犬山藩
犬山藩(いぬやまはん)は、尾張国に存在した藩(ただし、藩と正式に認められて立藩したのは慶応4年(1868年)1月の新政府の計らいによるものであり[1]、江戸幕府の幕藩体制のもとでは、藩として認められていなかった)。居城は犬山城(白帝城)であり、現在の愛知県犬山市犬山北古券を支配した。
概要
編集慶長5年(1600年)の関ヶ原の戦いで西軍に与した犬山城主・石川光吉は改易され、代わって尾張には清洲藩に入部した徳川家康の四男・松平忠吉が52万石で入った。このとき、忠吉の御附家老として小笠原吉次が犬山に所領を与えられたのが、犬山領の始まりである。慶長12年(1607年)、吉次は下総佐倉藩へ移封された。この年、清洲藩では藩主の忠吉が嗣子なくして病死し、清洲藩は無嗣改易となった。その後、家康の九男・徳川義直が尾張藩主として尾張を支配し、犬山城には義直の附家老として徳川氏譜代の重臣・平岩親吉が11万3000石(一説に9万3000石)で入った。しかし慶長16年(1611年)、親吉は嗣子無くして病死し、その遺言によって遺領は義直の直轄領に編入され、空き城となった犬山城は親吉の甥平岩吉範が守衛した。
元和3年(1617年)、義直の附家老である成瀬正成が3万石で入って、尾張藩を補佐する犬山成瀬氏がここに成立した。第3代当主・成瀬正親時代の万治2年(1659年)、5000石の加増を受けて合計3万5000石を支配することとなり、尾張藩最大の知行を領する重臣となった。なお、犬山城は吉次の治世で城下町と城が整備され、最古の天守を持つ城として国宝とされている。
ところが、犬山成瀬氏はあくまで身分は尾張藩の徳川家を補佐する重臣という立場であり、独立した大名として見られることはなかった。このため、第7代当主・正寿や第8代当主・正住は尾張藩から独立しようと企てたが、いずれも失敗している。
慶応4年(1868年)1月、新政府の維新立藩により、犬山成瀬家は正式に犬山藩主となり、尾張徳川氏の尾張藩から独立した。明治2年(1869年)に藩主・成瀬正肥は版籍奉還により犬山藩知事に任じられる。
明治4年(1871年)旧暦7月14日)の廃藩置県で犬山藩は犬山県となり、11月22日に名古屋県(尾張藩を母体とする)に合併された。後にこの名古屋県は愛知県と改名後、額田県(旧三河国と旧尾張国知多郡)を合併する。
明治28年(1895年)、犬山城は成瀬氏の所有するところとなった。
歴代藩主
編集小笠原家
編集- 小笠原吉次(よしつぐ)
平岩家
編集(譜代)11万3000石
- 平岩親吉(ちかよし)
成瀬家
編集(譜代)3万石→3万5000石
幕末の領地
編集下之一色村 900石523987・石仏村 513石424988・沓掛村 2701石735107
- 春日井郡のうち - 6村
大曾根村 886石750977・下志段味村 218石897995・下原村 779石158997・南下原村 404石582001・小針村 707石017029・沖村 317石785004
- 丹羽郡のうち - 33村
入鹿神尾新田 70石372002・奥入鹿村 49石091000・安楽寺村 19石544001・河北村 39石700001・下野村 1145石362061・岩手村 3石842000・中般若村 30石110001・和田勝佐村 447石325012・古知野村 394石406006・中奈良村 167石397003・岩倉村 3470石912109・岩倉羽根村 489石796997・大山寺村 364石505005・富岡村 714石989990・橋爪村 1700石905029・五郎丸村 706石408020・丸山新田 189石945999・丸山新田 3472石250000・栗栖村 160石063004・善師野村 949石533020・塔之地村 1128石458984・前原新田 512石402100・南野新田 34石056999・今井村 612石872986・十吉新田 15石852000・羽黒村 3059石487061・羽黒新田 316石295013・富士村 126石912003・重吉村 946石056030・楽田新田 119石596001・橋爪新田 116石947998・木津村 122石744003・二之宮村 85石055000
- 葉栗郡のうち - 1村
草井村 59石875000
- 中島郡のうち - 4村
西島村 1372石854004・西溝口村 1081石297974・今村 600石398010・三宅村 1104石291992
- 海東郡のうち - 2村
甚目寺村 302石195007・諸桑村 152石412994
- 海西郡のうち - 1村
東条村 391石035004
- 知多郡のうち - 4村
亀崎村 755石583984・乙川村 2212石861084・成岩村 3143石121094・吹越村 166石261002
市之枝村 559石947021・東方村 250石725006・西加賀野井村 212石604996
- 多芸郡のうち - 1村
口ヶ島村 519石362000
- 安八郡のうち - 2村
牧村 948石760010・中村 246石149994
出典
編集- ^ “御三家ゆかりの5市集う 和歌山県田辺市で付家老サミット”. AGARA (紀伊民報). (2019年11月19日) 2021年6月20日閲覧。
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