おはよう!こどもショー > 行け! グリーンマン

行け! グリーンマン』(いけ グリーンマン)は、東宝が制作し、1973年11月12日から1974年9月27日まで、日本テレビ系の子供番組『おはよう!こどもショー』内で放送された、東宝企画製作の特撮コーナードラマ

放映時間は1回につき約5分間、3日・3回で1話完結のスタイル。全52話・156回。

概要 編集

悪の化身「魔王」が送り込む怪獣に対し、グリーン星からやってきた超人グリーンマンが現れ、子供たちを救う。

前作『行け!ゴッドマン』が単にゴッドマンと怪獣が戦うだけであったのに対し、本作品ではストーリー性が強化され[出典 1]、セリフの付いたストーリー仕立てとなっている[出典 2]。また、シリーズを通した敵として魔王一味が設定された[1][6]

怪獣は前作や『突撃! ヒューマン!!』からの流用が多く[出典 3]、『フランケンシュタインの怪獣 サンダ対ガイラ』からサンダガイラ、特別に呼んできたという設定でゴジラシリーズからミニラが登場したこともある[9][7]が、ミニラはグリーンマンに殺されることはなかった。新規怪獣も前作より多く作られている[10]

ミニチュアセットや合成も多用された[10]。怪獣やグリーンマンが巨大化した際に用いられるミニチュアは、造成地に作られた常に同じものを使っていた。

グリーンマン 編集

諸元
グリーンマン
身長 1.85 - 45 m[6][11]
体重 90 kg - 3万t[6][11]
出身地 金河系グリーン星[6]

地球の自然を公害から守るために金河系グリーン星からやってきた、「神の使い」を自称する正義のロボット生命体[11]。子供たちがグリーンマンコールを天にかざして呼ぶと、どこからともなく飛んでくる[11]。回転しながら登場したり、青い紙の壁のようなものを突き破って登場することもある。

登場直後は人間と同じ大きさだが、怪獣が巨大化すると自身も「グリーンマン・ジャイアントマシーンチェンジ」の掛け声とともに巨大化する[出典 4]。巨大化シークエンスは単純にカメラが三段階で寄っていくというもの。

ロボット生命体という設定から、体内のメカニックは1960年代風のコンピュータ時計の中身を彷彿とさせるアナログなメーター歯車が見受けられる。また、稼働電圧は100Vで、怪獣に攻撃されてピンチになると電圧が低下する様子が、電圧計の針が上下する映像をカットインさせることで表現される。子供たちからグリーンマンコールでパワーを与えられると一気に戦闘力が回復し、ピンチを脱する。

  • グリーンマンの名は、『おはよう!こどもショー』の司会だった海老名美どりに由来する[10]
  • デザインは東南アジア仏像がモチーフとなっている[10]
  • 造形はツエニーが担当。グリーンマンやトンチキのデザインは、ツエニー代表の村瀬継蔵の実兄で、当時東宝の美術スタッフだった村瀬継雄によるもの。村瀬継蔵によれば、「ラーメンの丼の模様がついていたり妙なデザインだと思ったが、兄貴が『これくらい派手なのがいいんだ』と言うので、僕も工夫して、当時珍しかった模造の宝石を多用してきらびやかに仕上げた」とのこと[12]

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グリーンマンブレスター[6][2]
胸のシャッターが開き、ランプがすべて点灯すると発射される4連装×2のミサイル砲。主に必殺技として用いられ、多くの怪獣をこの武器で葬った。
イヤーブーメラン[6]
耳飾りをブーメランのように投げつける。
ブーメランターン[6]
防御技。イヤーブーメランを2つ持ち、敵の攻撃を跳ね返す。
グリーンマンスティック[6][2]
先端を爆弾として飛ばすスティックファイヤー、スプレー状の光線スティックビームなど、さまざまな使い方ができる魔法の杖。
レッグアロー[6]
膝の突起が開き、中から発射されるダーツ状の武器。
ファイヤーファイティング[6]
炎の壁を作り出し、敵の攻撃を防いだり、煙幕を発生させて敵の目をくらましたりする。
マウスビーム[6]
口から放つ稲妻状の超音波ビーム。
フラッシュショック[6]
掲げた両手の間にエネルギーを発生させ、指先から放つ電撃光線。この技で魔王を倒した。
アイビーム[6]
眼から放つ光線。本編では未使用[6]

