瀬戸中央自動車道

岡山県早島町から香川県坂出市に至る高規格幹線道路

瀬戸中央自動車道(せとちゅうおうじどうしゃどう、英語: SETO CHUO EXPWY[1])は、本州四国連絡道路 児島・坂出ルートで、岡山県都窪郡早島町山陽自動車道 倉敷早島支線早島インターチェンジから香川県坂出市高松自動車道 坂出支線坂出インターチェンジを結ぶ、延長37.3キロメートル (km) の高規格幹線道路一般国道30号自動車専用道路)である。略称瀬戸中央道(せとちゅうおうどう)。

本州四国連絡道路
瀬戸中央自動車道
国道30号標識
E30 瀬戸中央自動車道
総延長 37.3 km
開通年 1988年昭和63年)
起点 岡山県都窪郡早島町早島IC/TB
主な
経由都市
倉敷市
終点 香川県坂出市坂出TB/IC
接続する
主な道路
記法
E2 山陽自動車道 倉敷早島支線
E11 高松自動車道 坂出支線
テンプレート(ノート 使い方) PJ道路
番の州高架橋から南備讃瀬戸大橋方面を望む

高速道路ナンバリングによる路線番号は、「E30」が割り振られている[2]

概要 編集

本州四国を隔てる瀬戸内海上を、瀬戸大橋で結ばれる本州四国連絡道路の3路線のうちの一つで、神戸淡路鳴門自動車道西瀬戸自動車道(しまなみ海道)の間に位置する。岡山県倉敷市と香川県坂出市を結ぶ高速道路であり、路線は一般国道30号に指定された自動車専用道路で、同国道のバイパス道路の扱いである。

瀬戸大橋部分は、上部に4車線の瀬戸中央自動車道が走り、下部に本四備讃線愛称 : 瀬戸大橋線[注釈 1]が通る2層構造の鉄道道路併用橋で、本州四国連絡道路3ルートでは唯一である。

本州四国連絡橋公団が日本の持つ最先端技術を駆使して建設し、1978年(昭和53年)の着工から9年6カ月を経て、1988年(昭和63年)4月10日に開通した。本州四国連絡道路3路線としては、最初に全線開通したルートでもある。現在は、本州四国連絡高速道路株式会社が道路を管理する。

世界最長の道路鉄道併用橋として、ギネス世界記録にも認定されている瀬戸大橋区間は、12.3 kmあり、路線延長の約3分の1を占める。

路線データ 編集

  • 起点 : 岡山県都窪郡早島町早島
  • 終点 : 香川県坂出市川津町
  • 延長 : 37.3 km
  • 規格 : 第1種第2級
  • 設計速度 : 100 km/h
  • 車線 : 4車線
  • 道路幅員 : 25.0 m
  • 総事業費 : 1兆1338億円
  • 工期 : 1978年昭和53年)10月10日 - 1988年(昭和63年)4月10日

インターチェンジなど 編集

櫃石島インターチェンジ (IC) 、岩黒島ICおよび与島ICは、利用出来るのは島民および関係者、緊急車両路線バス、郵便物集配車両などに限って利用出来る「管理用出入口」であり、一般車両は利用出来ない。

IC
番号
施設名 接続路線名 起点
から
(km)
BS 備考 所在地
E2 山陽自動車道 倉敷早島支線倉敷JCTで本線に接続)
1 早島IC/TB 国道2号岡山バイパス 0.0 TBは倉敷JCT方面のみ 岡山県 都窪郡
早島町
- 有城南BS - 3.9 倉敷市
- 粒江PA - 6.8
2 水島IC 県道21号岡山児島線 8.2
- 稗田BS - 11.7
- 鴻ノ池SA - 15.0
15.6
上り線
下り線
3 児島IC 18.8
- 鷲羽山北BS - 20.4
- 櫃石島IC[注釈 2] 県道273号櫃石島線 22.6 一般車両進入禁止 香川県
坂出市
- 岩黒島IC[注釈 3] 24.4 一般車両進入禁止
- 与島IC[注釈 2] 県道274号与島線 26.4 一般車両進入禁止
- 与島PA - PA出口に検札所あり[注釈 4]
4 坂出北IC 県道192号瀬居坂出港線 34.7 早島IC/TB方面出入口のみ
フルIC化事業中[3][4]
- 坂出八幡BS - 35.6
- 坂出TB - 37.3 - キロポストは37.2KPまで
坂出JCT方面のみ
5 坂出IC 国道11号坂出丸亀バイパス [注釈 5]
E11 高松自動車道 坂出支線坂出JCTで本線に接続)

