On Your Mark

CHAGE and ASKAの楽曲、日本の短編映画作品

On Your Mark」(オン・ユア・マーク)は、CHAGE&ASKA(現:CHAGE and ASKA)の楽曲。1994年8月3日に35枚目シングル『HEART/NATURAL/On Your Mark』の3曲目の楽曲として発売された。作詞・作曲は「飛鳥涼」の名義でASKA、編曲は澤近泰輔が担当している。

1995年7月15日には、楽曲をモチーフとしたスタジオジブリ制作によるプロモーション・フィルム用の短編アニメーション作品が公開された。原作・脚本・監督は宮崎駿

楽曲 編集

On Your Mark
CHAGE&ASKAの楽曲
収録アルバムCODE NAME.2 SISTER MOON
リリース1994年8月3日
規格8cmCD
12cmCD
カセットテープ
デジタル・ダウンロード
ジャンルポップ
時間6分37秒
レーベルポニーキャニオン
AARD-VARK
作詞者飛鳥涼
作曲者飛鳥涼
プロデュースCHAGE&ASKA
GO YAMAZATO

ミュージックビデオ
「On Your Mark」 - YouTube
ライブ映像
「On Your Mark」(CONCERT TOUR 2004 two-five) - YouTube

背景・音楽性 編集

1994年8月3日にシングル「HEART/NATURAL/On Your Mark」の収録曲として発売された[1]

当初は「アメリカン・フェスティバル '94」のテーマソングとして制作されたもので、アメリカのかっこよさや、アメリカの大地の雄大さが表現されている[2]

歌詞に登場する「君と僕」は、男女なのか男同士なのかは明らかにされていないが、作詞を行ったASKAは「なんとなくC&Aの15周年を意識してみようと思って」と制作当時のファンクラブ会報誌で語っている。自分たちがやっていることを自然な言葉で表現しようと思いながら書いたという[2]

1996年、海外の一流アーティストがCHAGE&ASKAの楽曲をカバーしたトリビュートアルバム『[[ one voice THE SONGS OF CHAGE&ASKA]]』が制作され、その中でCHAGE&ASKA自身も英語詞でのセルフカバーで2曲参加。そのうちの1曲が『On Your Mark』の英語バージョン『Castles In The Air』である。

メディアでの使用 編集

  • アメリカン・フェスティバル '94 テーマソング。
  • 日本電気 CMソング[注 1]
  • Iwataniスペシャル 鳥人間コンテスト2023 エンディングテーマソング。

参加ミュージシャン 編集

※アルバム『CODE NAME.2 SISTER MOON』のクレジットより抜粋。

  • Drums:長谷部徹
  • Bass:美久月千晴
  • Electric Guitar, Acoustic Guitar:是永巧一
  • Acoustic Piano, Keyboards:澤近泰輔
  • Synthesizer Sound Designer:中山信彦
  • Strings:JOEストリングス
  • Chorus:下成佐登子, 河合夕子, 中林たら

収録アルバム 編集

国内盤
海外盤

映像作品 編集

On Your Mark
 
監督 宮崎駿
脚本 宮崎駿
原作 宮崎駿
製作 Real Cast Inc.
(制作はスタジオジブリ
音楽 飛鳥涼
主題歌 CHAGE&ASKAOn Your Mark
撮影 奥井敦
編集 瀬山武司
配給 東宝
公開   1995年7月15日
上映時間 6分48秒
製作国   日本
言語 日本語
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解説 編集

CHAGE and ASKAがデビュー15周年に当たる1994年に発表した楽曲「On Your Mark」のPVスタジオジブリが手掛けたことで、当時話題となった作品である。CHAGE and ASKAのコンサート会場での上演を目的に制作され[3]、1995~96年のコンサートツアー「SUPER BEST3 MISSION IMPOSSIBLE」の会場で上映された[4]。宮崎駿が原作、脚本、監督を務めているが、台詞はなく、映像と音楽と効果音のみで構成されている。わずか6分48秒(本編は6分40秒)の短編でありながら、映像作品としての完成度は高く未だに根強い人気がある[4]

アニメーションと楽曲のコラボレーションは、コンサート演出用としてASKAが思いついたものである。ASKAの発案を受けて、CHAGE(現:Chage)が宮崎駿への依頼を提案したことから、スタジオジブリに企画が持ち込まれることになり[5]、ジブリ側も初めての試みに興味を示して快諾する。当時、宮崎は長編アニメ『もののけ姫』の制作に取りかかっていたが、順調ではなかったようである。プロデューサーの鈴木敏夫は、この企画が良い気分転換になるのではないかと考えて引き受けたと後日語っている[6][4]

