真打

落語家や講談師の身分のひとつ

真打(しんうち)

意味 編集

  1. 落語家講談師の身分のひとつ。身分の中では最も高く、最高の力量を持つ者だけがなれるとされる。また、興行の最後の出番(主任=トリ)で出演できる権利を与えられる。そこから、芸事以外でも、「他より遅れて/一番遅く・最後に登場する人・物」を「最高の力量を持った人・物(メッセージを伝える相手=客にとって最もメリットのある人・物)」とイメージさせるために使われる暗喩となった。この項で記す。
  2. 日本刀を打つ際、数本打った中で一番出来の良い物。対義語は影打(かげうち)又は影打ち。真打を依頼主に渡し、影打を手元に残すのが一般的。[1][2]

語源 編集

語源に関しては諸説あるが、寄席は当時、灯が全てロウソクだったため、トリで出演する芸人が最後にロウソクの芯を打った(=火を消した)事から転じてそう呼ばれるようになった、というのが最も有力。(例)「お待ちかね!ついに真打登場」。

落語 編集

概要 編集

落語においては、現在は江戸落語(東都)の落語協会落語芸術協会五代目円楽一門会落語立川流の4団体がそれぞれ真打制度を導入している。

  • 真打昇進の基準においては各団体や時期によって異なり、団体内での協議や定席新宿末廣亭鈴本演芸場浅草演芸ホール池袋演芸場席亭による推薦で決定されたり、真打昇進試験が導入されたこともある(落語協会については1980年から1987年まで運用。立川流は後述)。ただし、真打昇進の基準を巡って基準が不明瞭な点が多く、このことから団体内の対立や関係者の不満が発生し、特に落語協会では2度にわたる分裂騒動へ発展した[注釈 1]
  • 落語立川流では、創設者で家元の七代目立川談志の意向もあり、談志存命時から厳格な真打昇進試験が課されており、職業落語家に当たるかつての「Aコース」の真打昇進には落語100席や都々逸長唄かっぽれなどの歌舞音曲の習得が求められていた[4]。ただし、談志が闘病のため休養を余儀なくされた際には、それぞれの師匠による昇進判断が委ねられており、談志の死没以降は家元制度が廃止され、一般公開で「真打トライアル」を行うことが基本とはなっているが、必ずしも昇進試験は必須ではないとされている[注釈 2][6]
    • なお、かつて「Bコース」(家元である談志が認めた著名人)についても「真打」昇進を認められた者がおり、高田文夫(立川藤志楼)、ミッキー・カーチス(ミッキー亭カーチス)らが真打に昇進しており、昇進披露も行っている。
  • 円楽一門会では、「大日本落語すみれ会」時代の1981年ごろに、五代目三遊亭圓楽が「前座3年+二ツ目5年の8年で真打昇進」という基準を打ち出し、1991年~1992年にかけて若手真打が同時期に多数誕生したが、のちに方針が変更となっている[7]
  • なお、上方落語協会・落語芸術協会それぞれに所属する笑福亭鶴光は、落語芸術協会の香盤では「真打(上方)」として扱われている[8]。また、円楽一門会から落語芸術協会に「客員」として加入した六代目三遊亭円楽は、円楽一門会・落語芸術協会双方とも真打として扱われていた[9]
  • 一方で、落語立川流から落語芸術協会に入会した立川談幸については、立川流在籍時に真打に昇進したこともあってか、2015年1月の芸協加入から2年間は「準会員」として扱われ、その後も真打の扱いとなっているが、ホームページ上での香盤としては別枠として扱われていた(その後、2019年6月頃より芸協の香盤に組み込まれている)[8]。余談となるが、立川流在籍時に談幸に弟子入りした立川吉幸・幸之進は師匠と共に芸協入りし、立川流では二ツ目の身分であったが、改めて前座修業を課されている。その後二人とも改めて(芸協所属としての)二ツ目に昇進したのち、吉幸については2019年5月より(芸協所属としての)真打に昇進した[10]
