2012年ヨーロッパグランプリ

2012年ヨーロッパグランプリは、2012年F1世界選手権第8戦として、2012年6月24日バレンシア市街地コースで開催された。正式名称は2012 Formula 1 Grand Prix of Europe[1]

欧州連合の旗 2012年ヨーロッパグランプリ
レース詳細
日程 2012年シーズン第8戦
決勝開催日 6月24日
開催地 バレンシア市街地コース
スペイン バレンシア
コース長 5.419km
レース距離 57周(308.883km)
決勝日天候 晴れ
ポールポジション
ドライバー
タイム 1:38.086
ファステストラップ
ドライバー ドイツの旗 ニコ・ロズベルグ
タイム 1:42.163(Lap 54)
決勝順位
優勝
2位
3位

予選 編集

大接戦の予選を制したのはベッテル。今シーズン3回目のポールポジションは、自身通算33回目で、ジム・クラークアラン・プロストと並び歴代3位タイとなった。

Q1セッションではDRSトラブルもあり[2]Q3常連のウェバーが脱落。なお、体調不良を抱えていたグロックはセッションを欠場した。

Q2は通過10台のタイム差が僅か0.22秒の大混戦となり、フェラーリの2台やシューマッハもQ3進出を逃した。Q3に2台揃って進出できたのは、マクラーレンロータスフォースインディアの3チームであった。

Q3ではベッテルが渾身のアタックを決め、2位に0.3秒以上の差をつけてポールポジションを獲得した。

結果 編集

順位 No. ドライバー チーム Q1 Q2 Q3 グリッド
1 1   セバスチャン・ベッテル レッドブル-ルノー 1:39.626 1:38.530 1:38.086 1
2 4   ルイス・ハミルトン マクラーレンメルセデス 1:39.169 1:38.616 1:38.410 2
3 18   パストール・マルドナド ウィリアムズルノー 1:38.825 1:38.570 1:38.475 3
4 10   ロマン・グロージャン ロータス-ルノー 1:39.530 1:38.489 1:38.505 4
5 9   キミ・ライコネン ロータス-ルノー 1:39.464 1:38.531 1:38.513 5
6 8   ニコ・ロズベルグ メルセデス 1:39.061 1:38.504 1:38.623 6
7 14   小林可夢偉 ザウバー-フェラーリ 1:39.651 1:38.703 1:38.741 7
8 12   ニコ・ヒュルケンベルグ フォースインディアメルセデス 1:39.009 1:38.689 1:38.752 8
9 3   ジェンソン・バトン マクラーレンメルセデス 1:39.622 1:38.563 1:38.801 9
10 11   ポール・ディ・レスタ フォースインディアメルセデス 1:38.858 1:38.519 1:38.992 10
11 5   フェルナンド・アロンソ フェラーリ 1:39.409 1:38.707 11
12 7   ミハエル・シューマッハ メルセデス 1:39.447 1:38.770 12
13 6   フェリペ・マッサ フェラーリ 1:39.388 1:38.780 13
14 19   ブルーノ・セナ ウィリアムズルノー 1:39.449 1:39.207 14
15 15   セルジオ・ペレス ザウバー-フェラーリ 1:39.353 1:39.358 15
16 20   ヘイキ・コバライネン ケータハムルノー 1:40.087 1:40.295 16
17 16   ダニエル・リチャルド トロ・ロッソフェラーリ 1:39.924 1:40.358 17
18 17   ジャン=エリック・ベルニュ トロ・ロッソフェラーリ 1:40.203 18
19 2   マーク・ウェバー レッドブル-ルノー 1:40.395 19
20 21   ヴィタリー・ペトロフ ケータハムルノー 1:40.457 20
21 22   ペドロ・デ・ラ・ロサ HRTコスワース 1:42.171 21
22 23   ナレイン・カーティケヤン HRTコスワース 1:42.527 22
23 25   シャルル・ピック マルシャコスワース 1:42.675 23
予選通過タイム: 1:45.742 (107%ルール)
DNS1 24   ティモ・グロック マルシャコスワース no time
追記
^1 - グロックは体調不良のため予選セッションを欠場[3]

決勝 編集

展開 編集

現地時間14時開始の決勝レースは、気温26度、路面温度45度とタイヤに厳しい高温状態でのレーススタートとなった。

スタート時に大きな混乱はなく、ベッテルが好スタートを切った。グロージャンがマルドナドをかわして3番手へ、小林が5番手に上がる一方で、ロズベルグは順位を大きく下げ10番手まで後退した。オープニングラップを終えた順位はベッテル、ハミルトン、グロージャン、マルドナド、可夢偉、ライコネン、ヒュルケンベルグ、アロンソ。ベッテルが自己ベストを連発しながら逃げる中、ハミルトンのペースは思うように上がらずグロージャンに攻め立てられるも、オーバーテイクの難しいバレンシアではかわされるまでには至らず。10周目にようやくグロージャンが成功した時には、ベッテルは10秒以上先行していた。