楽曲「On Your Mark」では、幾度挫折しようとも諦めずに未来へ向かって走る2人が描かれているが[注 2]、宮崎はそれを、放射能で汚染される世紀末後の未来を舞台に、CHAGEとASKAをモデルにした2人の警官が翼の生えた少女を救うストーリーに仕上げている。地表が放射能で汚染され、病気が蔓延するような世界。そこで生きるとはどういうことなのかを考えながら制作したと語っている[7]。宮崎監督作品としては、『天空の城ラピュタ』以来の本格SFアクション活劇であり、CG技術を初めて使用した作品でもある[4]

CHAGE and ASKAのコンサート会場で上演されたほか、1995年7月15日、「ジブリ実験劇場」と銘打たれて劇場でも公開される。長編アニメ映画『耳をすませば』の同時上演作品として全国の劇場で上演され、あまりの人気ぶりに当時、長編化の打診もあった[4]

あらすじ 編集

オゾン層が破壊され危険な太陽光が降り注ぎ、原子力事故により地表が放射性物質で汚染され、人類が地下に住むようになった世紀末後の未来[7]の都市が舞台。ある日、警察隊が怪しげな団体の拠点に強襲をかけ激しい銃撃戦の末に制圧。内部を捜索していた主人公のふたりの警官は瀕死の少女を見つけて救助するが、その少女には翼が生えていた。しかしその特異性から少女は研究サンプルとしてカプセルに入れられて、強引に科学者チームに回収されてしまう。その場は引き下がった2人だがどうしても少女の事が忘れられず、研究所に侵入して少女を取り戻して空へ帰すために奮闘する。

登場人物 編集

いずれも台詞がないので声優はいない。

  • サングラスをかけた警官(CHAGEがモデル)
  • 茶髪の警官(ASKAがモデル)
  • 翼の生えた少女[注 3]

スタッフ 編集

製作 Real Cast Inc.[注 4]
原作・脚本・監督 宮崎駿
作画監督 安藤雅司
原画 大塚伸治、石井邦幸、遠藤正明、河口俊夫篠原征子百瀬義行、森友典子、小西賢一吉田健一、芳尾英明、稲村武志笹木信作、松瀬勝、野田武広、山田憲一
動画チェック 舘野仁美中込利恵、斎藤昌哉、井上博之
動画 手島晶子、北島由美子、大村まゆみ、柴田和子、中村勝利、柴田絵理子、小野田和由、倉田美鈴、桑名郁朗、沢九里、鈴木麻紀子、鈴木まり子、山森英司、松尾真理子、菊地華、鶴岡耕次郎、横山和美、ALEXANDRA WEIHRAUCH、東誠子、山浦由加里、西戸スミエ、槇田喜代子、長嶋陽子、末田久子、コマサ、富沢恵子、板野方子、岩柳恵美子、近藤梨恵、常木志伸、山本まゆみ、渡辺恵子、テレコム・アニメーションフィルム
作画協力 アニメトロトロ、OH!プロダクションスタジオコックピットスタジオたくらんけ
美術監督 武重洋二
美術 男鹿和雄田中直哉、山川晃、長縄恭子、春日井直美、伊奈涼子、平原さやか、福留嘉一
特殊効果 谷藤薫児、橋爪朋二、村上正博
キャラクター色彩設計 保田道世
仕上検査 井関真代
仕上 森奈緒美、守屋加奈子、熱田尚美、田口知、片山由里子、京都アニメーション、スタジオロビン、宮崎アニメーション、スタジオぴえろ福岡分室、スタジオアド、トレーススタジオM、スタジオOZ
色指定 鈴木孝子
撮影監督 奥井敦
撮影 籔田順二、高橋わたる、古城環
CG制作 株式会社リンクス、中野英樹、片塰満則、阿部慶ー、斎藤紀生
音響監督 浅梨なおこ
整音 大野映彦
録音スタジオ アオイスタジオ
音響制作 スタジオムーン、稲城和美、今井康之
SR・Dリレコ 西尾昇、阿部耕二
タイトル 道川昭
編集 瀬山武司
編集助手 水田経子、内田恵
監督助手 有冨興二
制作担当 高橋望
制作チーフ 川端俊之
制作デスク 田中千義、西桐共昭
制作進行 大塚浩二、長澤美奈子
制作総務 山本珠実、山田尚美
現像 IMAGICA
制作 スタジオジブリ
プロデューサー 鈴木敏夫

