根府川駅

神奈川県小田原市根府川にある東日本旅客鉄道の駅

根府川駅(ねぶかわえき)は、神奈川県小田原市根府川にある、東日本旅客鉄道(JR東日本)東海道本線である。駅番号JT 18[2]

根府川駅
駅舎(2009年11月)
ねぶかわ
Nebukawa
JT 17 早川 (4.4 km)
(5.4 km) 真鶴 JT 19
地図
所在地 神奈川県小田原市根府川109
北緯35度12分9.8秒 東経139度8分18.5秒 / 北緯35.202722度 東経139.138472度 / 35.202722; 139.138472座標: 北緯35度12分9.8秒 東経139度8分18.5秒 / 北緯35.202722度 東経139.138472度 / 35.202722; 139.138472
駅番号 JT18
所属事業者 東日本旅客鉄道(JR東日本)
所属路線 東海道本線
キロ程 90.4 km(東京起点)
電報略号 ネフ
駅構造 地上駅
ホーム 2面3線
開業年月日 1922年大正11年)12月21日[1]
備考 無人駅乗車駅証明書発行機 有)
テンプレートを表示

関東の駅百選認定駅。

歴史 編集

1896年明治29年)から1922年(大正11年)までは、人車鉄道軽便鉄道の豆相人車鉄道(のちの熱海鉄道)も存在していた。同線の「根府川駅」は、当駅よりも高台の位置に設けられていた。

1923年(大正12年)9月1日関東大震災により地すべり土石流ともいわれる)が発生し、当駅に進入中の真鶴行き下り列車(8両編成、乗客約150名)が客車2両を残して駅舎、ホームもろとも海中に没する。列車に乗車していた約110名とホームに居た二十数名の計約130名が死亡した。駅周辺の住民も多数死傷した(根府川駅列車転落事故も参照のこと)。駅構内に残ったのは車止め一つだけだった[3][4]

駅は翌年再建されたが、沖合の海底には当時のプラットホームが横たわっている。ホーム跡は漁礁のようになり、スキューバダイビングの潜水ポイントにもなっている。なお、ホーム跡にある駅名標は後に付けられたものである。

ホームとともに沈んでいた機関車と客車は1934年昭和9年)9月23日に地元真鶴町の業者によって海中から引き揚げられた[5]。当時の新聞記事では一部は鉄道省に寄付、一部を地元で鉄屑として処分するつもりとある。直後に鉄道博物館(旧)で牡蠣の殻が大量に付着したバキュームホースと機関車のナンバープレート「977」(960形蒸気機関車)が展示された[6]。現在バキュームホースは所在不明で唯一ナンバープレートのみが残されており、交通博物館から鉄道博物館に引き継がれ展示されている。

この事故で娘を亡くした岡野喜太郎スルガ銀行創業者)によって1932年昭和7年)に真鶴駅寄りの海に面した場所に慰霊碑が設置され、1973年(昭和48年)には、改札横に根府川駅職員一同によって『関東大震災殉難碑』が設置された。

年表 編集

駅構造 編集

2面3線のホームを有する地上駅[2]。1番線は貨物列車専用のホームだったが1970年頃に撤去されたため[7]、のりばは2番線から4番線となる[2]。3番線は上下線共用の待避線である。

高度差が大きいため(ホームの海抜は45メートル)、ホームはがけの下、駅舎はがけの上にある。ホームから上った跨線橋と同じ高さに木造駅舎がある。エスカレーターエレベーターは設置されていない。駅舎内には乗車駅証明書発行機、簡易Suica改札機、自動券売機(早朝・深夜は稼働しない)、運行情報を伝えるモニターが設置されている。

JR東日本管内の東海道本線では唯一の無人駅となっている[注 1]。なお、当駅以西の東海道本線では愛知県西小坂井駅まで200km以上にわたって無人駅が存在しないことになる。

のりば 編集

番線 路線 方向 行先 備考
2   東海道線 上り 小田原横浜東京方面  
  上野東京ライン 東京・宇都宮高崎方面
3   東海道線   上下待避線
4 下り 熱海伊東沼津方面  

(出典:JR東日本:駅構内図

利用状況 編集

2008年度の1日平均乗車人員は639人である[8]。東海道本線のJR東日本管轄区間、ならびに15両編成の列車が停車する駅では最も少ない。無人駅であるため、2009年度以降の乗車人員の推移は非公表である。

年度 1日平均
乗車人員
1995年 [9]391
1998年 [10]498
1999年 [11]466
2000年 [11]460
2001年 [12]595
2002年 [12]640
2003年 [13]627
2004年 [13]620
2005年 [14]610
2006年 [14]607
2007年 [8]633
2008年 [8]639
2009年 非公表