歴史 編集

路線状況 編集

瀬戸中央自動車道には、給油所が設置されているサービスエリアおよびパーキングエリアはない[注釈 7]。瀬戸大橋区間では、強風時や積雪時には全面通行止になる前段階として、二輪車が通行止となることがある。

開通当初の通行料金は児島IC - 坂出北ICの普通車が5,500円で、1 km当たりにすると約345.91円という料金であった。 本州四国道路のほかのルートと共に、数回にわたって通行料金の引き下げが行われた。

2014年(平成26年)4月から「新たな高速道路料金」が導入されたことにより、本州四国道路は全国路線網に編入され、児島IC - 坂出北IC間の普通車の平日通行料金はETC車1,700円、現金車3,600円となった[5]

車線・最高速度 編集

区間 車線
上下線=上り線+下り線
最低速度 最高速度
大型貨物
三輪牽引
左記を除く車両
早島IC/TB - 児島IC 4=2+2 50 km/h 80 km/h 100 km/h
児島IC - 坂出TB/IC 80 km/h

自動車専用道路のため、最低速度と大型貨物等と三輪・牽引の最高速度と、それ以外の車両の最高速度の各標識が3つ連なって設置されている。

主なトンネルと橋 編集

瀬戸大橋は、瀬戸内海の島々を足掛かりに南備讃瀬戸大橋や北備讃瀬戸大橋など、6本連続する道路鉄道併用橋の総称である。個々の橋をつなぎ合わせた全長は12.3 kmにもなり、ギネスブックには1本の世界最長の道路鉄道併用橋として認定されている[6][7][注釈 8]

区間 構造物名 長さ
上り線 下り線
水島IC - 鴻ノ池SA 正面山トンネル 538 m 538 m
鷲羽山北BS - 与島IC/PA 下津井瀬戸大橋 [注釈 9][8]1,447 m [注釈 9][8]1,447 m
櫃石島高架橋 1,326 m 1,326 m
櫃石島橋 [注釈 10][9]792 m [注釈 10][9]792 m
岩黒島高架橋 93 m 93 m
岩黒島橋 [注釈 11][10]792 m [注釈 11][10]792 m
与島橋 [注釈 12][11]854 m [注釈 12][11]854 m
与島IC/PA - 坂出北IC
北備讃瀬戸大橋 [注釈 13][12]1,611 m [注釈 13][12]1,611 m
南備讃瀬戸大橋 [注釈 14][13]1,723 m [注釈 14][13]1,723 m
番の州高架橋 2,939 m 2,939 m

トンネルの数 編集

区間 上り線 下り線
水島IC - 鴻ノ池SA 2 2
鴻ノ池SA - 児島IC 1 1
鷲羽山北BS - 与島IC/PA 1 1
合計 4 4

道路管理者 編集

瀬戸中央自動車道の全線を本州四国連絡高速道路株式会社が管理している。

交通量 編集

全線を通した交通量は、本州側の陸上部が最も多く、四国側に進むにつれて減少し、四国側の陸上部が最も少なくなる。昼間12時間における平均旅行速度は、全線を通して速く最高速度(本州側の陸上部100 km/h、海峡部と四国側の陸上部80 km/h)を超えている区間が多い。

24時間交通量(台) 道路交通センサス

区間 平成17(2005)年度 平成22(2010)年度 平成27(2015)年度 令和3(2021)年度
早島IC - 水島IC 15,080 17,940 20,228 19,339
水島IC - 児島IC 12,199 14,946 17,671 16,801
児島IC - 櫃石島IC(島民専用) 13,124 16,096 19,615 19,308
櫃石島IC(島民専用) - 与島IC(島民専用) 13,124 16,022 19,579
与島IC(島民専用) - 坂出北IC 13,302 16,027 19,582
坂出北IC - 坂出IC 09,526 11,448 13,577 12,880