反響 編集

評価 編集

  • 1995年公開当時、反響が大きく長編化の打診も多かったという[4]
  • スタジオジブリの鈴木敏夫は、「僕らにとっても特別な作品」と表している[9]。本作が転機となって、行き詰っていた『もののけ姫』の制作がストーリーを全て変更して一気に進むことになったと自身の著書で述べている[6][4]

解釈 編集

  • 宮崎監督は、「音楽映画だから、見た人の感じたように受け取ってもらってかまわない」としながらも、暗号のようなものはいっぱい入れていると語っている通り、見る度ごとに、様々な異なる解釈が出来る仕組みとなっている[7]

備考 編集

  • 2005年11月16日にジブリ短編作品を収録したDVD『ジブリがいっぱいSpecial ショートショート』で初DVD化されるが、同DVDではクレジットタイトルの後に「吉田 健氏 (1955-1999)に捧ぐ。」と表示される。吉田健は当時CHAGE and ASKAが所属していたポニーキャニオンのプロデューサーで、CHAGE and ASKAの意向を受けてジブリに本作品の制作を依頼した人物。1999年9月に悪性リンパ腫でこの世を去っている[4]
  • 2020年3月13日からタワーレコードにて開催された「Breath Of Bless ASKA MUSEUM」で、ASKA私物のセル画が展示された[10]

上演・放送 編集

  • 1995年7月5日、CHAGE and ASKAのコンサートツアー「CONCERT TOUR '95~'96 SUPER BEST 3 MISSION IMPOSSIBLE」(1995年7月5日 - 1996年1月30日)で初披露された[4]
  • 1995年7月15日、長編アニメ映画『耳をすませば』との同時上演で劇場初公開された。
  • 2004年、CHAGE and ASKAのコンサートツアー「CHAGE and ASKA CONCERT TOUR 2004 two-five」のアリーナ公演で、「On Your Mark」が歌われる中、ステージバックで映像が流された[11]
  • 2017年1月5日と1月9日、アメリカで初上演。「もののけ姫」の公開20周年を記念した上映イベントで並演される[12]
  • 2023年、2月11日〜2月19日までイオンシネマ シアタス調布にて9日間限定で『耳をすませば』と同時上映される[13]

収録作品 編集

VHS・LD 編集

  • スタジオジブリ作品LD全集ジブリがいっぱい(TKLO-50180) On Your Mark収録(TKLO-50180-11)(1996年8月1日発売)
  • ジブリ実験劇場 On Your Mark(1997年7月25日発売)
PV、ライカリール(宮崎駿の直筆絵コンテで構成された本編のテスト版映像)収録。
CHAGE and ASKAのPVとして、当時彼らが所属していたポニーキャニオンからリリース(CHAGE and ASKA「Something There」PVも同時収録)。

DVD 編集

  • ジブリがいっぱいSPECIALショートショート(2005年11月16日発売)
日本語2.0ch、日本語5.1ch、英語2.0ch(「CASTLES IN THE AIR」)のそれぞれ歌詞あり/なしの計6パターン収録。映像特典としてライカリール収録。2014年5月20日、販売停止[14]
  • ジブリがいっぱいSPECIALショートショート 1992-2016(2019年7月17日発売)
日本語2.0ch、日本語5.1ch、英語2.0ch(「CASTLES IN THE AIR」)収録。映像特典としてライカリール収録。

Blu-ray 編集

  • 『宮崎駿監督作品集』(2014年7月2日発売)特別ディスク「On Your Mark」(2014年10月27日 - 2015年10月31日配布)
『宮崎駿監督作品集』購入者を対象に、期間限定で無償配布された[注 5]
日本語2.0ch、日本語5.1ch、英語2.0ch(「CASTLES IN THE AIR」)収録。
  • ジブリがいっぱいSPECIALショートショート 1992-2016(2019年7月17日発売)
日本語2.0ch、日本語5.1ch、英語2.0ch(「CASTLES IN THE AIR」)収録。映像特典としてライカリール収録。

関連項目 編集

『15th ANNIVERSARY On Your Mark』 編集

15th ANNIVERSARY On Your Mark
CHAGE&ASKAライブ・ビデオ
リリース
ジャンル POP / ROCK
レーベル ポニーキャニオン
CHAGE&ASKA 映像作品 年表
RED HILL
(1994年)
15th ANNIVERSARY On Your Mark
(1994年)
ASIAN TOUR IN TAIPEI
(1996年)
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15th ANNIVERSARY On Your Mark』(フィフティーンス・アニバーサリー オン・ユア・マーク)は、CHAGE and ASKAのインタビュー+ライブ作品。1994年9月21日にVHSLDで発売された。発売元はポニーキャニオン

