2014年ソチオリンピックの閉会式

2014年ソチオリンピックの閉会式(2014ねんソチオリンピックのへいかいしき)は、2014年2月23日の20時14分(モスクワ時間)に開会式同様、オリンピックスタジアムで挙行された。

ソチオリンピックの閉会式
2014 Winter Olympics closing ceremony
イベントの種類 閉会式
正式名称 Церемония закрытия зимних XXII Олимпийских Игр
開催時期 2014年2月23日
会場 ロシア ソチ・オリンピックスタジアム
主催 IOC(国際オリンピック委員会
運営 ソチオリンピック組織委員会
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カウントダウン 編集

20時14分を迎える直前にはモデスト・ムソルグスキーの『展覧会の絵』の「バーバ・ヤガー」をBGMに「5」「4」「3」「2」「1」と数字が表示される映像が流された。

ロシアの海のアトラクション 編集

開会式で懸垂された雪の結晶の電飾で作るのが失敗し五輪ならぬ「四輪」になったのが…

スタジアムのフィールドには海が映され、そこへ何羽のカモメチャイカ)の作り物をパフォーマが差し金でひらひらと飛翔させた後、道化師が船頭を務める船が空中に懸垂れながらゆっくりと移動する。船にはリュボフと2人の友達が乗っている。海はソチが海に面した都市であることを示す。そこへ、銀色の光を乱反射する外套を着た600人のパフォーマーが現れ、水をイメージした曲線から構成されるマスゲームを見せたのち彼らは5つの集団に分かれ、それぞれが輪に広がり全体で五輪を造った。このとき開会式で五輪の電飾の一つが開かなかったトラブルを逆手に取り、輪にならなかった右端の輪は遅れて輪になった。

なお、ここで使われた音楽はアメリカ映画『ジャイアンツ(原題:Giant)』の主題曲で、作曲は旧ロシア帝国領(現ウクライナ)生まれでサンクトペテルブルク音楽院で教育を受けたディミトリ・ティオムキン

国旗掲揚と表彰式 編集

 
閉会式で最後のメダル授与式を行うのは2004年のアテネオリンピックから。

チャイコフスキーの『戴冠式祝典行進曲』が流れる中、ロシア国旗がロシアの金メダリストによって運ばれ、オーケストラと1000人の児童合唱団をヴァレリー・ゲルギエフの指揮(オーケストラの副指揮はユーリー・バシュメット)によってロシア国歌が演奏され、ロシア国旗が掲揚された。

このあと、女子クロスカントリー30㎞と男子クロスカントリー50㎞のメダル授与式が執り行われた。

選手入場 編集

フィールドに、地球が映されると、その中央に地下に通じるスロープが現れるとそこから、ロシア士官学校の軍楽隊による太鼓とシンバルの演奏が披露され、そのあと参加国の旗手が国旗を持って入場。それに選手たちが、国別ではなく自由に入場し、開会式同様に客席に誘導された。

アトラクション 編集

ロシアの芸術 編集

アトラクションはマルク・シャガールなどロシアの産んだ芸術家の紹介に移った。アルフレート・シュニトケの『ビオラと管弦楽のためのポルカ』がバシュメットがビオラ部をターニャ・サミュエルがバイオリン部を演奏する演奏される中、フィールドにシャガールの絵が映され天地が逆転したフロートなどシャガールの絵をイメージしたフロートが登場した。

ロシアのピアニスト 編集

 
デニス・マツーエフよる演奏

つづいて62台のグランドピアノのレプリカが燕尾服にかつらをつけた道化師によって運ばれ、所狭しとそれを動かすパフォーマンスを展開、ロシアが多数の優れたピアニストを輩出した音楽・ピアノ大国を紹介するアトラクションに移った。中央には本物のグランドピアノが現れ、デニス・マツーエフによってセルゲイ・ラフマニノフの『ピアノ協奏曲第2番』が演奏された。

ロシアのバレエ 編集

 
アンナ・パヴロワの『瀕死の白鳥』

セルゲイ・ディアギレフ(演:ユーリ・スメカロフ(マリインスキー))、アンナ・パヴロワ(演:クセーニャ・ジガンシヴァ(ワガノワバレエ学校在学))とエンリコ・チェケッティ(演:マクシム・ユージン(マリインスキー))とロシアのバレエの創始者が現れるとリムスキー=コルサコフの『シェヘラザード』が流れる中で、懸垂されたボリショイ劇場マリインスキー劇場を表す二つの舞台の「額縁」と豪奢なシャンデリアが上空から降りてくる、そこから白いチュチュバレリーナがと黒いズボンに白いシャツの男性バレエダンサーも登場、そこへ『シェヘラザード』のゾベイダ(アリサ・ソドレワマリインスキー・バレエ))、同作の黄金の奴隷(デニス・ロドキン(ボリショイ・バレエ))、『薔薇の精』の薔薇の精(アントン・コルサコフマリインスキー・バレエ))『瀕死の白鳥』の白鳥(マリア・セメニャチェンコ(ボリショイ・バレエ))、『火の鳥』の火の鳥(アナスタシア・コレゴワマリインスキー・バレエ))が登場し華麗に踊った[1]

