機内食

搭乗客に機内で提供される食事

機内食(きないしょく)とは、航空機内で航空会社が提供する食事のことである。

機内食。朝食の例(エア・カナダ、エコノミークラス、2017年)
機内食。昼食の例(タイ国際航空TG924便、バンコクミュンヘン、エコノミークラス、2009年)
機内食。夕食の例(エミレーツ航空ワルシャワドバイ、エコノミークラス、2019年)
軽食(スナック)の例(エア・カナダオタワセント・ジョンズ、2015年6月)チキンブリトーナッツ

概要 編集

狭義には航空会社のサービスとして無料で(航空運賃の一部として)機内で乗客に提供される食事を指すが、パイロット客室乗務員が機内で仕事中(デッドヘッドを含む)にとる食事も機内食である。一方、「空弁」など、当該機体を運航する会社とは無関係に乗客が持ち込んだ食事は機内食とは呼ばれない。航空自衛隊海上自衛隊対潜哨戒機)においても、長期間の飛行の際は機内食が準備され、冷凍化されたものを電子レンジで温める方式がとられている。

通常は空港近辺の工場で製造され機内に積み込まれ、離陸後に機内にあるギャレー厨房)で加熱後、各席に配膳される。国際線では一定時間以上の飛行では要望に応じて機内食を提供しなければいけないことが国際航空運送協会(IATA)の取り決めで決まっている。全体的には飛行時間が長くなるほど、また座席が上級になるほど、食事が充実する傾向にある。

格安航空会社では、簡素化されていたり、有料化されていたり、短い時間のフライトでは提供がない場合もある。

歴史 編集

世界初の機内食

1919年10月にハンドリー・ページ・トランスポート(現・ブリティッシュ・エアウェイズ)がロンドン発パリ行きの便で機内食を提供したのが世界初である[1][2]。世界初の機内食はサンドイッチ果物のみであった[1]


種類・分類 編集

朝食、昼食、夕食、軽食(スナック)、間食などに分類されている。

座席のクラス、たとえばエコノミークラス、ビジネスクラス、ファーストクラスなどによっても分類されている。

次節の#機内食の内容で詳しく説明する。

機内食の内容と特徴 編集

機内食の内容 編集

エコノミークラスの一般的な構成 編集

1人前をトレーに載せて配膳する。

  • 主菜(メインディッシュ:加熱して提供される。ご飯を含む場合もある)
    • 通常は2種類のメニューを搭載する。
  • 副菜(サラダなど、野菜中心のことが多い。これ以外にも、たとえば日本線の場合は蕎麦寿司などが、韓国発着便はキムチがそれぞれ提供されることもある)
  • パン
  • デザートまたは果物
  • 飲み物(一部中東の航空会社を除きも選択可。欧米便では炭酸水がそのまま出されることもある)

酒は上級席種では無料であるが、エコノミークラスでは酒の種類によっては有料となることもある。エールフランスはエコノミークラスでもシャンパンが無料で提供されている。

主菜は、肉と魚、鶏と牛など2種類の料理の中から選択できるが、先着順のため一方しか残っていない事もある。この為「余っている方のメニュー」を注文すると客室乗務員に喜ばれる事がある[3]

近年では顧客獲得のため、機内食のメニューを選択できることも多い。たとえば、日本航空をはじめとする日本の航空会社では、和食をメニューの一部に入れるほか、大韓航空ではビビンバタイ国際航空ではタイカレーブリティッシュ・エアウェイズではイングリッシュ・ブレックファストなど、故郷料理も提供し、選択できるようになっている。またエールフランスの長距離路線では、シャンパンパンの無制限の提供が行われる。

ファーストクラス、ビジネスクラスの一般的な構成 編集

コースメニューとなっており、いずれも3〜4種類から選択できる。エコノミークラスと異なり、事前にメニュー(主菜)の予約を受け付ける航空会社も多い。また、その国の郷土料理を提供する航空会社もある(特別食。要事前予約)。配膳は料理ごとに行われ、各席で食器に盛りつける。近距離路線ではボックスミール(弁当)になることもある。長距離路線ではサンドイッチピザアイスクリームラーメンなどの間食が用意されていることが多い。アラカルトで自分の都合のいいタイミングで頼むこともできる。