  • なお、東都の落語4団体に所属しない、事実上フリーランスの落語家も「真打」を称することがある。
    • 四代目春雨や雷蔵門下の春雨や落雷。雷蔵は落語芸術協会に所属しているが、落雷はいずれの団体にも所属しておらず、春雨や一門としての「真打」を称している。
    • 八代目雷門助六門下の雷門喜助。師と同様に日本芸術協会(後の落語芸術協会)に所属していたが、数年後に離脱し岡山県に活動拠点を移した。その後、当地での活躍を聞いた師匠の助六が「真打」として認定する形となっている。喜助も芸協離脱後はいずれの団体にも所属していない。
    • 東北弁落語の東方落語[11]。落語芸術協会にも所属する六華亭遊花を含め数名が「真打」を称している(ただし、落語芸術協会においては遊花は「客員」扱いで「真打」としては明記されていない)。
    • 名古屋を中心に活動する雷門小福一門(登龍亭一門、旧名:なごや雷門一門)も階級制度が設けている。小福一門は当初小福のみであり、上方落語と同様に階級制度がなかった[注釈 3]。その後、元落語立川流の雷門獅篭(現:登龍亭獅篭)、雷門幸福(現:登龍亭幸福)と新たに弟子入りした雷門福三(現:登龍亭福三)の3人が加わり、師匠の小福の一存で小福を「真打」、獅篭・幸福・福三の3人を「二ツ目」として扱い、階級が定まったという。2012年、師匠の小福が死去した際に、その遺言で獅篭を「真打」と認めている[注釈 4]。しかし、獅篭は「仮に真打を名乗ったとしても一門外の落語家や客が認めてくれるかどうかわからない」という理由に加え、前出の雷門喜助(系譜上、小福にとっては弟弟子にあたる)の助言もあったことから、真打制度を一時凍結する意向を示している[注釈 5]
  • 上方落語では、現在は明確な制度としては存在しておらず、入門後に何年かの修行期間を務める「年季奉公」の体裁をとっている。なお、内規により「入門から15年目以上」が真打相当として扱われる。以前は大正期までは真打制度が明確に存在し、戦後に上方落語協会で部外秘扱いで復活したが、すぐに有名無実化した。その後、天満天神繁昌亭の開設を控えた2005年に、当時協会会長だった桂三枝(現:六代目桂文枝)が真打制度を復活させる計画を提案したが、慎重な対応を求める意見が多く実現しなかった[13]。このため、上方落語家(前述の笑福亭鶴光、一時落語協会客分として参加していた生前の露の五郎を除く)は東日本で江戸の落語家と競演する場合、ごく一部の例外を除いて基本的に大物や重鎮でも主任(トリ)を務めることができない。
その後、同協会会長が2018年に笑福亭仁智に代わり、2024年になり、上方落語の活性化を図る目的から「上方版の真打」制度を創設する事ととなった(名称は公募で決定される)。この制度では同協会所属の落語家246人の中から、入門から15年程度の若手中堅落語家を対象としていて、実績を評価したうえで初年度は4~5人程度を認定する。認定された落語家は定席興行の天満天神繁昌亭などで1週間主任(トリ)を勤める披露興行を実施できるとしており、同年8月の披露興行実施を目指すとされる。ただし、江戸落語と異なり「前座」「二ツ目」にあたる階級は設けないとしている[13]
その後の協会内での協議の結果「上方版の真打」制度については継続審議となり、代わって入門から15年目を迎えた同協会所属落語家について「上方落語・噺家成人式(仮称)」を実施する事となった。2024年度の対象者は桂團治郎、桂和歌ぽん、林家愛染、桂福点桂三語の5名で、同年9月の愛染を皮切りに前出の繁昌亭と神戸新開地・喜楽館で1週間主任(トリ)を務める[14]

抜擢真打 編集

近年の落語協会・落語芸術協会の両団体では、入門順により真打昇進が運用されているが、特に優れたものに関しては「抜擢真打」として入門順を配慮せず、真打昇進が図られる場合がある(下記いずれも、本人記事参照)。この場合、香盤も先に入門した落語家を追い抜くため「~人抜き」と強調される。

