数学において、範疇(はんちゅう)とは位相空間部分集合を 2 通りに分類する方法のことである。カテゴリーと呼ぶことも多いが、同様にカテゴリーと呼ばれるとは全く異なるものである。

定義 編集

X を位相空間とし、A をその部分集合とする。

A閉包内部が空であるとき、Aであるという。A が可算個の疎な集合の和集合で表せるとき A第 1 類であるといい、そうでないとき A第 2 類であるという。第 1 類の集合をやせた集合ともいう。

第 1 類の集合の部分集合は第 1 類であり、可算個の第 1 類の集合の和集合は第 1 類である。

ベールの範疇定理 編集

完備距離空間の空でない開部分集合は第 2 類である。これをベールの範疇定理と呼ぶ。この定理は特に関数解析などで有用である。

この定理は、次のように言い換えることもできる:

  • 完備距離空間において、内点をもたない閉集合の可算個の和集合は内点をもたない。
  • 完備距離空間において、稠密な開集合の可算個の共通部分は稠密である。

ベール空間 編集

ベール空間とは、空でない任意の開部分集合が第 2 類であるような位相空間のことである。

ベールの範疇定理は、完備距離空間がベール空間であることを意味している。局所コンパクトハウスドルフ空間もベール空間である。

脚注 編集