朝食 編集

ランチやディナーと異なり、あっさりした軽めのものが多い。国際線では主に到着前の2回目の食事で提供される。また、「朝」にあたらない時間帯の軽食を「リフレッシュメント」と呼ぶこともある。

特別食 編集

ほとんどの航空会社では、医学的・宗教的理由(いわゆる食のタブー)によって通常の機内食を食べられない乗客のために、特別食(スペシャルミール:英語: Special meal)を用意している。

特別食の具体例としては以下のようなものがある。

特別食はどの機体にも常備しているわけではなく、大抵は事前に(多くは出発24時間前までに、祈祷など手数のかかるコーシャ・ミールは48〜72時間前に)予約を要する。ただし、航空会社や目的地によっては乗客の需要が異なるため、2種類ある通常食の一方がベジタリアン・ミールだったり、ムスリム・ミールのみ(例:エミレーツ航空[7])となることもある。

特別食は、信条や信仰宗教とは無関係に申し込みできる。たとえば、豚肉アレルギーを持つ人間がイスラム食を申し込むことは可能である[8]

提供される個々の特別食の詳細(たとえばベジタリアン・ミールといっても宗教ごとに材料の違いから複数ある)については、各航空会社の公式ウェブサイトなどの案内を参照のこと。

軽食 編集


乗務員向け 編集

万が一食中毒が起こった時に乗務員が全員発症して機内に混乱を招くという事態が起きることのないよう、客室乗務員の一部は乗客と異なる食事をとる。また、特に操縦クルーについては、同様の理由で操縦不能という最悪の事態(コメディ映画フライングハイ』ではこれが守られなかった結果、何が起きるかが描かれる)を防ぐため、機長(もしくはPIC)と副操縦士(もしくはSIC)は、機内食はもとより、地上での食事でも、それぞれ食材・調味料などがまったく異なるものを食べる[9]。操縦クルーの場合、選択肢は機長の意思が優先される場合が多いため、副操縦士は好きなメニューを選べないことがある。

多くの航空会社では、クルー向け機内食はビジネスクラスと同程度の食材・献立をエコノミークラスの食器などに簡易的に詰めたものである。また、ルフトハンザドイツ航空のように、客室乗務員用の食事が用意されていない航空会社もある。その場合、客室乗務員の食事は、ビジネスクラスやファーストクラスの乗客向けに調達された機内食から、余ったものが食事として割り当てられることもある。また、大規模な空港の多くでは、事前に乗務員用の機内食を購入することが可能となっている。

チェジュ航空など一部の航空会社では、「パイロット機内食」として、乗務員向けのメニューを乗客に提供をしている例もある。

貨物機の場合 編集

貨物機にも小規模ながら機内食の設備があり、遠距離便を中心にエコノミークラス相当の食事が用意されるが、客室乗務員がいないため手の空いている乗務員(主に航空機関士か副操縦士)が用意する。貨物の関係で乗務員以外の者が貨物機に添乗する場合はその人間の分も手配されるが、乗務員の飲酒を防ぐため飲み物に酒類は含まれない。

政府専用機の場合 編集

政府専用機の機内食は、本国もしくは訪問先であらかじめ発注し、積み込まれるのが基本である。日本国政府専用機の場合はJALの関連会社であったティエフケーが機内食を担当し、同社では他国の専用機の機内食も受注・納品する。

例外として、アメリカ合衆国大統領専用機のエアフォースワン(VC-25)は、機内にキッチンが2か所備わっており、同機が拠点とするメリーランド州アンドルーズ空軍基地で全日程の食材を一括で仕入れ(毒物混入防止のため、現地調達は禁止。また、食材は近隣の食品店で隊員が身分を隠して購入)、基地内の厨房で下ごしらえしたものを真空パックで保管して積み込み、機内で仕上げをして提供される。このため、米空軍の給仕係も「シェフ」として搭乗する。

