炭酸ストロンチウム(たんさんストロンチウム、Strontium carbonate SrCO3)はストロンチウム炭酸塩である。ブラウン管フェライト磁石の原料などとして利用される。

炭酸ストロンチウム
識別情報
CAS登録番号 1633-05-2
特性
化学式 SrCO3
モル質量 147.63 g mol−1
外観 白色粉末
密度 3.70 g/cm3
融点

1497 ℃(60 atm)

への溶解度 0.0011 g / 100ml(18℃)
構造
結晶構造 直方晶(斜方晶)系
熱化学
標準生成熱 ΔfHo −1220.1 kJ mol−1
標準モルエントロピー So 97.1 J mol−1K−1
標準定圧モル比熱, Cpo 81.42 J mol−1K−1
危険性
安全データシート(外部リンク) ICSC 1695
External MSDS data
NFPA 704
0
1
0
引火点 不燃性
関連する物質
その他の陽イオン 炭酸ベリリウム
炭酸マグネシウム
炭酸カルシウム
炭酸バリウム
関連物質  
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

天然にはストロンチアン石として産出し、この鉱物が発見されたイギリスの町、ストロンティーアン (Strontian) がストロンチウムの元素名の由来となった。

製法 編集

天然にセレスタイト鉱石として存在する硫酸ストロンチウムを原料として生産される[1]。選鉱したセレスタイトから製造した可溶性ストロンチウム塩の水溶液に、炭酸塩を加えるか、水酸化ストロンチウムの水溶液に二酸化炭素を吹き込むと炭酸ストロンチウムが沈殿する[2]

 

性質 編集

直方晶(斜方晶)系霰石型構造をとる無色結晶であり、格子定数はa=842pm、b=610pm、c=513pmである。屈折率は三軸不等で1.516(c軸方向)、1.644(a軸方向)、1.666(b軸方向)である[3]アルカリ土類金属の炭酸塩としては水に対する溶解度が最も小さく、その溶解度積は以下の通りである[4]

   

二酸化炭素を含む水には炭酸水素ストロンチウムを生成して、より多く溶解する。

 

希酸には容易く溶解し、二酸化炭素を発生させる。

 

高温では分解して酸化ストロンチウムとなるが、炭酸カルシウムより分解しにくく、二酸化炭素の解離圧が1気圧になるのは1250℃である[3]

 

脚注 編集

  1. ^ http://www.jogmec.go.jp/mric_web/jouhou/material/2005/Sr.pdf
  2. ^ https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1800/PU/JP-2008-019108/0C6C9D35759A7187358762AF120D03DC4007ADF5CEDFFF2632507C5FD1201388/11/ja
  3. ^ a b 『化学大辞典』 共立出版、1993年
  4. ^ H. Freiser, Q. Fernando共著、藤永太一郎、関戸栄一 共訳 『イオン平衡 -分析化学における-』 化学同人、1989年

外部リンク 編集