(出典:「平成22年度道路交通センサス」・「平成27年度全国道路・街路交通情勢調査」・「令和3年度全国道路・街路交通情勢調査」(国土交通省ホームページ)より一部データを抜粋して作成)

地理 編集

通過する自治体 編集

接続する高速道路 編集

脚注 編集

注釈 編集

  1. ^ 下部には将来新幹線が走れるように複々線の幅員になっているが、現在は暫定的に在来線のみ設置されている。
  2. ^ a b 島民および緊急車両や路線バス、郵便物集配車両などが利用できるIC。
  3. ^ 島民および緊急車両や路線バス、郵便物集配車両などが利用できるIC。
  4. ^ 施設と駐車場は上下集約型になっており、Uターンが可能であるため設置されている。
  5. ^ IC施設外の国道11号の津の郷交差点付近に高速バス用の坂出インターバスターミナルが設置されている。
  6. ^ 当初はオープンカット工法の計画だったが、景観上の配慮のために変更。同構造の採用は世界初。
  7. ^ 鴻ノ池SAの下り線に給油所があったが、2008年平成20年)8月31日に閉鎖した。
  8. ^ 単独の道路鉄道併用橋の最長は、全長3,691 mある関西国際空港連絡橋(スカイゲートブリッジ)で、世界一長い鉄道道路併用橋として知られている[6]
  9. ^ a b 標識には1,400 mと記されている。[8]
  10. ^ a b 標識には790 mと記されている。[9]
  11. ^ a b 標識には790 mと記されている。[10]
  12. ^ a b 標識には850 mと記されている。[11]
  13. ^ a b 標識には1,538 mと記されている。[12]
  14. ^ a b 標識には1,648 mと記されている。[13]

出典 編集

  1. ^ Japan's Expressway Numbering System” (PDF). Ministry of Land, Infrastructure, Transport and Tourism. 2022年4月4日閲覧。
  2. ^ 高速道路ナンバリング一覧”. 国土交通省. 2018年4月26日閲覧。
  3. ^ スマートインターチェンジの新規事業化、準備段階調査の箇所を決定 〜高速道路の有効利用や地域経済の活性化に向けて〜” (PDF). 国土交通省 道路局 高速道路課 (2017年7月21日). 2018年4月8日閲覧。
  4. ^ 坂出北インターチェンジのフルインター化について新規事業として採択されました”. 坂出市. 2018年4月25日閲覧。
  5. ^ 「平成26年4月からの新たな本四高速料金」について” (PDF). 本州四国連絡高速道路株式会社 (2014年3月14日). 2018年4月27日閲覧。
  6. ^ a b 浅井 建爾 2001, pp. 224–225.
  7. ^ 佐藤 健太郎 2014, p. 146,「橋とトンネル」より
  8. ^ a b c 下津井瀬戸大橋”. 瀬戸大橋. 本州四国連絡高速道路株式会社. 2018年4月27日閲覧。
  9. ^ a b c 櫃石島橋”. 瀬戸大橋. 本州四国連絡高速道路株式会社. 2018年4月27日閲覧。
  10. ^ a b c 岩黒島橋”. 瀬戸大橋. 本州四国連絡高速道路株式会社. 2018年4月27日閲覧。
  11. ^ a b c 与島橋”. 瀬戸大橋. 本州四国連絡高速道路株式会社. 2018年4月27日閲覧。
  12. ^ a b c 北備讃瀬戸大橋”. 瀬戸大橋. 本州四国連絡高速道路株式会社. 2018年4月27日閲覧。
  13. ^ a b c 南備讃瀬戸大橋”. 瀬戸大橋. 本州四国連絡高速道路株式会社. 2018年4月27日閲覧。
  14. ^ 令和2年度全国道路・街路交通情勢調査の延期について” (PDF). 国土交通省 道路局 (2020年10月14日). 2021年4月30日閲覧。

参考文献 編集

  • 浅井 建爾『道と路がわかる事典』(初版)日本実業出版社、2001年11月。ISBN 4-534-03315-X 
  • 佐藤 健太郎『ふしぎな国道』講談社〈講談社現代新書〉、2014年10月17日。ISBN 978-4-06-288282-8 

関連項目 編集

外部リンク 編集