提供する側から見た機内食の特徴・特性 編集

調理 編集

 
ボーイング747-400型のギャレー

機内食には、膨大な量の食材が必要となるため、地上の工場で調理した生鮮食品は、急速冷凍庫で凍結保存される[10]

安全規制により、民間航空機内では直火を用いることができないため、客室乗務員が地上で調理された機内食をギャレーで温めて提供する[11]

主菜は半加工品。冷蔵状態で搭載され、配膳の直前に加熱される。たとえば牛ステーキ肉の場合、工場出荷段階では半生状態にして、機内で再加熱する。加熱方法はオーブンで数個ずつ加熱する方法(主にボーイング747-400より前に路線就航した旧型機)と、各トレイに加熱板を備えて主菜だけを一斉に加熱する方法(主にボーイング747-400以降の機種)とがある。ただし前者の場合、使用するオーブンは、マイクロ波で加熱する電子レンジでは、航空機の運行に支障をきたす(漏洩電波で航法無線が使えなくなってしまう)ため、水蒸気を使うスチームオーブンレンジのみとなる。

高度1万メートルにある気圧の低い機内では、与圧による湿度低下により味覚が鈍くなる[11]。そのため、通常の食事よりも濃い味付けが必要になる。エミレーツ・フライト・ケータリング(EFC)の機内食の管理責任者であるヨースト・ハイマイヤーは、与圧の影響について、エアバスA380やボーイング777など新型機では、新技術の導入などによって機内は標高2,500メートルにあるスイスアルプスのヴェルビエとほぼ同じ状態であると指摘し、地上ほど繊細な繊細な味を上空で味わうことはできないかもしれないが、大胆な味付けにより軽減できるとしている[11]

配膳 編集

客室乗務員がカートに載せて通路から各席の可動式テーブルに配膳する。機体の前後や、ワイドボディ機では主翼付近(ギャレーのある位置)から順番に回る。なお、種類の選択が可能な場合、マイレージ上級会員から先にオーダーを取り選択肢を残すようにしていることが多い。

食器 編集

エコノミークラスではプラスチック製、またはアルミ製の容器が多い。ビジネスクラス以上は陶磁器製の食器が使われる。

ナイフ、フォークなどは、コスト削減を主眼に、使い捨てが可能なプラスチック製を使用している。基本的にビジネスクラス以上では、金属製のカトラリーが用いられ、航空会社によってはエコノミーでも、環境保護の観点から金属製を用いる航空会社もある。近年は航空燃料節約の観点から、軽量化食器の開発が盛んである。

機内食工場とフードローダー 編集

 
昇降可能なフードローダーの荷台(テイエフケー:成田国際空港)
ベース車:日野・スーパードルフィン

機内食工場は、多くが2階建てになっていて、1階は空のカートを回収して食器を洗浄、2階は調理・配膳とトラックへの積み込み口になっている。空港近隣の機内食工場から、航空機へ機内食を盛りつけしたカートを輸送するトラックを「フードローダー(Food Loader)」と呼び、工場での積載時と航空機への積み降ろしのときに、荷台が機体の高さまで持ち上がる。なお航空機へ機内食を積み込むときは、ローダーの前から行う。

エミレーツ航空の子会社エミレーツ・フライト・ケータリング(EFC)のドバイの工場では毎日300万点の使用済み食器や器具類の洗浄が行われている[10]


その他の提供 編集

機内食は、飛行機に搭乗したときにしか食べられないが、航空会社の関連会社やケータリング会社が経営している空港内部のレストランで、“機内食”をレストランの品目に掲げているケースがある[注釈 1]が、味付けは飛行機で提供される食事と異なり、地上で食べる味付けとなっている。そのメニュー・食材が、どこの航空会社に提供されているものと同一であるかなど、詳らかにされないのが一般的であるが、特定の航空会社とタイアップしたフェアなどの折には、まれに機内で出されるものと、ほぼ同一の仕様のものが提供されることがある。