駅周辺 編集

 
白糸川橋梁

根府川付近では箱根火山の溶岩である根府川石が産出されていた。現在では根府川ではなく北側にある米神の谷で採取されている。また、一帯はかつて日本でも有数のみかん栽培地であったが、その後の需要低迷や後継者不足により生産量は減りつつある。

小田原湯河原広域農道が農産物の生産・輸送のみならず、防災・周辺の渋滞緩和・観光農業への可能性と、地方創生としても潜在力の大きな道として建設が進められているが、1996年着工で工事開始から20年以上経過している。

公共施設
  • 小田原市役所 片浦支所
  • 小田原市役所 江之浦保育園
  • 神奈川県農業技術センター足柄地区事務所根府川分室(元・園芸試験場根府川分場)
学校
郵便局・金融機関
公園
  • 根府川みどりの広場
神社仏閣
道路

バス路線 編集

駅前広場に箱根登山バス「根府川駅」バス停留所が設置されている[2][16][17]。平日のみ石名坂と小田原駅を結ぶ路線が発着する。

隣の駅 編集

東日本旅客鉄道(JR東日本)
  東海道線
普通
早川駅 (JT 17) - 根府川駅 (JT 18) - 真鶴駅 (JT 19)

2021年3月12日まで乗り入れていた快速「アクティー」は、当初通過していたが、 1998年3月14日改正で一部列車が停車、その後の 2004年10月16日改正で全列車が停車するようになった。

湘南新宿ラインの特別快速が小田原 - 熱海駅間で延長運転されることがあり、その列車は早川駅と当駅を通過する。

脚注 編集

注釈 編集

  1. ^ JR東海管内・JR西日本管内を含めた場合、2017年9月30日まで東海道本線(支線を除く)唯一の無人駅であった。 翌10月1日にJR東海管内の豊橋駅 - 岡崎駅間の8駅(豊橋駅・蒲郡駅・岡崎駅を除く)がお客様サポートサービス(旧集中旅客サービスシステム)の導入に伴って無人駅となったため、同日以降は東海道本線(支線を除く)唯一の無人駅ではなくなった。

出典 編集

  1. ^ a b c d e 石野哲(編)『停車場変遷大事典 国鉄・JR編 Ⅱ』JTB、1998年、16頁。ISBN 978-4-533-02980-6 
  2. ^ a b c d 駅の情報(根府川駅):JR東日本”. web.archive.org (2020年5月8日). 2020年5月8日閲覧。
  3. ^ a b 熱海線:根府川駅フォトライブラリー|東日本大震災の記録(日本鉄道旅行地図帳)(2012年1月18日閲覧)
  4. ^ a b 関東大地震震害調査報告掲載写真(土木学会附属土木図書館)第二巻鉄道・軌道之部112-114、171-175が根府川駅の写真。(2012年1月18日閲覧)
  5. ^ 東京朝日新聞1934年9月24日朝刊11面
  6. ^ 佐々木冨泰・網谷りょういち『事故の鉄道史―疑問への挑戦』(日本経済評論社、1993年)P108より。呉服橋の高架下にあった頃という事なので、著者が展示を見たのは1936年4月以前。
  7. ^ 住友堅一 (2010年8月15日). “かながわ駅めぐり[6]JR東海道線根府川駅(小田原市)歴史とミカンの香り”. 読売新聞 (株式会社読売新聞東京本社): p. 25(地域面 横浜版). https://web.archive.org/web/20121022194855/http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/kanagawa/feature/yokohama1280766292480_02/news/20100814-OYT8T00834.htm 2010年8月15日閲覧。 
  8. ^ a b c 神奈川県県勢要覧(平成21年度)238ページ
  9. ^ 線区別駅別乗車人員(1日平均)の推移
  10. ^ 神奈川県県勢要覧(平成12年度)220ページ
  11. ^ a b 神奈川県県勢要覧(平成13年度)222ページ
  12. ^ a b 神奈川県県勢要覧(平成15年度)220ページ
  13. ^ a b 神奈川県県勢要覧(平成17年度)222ページ
  14. ^ a b 神奈川県県勢要覧(平成19年度)224ページ
  15. ^ 江之浦測候所 | 小田原文化財団江之浦測候所
  16. ^ 根府川駅の時刻表 路線一覧 - NAVITIME”. www.navitime.co.jp. 2020年5月8日閲覧。
  17. ^ 時刻表・運賃案内”. web.archive.org (2007年10月31日). 2020年5月8日閲覧。

関連項目 編集

外部リンク 編集