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理想のヒモ生活』(りそうのヒモせいかつ)は、渡辺恒彦によるオンライン小説ライトノベル。『小説家になろう』に掲載したものを原案として、ストーリーなど大幅に改稿・先行したものがヒーロー文庫より刊行されている。イラストは文倉十

理想のヒモ生活
ジャンル ファンタジー
小説
著者 渡辺恒彦
イラスト 文倉十
出版社 主婦の友社
レーベル ヒーロー文庫
巻数 既刊12巻(2019年4月30日時点)
漫画
原作・原案など 渡辺恒彦(原作)
文倉十(キャラクター原案)
作画 日月ネコ
出版社 KADOKAWA
掲載誌 ヤングエース
レーベル 角川コミックス・エース
発表号 2017年3月号 - 連載中
発表期間 2017年2月3日 -
巻数 既刊7巻(2019年10月時点)
テンプレート - ノート
プロジェクト ライトノベル漫画
ポータル 文学漫画

日月ネコの作画による漫画版が、『ヤングエース』(KADOKAWA)にて2017年3月号から連載されている[1]

2019年5月時点で、シリーズ累計130万部[2]

あらすじ編集

ブラック企業に勤める山井善治郎は、休日のある日突然異世界に召喚され、その世界の大国カープァ王国の女王である美女アウラに求婚される。カープァ王国は長い戦乱で直系の王族が女王アウラ唯一人となってしまい国家存亡の危機期に瀕していたが、実は召喚された善治郎は150年前に駆け落ちしたカープァの王族の血統を引いていたのだった。

女王アウラが善治郎に保障した結婚の条件とは、王家の血統を残すための子作り以外何もする必要のない、自堕落な生活をしてくれる婿であった。美人の女王と結婚できなおかつ『ヒモ生活』。あまりにも『おいしすぎる条件』に不信を抱いた善治郎だったが、アウラ側の「子作り以外、特に政治的には何もして欲しくない」という裏の事情を見抜く。身寄りもなく、ただ働き続けるだけの毎日に嫌気が刺していた善治郎はあっさりとアウラの求婚を受け入れ、一か月後には異世界での女王の配偶者・王配としての理想のヒモ生活が始まるのだった。

異世界の文化や環境と現代日本人の感覚に戸惑いながらも後宮で良好な関係を築く善治郎とアウラ。しかし男尊女卑の気風が強いカープァ王国において、女王と王配の微妙な立場、血統のための側室取りの圧力など、周囲が2人を放ってはおかなかった。隙があれば、カープァ王家の血統を守り増やすため善治郎に側室を取らそうとする勢力や善治郎自身を自らの傀儡にしたい勢力の様々な陰謀や思惑もあり、善治郎はアウラと共に否応なくそれらに対処する羽目になっていく。また、150年前に駆け落ちしたカープァの王族と子孫・善治郎の秘密が明らかになると、事態と思惑はカープァ王国を大きく飛び越えていく。そんな中、ついにアウラが妊娠、善治郎も『血統魔法』に目覚めるのだった。

シャロワ・ジルベール双王国との交渉、街道の異変、北大陸からの来訪者など、次々と発生する事件にも自身を顧みずアウラと家族を第一に行動する善治郎だが、図らずもカープァ王国と女王アウラにとって都合がよくまた有能な人間であることを証明してしまう。またアウラは妻として善治郎の望みを喜ぶも、女王として国益のため嫌がる善治郎に側室取りを画策せざるを得なくなる。アウラの政治基盤とカープァ王国の未来のため、善治郎の理想のヒモ生活は徐々に軌道修正が迫られるのだった…。

ウェブ版と書籍版編集

本作は『小説家になろう』掲載版(以下ウェブ版)と書籍版ではストーリーの展開や分量が大きく異なる。ウェブ版は4巻相当を超えた分で更新が停止しており、書籍版も4巻までは大幅な書き足しや配役・ストーリーの変更などが行われている。また5巻相当分からは大きく異なる展開となり、特に決定的な分岐として、書籍版では北大陸からフレア王女が来航しストーリーの中心となっていく[3]