背景 編集

本作は、『CONCERT TOUR'90~'91 "SEE YA!!"』や、『CONCERT TOUR 1992 "BIG TREE"』『SPECIAL EVENT 1993 GUYS〜夢の番人〜』『史上最大の作戦 THE LONGEST TOUR 1993-1994』など、今までのライブの模様を、2人のインタビューなどを交えて収録したもの。

リリース 編集

その後、2020年にDVDとしても販売された。

収録曲 編集

  1. DO YA DO
  2. YELLOW MEN
  3. Primrose Hill
  4. SOME DAY(C&A ver.)
  5. 心のボール
  6. 太陽と埃の中で
  7. LOVE SONG
  8. CATCH&RELEASE
  9. 僕はこの瞳で嘘をつく
  10. WALK
  11. SAY YES
  12. BIG TREE
  13. if(PV)
  14. GUYS
  15. 夢の番人
  16. MOON LIGHT BLUES
  17. HANG UP THE PHONE
  18. no no darlin'
  19. Sons and Daughters〜それより僕が伝えたいのは
  20. なぜに君は帰らない
  21. You are free
  22. YAH YAH YAH
  23. NATURAL(PV)
  24. On Your Mark(PV)

脚注 編集

注釈 編集

  1. ^ 1998年に使用された。
  2. ^ 楽曲については#楽曲を参照。
  3. ^ 絵コンテには「天使」と記載されているが[8]、作品完成後のインタビューでは「天使だとは言っていないし、鳥の人かもしれない。それはどうでもいいんです」と答えている[7]
  4. ^ 制作当時にCHAGE and ASKAが所属していた事務所。
  5. ^ もともと、『宮崎駿監督作品集』(2014年6月18日発売予定)に収録予定だったもの。ASKAの覚醒剤取締法違反(所持)容疑での逮捕を受けて急遽中止となっていたが(この影響で、同作品集の発売日は7月2日に延期)[15]、同作品集の購入者を対象に、本作品のみを収録した特別ディスクを無償配布するという措置が期間限定で取られる[16][9]

出典 編集

  1. ^ 別冊カドカワ 完全保存版430ページ CHAGE&ASKA『大事なものは変わっていく』(2000年) 角川書店 p1-430
  2. ^ a b CHAGE and ASKAファンクラブ会報「TUG OF C&A」1994年8月号
  3. ^ CHAGE and ASKAファンクラブ会報「TUG OF C&A」2007年5月号
  4. ^ a b c d e f g h i 『『ジブリがいっぱいSPECIALショートショート 1992-2016』同梱ブックレット』、6-7頁。 
  5. ^ ASKA. “「宮崎駿」さん”. 2017年6月26日閲覧。
  6. ^ a b 鈴木敏夫『天才の思考 高畑勲と宮崎駿』文藝春秋。 
  7. ^ a b c d アニメージュ」第206号、徳間書店、1995年8月。 
  8. ^ 『耳をすませば (スタジオジブリ絵コンテ全集 10)』徳間書店。 
  9. ^ a b 「宮崎駿作品集」購入者にチャゲアス「On Your Mark」特別ディスク配布 ジブリ独自の措置 ITmedia 2014年10月27日
  10. ^ ASKA、初の大型POP UP SHOP「Breath Of Bless ASKA MUSEUM」開催 - BARKS 2020年2月28日配信, 2020年5月20日閲覧
  11. ^ CHAGE and ASKA「On Your Mark」(CONCERT TOUR 2004 two-five) YouTube 2020年5月1日配信, 2021年11月7日閲覧。
  12. ^ 「もののけ姫」20周年上映会がアメリカで開催、チャゲアス「On Your Mark」も”. ナタリー. 2017年1月5日閲覧。
  13. ^ 宮崎駿の短編「On Your Mark」、28年ぶり「耳をすませば」と同時上映”. ナタリー. 2023年1月20日閲覧。
  14. ^ BD・DVD「宮崎駿監督作品集」発売延期ならびにDVD「ジブリがいっぱいSPECIALショートショート」出荷停止のお知らせ”. ウォルト・ディズニー・ジャパン (2014年5月20日). 2014年5月20日閲覧。
  15. ^ ナタリー - チャゲアス映像収録「宮崎駿監督作品集」が発売延期に”. 2014年5月21日閲覧。
  16. ^ 「On Your Mark」特別ディスクを配布します。 スタジオジブリ 2014年10月27日

外部リンク 編集

楽曲
映像作品