上位陣のピットストップは11~16周目。ピットを行っていない車が入り混じる渋滞した状況の中、21周目にセナと小林が接触。小林はフロントウイングを破損し、セナはリアタイヤをバーストした。セナは、この件でドライブスルーペナルティを受けた。

28周目、後方のコバライネンとベルニュが接触。コース上に破片が広がったことでセーフティーカーが導入され、19秒に広がっていたベッテルのリードはリセットされることとなった。このタイミングで多くのマシンは最後のピットストップ。ハミルトンはフロントジャッキの故障でピット作業に時間がかかり、順位を下げることとなった。この段階での順位は、ベッテル、グロージャン、アロンソ、リチャルド、ライコネン、ハミルトン、ロズベルグ、シューマッハ、ウェバー。リチャルド、ロズベルグ、シューマッハ、ウェバーはまだ1回しかピットストップを行っていない。

34周目にレースが再開されると、再開後すぐの2コーナーでアロンソがグロージャンをパスし2番手に浮上する。すると、すぐにベッテルがスローダウン。アロンソが労せずしてトップに立ち、グロージャンが僅差で追う展開となる。後方では小林とマッサが接触。小林はリタイヤとなり、さらに次戦5グリット降格のペナルティを受けた。

41周目には2番手を走行するグロージャンもストップ。ベッテル、グロージャンともルノーエンジンのオルタネーターのオーバーヒートが原因だった[4]。これによりアロンソ、ハミルトン、ライコネンのトップ3となった。アロンソがハミルトンとの差を広げ、その後方でライコネンが2位を窺う。

レース残りわずかとなった55周目、ハミルトンのタイヤが限界に達し、みるみるペースダウン。ライコネンがハミルトンをかわし2番手に立つと、4番手を走行していたマルドナドもハミルトンに攻撃を仕掛ける。しかしマルドナドはハミルトンと接触。ハミルトンはその場でリタイヤとなり、マルドナドはフロントウイングを失ったままチェッカーを受けるも、20秒のタイムペナルティを受けポイント圏外に沈んだ。

トップでチェッカーを受けたのはアロンソ。ライコネンがこれに続き、3番手には先ほどまで6番手を走行していたシューマッハが入った。シューマッハと4番手のウェバーは1ストップから2ストップに切り替えたことが成功し、レース終盤にポジションを挽回。ハミルトンとマルドナドの接触に加え、タイヤが限界を迎えていたヒュルケンベルグを最終ラップでかわした。

開幕以来7戦連続して異なる勝者が誕生していたが、アロンソが今季2勝目一番乗りを果たした。地元スペインでの優勝は2006年スペインGP以来となる。経済的苦境にある母国を励ましたいと願っていたアロンソは「今回の勝利は、感動の大きさでは今までで一番の勝利だ」と語り[5]、表彰台で感極まり目頭を押さえた。アロンソは昨年のヨーロッパGPから20戦連続入賞を続けており、ポイント上位勢がノーポイントに終わったことで、ポイントランキングでもトップとなり、2位に20ポイント差をつけた。

3位に入ったシューマッハは現役復帰後初で、2006年中国GP以来6年ぶりの表彰台。レース後に黄旗区間でのDRS使用を取りざたされたが、充分に減速を行ったとしてペナルティは科されなかった[6]。ライコネンも合わせた3人の合計はタイトル10回、138勝で、いずれも過去最高記録となる豪華な表彰台であった。

バレンシア市街地コースは追い抜きが難しいため単調な展開になると思われていたが、今回はDRSゾーンが2つから1つに減らされたにもかかわらずオーバーテイク回数が58回に達し[7]、接触やペナルティが多発する激しいレースとなった。