登場人物編集

カープァ王国編集

山井善治郎→ゼンジロウ・カープァ
本作の主人公。カープァ王国の女王アウラの夫で、物語開始時点で24歳の平凡な男性。身長172cm[4]。アウラによって異世界に召喚され、唯一人残された王家の彼女と結婚してカープァ王国初の王配になった。家族を何より大事に思っている。
実は5代前のカープァ王国の王子が善治郎の世界に駆け落ちした結果、生まれた子孫の一人で、王家の血を持つ者しか使えないとされる「時空魔法」に適性を持つ。また、駆け落ち相手であるシャロワ王家の血も引いており、南大陸の王族としては非常に稀有(≒タブー)な存在である。
本人は自分を庶民と自認しているが、わずかな情報から相手の裏の思惑を推測する洞察力と状況に応じた適切な判断力を兼ね備えており、その場に応じた立ち居振る舞いができるなど、王族として決して無能ではない。加えて現代日本から持ち込んだ知識と所持品を王国のために役立てており、本人の意図に関わらず功績を挙げ続けている。しかしその倫理観は現代日本のものであるため、側室をめとることや家族を政争に巻き込むことに強い拒否感を持っている。
結婚にあたりパソコン、エアコン、冷蔵庫、テレビ、ゲーム機といった電化製品を持ち込み、自身の生活空間である後宮の侍女たちに徐々に影響を与えてゆく。
アウラ・カープァ
カープァ王国の女王で本作のヒロインの一人。物語の開始当初は25歳。長身(身長170cmくらい[5])の非常にグラマラスな巨乳(を通り越して爆乳と呼ぶに相応しい大きさ[6])美人で褐色の肌と紅色の長髪が特徴。誠実な人柄であるが、国益のためには夫・善治郎を切り捨てることも是とする、女王としての冷徹さを併せ持つ。先の戦乱で軍を率いていたため、武人として当たり前程度の身体能力とそれにふさわしい体躯を持つ。即位前から政治家として有能であり、王としてふさわしい威厳を持つため、男性優位社会のカープァ王国では男勝りで女性としての魅力が低いとされている。しかし善治郎にとって「生まれたときから愛してました!」といいたくなるほど魅力的な美人。王家のみに伝わる血統魔法の『時空魔法』をつかう。善治郎が時空魔法を使えるようになるまで唯一の時空魔法の使い手だった。
先の長い戦乱で次々と死亡した兄、弟、叔父の後を継いで即位した。直系の王族唯一の生き残りで血統魔法の時空魔法を使えたため、男性優位社会のカープァ王国で女性ながら王位についた経緯がある。またカープァ王家特有の「時空魔法」を次代に残す義務を持っていた。しかし女王という立場のため、男性優位社会のカープァ王国で傍系であれ王家の血を引くカープァ王国の貴族の王配は、女王派、王配派に分かれた内乱につながりかねない。苦渋の決断で、かつて異世界へ駆け落ちした5代前の王族の血を色濃く引く、カープァ王国と利害関係の全くない人間を時空魔法を用いて召喚することにした。召喚された人間=善治郎がアウラの求婚を受け入れ、カープァ王国で初めて王配を持つ女王となった。当初、善治郎には王家の血統を守るためだけで他に何もしなくて良いこと(ヒモ生活を送ること)を望んでいたが、アウラを真剣に愛し常にアウラに最も都合の良い行動をとる善治郎の人柄とその能力の高さ故、王としての立場から彼を政治舞台に立たせなければならなくなった。善治郎を愛する一人の妻として善治郎が何もしなくて良いことを約束をした王として、夫を望まぬ立場に立たせることに苦悩する。
カルロス・善吉・カープァ
善治郎とアウラの息子。その身に宿す魔力はアウラよりも多く、善治郎の約2倍。カープァ王家の「時空魔法」とシャロワ王家の「付与魔法」を両方扱える素質を持つ。
善治郎の持ち込んだ電化製品の恩恵を一番受けており、カープァ王国の気温は活動期ですら大泣きで受け付けない。
フアナ・善乃・カープァ
善治郎とアウラの娘。カルロス・善吉と同じくカープァ王家の「時空魔法」とシャロワ王家の「付与魔法」の血統を受け継ぐ。
ファビオ・デウバジェ
アウラの筆頭秘書官。
秘書官として忠誠心が高く能力も申し分ないが、不興を買うことを恐れず主人であるアウラや善治郎にズケズケと意見したり、また善治郎のアウラへの忠誠心を試すなど人格に少々問題あるが、その識見の高さで女王の右腕として重用されている。軍の最高職である元帥、政治の最高職の宰相がカープァ王国にいないときには、ファビオの持つ権力はかなり大きかった。
プジョル・ギジェン
騎士団の将軍で軍事部門のトップで勇猛で有能。アウラ女王の元婚約者候補。
餓狼と呼ばれるほど、自分の欲望(元帥位の獲得)に忠実で、その邁進に暇がない。欲望達成に向けて直線的過ぎるため、アウラによって阻止されてきた。
小説版では、ルシンダ・ガジールを娶り、飢狼と呼ばれる直情さ強かさが加わってしまった。
ラファエロ・マルケス
操り人形と揶揄されるほど、マルケス家当主である父親に忠実な文官。アウラ女王の元婚約者候補。
官僚としては最高に有能だが、貴族の跡継ぎとしては覇気・積極性に乏しい。善治郎配下の官僚として、一時的に北大陸の国との折衝の実務責任者となる。プジョル将軍に比べて善治郎からの好感度は高い。ただしラファエロは善治郎に対して評価する一方で、逆鱗がどこかもわからずなだめる方法も見当がつかない「化け物」と感じている。
エスピリディオン
アウラの信頼厚き、王家に次ぐ魔力を持つ凄腕の魔法使いにして賢者。齢70を超えている。通常の四系統魔法はもちろん、血統魔法についても知識を持っている。
アマンダ
侍女長。既婚ですでに子供も独り立ちしている年代であるが、漫画版では20代後半程度の姿に描かれている。
マルグレーテ
アウラの信頼厚き侍女。部下が何人かいる。白い肌に金髪、緑色の瞳とカープァ王国人とはかけ離れた容姿をしている。おしゃべり好きで噂好き。
ルシンダ・ガジール
ガジール辺境伯の長女、先の戦争で行き遅れてしまった。書籍版ではプジョル・ギジェンと婚姻し、ウェブ版では善治郎の側室候補。どちらも思慮深い女性とされている。

