空想天国』(くうそうてんごく)は、1968年に制作された谷啓主演作品。クレージーキャッツ主演の「作戦シリーズ」番外編的作品。クレージーのメンバーからは、ハナ肇桜井センリが出演している。

空想天国
監督 松森健
脚本 田波靖男
製作 渡辺晋
音楽 萩原哲晶
撮影 西垣六郎
編集 武田うめ
配給 東宝
公開 日本の旗 1968年8月14日[1]
上映時間 84分
製作国 日本の旗 日本
言語 日本語
配給収入 2億218万円[2]
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概要 編集

主演の谷啓が尊敬し、また芸名の由来でもあるアメリカのボードビリアン、ダニー・ケイの映画『虹を掴む男』を下敷きにした[要出典]、夢見る純情男を巡るドタバタを描いたファンタジックな作品[1]酒井和歌子がマドンナとして登場し、主人公のライバル役で宝田明も出演、また平田昭彦も悪役で姿を見せている。さらに当時、劇団木馬座ケロヨンに類似したキャラクター・ガマラ[3][1][4]も、主人公の相棒的存在として登場している。

ストーリー 編集

気弱なサラリーマン田丸圭太郎は空想が大好き。空想の中では大活躍し素敵な女性と結ばれても、現実では失敗ばかり。そのせいでとうとう社員から守衛に格下げされてしまう。ある夜、田丸と守衛長は会社に侵入した謎の集団に襲われ、守衛長は重傷を負って入院してしまう。ところがそこで空想の中にいつも現れるあの素敵な女性と出会う。彼女は守衛長の娘、山村宏子だった。喜ぶ田丸だが、その後ちょっとしたことから田丸は警察から会社に侵入した集団の仲間ではないかと疑われ、逮捕されてしまう。留置所から脱走した田丸は、例の集団にさらわれた宏子を救うために立ち上がる。

キャスト 編集

スタッフ 編集

主題歌 編集

  • 『夢が夢がこぼれる』
    • 作詞:田波靖男、作曲:萩原哲晶、歌:谷啓

同時上映 編集

連合艦隊司令長官 山本五十六

エピソード 編集

  • 本作は、1966年に制作・公開された、坪島孝監督による谷啓主演作『クレージーだよ奇想天外』の延長線上にある作品だが、『クレージーメキシコ大作戦』の制作終了後、自らの意志でクレージー映画(および傍系作品)の演出から一時距離を置いていた坪島監督[5]に代わり、TV『青春とはなんだ』などで知られる松森健がメガホンをとっている。
  • 劇中、谷啓演じる主人公の田丸が仕事で訪れる地方都市の“海東市”という地名は、本作の公開当時オンエアされていた、東宝制作の青春ドラマシリーズの第3作『でっかい青春』の舞台と同一である。ただし、本作を監督した松森が青春ドラマシリーズに関わっていたのは、シリーズ第1作の『青春とはなんだ』とその次作の『これが青春だ』までで、『でっかい青春』の演出には参加していない(脚本の田波靖男も『青春とはなんだ』『これが青春だ』などの脚本を執筆している)。ちなみに本作には、田丸に(ドレスだけではなく、それを着ている)マネキン人形ごと売ってくれと懇願される洋装店の店員役で、『青春とはなんだ』『これが青春だ』に生徒役でレギュラー出演していた矢野間啓二がワンシーン出演しているほか、『青春とはなんだ』に女生徒役でレギュラー出演していた豊浦美子も、田丸の勤務先の社長令嬢役で出演。平田昭彦藤木悠らも『青春とはなんだ』のレギュラー・準レギュラー出演者である(藤木は『これが青春だ』にもレギュラー出演)。
  • 酒井和歌子はこの後、東宝クレージー映画の最終作となった『日本一のショック男』でヒロインを演じた。また宝田明は、本作が東宝クレージー映画および傍系作品への唯一の出演となった。

脚注 編集

  1. ^ a b c 東宝写真集 2005, p. 38, 「空想天国」
  2. ^ 『キネマ旬報ベスト・テン85回全史 1924-2011』(キネマ旬報社、2012年)250頁
  3. ^ 「column25 変な怪獣 スラップスティック・ワールド」『ゴジラ画報 東宝幻想映画半世紀の歩み』(第3版)竹書房、1999年12月24日(原著1993年12月21日)、161頁。ISBN 4-8124-0581-5 
  4. ^ 「column 特撮コメディー映画」『東宝特撮全怪獣図鑑』東宝 協力、小学館、2014年7月28日、58頁。ISBN 978-4-09-682090-2 
  5. ^ 『東宝 昭和の爆笑喜劇DVDマガジン』第40号(『クレージーのぶちゃむくれ大発見』本編DVDを付属。2014年講談社)本誌P.5~6。

参考文献 編集

外部リンク 編集