子供たち 編集

「近所の公園」で遊んでいる子供たち。セリフはなく、遊んでいても怪獣に襲われても終始無言・無表情である。魔王一味に襲われるとグリーンマンコールをかざしてグリーンマンを呼び、グリーンマンがピンチに陥ると「がんばれ、グリーンマン!!」の一声でグリーンマンコールを押しパワーを送る。中盤以降は、トンチキや手下を集団で袋叩きにする光景も見られるようになった。

魔王一味 編集

魔王 編集

暗黒星雲の魔族の支配者。神によって血を抜き取られ、「近所の公園」の地底に幽閉されている[13]。歩けない自分の代わりにトンチキや手下を使って子供をさらい、子供の血を得ようとする。触れた者を石化する能力や、手先から稲妻を放つ能力を持つ。事あるごとにトンチキを叱りつけ、殴る。第1話で長い眠りから目覚めた時には記憶をすべて失っており、トンチキに自分の素性を聞くまで思い出せなかった。

分身魔王[14]
「グリーンマン対魔王」に登場。最後の部下を失った魔王が地上に送り込んだ分身[14]

トンチキ 編集

魔王の一の子分。「チチンプイプイのパ」[13]の呪文を用い、魔王の手下や動物などを怪獣に変身させたり、怪獣を巨大化させたり、テレポートすることができる。怪獣を伴って地上に現れ、子供を捕まえようとするが、動きが鈍く力も弱いので失敗してはテレポートで逃げ帰り、魔王に殴られるのが常である。大好物は樹齢500年以上の木の根。

最終話で魔王が倒された後、子供たちに袋叩きにされているところをグリーンマンに助けられ、何度も謝りながらいずこへともなく消えていった。

魔王の手下 編集

泥人形から生まれ、魔王の手下となった者たち[13]。テープの早送りのように聞こえる、得体の知れない言語を話す。冒頭のサブタイトル画面のバックにも登場しており、「その1」なら手下1人、「その2」なら手下2人、「その3」なら手下3人、と手下の顔が映し出される。

女装怪人[14]
女装した手下。
忍術怪人[14]
忍者のような攻撃をする。
魔術怪人[14]
魔術を使える。
模様怪人[14]
最強最後の怪人。見かけは従来の手下と同じだが、模様で攻撃できる。模様の中で、グリーンマンとシュールな戦いを繰り広げる。
最後に残った手下
「グリーンマン対魔王」に登場。変身して最強怪獣になるはずだったが、その前にグリーンマンに倒されてしまった。この手下は唯一「いいぞ、トンチキ日本一」と日本語で喋っている。

登場怪獣 編集

スタッフ 編集

  • 監督:久松正明、津島平吉、佐原博泰[注釈 4]

主題歌 編集

主題歌「グリーンマン」
作詞:藤公之介 / 作曲:山下毅雄 / 編曲:ボブ佐久間 / 歌:コールユニゾン
サブテーマ「グリーンマンの挑戦状」
作詞:藤公之介 / 作曲:山下毅雄 / 編曲:ボブ佐久間 / 歌:仲とも吉、グリーンピース
サブテーマ「グリーンマンマーチ」
作詞:藤公之介 / 作曲:瀬戸口藤吉 / 編曲:ボブ佐久間 / 歌:仲とも吉、グリーンピース

キャスト 編集

再放送 編集

2004年6月25日より、CSのファミリー劇場で再放送が行われたが、オープニングタイトルはカットされていた。また、放映順も本放送に準じてはいなかった[注釈 5]

