7.65x21mmパラベラム弾(7.65x21mm Parabellum、.30 Luger又は7.65x21mm ルガー弾)は、拳銃用の実包であり、ルガーP1900ルガーP08拳銃の前身)などに採用された。1898年ドイツドイツ兵器弾薬製造会社 (Deutsche Waffen und Munitions Fabriken, DWM) が製造を開始した。開発したのはゲオルグ・ルガー(ゲオルク・ルガー)とヒューゴ・ボーチャード(フーゴー・ボルヒャルト)であり、ボーチャードが過去に開発した7.65x25mmボルヒャルト弾に代えて登場した。

7.65x21mm パラベラム
1973年にスイストゥーンで作られた7.65x21mmパラベラム弾
種類 拳銃
原開発国 ドイツ帝国
使用史
使用期間 1898年-1949年
使用者・地域 ドイツ, スイス, フィンランド
製造の歴史
設計者 ゲオルク・ルガー
フーゴー・ボルヒャルト
設計時期 1898年
製造者 ドイツ兵器弾薬製造会社(DWM)
特徴
薬莢形状 リム無し
弾丸 7.861 mm (0.3095 in)
首径 8.433 mm (0.3320 in)
底面径 9.906 mm (0.3900 in)
リム径 10.01 mm (0.394 in)
薬莢長 21.59 mm (0.850 in)
全長 29.84 mm (1.175 in)
雷管のタイプ 小型拳銃用

なお、パラベラム(Parabellum)とは、ラテン語si vis pacem, para bellum平和を望むなら、戦争に備えよ)を基にしたDWMの商標である(この格言自体もDWM社のモットーであった)[1]

7.65 mm ブローニング弾(.32ACP弾)や7.65 mm French Longue弾と混同しやすく、注意が必要である。

設計 編集

DWM社のゲオルク・ルガーは、従来の同直径7.65mm弾を改良してこの弾薬を作った。従来の7.65x25mmボルヒャルト弾7.63x25mmマウザー弾よりも全長が短く、7.62x25mmトカレフ弾と同長である。

重量6g、ボトルネック型のフルメタルジャケット弾 (FMJ) で、薬莢にリム(輪状の張り出し)が付いていない。FMJを使用した場合、初速は365 m/sで、弾道特性に優れ、反動も小さいが、その代わり威力は弱い。スイス陸軍のパラベラム拳銃で使うと、非常に正確に撃てる。

使用状況 編集

 
スイス陸軍7.65 mmパラベラムの外箱

ドイツ陸軍は7.65x21mm パラベラムの威力があまりに弱いため、9x19mmパラベラム弾と置き換えた。両弾のサイズは弾頭部分を除いてほとんど同じなので、銃身(バレル)を入れ替えるだけで使用可能である。

1900年、スイス陸軍はルガー拳銃を採用した際、7.65 mm ルガーを標準の実包として採用し、1940年代まで使用した。その後、スイス軍は、銃を同じ弾薬が使える自国製SIG P210に変更して1970年代まで使用した。

1922年、フィンランドは7.65mmルガー拳銃(フィンランドM/23モデル)を採用し、8000丁を装備したが、7.65mmのまま使用されたのはわずかであり、大半は9mmに改良して使用された。7.65mmのものも1980年までは非戦闘員用の武器として保管されていた。

7.65 mm ルガー弾は、民間向けの拳銃の弾薬としても使用された。イタリアのベネリ (en) B80、ベルギーのFN ブローニング・ハイパワー、アメリカのスタームルガーP89 (en) などである。

短機関銃でこの弾薬を使う機種もある。SIGベルグマン1920(スイスにベルグマンMP-18/1としてライセンスされた)、スイスM/Neuhausen MKMS、オーストリアSteyr MP 34、フィンランドSuomi M-26などである。

別名 編集

  • .30 Luger
  • 7.65 mm Luger
  • 7.65x21mm
  • 7.65x21mm Luger
  • 7.65x22mm
  • 7.65 mm Parabellum
  • 7.65 mm Para

脚注 編集

参考文献 編集

  • Barnes, Frank C CARTRIDGES OF THE WORLD 3rd Edition pgs 153, 177 1972 Digest Books, ISBN 0-695-80326-3

関連項目 編集