結果 編集

順位 No. ドライバー チーム 周回数 タイム / リタイア グリッド ポイント
1 5   フェルナンド・アロンソ フェラーリ 57 1:44:16.649 11 25
2 9   キミ・ライコネン ロータス-ルノー 57 +6.421 5 18
3 7   ミハエル・シューマッハ メルセデス 57 +12.639 12 15
4 2   マーク・ウェバー レッドブル-ルノー 57 +13.628 19 12
5 12   ニコ・ヒュルケンベルグ フォースインディアメルセデス 57 +19.993 8 10
6 8   ニコ・ロズベルグ メルセデス 57 +21.176 6 8
7 11   ポール・ディ・レスタ フォースインディアメルセデス 57 +22.866 10 6
8 3   ジェンソン・バトン マクラーレンメルセデス 57 +24.653 9 4
9 15   セルジオ・ペレス ザウバー-フェラーリ 57 +27.777 15 2
10 19   ブルーノ・セナ ウィリアムズルノー 57 +35.961 14 1
11 16   ダニエル・リチャルド トロ・ロッソフェラーリ 57 +37.041 17
12 18   パストール・マルドナド ウィリアムズルノー 57 +54.6301 3
13 21   ヴィタリー・ペトロフ ケータハムルノー 57 +1:15.871 20
14 20   ヘイキ・コバライネン ケータハムルノー 57 +1:34.654 16
15 25   シャルル・ピック マルシャコスワース 57 +1:36.551 23
16 6   フェリペ・マッサ フェラーリ 56 +1 Lap 13
17 22   ペドロ・デ・ラ・ロサ HRTコスワース 56 +1 Lap 21
18 23   ナレイン・カーティケヤン HRTコスワース 56 +1 Lap 22
19 4   ルイス・ハミルトン マクラーレンメルセデス 55 接触 2
Ret 10   ロマン・グロージャン ロータス-ルノー 40 オルタネーター 4
Ret 1   セバスチャン・ベッテル レッドブル-ルノー 33 オルタネーター 1
Ret 14   小林可夢偉 ザウバー-フェラーリ 33 接触 7
Ret 17   ジャン=エリック・ベルニュ トロ・ロッソフェラーリ 26 接触 18
DNS2 24   ティモ・グロック マルシャコスワース 0 体調不良
注釈:[8]
追記
^1 - マルドナドはハミルトンとの接触で20秒加算のペナルティ[9]
^2 - 予選欠場で107%タイムをクリアしていなかったグロックは、レーススチュワードにより決勝への出走が許可されたものの、体調不良により決勝レースも欠場

第8戦終了時点でのランキング 編集

  • :ドライバー、コンストラクター共にトップ5のみ表示。

脚注 編集

  1. ^ 2012 FORMULA 1 GRAND PRIX OF EUROPE(The Official F1 Website)
  2. ^ “ウエーバー「DRSがなくソフトでもQ2に行けず」 :レッドブル土曜コメント”. AUTO SPORT WEB. (2012年6月24日). https://www.as-web.jp/past/%e3%82%a6%e3%82%a8%e3%83%bc%e3%83%90%e3%83%bc%e3%80%8cdrs%e3%81%8c%e3%81%aa%e3%81%8f%e3%82%bd%e3%83%95%e3%83%88%e3%81%a7%e3%82%82q2%e3%81%ab%e8%a1%8c%e3%81%91%e3%81%9a%e3%80%8d%e3%80%80%ef%bc%9a 2012年6月28日閲覧。 
  3. ^ “体調不良のグロック、決勝レースの欠場を発表”. AUTO SPORT WEB. (2012年6月24日). https://www.as-web.jp/past/%e4%bd%93%e8%aa%bf%e4%b8%8d%e8%89%af%e3%81%ae%e3%82%b0%e3%83%ad%e3%83%83%e3%82%af%e3%80%81%e6%b1%ba%e5%8b%9d%e3%83%ac%e3%83%bc%e3%82%b9%e3%81%ae%e6%ac%a0%e5%a0%b4%e3%82%92%e7%99%ba%e8%a1%a8 2012年6月28日閲覧。 
  4. ^ 原因特定に苦戦するルノー - ESPN F1(2012年6月28日)2012年6月29日閲覧。
  5. ^ アロンソ、表彰台での涙の理由を語る - AUTO SPORT WEB(2012年6月26日)2012年6月29日閲覧。
  6. ^ ホワイティング、「黄旗中のDRSルールはなし」 - ESPN F1(2012年6月27日)2012年6月29日閲覧。
  7. ^ 2番目に追い抜きが多かったバレンシア - ESPN F1(2012年6月27日)2012年6月29日閲覧。
  8. ^ http://www.formula1.com/results/season/2012/871/7131/
  9. ^ “マルドナド、タイム加算ペナルティでポイント失う”. AUTO SPORT WEB. (2012年6月25日). https://www.as-web.jp/past/%e3%83%9e%e3%83%ab%e3%83%89%e3%83%8a%e3%83%89%e3%80%81%e3%82%bf%e3%82%a4%e3%83%a0%e5%8a%a0%e7%ae%97%e3%83%9a%e3%83%8a%e3%83%ab%e3%83%86%e3%82%a3%e3%81%a7%e3%83%9d%e3%82%a4%e3%83%b3%e3%83%88%e5%a4%b1 2012年6月28日閲覧。 
前戦
2012年カナダグランプリ
FIA F1世界選手権
2012年シーズン
次戦
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前回開催
2011年ヨーロッパグランプリ
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