典では、左のとおりとされる。
폴란드 : Poland [ˈpoʊlənd] 뽈스까 : Polska [ˈpɔlska] 뽈스까 : Polska [ˈpɔlska] ポーランド ポーランド語も無声音は濃音に転写
시진핑 : 习近平 (: Xí Jìnpíng) 습근평 : 習近平 습근평 北と同じ。 習近平 中国朝鮮語습근평が標準である。
마르크스 Marx 맑스[막쓰] Marx 맑스[막-] Marx マルクス
라디오 : radio [ˈreɪdioʊ] 라지오 ラジオ /ɾaʑio/<: radio 라지오 ラジオ /ɾaʑio/<: radio ラジオ 南で、原語どおりに表記すると레이디오となるはずであるが、外来語表記法第5項[63]が適用された結果、左のとおり表記される。
에너지 : energy 에네르기 : Energie 에네르기 / 에너지 : energy: Energie エネルギー 中国では、에너지を에네르기の同義語としている。
: cup ([ˈkʌp]) 고뿌 日: コップ /koppɯ/ < : kop 고뿌 北と同じ。 コップ 賞杯の意味では、北・中でも컵の語を用いる。
밀리메터 : millimeter 미리메터 日: ミリ+: meter 밀리메터 : millimeter ミリメートル 北も: milliは밀리と転写するのが原則である。

語彙査定の差異 編集

そのほか、ソウル方言形と平壌方言形の違い等に由来して、個別語彙の査定について差異が生じたものがある。

日本語 備考
옥수수 강냉이 / 옥수수 강냉이 / 옥수수 とうもろこし
  1. 南北とも、옥수수, 강냉이の両方を標準語とする。
  2. 北では、옥수수を강냉이の同義語と定義する。中でも同様である。
  3. 南では、강냉이を옥수수の実、옥수수を揚げたものと定義する。
거위 게사니 / 거위 게사니 / 거위 ガチョウ 北では、거위を계사니の同義語と定義する。
상추 부루 レタス
망치 마치 金づち
도시락 곽밥 弁当
싸다 싸다/눅다 安い
- 마스다 使えなくなるように壊したり縮めたりする。「부수다(壊す)」の意味が近い。 北固有の語彙。
- 마사지다 마스다」の自動詞形
자장면