シャロワ・ジルベール双王国編集

イザベッラ・ジルベール
ジルベール法王家の王女。五指に入る「治癒魔法」の使い手。
40歳過ぎ位の年齢で、ウェブ版と書籍版では相応にふくよかな体型とあるが、漫画版では年齢の割に若い容姿で描かれ、アウラにその容姿も治癒魔法のおかげかと尋ねられる。
フランチェスコ王子
シャロワ王家の第一王子の長男。五指に入る「付与魔法」の使い手で、細工師としての腕前もトップクラス。
ボナ王女
シャロワ王家の血を引く下級貴族の次女の生まれだが、「付与魔法」に目覚めたため王族に迎えられた。
ルクレツィア・ブロイ
本作のヒロインの一人。初登場は8巻。年齢は多く見積もっても15歳になるが、それ以上に幼く見える。青色の瞳に金髪のサイドテールで幼い体つきをしている。ブロイ侯爵家の養女。実際は王族であるが、シャロワ王家の血統魔法である「付与魔法」の能力がなかったので、この世界の決まり事として王族から外され、ブロイ侯爵家の養女に出された。王族への復権を熱望し、そのため善治郎の側室を狙っており、側室になればライバルになるフレア王女にさえ頭を下げて必死に自分を売り込んでいる。少々あざといドジっ子。