近年では単独での抜擢真打は2012年3月の一之輔、抜擢真打も2012年9月の志ん陽と文菊以降は途絶えていたが、2024年3月より林家つる子(12人抜き)、三遊亭わん丈(16人抜き)がそれぞれ抜擢で真打昇進となった。つる子は(女性の落語家が現在の共通の香盤になって以降では)初の女性の落語家の抜擢真打となる[15][16]
  • 落語芸術協会では、歴代の会長のうち、特に桂歌丸(第5代会長)は生前抜擢真打について否定的な考えであったとされている[6]。過去に春風亭昇太(1992年、7人抜き)の適用例があるが第3代会長の四代目桂米丸の時であり、この時は席亭推薦により抜擢真打となっている。これ以降、芸協の落語家としての抜擢真打の運用例はなかった[注釈 6]が、2021年2月中席より桂宮治が芸協としては29年ぶりに5人抜きでの抜擢真打となった[17][18]
  • 正確には抜擢真打としては扱われないものの、団体入会の経緯などの諸事情により、通常の香盤序列を追い抜いて真打昇進となる例も稀にある。一例として前述の落語芸術協会における立川吉幸(2019年昇進)のケースがある[注釈 7]

女性落語家の真打 編集

女性の落語家の真打は、2024年3月現在で落語協会が11人、落語芸術協会が3人所属しており、2023年5月に落語立川流でも初の女性落語家の真打が誕生した。円楽一門会では女性落語家の真打はまだ誕生していない。

  • 落語協会初の女性落語家真打は、1993年に昇進した三遊亭歌る多と古今亭菊乃改メ古今亭菊千代であり、当時は「女真打」として通常の真打と別の扱いであった。その後、2002年に女真打枠が撤廃され、通常の真打として男性と同列に扱われるようになった。歌る多・菊千代以降は、林家きく姫(2001年)、川柳つくし(2013年)、林家ぼたん(2016年)、柳亭こみち(2017年)、古今亭ちよりん改メ古今亭駒子(2018年)、三遊亭粋歌改メ弁財亭和泉(2021年)、三遊亭美るく改メ三遊亭律歌、春風亭ぴっかり☆改メ蝶花楼桃花(以上、2022年)、林家つる子(2024年、前述の通り女性初の抜擢真打)の順で昇進している。また、2024年9月下席より柳家花ごめの真打昇進が内定している。
    • なお、駒子は菊千代門下であり、初めて女性落語家が弟子を真打に育てた形となる。その後、歌る多も同様に門下の和泉と律歌を真打に昇進させている。
    • 2022年3月に昇進した桃花は、真打昇進披露4か月後の浅草演芸ホール七月下席(昼の部)で定席興行の主任を務めた。これは春風亭一之輔の5か月を上回る落語協会法人化以降の最速記録となっている[20]
  • 落語芸術協会初の女性落語家真打は、2000年に昇進した桂小文改メ桂右團治である。その後、橘ノ昇美依改メ橘ノ杏奈(2009年)、春風亭鹿の子(2010年)、橘ノ双葉改メ三遊亭藍馬(2019年)の順で昇進している。また、2024年5月上席より春雨や風子改メ雲龍亭雨花の真打昇進が内定している。
    • ただし、2023年3月の段階で杏奈は休業状態であり、長らく休業していた鹿の子は2023年2月までに廃業し同協会を退会した。同協会で現在、定期的に高座で活動している女性真打は右團治と藍馬のみである。
  • 落語立川流では創設以来、女性の真打は誕生していなかったが、2023年5月5日に立川談春門下の立川こはる改メ立川小春志が、立川流所属では初の女性落語家として真打に昇進した[21]