2020年の新型コロナウィルス感染拡大により、国際線が大幅運休になり大量の機内食が余っていることから、自社のECサイトで販売したり[12]、空港で駐機中の飛行機を使用した機内食レストランを営業するなど、機内以外での提供が増えている[13]

アメリカの航空会社の機内食 編集

国内線など 編集

価格競争が激しいアメリカ合衆国の国内線では、エコノミークラスからコストカットの影響で、無料の機内食が消えて久しかった。こうした動きに対してデルタ航空は、2016年、競合各社とのサービスによる差別化を図るため、ニューヨーク(ケネディ国際空港)とロサンゼルス、サンフランシスコを結ぶ路線で、エコノミークラスの乗客に対して機内食の無料提供を試験的に開始。2017年3月1日からは、北米大陸横断路線の12路線に拡大した[14]。この動きに対してアメリカン航空も、北アメリカ大陸横断路線などで、機内食の無料提供を行う動きを見せている[15]

国際線 編集

EUの航空会社の機内食 編集

日本の航空会社の機内食 編集

国内線 編集

歴史 編集

日本国内では、第二次世界大戦前に国内線に就航していた大日本航空が、国内線の乗客に軽食を提供していたのが始まりとされる。

第二次世界大戦後は、日本航空(JAL)が、アメリカノースウエスト航空から乗員とともにリースしたマーチン2-0-2型機「もく星号」で、1951年昭和26年)10月25日に羽田空港 - 伊丹空港 - 板付空港間の定期旅客運航を開始[注釈 2]。この第一便の往路には東京ステーションホテルが、そして復路にはロイヤル株式会社(現在のロイヤルホールディングス株式会社)が、卵とハムのサンドイッチ魔法瓶に入れた紅茶を機内で提供したのが、戦後の機内食の始まりである。

その後、同社に追従して他社も朝の便や夕方から夜間の長距離路線では箱詰めにされたパン類やスープなどの軽食が提供され、その他の時間は菓子(茶菓)が提供されるようになる。国際線とは異なり、飛行時間の短さや提供人数の多さによる積載量とコストの観点から、少量でギャレーでの加熱を要さない冷製の食材(おにぎりサンドイッチ)が用いられた。また、日本航空、全日本空輸(ANA)、日本エアシステム(JAS)の大手3社がスーパーシートを導入したあとは、3社ともに昼食および夕食時には加熱された機内食が提供されるようになった。

1998年(平成10年)の新規航空会社の参入[注釈 3]に伴い、事前購入型運賃の充実による航空運賃を引き下げる価格競争に入ったことから、大手3社では1999年(平成11年)3月をもって普通席での軽食サービスは全廃され、すべての時間帯で菓子のみの提供となる。そして2000年(平成12年)ごろからは菓子の提供も取りやめ、飲料のみの提供となった。

普通席での提供廃止後も、大手3社のスーパーシートでは早朝・夕方出発便で提供されてきた。日本航空では、日本エアシステムの事業が統合された2004年(平成16年)にスーパーシートを廃止し、クラスJへの転換を図って茶菓のみの提供となったが、2007年(平成19年)12月に国内線ファーストクラスの提供を開始し、本格的な機内食の提供が再開された。その後全日本空輸も「スーパーシートプレミアム」を提供するなど、上位クラスのサービス向上が図られている。

航空業界の規制緩和政策により1990年代後半より順次設立された新規航空会社では会社によりサービスにばらつきがある。スカイマークがかつて設定していた「シグナスクラス」やアイベックスエアラインズの早朝便ではかつて軽食の無償提供を行っていたが、現在はとりやめている。現在無償で食事の提供を行っているのはフジドリームエアラインズAIRDOの一部便のみで、パンや茶菓に限られている。2012年(平成24年)より順次開設した格安航空会社(LCC)は機内食の提供を行っているが、飲み物を含めすべて機内販売という形で有料提供されている。コミューター路線は距離や機材の規模から行われないことが多いが、天草エアラインのみ通年で飲物や茶菓の提供が行われている。

