酢酸ベンジル(さくさんベンジル、ベンジルアセテート、benzyl acetate)は分子式 C9H10O2 で表される有機化合物で、ベンジルアルコール酢酸が縮合したエステルである。消防法による第4類危険物 第3石油類に該当する[1]

酢酸ベンジル
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識別情報
CAS登録番号 140-11-4 チェック
PubChem 8785
ChemSpider 13850405 チェック
UNII 0ECG3V79ZJ チェック
KEGG C15513 チェック
ChEBI
特性
化学式 C6H5CH2OCOCH3
モル質量 150.18 g/mol
外観 無色液体
匂い ジャスミン様の甘い香り
密度 1.054 g/ml
融点

−51.5 °C, 222 K, -61 °F

沸点

212 °C, 485 K, 414 °F

への溶解度 0.31 g/100 mL
溶解度 ベンゼンクロロホルムに溶ける
アルコールエーテルアセトンと混和
屈折率 (nD) 1.5232
危険性
NFPA 704
1
1
0
引火点 102 °C (216 °F; 375 K)
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

酢酸ベンジルは多くの花に見られ、特にジャスミンイランイラントベラクチナシなどの精油の主成分である。これ自体がジャスミン様の甘い香りを持っており、香水化粧水に使われる[2]。またシタバチ類のオスを誘引する化合物(フェロモン)の一つでもあり、研究のためにこれらのハチを捕まえる際の罠に使われる[3]

さらに、酢酸ベンジルはプラスチックや樹脂、酢酸セルロース硝酸エステルなどを溶かす溶媒としても用いられる。脂溶性が高く、皮膚に触れると脱脂を起こす。

出典 編集

  1. ^ 法規情報 (東京化成工業株式会社)
  2. ^ ロジャ・ダブ 『フォトグラフィー 香水の歴史』 新間美也監修、原書房、2010年、62頁。
  3. ^ Schiestl, F.P.; Roubik, D.W. (2004). "Odor Compound Detection in Male Euglossine Bees." J. Chem. Ecol. 29: 253–257. doi:10.1023/A:1021932131526.