ウップサーラ王国(北大陸)編集

フレア・ウップサーラ
ウップサーラ王国の第一王女で本作のヒロインの一人。初登場は5巻から。初登場時の年齢は10代後半。身長は160cm前後。青みがかった銀色の髪をバッサリ切りそろえている。普段は船長として男装している。 北大陸より航海してきたが、予定より南に流され船自体が損傷したこともあり、カープァ王国南端の王族領の港に入港する。結婚までは自由に生きて、それ以後は王族女性として普通に家庭に入るつもりでいたが、貿易という国益と妻であるアウラ女王を束縛しない善治郎の人柄を知り、結婚後も自由に生きられる彼の側室になることを目指し活動する。アウラからの許諾を得つつ、周りからは側室になるのは時間の問題と思われる状態までになる。

世界設定編集

魔法
善治郎が召喚されたこの世界では、一般の人たちが使用できる四大魔法と、王族のみがその血統により使うことのできる血統魔法が存在する。王族は血統魔法を使えることが絶対条件である。血統魔法を使えない者は王族より外され、身分が低い者でも血統魔法が使えれば王族として迎えられる。それ故、他国の王族との結婚は血統魔法を盗むことにつながり、国同士のバランスオブパワーの崩壊を招くためタブーとされている。
発動に必要な条件は「正しい発音」「正しい認識」「正しい魔力量」。
カープァ王国
南大陸西部にある大国、気候としては熱帯の高温多湿気候で90%が森林(密林と言うべきか?)。数年前まで続いた戦争の痛手からようやく立ち直りつつある。男尊女卑の風潮が強く、女性であるアウラが王位に就いていることを快く思わない者も多い。
王家の血統魔法は「時空魔法」。王家の紋章は「開かれた扉」と「砂が上に流れる砂時計」。
シャロワ・ジルベール双王国
南大陸中央部の大国で、気候としては高温乾燥気候で砂漠も多い。シャロワ王家とジルベール法王家が並立している。シャロワ王家は23人、ジルベール法王家は19人いる。
シャロワ王家の血統魔法は「付与魔法」、ジルベール法王家の血統魔法は「治癒魔法」。
ウップサーラ王国
北大陸北部にある国。北大陸の国としては珍しくもない、王族が血統魔法を持たない国。
魔法よりも科学技術が旺盛で、4本マストの帆船建造技術や鉄の鋳造などがある。国民は男女問わず大柄。
船や海は女性と認識するため、女性の船長は男装し、男性の既婚船長は一時的に本来の妻と離婚してから航海に出る。

書籍情報編集

脚注編集

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  1. ^ 理想のヒモ生活 コミカライズ開始のお知らせ - ヒーロー文庫
  2. ^ コミカライズも絶好調!ヒーロー文庫『理想のヒモ生活』の最新刊が電子配信!合わせて1巻の100円セールも実施!! - PR TIMES・2019年5月27日
  3. ^ プジョル将軍の塩の街道における群竜討伐でも、ウェブ版では善治郎の持ち込んだデジタルカメラを借りて群竜の本体を突き止めるが、書籍版ではデジタルカメラは貸し出されず、大規模な山狩りをおこなったため群竜に逃げられてしまう。またウェブ版ではガジール辺境伯との婚姻を狙うプジョル将軍の思惑にアウラが事前に気づいたため牽制を行い、結果として娘のルシンダが善治郎の側室(候補)となるが、書籍版では事前に気づかなかったためプジョル将軍とルシンダと婚姻を認めることになる。いずれも書籍版では善治郎がフレア王女を迎えに行ったために、アウラと群竜討伐の話し合いができなかったことで起こった分岐である。
  4. ^ ウェブ版(第一章4【思い通りにいくことは少ない】)、書籍版(第一章 一時帰還p.75~76)。
  5. ^ Web掲載版(第一章4【思い通りにいくことは少ない】)、書籍版(第一章 一時帰還p.75~76)。“善治郎の方が指一本分程度だが、高い。”
  6. ^ Web掲載版(プロローグ1【半年ぶりの二連休は異世界で】)、書籍版(プロローグ 半年ぶりの二連休は異世界で p.7)

外部リンク編集