大手2社 編集

日本航空グループ
  • 国内線ファーストクラス
  • クラスJ
    • 以前は運航時間が比較的長い路線では茶菓と飲み物、それ以外の路線では飲み物のみが提供されていたが、2011年4月1日からは飲み物のみとなった。ただし那覇発着便ではビール・ノンアルコールビール・ブルーシールアイスクリームが有料で提供される。なお選べる飲み物の種類は普通席とは異なるほか、一部の短距離路線では温かい日本茶は提供されない。
  • 普通席(飛行時間が30分程度の便は除く)
    • コーラやオレンジジュースなどのソフトドリンク、コーヒーや紅茶、緑茶やコンソメスープなどの飲み物がすべての乗客に提供される。さらに路線によりキャンディが提供されるほか、クラスJ同様那覇発着便ではビール・ノンアルコールビール・ブルーシールアイスクリームが有料で提供されるが、一部の短距離路線では温かい緑茶は提供されない。
全日本空輸グループ
  • プレミアムクラス
    • 2012年6月以前は朝・昼・夕食時間帯は重箱弁当。これ以外の時間帯は軽食や生菓子、フルーツなどをボックスに詰めたボックスミールが提供されていた。2012年6月から朝・昼・夕食時間帯「Premium GOZEN」、それ以外の時間帯は「Premium SABO」として松花堂弁当風の食事を提供している。日本航空のファーストクラスと同様に、こちらも飲み物としてアルコールを選択することが可能である。
  • 普通席(飛行時間が30分程度の便は除く)
    • 2010年4月から2012年5月までは水とお茶以外の飲料はすべて有料での提供となっていた。水とお茶も基本的に注文した乗客のみにしか提供されなかった。2012年6月からは、格安航空会社との差別化の観点から、無料サービスを再開している。2013年4月からは、ビーフコンソメスープの無料サービスも再開した。日本航空同様キャンディが用意されるが、申告制となっている。
    • すべての路線で菓子ならびにアルコール飲料が有料で提供されているほか、札幌(新千歳)-大阪(伊丹)大阪(関西)福岡線、札幌(新千歳)・仙台東京(羽田)名古屋(中部)・大阪(伊丹)・大阪(関西))-那覇線、東京(羽田)・名古屋(中部)・大阪(関西)-宮古線、東京(羽田)・名古屋(中部)・大阪(関西)・福岡-石垣線においてはハーゲンダッツのアイスクリームならびに路線限定の軽食も有料で提供される。なお2017年10月28日までは事前予約すればプレミアムクラスと同じ食事が有料で提供された(ただし、プレミアムクラスが設定されている一部便に限られていた)ほか、有料でオリジナルスープの提供もあった。

新規航空会社 編集

スカイマーク
  • 2016年(平成28年)10月1日より、ネスレ日本とのパートナー契約による「また乗りたくなる空の旅プロジェクト」として、全路線でキットカット・ミニが、一部の路線でネスカフェ・ゴールドブレンドが無料で提供される。その他ソフトドリンク、アルコール、おつまみについては有償での提供となる[16][17][18]。最前列座席にサービスを付加した「足のばシート」では、有償提供品の一部から一品を無料で選択することができる[19]
  • かつて設定されていたシグナスクラスでは当初は軽食や飲み物のサービスを無償で提供していたが、シグナスクラス料金値下げに伴い、2006年2月限りで取りやめた。その後は日本の国内線で唯一、機内食や茶菓、飲み物をいっさい提供しないスーパーシートとして存続したが、2008年8月末をもってシグナスクラスそのものを廃止している。
AIR DO
  • 路線開設当初は経費削減のため希望者に飲料水を提供するのみであったが、2000年ごろよりビール類の有償提供を開始したのを皮切りに、ANAとのコードシェアを開始したあとはコーヒー緑茶、オリジナルオニオンスープの無償提供やアルコール類の種類拡充などを図っている。さらに2015年11月からは有償でスープカレーの提供を開始。2016年11月より味噌バター雑炊に置き換えたほか、平日早朝の羽田-新千歳線限定でパンの無償提供を行うようになった[20]。これらの商品は北海道特産のものを使用している。
フジドリームエアラインズ
  • 新規航空会社の中では開設当初から機内食の充実を図っており、一部の早朝便はクロワッサンの提供を行っているほか、全路線でチョコレートまたはクッキー、飴玉を無償で提供している。飲み物に関してはコーヒー、ジュース、お茶を提供している。ただし、アルコール類は有償無償に関わらずいっさい提供していない。特徴として提供される食事や飲物はスポンサー制となっており、クロワッサンはコモ製、チョコレートとクッキーはシャトレーゼ、飴玉は馬場製菓、緑茶はハラダ製茶が提供している[21]