/ 짜장면

짜장면 チャジャンミョン 南では、 2011年8月前は、자장면のみを標準語としていた。

강냉이」といった語彙は南においても方言形としてしばしば耳にすることができる。

また、言語醇化により、個別語彙につき差異が生じたものがある。

古い言葉 日本語
튀김 기름튀기 뎀뿌라 天ぷら

脚注 編集

  1. ^ 南北ともに実際には規範と異なる綴り・発音等(南で言えば-고-구など)が用いられることがあり、また非規範的なものが規範的なものよりも優勢であることもあるが、ここでは原則として規範的な綴り・発音を扱うこととする。
  2. ^ 但し、その後数次の改正を経て多少内容に変化が生じている。
  3. ^ 読売新聞 2018.
  4. ^ 朝日新聞 2018.
  5. ^ 厳密には、同綴字法以前に「朝鮮語新綴字法」が制定されているが、こちらは部分的にしか用いられなかった。
  6. ^ 「朝鮮語綴字法統一案」の改定との位置付け。
  7. ^ 例えば、ゴシック体におけるㅈ/ㅊやㅢ,ㅘ等のデザイン差が挙げられる。
  8. ^ 標準発音法」第16項
  9. ^ 北では、言語規範自体に字母の名称の発音は定められておらず、『朝鮮語大辞典』に個別に発音が表示されている。
  10. ^ 朝鮮語標準発音法」(2016年版)第6項附則参照
  11. ^ 南でも草案の段階においては同様の方法が検討されていた(正書法案等)。
  12. ^ なお,//,//などは、平壌では口蓋音化しない[ʦi][si]という音でも発音されることがあるとされるが、2014『文化語発音辞典』では,「[]は歯茎摩擦音である。国際音声記号では,[ʦ],[ʣ]と表記する。単語の初声[]は[ʦ]と表記し,母音と母音の間,母音と有声子音の間にある[]は,[ʣ]と表記する。母音[]及び短母音[]の前にくる[]は[ʨ, ʥ]と表記し,母音[]の前にくる[]は[ʧ, ʤ]と表記する。」としており、標準的な発音(文化語発音法)としては、南と同様に発音すべきものとされる。
  13. ^ なお、1987年版ではこのような規定がなく、全ての場合に文字通りに//発音することとされていた。また,朝鮮語大辞典(2017, 社会科学出版社)でも,//,//の後の//は//,//のいずれでも発音されるとしつつ,発音表記は//によっている。
  14. ^ 朝鮮語規範集2010年版第8章第24項[13]
  15. ^ なお、「文化語発音の常識」では「国語において子音「」は、過去単語の初頭において発音し得ない語音と認められてきた。(中略)今日に至って単語の初頭に来る「」や「」は、そのまま発音されている。結局「頭音法則」は、過去の歴史的な語音法則となり、現行の語音法則ではこれ以上存在しないこととなった。」と説明されている。
  16. ^ なお、語尾-ㄹ게(…するからね)は以前は南で-ㄹ께とつづられたが、1988年の「ハングル綴字法(한글 맞춤법)」によって北と同じく「-ㄹ게」とつづられることになった。
  17. ^ ただし、これらは多少不安定で、頭音法則の適用されない関連語がある場合において、当該関連語との類推が働いた結果、頭音法則の適用されない形に帰結したものもある。例えば、北では、従前固有語化した「남색」が標準とされていたが、漢字語「람홍색(藍紅色)」との類推が働いた結果、漢字語としての「람색(藍色)」が標準となった。
  18. ^ そのため『朝鮮語大辞典』などの北の辞典では,通常の漢字語には漢字を併記する一方,これらの語彙には,漢字を併記しない。
  19. ^ 例:양돈사(一両にいくらかを加えた金額)など。
  20. ^ 例:한냥(一両)
  21. ^ 従来この表記法は、戸籍法上非正式なものであったが、大田地裁2006.6.12.付2006브15決定及びこれによる大法院例規第520号の改正に従い、当事者の申請により正式表記として用いることができることとなった。
  22. ^ 漢字語の後に結合する場合は「」「」のまま。
  23. ^ 実際には、기상영상특징のように、政府機関含め에너지량と記載する例がある。
  24. ^ 우리 나라에서 풍력에네르기자원의 리용전망参照
  25. ^ 페쇄[페:쇄] pʰe:swɛ 막거나 닫는것. (閉鎖)|| ~장치(리승길 2014)
  26. ^ 휴계-실[휴게실] hjugeɕil 쉴수 있게 마련된 방. (休憩室)|| 극장~(리승길 2014)。
  27. ^ なお,2010年改訂版文化語発音法では,1987年改訂版第24項までの「一部定着した単語の場合には,その「」を[ㄹ]と発音する」旨の記述が削除されているが,同項の削除後も引き続き「ㄹㄹ」が標準発音とされている(리승길 2014)。またこのことは,チェホチョル「北朝鮮「朝鮮語規範集」の2010年改訂とその意味」でも,「3.2.4.8. パッチム「ㄴ」の発音に関する第24項の例外条文を削除したが,これは,このような場合の発音を単語の個別的な事案として処理するとの意思であると判断される。」として指摘されているところである。なお,同様に例外規定が削除されながらも例外適用の継続されているものとして,一部語彙(ex. 샛별・明星)におけるㅅの表記がある。
  28. ^ しかしながら実際の表記においては、原則どおりに「間の」を表記しない傾向があるという(「표기실천에서는 형태부사이에 《ㅅ》을 끼워넣지 않고 형태를 밝혀적는 경향이 적지 않게 나타나고있다.」(『文化語発音常識』96頁))。
  29. ^ なお、発音の面においては、大部分の単語において南北とも同じように濃音化がおこるが、北では一部単語を表記通り発音する(조선말대사전(1992, ピョンヤン社会科学出版社) ほか現地報道など)。
  30. ^ 박재호 2016.
  31. ^ かつての北の正書法は南の正書法に比して非常に細かいものであった。
  32. ^ a b 「한글 맞춤법」제2항
  33. ^ 《띄여쓰기규정》제2항1)
  34. ^ 《조선말띄여쓰기》제6항
  35. ^ 《조선말띄여쓰기》제19항
  36. ^ 「한글 맞춤법」제47항
  37. ^ a b 《띄여쓰기규정》제2항2)
  38. ^ 《조선말띄여쓰기》제26항
  39. ^ 《조선말띄여쓰기》제26항붙임
  40. ^ 韓国と異なり、分かち書きは、許容されない。
  41. ^ 《〈띄여쓰기규정〉해설》제2항2)(2)⑤
  42. ^ 《조선말띄여쓰기》제30항
  43. ^ 《조선말띄여쓰기》총칙
  44. ^ 《조선말띄여쓰기》제20항
  45. ^ 《조선말띄여쓰기》제32항
  46. ^ 朝鮮半島では、二文字姓は極めて稀である。
  47. ^ a b 「한글 맞춤법」제48항
  48. ^ a b c 《띄여쓰기규정》제3항
  49. ^ 《〈띄여쓰기규정〉해설》제3항1)
  50. ^ 《〈띄여쓰기규정〉해설》제3항3)②
  51. ^ 《조선말띄여쓰기》제2항
  52. ^ 《조선말띄여쓰기》제3항
  53. ^ なお、官職名の場合には、「남궁억 주임」のように分かち書きをする(《조선말띄여쓰기》제4항)。
  54. ^ 마디를 이루면서 잇달리는
  55. ^ 《조선말띄여쓰기》제7항
  56. ^ 《띄여쓰기규정》제6항2)
  57. ^ 《조선말띄여쓰기》제18항
  58. ^ 토없이 결합된 단위가 너무 길어 읽고 리해하기 힘들 때
  59. ^ 《조선말띄여쓰기》제17항
  60. ^ 《조선말띄여쓰기》제17항붙임
  61. ^ 同務」は当て字
  62. ^ 英朝辞典では「햄버거」とも(電子辞書『노을사전』該当項目参照)。
  63. ^ 「既に定着した外来語は、慣用を尊重するが、その範囲及び用例は、別に定める。」

参照文献 編集

書籍 編集

  • 조선문화어문법규범편찬위원회 著、한선희 編(朝鮮語)『조선문화어문법규범 [朝鮮文化語文法規範]』(2版)사회과학출판사〈조선사회과학학술집〉、2011年7月15日。ISBN 9789946278087 
  • 김연수; 김광수; 김철준 著、중국조선어사정위원회 編(朝鮮語)『조선말규범집 [朝鮮語規範集]』延边教育出版社、2016年12月。ISBN 9787552454932 
  • 리승길; 김성근; 홍석희; 최광훈(朝鮮語)『문화어발음사전 [文化語発音辞典]』사회과학출판사、2014年。ISBN 9789946302188 

論文 編集

ウェブサイト 編集

関連項目 編集