腐乳(ふにゅう、fǔrǔ)は、豆腐をつけ、塩水中で発酵させた中国食品である[1]。千年以上の歴史を持つ食べ物であり、中国全土で広く食べられている[1]豆腐乳(dòufurǔ)、乳腐(rǔfǔ)、南乳(nánrǔ)とも呼ばれる。

腐乳
各種表記
繁体字 腐乳
簡体字 腐乳
拼音 Fǔrǔ
注音符号 ㄈㄨˇ ㄖㄨˇ
発音: フールー
日本語読み: ふにゅう
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概要 編集

腐乳には醗酵臭と塩味がある。炒め物、煮込み料理などに調味料として用いられる以外に、に入れて食べる食卓調味料として用いる。紅麹を用いた腐乳は塩辛くなく甘みがあり、そのまま爪楊枝で削って食べる方法も台湾では一般的である。一般的に腐乳は瓶詰めで流通しており、保存と調味を目的とした漬け汁に浸かっている。

歴史 編集

少なくとも、豆腐の発明より後の時代に生まれている[2]の時代に生まれたとする説もあるが、定かではない[2]北宋の時代の文献『清異録』には、既に普通の食品として記載されている[2]

種類 編集

腐乳は通常「青方」、「紅方」、「白方」に大別されて[1]、臭豆腐などは青方、紅辛などは紅方、甘辛などは白方に分類される。発酵に使う紅麹を使用したものは紅腐乳(hóngfǔrǔ)、紅麹腐乳(hóngqūfǔrǔ)または単に紅方(hóngfāng)と呼ばれる。発酵の際にトウガラシを加えて辛味をつけた紅腐乳もある。

臭豆腐は灰色の豆腐発酵食品で、腐敗臭にも例えられる強烈な刺激臭がある。主に王致和社製のものが瓶詰めの調味料として流通している。この調味料は、揚げたり煮込んだりして食べる「臭豆腐」とは名前が同じだが別の食品である。

製造 編集

まず豆腐を圧搾し、水分を抜いたのちに長方形に切る[1]。これを箱に1つ1つ間隔を置いて並べ、数日かけて麹を付着させる[1]。これらをカメに入れ、もろみ、塩水、甘酒などを入れて熟成させる[1]。このとき用いる麹の種類や熟成の前処理、熟成中の液の組成によって、上記の3種に大きく分かれる[1]

出典 編集

  1. ^ a b c d e f g 金鳳燮「中国の味噌様大豆発酵食品 (醤, 豆豉, 豆腐乳) について」『日本醸造協会誌』第87巻第9号、日本醸造協会、1992年、629-634頁、doi:10.6013/jbrewsocjapan1988.87.629 
  2. ^ a b c 包啓安「中国の乳腐」『日本釀造協會雜誌』第82巻第3号、日本釀造協会、1987年、167-174頁、doi:10.6013/jbrewsocjapan1915.82.167 

関連項目 編集

外部リンク 編集

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