真打昇進披露興行 編集

江戸落語の4団体では、真打昇進を披露するための興行が定席の各寄席を中心に行われる。

  • 興行では、新たに真打に昇進する落語家が主任(トリ)を務める。同時期に複数人が真打に昇進する落語家がいる場合は、交代で主任を務める。仲入り後には口上が行われ、各団体の幹部や当該新真打の師匠などが出演する。
  • 実際に興行の準備や調整などは新真打に代わって「番頭」が担当する(複数人が昇進する場合は、各新真打にそれぞれ番頭が付けられる)。一門内の二ツ目の噺家が任されることが多く、手伝いで動員される他の後輩落語家などの指揮など、新真打を全面的にサポートすることとなる[22]
  • 落語協会、落語芸術協会の両団体は、鈴本演芸場(絶縁中の落語芸術協会を除く)→新宿末廣亭→浅草演芸ホール→池袋演芸場、の順に4定席(芸協は3定席)で披露興行が行われる。なお、狭義の定席ではないが両団体が定期的に興行を行う国立演芸場[注釈 8]も披露興行のスケジュールとして含まれる。また、落語芸術協会は同じく定席に準じているお江戸上野広小路亭でも行われる(ただし、各定席のように10日間通しで行われることはない)。名古屋の大須演芸場や新真打の故郷での落語会といった地方公演でも行うことがある。
  • 円楽一門会、落語立川流では前述の4定席に出演することができないため、各団体が興行を打つ定期公演で行われる(円楽一門会はお江戸両国亭、立川流は国立演芸場(閉場前)やホール落語が多い)。
    • 例外として、円楽一門会の三遊亭一太郎(会一太郎)は、2022年6月1日付で真打に昇進したが、落語家としての活動は殆ど行っていないため、昇進披露興行は行わなかった[23]。このため、同時に真打昇進した三遊亭好一郎のみの単独での真打昇進披露となっている。
  • 各団体とも、真打昇進披露興行の初日を迎える前に公式行事としてホテルで真打昇進披露を兼ねたパーティーが行われる(前出の一太郎など行わなかった例もあり)。
    • 通常は新真打の記者会見の後、関係者を招待し昇進披露宴が行われ、コース料理などの食事が供される。さらに、鏡抜き・乾杯や関係者のお祝いの式辞、余興などが行われる。
    • 2020年以降のコロナ禍においては、感染対策からパーティーの内容も様変わりしている。特に2021年2月に昇進した桂宮治の披露パーティーでは、新型コロナウイルスの感染拡大時期に当たっていたため、会場では「飲食自粛」となり、会場内で供されたのが「ペットボトルの水1本」だけ(その分、手土産として酒や弁当が振舞われた)という体制で行われた。その後は飲食の饗応も徐々に再開されてはいるが、所要時間の短縮など試行錯誤を続けている[24]
  • 日本テレビ系『笑点』でも、演芸コーナー内において真打昇進披露口上が行われる(落語芸術協会に加入している講談師も含む)が、落語立川流については参加しないことが多い[注釈 9]。2020年のコロナ禍以降、一時は番組内での昇進披露は行われていなかったが、2023年7月2日放送分より番組での昇進披露が再開されている[注釈 10]

漫才 編集

  • 漫才では、東京の漫才協会1971年(設立当時は「漫才協団」)より「真打ち」制度を導入している。例年11月に浅草公会堂での同協会の「漫才大会」で真打ち昇進披露が行われるが、毎年真打ち昇進が出ている訳ではない[注釈 11]
  • 上方漫才では、落語同様に真打制度は存在しない。

講談 編集

  • 講談では、東京の講談協会日本講談協会がそれぞれ真打制度を導入している。
    • 日本講談協会と提携する落語芸術協会(芸協)に所属する講談師のうち、芸協での寄席修行を受けた一部の講談師が芸協でも「真打」として扱われ(三代目神田山陽神田京子神田鯉栄神田蘭六代目神田伯山三代目松林伯知[8])、芸協の定席で昇進披露が行われる。芸協内の寄席修行を受けずに途中入会した講談師(神田陽子、神田紫神田紅三代目神田松鯉[8])については、芸協の香盤では「色物」として真打の扱いを受けていなかった(ただし、主任を務めることもあった)が、2019年12月頃より芸協内での香盤が一本化され、前述の芸協内で前座修行を受けた講談師とともに「講談」の枠内で「真打」の扱いを受けるようになった[注釈 12]
    • なお、例外として芸協内で寄席修行を受け、現在は日本講談協会から離脱している日向ひまわりについては「講談」枠内に入らず、通常の芸協の落語家の香盤序列で真打に列せられている。また、2019年に途中入会した神田阿久鯉については「講談」の枠内で「真打」の扱いであるが、入会から間もないこともあってか芸協の香盤内では別枠とされている。それぞれの団体の興行の兼ね合いもあり、基本的に日本講談協会での真打披露興行が先行して行われ、その後(芸協にも加入している講談師については)芸協での披露興行が行われることが多い[注釈 13]
    • 講談協会または日本講談協会と落語協会にも所属する講談師については非常に少数である[注釈 14]ため、落語協会の香盤では「講談」として別枠となっているが真打の扱いを設けていない(ただし、講談師も定席で主任を務めることがある)。
  • 落語や漫才と異なり、上方講談でも少人数かつ3団体(上方講談協会大阪講談協会なみはや講談協会、さらにこれらに属さない講談師も存在)に分かれているが、それぞれ独自に真打制度を導入している。