茶菓一例

ソラシドエア

食事の提供は行っていないが、飲み物に関してはお茶、コーヒー、スープなどを無償で提供しており、スープは九州御当地のアゴユズスープである。またアルコールの有料販売も行っており、こちらも九州・沖縄御当地となっている。

スターフライヤー

飲み物はお茶、コーヒー等を無償で提供しており、コーヒーには森永製菓製のチョコレートがついてくる。また、路線限定でミネストローネとオニオンスープも提供している。食事については路線限定で雑炊リゾットなど(季節によりメニューは変わる)を有償で提供している。アルコールは就航当初、夜間便でビール(キリン一番搾り)を無償提供していたが、飲酒運転防止を理由にいったん取りやめとなり、現在は有償で提供している[22]

アイベックスエアラインズ
  • 以前は早朝便に限り食事、夜間便に限りアルコールの提供を行っていたが、現在はコーヒー、ジュース、お茶のみとなっている。

格安航空会社 編集

Peach Aviationジェットスター・ジャパンバニラ・エア春秋航空日本エアアジア・ジャパン
  • 他国の格安航空会社同様、弁当や飲料などはすべて有償での提供となる。食べ物と飲料を同時に注文することで若干割安になるほか、食べ物は夜間〜深夜の便では割引で販売されることもある。

コミューター路線 編集

国際線 編集

ごく短距離の路線(福岡 - 釜山など)を除き、1〜2回の機内食が提供される。配膳時間は出発地や到着地の時間(時刻)に関係ない場合が多い。

近距離便では、おおむね離陸から1時間以内、遠距離便では1回目は離陸からおおむね2時間以内、2回目は到着予定時刻の約2時間前である場合が多い。この辺りの事情をまったく考慮せず、出発直前に食事を多くとると、機内食が十分食べられなくなったり、機内食を十分食べたことで到着地での食事のリズムを壊し体調に影響が出る場合もある。なお、ほとんどの国際線では、宗教思想信条医療上の理由から特別食の用意があり、事前に申し込めば特別食が提供される。

このほかに、機内食として出される食事以外にも、随時ビスケットなど軽食のサービスや、夜行便などでは、夜食としてパンやサンドイッチ、日本への発着便ではおにぎりカップ麺(JALの「うどんですかい」やANAの「とびっきりおうどん(提供終了)」ほか)などの軽食を用意している会社もある。

基本的には、相手国の業者と契約して復路便の分を手配してもらうが、日本発の韓国台湾中国グアム線のような近距離路線では、復路の分もまとめて載せることもある。

業者 編集

機内食を調理する業者は概ね航空会社が出資する関連会社が多いが、一方で外食企業が機内食事業を手がける場合もあり、近年は料理のグレードアップの際に、有名レストランやホテル、料亭などがメニューを監修することもある。

メニュー 編集

一般に航空会社の本国の料理が出されることが多い(前述の復路など現地で調達する場合、現地料理の色合いが出る場合がある)。また座席等級によって食事の内容が異なる。

台湾の航空会社の機内食 編集

韓国の航空会社の機内食 編集

中東の航空会社の機内食 編集

アラブ首長国連邦ドバイにあるエミレーツ航空の子会社エミレーツ・フライト・ケータリング(EFC)は世界最大規模の機内食工場である[1]。エミレーツ航空では世界142か所に向かう400以上の路線用の機内食が毎日最高18万食必要とされ、ドバイの工場ではその約65%が製造されている[1]