ネット配信 編集

  • 2017年9月26日より、YouTubeの「タコラチャンネル」にて配信が行われている(不定期配信)。

映像ソフト化 編集

  • 1990年代に発売された『流星人間ゾーン』のLD-BOXに、映像特典として『行け!ゴッドマン』と本作品の各1話分が収録された[1]
  • 2008年5月23日に『行け!ゴッドマン』と同時収録で、DVD-BOX『行け!行け!ゴッドマン&グリーンマンBOX』が東宝から発売された[19]。3枚組のうち『行け!ゴッドマン』と本作品が各1枚ずつ、いずれも厳選した傑作選である。特典ディスクには撮り下ろしの新作『行け!ゴッドマン』が収録されており、グリーンマンも放送当時の着ぐるみで登場する[19]。旧作の傑作選は各々単巻でも発売されたが、特典ディスクは付かない。
  • 講談社から刊行されたムック『隔週刊 ゴジラ全映画DVDコレクターズBOX』28号(2017年7月25日発売)以降に、特典映像として収録された[20]
  • 2019年1月16日、単巻DVD(全4巻)が東宝から発売された。

脚注 編集

注釈 編集

  1. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v 突撃! ヒューマン!!』の怪獣。
  2. ^ a b c d e f g h i j 行け!ゴッドマン』の怪獣。
  3. ^ 書籍『全怪獣怪人 上巻』では、名称を「フォシュラゴン」と記載している[18]
  4. ^ 単巻版DVDジャケット裏に記載。
  5. ^ 書籍『全怪獣怪人 上巻』に記載された放映(怪獣登場)ナンバーとも符合しない。
  6. ^ 表紙・DVDジャケット・DVD収納箱のいずれでも「グリーンマン対ダンケット」と誤記されている。

出典 編集

  1. ^ a b c d ゴジラ大百科 1993, p. 166, 構成・執筆 早川優「ゴジラ映画を100倍楽しくする 東宝怪獣映画カルト・コラム 37 『ゴッドマン』『グリーンマン』に登場した怪獣スター」
  2. ^ a b c d GTOM vol.0 2022, p. 42, 「行け! グリーンマン」
  3. ^ 全怪獣怪人 上 1990, p. 222.
  4. ^ 竹書房 / イオン 編『超人画報 国産架空ヒーロー40年の歩み』竹書房、1995年11月30日、115頁。ISBN 4-88475-874-9。C0076。 
  5. ^ a b 宇宙船SPECIAL ’70年代特撮ヒーロー全集』監修 金田益実、朝日ソノラマ、1998年5月30日、120-121頁。ISBN 4-257-03533-1 
  6. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q 東宝特撮全怪獣図鑑 2014, p. 142, 「行け!グリーンマン」
  7. ^ a b c 超常識 2016, pp. 253–255, 「Column テレビで活躍した東宝怪獣たち」
  8. ^ a b TOHO TV HEROES 2018, p. 141, 「おはよう!こどもショーの時代」
  9. ^ 行け!行け!ゴッドマン&グリーンマンBOX 怪獣・怪人図鑑”. 東宝. 2021年5月20日閲覧。
  10. ^ a b c d 全怪獣怪人 上 1990, p. 223
  11. ^ a b c d e 全怪獣大図鑑 2021, p. 365, 「行け!グリーンマン」
  12. ^ 『怪獣秘蔵写真集・造形師村瀬継蔵』(洋泉社・2015年)142、268頁。
  13. ^ a b c 東宝特撮全怪獣図鑑 2014, p. 143, 「行け!グリーンマン」
  14. ^ a b c d e f g 東宝特撮全怪獣図鑑 2014, p. 147, 「行け!グリーンマン」
  15. ^ 東宝特撮全怪獣図鑑 2014, p. 144, 「行け!グリーンマン」
  16. ^ 東宝特撮全怪獣図鑑 2014, p. 145, 「行け!グリーンマン」
  17. ^ 東宝特撮全怪獣図鑑 2014, p. 146, 「行け!グリーンマン」
  18. ^ 全怪獣怪人 上 1990, p. 225.
  19. ^ a b 「宇宙船vol.124特別付録 宇宙船 YEARBOOK 2009」『宇宙船』vol.124(2009.春号)、ホビージャパン、2009年4月1日、別冊p.35、ISBN 978-4894258549 
  20. ^ 商品一覧”. ゴジラ全映画DVDコレクターズBOX. 講談社. 2019年3月28日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年9月28日閲覧。

出典(リンク) 編集

参考文献 編集

関連項目 編集

おはようこどもショー
番組内特撮番組
前番組 番組名 次番組
行け! グリーンマン