浪曲 編集

  • 浪曲では、東京の日本浪曲協会、大阪の浪曲親友協会ともに階級制度は設けていない。一定期間の年季奉公(概ね3年)と御礼奉公(概ね1年)が一般的であり、それを過ぎると独り立ちとなり、節目の「名披露目」(「年季明け」「看板披露」などとも)が行われる(落語や講談の真打昇進披露に相当)。

脚注 編集

注釈 編集

  1. ^ 落語協会の真打昇進試験は1980年に導入されたが、1983年には合格基準の運用を巡って不満を抱いた立川談志による一門離脱から落語立川流の誕生の契機となっているほか、1987年の試験では受賞歴があるなど有力視されていた古今亭志ん八(後の古今亭右朝)の不合格決定に対して、席亭が落語協会に異議を申し立てる事態となり、異例の再試験が行われて「追加合格」となった。この事から「昇進試験」自体の存在価値が問われる事となり、同年をもって落語協会の真打昇進試験は廃止となった[3]
  2. ^ 実例として立川キウイのケースがある。家元の談志が存命時ではあったが、キウイの著書『万年前座』を談志が評価する形で昇進試験を免除され、真打に昇進となっている[5]
  3. ^ 小福の師匠である初代雷門福助が戦後東京を離れて、名古屋で旅館を経営する傍ら、地元の大須演芸場の高座に上がるようになったことも背景とされる。
  4. ^ (江戸落語家の)慣習として師匠が死去した場合、二ツ目以下の弟子は他の真打の門下に移籍する事が通例となっていることから、一門の中心として獅篭を「真打」に据えることで、なごや雷門一門を守るという意図もあったとみられる。
  5. ^ これらの事実は、獅篭が師匠である小福の没後にコラムで言及している[12]。その後、獅篭には2018年に入門した登龍亭獅鉄(旧名:雷門獅鉄)、2021年に入門した登龍亭篭二、2023年に入門した登龍亭篭登と三人の弟子がおり、獅篭の弟弟子の登龍亭幸福に2022年に入門した登龍亭幸吉も含め、いずれも「前座」の身分を称している(前座修業を終えた獅鉄は2021年11月に年季明けしている)。
  6. ^ ただし、講談師の抜擢真打運用例はある。日本講談協会及び落語芸術協会に所属する神田松之丞(当時)は、2016年に新宿末廣亭の席亭推薦で抜擢による真打昇進が打診されたが、この時は芸協の理事会で否決されている。その後、桂歌丸芸協会長没後の2018年末の理事会で改めて松之丞の抜擢真打昇進が諮られ、2020年2月新宿末廣亭中席から真打に昇進(同時に六代目神田伯山を襲名)している。後述する芸協内の落語家と講談師の香盤序列が整理される以前は、講談師としての香盤序列は守られる一方で芸協内の当時の香盤上は9人抜きとなっていた。
  7. ^ 吉幸は芸協で二ツ目昇進後は3年で真打に昇進しており、落語立川流での修業期間(約17年)も算入された形で、形式的ではあるが当時の香盤で28人追い抜く形で真打に昇進している。もっとも吉幸が芸協で前座修業中の2015年10月に、かつての弟弟子(当時の二代目快楽亭ブラック門下)であった立川左平次立川志ら玉が落語立川流で先に真打に昇進している[19]
  8. ^ 2023年10月に改修のため一時閉場となった後は「国立演芸場主催興行」という形で紀尾井小ホールを代替として公演を行う。
  9. ^ 立川晴の輔は番組内で不定期に行われる「若手大喜利」コーナーのレギュラー出演者であったことから、番組内で真打昇進披露を行っている。また、2009年11月15日放送回では円楽一門会の2名(三遊亭大楽三遊亭王楽)とともに立川志遊が昇進披露を行っており、立川ぜん馬とともに出演している。
  10. ^ 同年7月までの真打昇進者が対象。落語芸術協会:桂翔丸春風亭吉好柳亭明楽、落語立川流:立川小春志、五代目円楽一門会:錦笑亭満堂。落語協会はこの時点で真打昇進の対象者(同年9月より4名が真打昇進)がいないため、出演がなかった。
  11. ^ ただし、漫才協会所属芸人のうち正式に「真打ち」となっていないコンビも、定席のトリ(主任)を務めたり、弟子を採ったりしている(例:おぼん・こぼんなど)。また、死別などによりコンビが解散しピン芸人となった場合でも、実質的に「真打ち」と変わらない扱いを受けることがある(例:内海好江没後の内海桂子Wコロン解散後のねづっちなど)。詳細は漫才協会#真打ち制度を参照。
  12. ^ 香盤は日本講談協会での序列に準ぜられるため、真打の序列は松鯉、陽子、紫、紅、山陽、京子、鯉栄、蘭、伯山、伯知(伯知については芸協での昇進披露は2024年5月に予定)。
  13. ^ 例外としては六代目神田伯山の真打昇進・襲名披露興行で、芸協における例年の披露興行の時期(通常は5月)から外れた2月に単独で行われる昇進披露であったこともあり、芸協での披露が先行して行われた。
  14. ^ 四代目宝井琴柳四代目宝井琴調(以上、講談協会所属)、神田茜(日本講談協会所属)の3名のみ(2023年5月現在)。