中華人民共和国の航空会社の機内食 編集

ロシアの航空会社の機内食 編集

主要企業・業界団体 編集

ギャラリー 編集

脚注 編集

注釈 編集

  1. ^ 関西国際空港内「レジェンド・オブ・コンコルド」(エイエイエスケータリングが運営)、成田市にある「DINING PORT 御料鶴」(JAL Agriportが運営)など。
  2. ^ 機体はこの半年後、1952年(昭和27年)4月9日にもく星号墜落事故で失われる。
  3. ^ 同年9月19日にスカイマークが羽田 - 福岡便、同年12月20日にAIRDOが羽田 - 札幌便を就航。

出典 編集

  1. ^ a b c d “世界最大規模の機内食工場、その驚愕のスケールとは(1)”. CNN.CO.JP. (2016年5月21日). https://www.cnn.co.jp/travel/35078054.html 2018年2月23日閲覧。 
  2. ^ 中村浩美『読んで愉しい旅客機の旅』光文社
  3. ^ 平尾 ナヲキ. マンガ うんちくエアライン. KADOKAWA/メディアファクトリー 
  4. ^ 特別食 - デルタ航空日本支社
  5. ^ ダイニング - 特別食 - シンガポール航空
  6. ^ 機内特別食のご要望 - エミレーツ航空
  7. ^ エミレーツ航空
  8. ^ ユナイテッド航空
  9. ^ 機内食による食中毒の事例
  10. ^ a b “世界最大規模の機内食工場、その驚愕のスケールとは(2)”. CNN.CO.JP. (2016年5月21日). https://www.cnn.co.jp/travel/35078054-2.html 2018年2月23日閲覧。 
  11. ^ a b c “世界最大規模の機内食工場、その驚愕のスケールとは(3)”. CNN.CO.JP. (2016年5月21日). https://www.cnn.co.jp/travel/35078054-3.html 2018年2月23日閲覧。 
  12. ^ ANAの機内食を自宅で、人気の裏にある「外様」の奮闘 日経ビジネス(2021年1月18日)2021年1月19日閲覧
  13. ^ コロナで需要減 シンガポール航空が旅客機で機内食レストラン NHK(2020年10月25日)2021年1月19日閲覧
  14. ^ 米デルタ航空、無料の機内食復活 CNN(2017年2月19日)2017年2月25日閲覧
  15. ^ 機内サービスの競争激化、アメリカンも機内食無料へ CNN(2017年3月16日)2017年3月19日閲覧
  16. ^ スカイマークとネスレ日本が10月から共同プロジェクトを開始” (PDF). スカイマーク、ネスレ日本 (2016年9月14日). 2017年12月15日閲覧。
  17. ^ また乗りたくなる空の旅プロジェクト”. スカイマーク. 2017年12月15日閲覧。
  18. ^ 機内販売メニュー・無料サービス”. スカイマーク. 2017年12月15日閲覧。
  19. ^ 足のばシート”. スカイマーク. 2017年12月15日閲覧。
  20. ^ 新機内サービス「モーニングサービス」の開始 ならびに「北海道味噌バター雑炊」の販売開始について (PDF) (2016年10月28日、AIR DO)
  21. ^ 機内サービス(フジドリームエアラインズ)
  22. ^ 飛行機内でのお飲み物/アメニティ|スターフライヤー2020年3月14日閲覧

関連項目 編集

外部リンク 編集

  • JAL国際線機内サービス - 機内食の検索が可能。
  • レジェンドオブコンコルド - 関西国際空港の展望ホールにあるレストランで、機内食をメニューに加えていることで有名だった。2019年12月25日閉店。
  • JAL Agriport - 日本航空グループの農業事業会社。同社が運営するレストランで、日本航空の機内食を提供している。