ロシアの文学 編集

本が積み重されている図書館に案内されたリュボフと友達たち、アラム・ハチャトゥリアンの『仮面舞踏会』(ミハイル・レールモントフ原作)のワルツが流れる中、周りには、レフ・トルストイフョードル・ドストエフスキーアレクサンドル・プーシキンアントン・チェーホフアンナ・アフマートヴァアレクサンドル・ブロークオシップ・マンデリシュタームウラジーミル・マヤコフスキーヨシフ・ブロツキーアレクサンドル・ソルジェニーツィンら12人の文豪にふんした俳優らが机に向かい、原稿を見るなどしている。大きなパネルが周りに現れるとそこには歴史上の文豪の肖像写真が映される、その中で印刷工にふんしたパフォーマーが紙を撒きそのページの紙吹雪が天高く舞った。

ロシアのサーカス 編集

ドミートリイ・ショスタコーヴィチの「ジャズ組曲第2番」より第6曲「ワルツ第2」が流れる中サーカス団が登場、フィールドにはサーカス小屋が現れた。その後、音楽はセルゲイ・プロコフィエフの「シンデレラ」より第39曲「ワルツ」に変わり、フィールドでは実際のサーカス団員によるサーカスが同時に多数演じられた。

ギリシャ国旗掲揚、オリンピック旗引き継ぎ、韓国国旗掲揚 編集

アトラクションが終わると、オリンピック発祥国のギリシャ国旗国歌が演奏される中掲揚された。その後、オリンピック賛歌が演奏されオリンピック旗が降ろされた。そして次の開催国、韓国国旗が少年少女による国歌の歌唱の中掲揚されのち、オリンピック旗が今回、五輪が開催されたソチ市長からトーマス・バッハIOC会長を経て次回、五輪が開催される平昌郡守に渡された。

韓国のアトラクション 編集

次の開催国でもある韓国のアトラクションが行われた。景福宮の門が開く映像から韓国の歴史と、多様な国土を紹介し最後にソウル市街など現代の繁栄を示す映像が流された。

しかし映像の中に古代中国の四大発明の一つとされている「活字印刷」が含まれていたことから、活字の韓国起源説として中国のネット上で大きな問題になっていた[2]

韓国の擬人化し白いパジチョゴリをきた老人がカヤグム(伽耶琴)という韓国の琴で『アリラン』を演奏し始めた。それをオペラ歌手のスミ・ジョーがクラシック風に、ジャズでアレンジしたアリランを女性歌手ナ・ユンソンが引き継ぎ、さらに日本出身でピアニストの梁邦彦が白いピアノで弾き、ポピュラーソングにアレンジしたアリランをイ・スンチョルが歌い、韓国の長い歴史を『アリラン』のアレンジで表した。

聖火の消灯 編集

バッハIOC会長の演説後、ロシア映画「At Home Among Strangers」のエドゥアルド・アルテミエフの作曲によるテーマ曲(オーケストラ編曲)が流れる中、フィールドに3つのマスコットキャラクターが現れると、そこに聖火を表したたき火が登場。1980年モスクワオリンピックの閉会式で同オリンピックのマスコットのミーシャが空へ飛び立つシーンが数秒間映し出された後、「ダ・スヴィダーニヤ(さようなら)私たちの可愛いミーシャ」が流れる中、これを熊のマスコット「ミーシャ」が一滴の涙を流しながら吹き消した[3]。これと同時に、スタジアム外の聖火台の聖火も消灯された。

それと同時にチャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番が流れる中花火が打ち上げられた。

使用された楽曲 編集

日本での放送 編集

NHK総合テレビジョンにて2014年2月24日、1:05 - 3:35まで生中継で放送された。キャスターは冨坂和男アナウンサーと上條倫子アナウンサーが務めた[4][5]。また録画放送が同日、8:15 - 8:50[6]まで放送された[7]

脚注 編集

  1. ^ Закрытие Игр: рояли, балет и акробаты погрузили мир в русскую культуруSochi2014
  2. ^ “韓国のもの”にされた中国文化(6/8)=活字印刷―中国メディア レコードチャイナ 2014年3月21日
  3. ^ なお、モスクワオリンピック閉会式でもミーシャが涙を流す演出のマスゲームが行われていた。
  4. ^ ソチオリンピック ◇もう一度みせます 日本のメダルシーン ◇(中継)閉会式 - NHKクロニクル
  5. ^ ソチオリンピック ◇もう一度みせます 日本のメダルシーン ◇(中継)閉会式 - NHKクロニクル
  6. ^ 当初は10:00までの予定だったが、9:00から国会中継が組まれたため、短縮された。
  7. ^ ソチオリンピック (録画)◇閉会式 - NHKクロニクル

外部リンク 編集