出典 編集

  1. ^ 三重)「村正」の忠実な写しを制作へ ネットで資金募る - 朝日新聞デジタル
  2. ^ 小狐の太刀の話 - 福井市立郷土歴史博物館
  3. ^ 吉川潮『戦後落語史』P124-125より。
  4. ^ 立川流の「二つ目、真打ちへの昇進基準」はなぜ厳しかったか 大事なことはすべて立川談志に教わった(立川談慶) - 一個人 2018年5月30日
  5. ^ 前座16年立川キウイ真打ちにスピード昇格 - nikkansports.com 2010年3月27日
  6. ^ a b 朝日新聞デジタル:真打ち選び、基準は実力?年季? 東京落語で試行錯誤 - 朝日新聞デジタル(アーカイブ)2012年5月16日
  7. ^ 吉川潮『戦後落語史』新潮社、2009年12月20日、205頁。ISBN 9784106103438 
  8. ^ a b c d 協会員プロフィール - 落語芸術協会
  9. ^ “円楽 落語芸術協会に加入 落語界“統一”へ一歩”. デイリースポーツ. (2017年6月28日). https://www.daily.co.jp/gossip/2017/06/28/0010321145.shtml 2017年7月6日閲覧。 
  10. ^ 2019年度真打昇進について - 落語芸術協会 2019年12月28日
  11. ^ 東方落語とは? - 東方落語ホームページ
  12. ^ 『長屋の花見』の巻 | 達人に訊け! - 中日新聞プラス 2016年4月8日(アーカイブ分)
  13. ^ a b 「真打ち」がいない上方落語、若手の実力認定の取り組み…桂三枝会長時代には模索したが実現せず - 読売新聞 2024年3月17日
  14. ^ 「上方落語・噺家成人式」公演、入門から15年となる落語家を対象 真打制度導入は継続審議 - 日刊スポーツ 2024年3月25日
  15. ^ 令和6年 春 真打昇進決定 - 一般社団法人 落語協会 2023年4月1日
  16. ^ 落語協会、12年ぶり抜てき真打ち 次世代ホープの林家つる子、三遊亭わん丈が来年3月昇進 - スポーツ報知 2023年4月1日
  17. ^ 令和三年二月 桂 宮治 真打昇進について - 落語芸術協会 2020年3月17日
  18. ^ 昇太会長が決断「新しいスターを」29年ぶり抜てき真打ち誕生 来年2月に桂宮治が5人抜き昇進 - スポーツ報知 2020年3月17日
  19. ^ 真打ち目前で前座に逆戻り 数奇な運命を歩んだ立川吉幸が来年5月に真打ち昇進決定 - スポーツ報知 2018年8月6日
  20. ^ 蝶花楼桃花 真打昇進から4カ月の落語協会史上最速で初トリ決定 - デイリースポーツ online 2022年6月10日
  21. ^ 立川こはる、令和5年5月5日に真打ち昇進「魔法をかけられる人になりたい」立川流初の女性真打ち - スポーツ報知 2022年11月20日
  22. ^ 日記「真打昇進披露興行大初日」 - 九代目春風亭柳枝オフィシャルブログ「柳枝の一筆啓上」Powered by Ameba 2021年3月22日
  23. ^ 『東京かわら版 2022年5月号』東京かわら版、2022年4月28日、27頁。ISBN 9784910085210 
  24. ^ コロナ禍でできること、できないこと…知恵と配慮の真打ち昇進披露宴 - 読売新聞オンライン 2022年4月22日

関連項目 編集