宝山寺(ほうざんじ)は、奈良県生駒市門前町にある真言律宗の大本山。生駒聖天(いこましょうてん)とも呼ばれる。本尊は不動明王鎮守神として大聖歓喜天(聖天)を聖天堂(天堂)に祀っている。

宝山寺
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本堂と境内
所在地 奈良県生駒市門前町1番1号
位置 北緯34度41分4.8秒
東経135度41分11.6秒
座標: 北緯34度41分4.8秒 東経135度41分11.6秒
山号 生駒山
宗派 真言律宗
寺格 大本山
本尊 不動明王
創建年 延宝6年(1678年
開山 湛海
別称 生駒聖天
札所等 仏塔古寺十八尊第15番
真言宗十八本山第13番
大和十三仏霊場第1番
近畿三十六不動尊第29番
西国愛染十七霊場第14番
役行者霊蹟札所
神仏霊場巡拝の道第29番
大和北部八十八ヶ所霊場第34番
文化財 獅子閣・厨子入木造五大明王像ほか(重要文化財
紙本墨画十巻抄10巻・観世世阿弥能楽伝書8点ほか(県指定文化財)
公式HP 寶山寺公式ホームページ
法人番号 7150005002276 ウィキデータを編集
宝山寺の位置(奈良県内)
宝山寺
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歴史編集

 
宝山寺参道

生駒山は伝承によれば斉明天皇元年(655年)に役行者が開いたとされる修験道場で、空海(弘法大師)も修行したと伝わる。その当時は都史陀山 大聖無動寺(としださん だいしょうむどうじ)という名であったという。

江戸時代延宝6年(1678年)に湛海律師が再興するが、この時が事実上の開山だと思われる。延宝8年(1680年)正月には村人や郡山藩家老らの援助により仮本堂が建立され、後には大聖歓喜天を鎮守として祀った。貞享5年(1688年)には新本堂が完成して伽藍の整備が終わり、寺名を宝山寺と改めた。

大聖歓喜天を祀る宝山寺は商売の神として大坂商人の信仰を集めた。京都皇室江戸徳川将軍家、郡山藩主柳沢家からの祈願もあり、聖天信仰の霊場として有名であった。参詣者が多いため、1918年大正7年)には日本最初のケーブルカーである生駒鋼索鉄道(現・近鉄生駒鋼索線)が敷設された。現在でも年間300万人の参拝客を集めるとされる。麓から続く参道の階段は奥の院まで含めると1,000段余りあり西日本有数の規模を誇る。

境内編集

 
般若窟
 
獅子閣
  • 本堂 - 貞享5年(1688年)に郡山藩家老梶金平一雄・梶民部一貞父子が施主となり、大坂の日下利左衛門一法がこれを助け、大和国富雄の庄屋大神和家が奉行となって建立された。本尊・不動明王を祀る。
  • 聖天堂(天堂) - 1877年明治10年)再建。聖天堂内陣の円檀中央に大聖歓喜天の厨子、その背後の造り付けの厨子には、荒神十一面観音毘沙門天が祀られている。
    • 中拝殿 - 1877年(明治10年)建立。
    • 外拝殿 - 京都の豪商角倉与一により文化2年(1805年)に建立。
  • 天神社 - 祭神:菅原道真
  • 朝日宝塔 - 1900年(明治33年)11月7日建立。銅製の5重宝塔。
  • 絵馬堂
  • 中門
  • 御茶所
  • 庫裏
  • 客殿
  • 西門
  • 文殊堂 - 1978年昭和53年)3月建立。
  • 常楽殿
  • 観音堂 - 天保15年(1844年)9月再建。
  • 遥拝所
  • 般若窟 - 本堂の背後に切り立つ岩壁にある岩窟。朝日嶽にある。役小角般若経を納めたと伝わる。弥勒菩薩弁財天が祀られている。
  • 多宝塔 - 1957年(昭和32年)5月建立。
  • 石仏群
  • 五社明神
  • 水掛地蔵
  • 大師堂 - 1967年(昭和42年)3月21日再建。弘法大師を祀る。
  • 開山廟
  • 開山堂 - 明和6年(1769年)6月建立。正面にある唐破風は1964年(昭和39年)11月に増築された。
  • 奥の院本堂 - 安政3年(1856年)11月再建。京都の中田氏の寄進により護摩道場として作られたもの。
  • 奥の院客殿
  • 白龍弁財天社
  • 大黒堂
  • 福徳大神
  • 鐘楼
  • 獅子閣(重要文化財) - 1884年(明治17年)築。洋風の客殿。
  • 七福神
  • 地蔵堂
  • 和光殿 - 建物内には売店・喫茶店がある。休業日がある。
  • 惣門
  • 金剛殿
  • 経蔵
  • 心洗閣

文化財編集

 
絹本著色愛染明王像
 
絹本著色弥勒菩薩像

重要文化財編集

  • 獅子閣 - 1884年(明治17年)建立の洋風建築。
  • 木造不動明王及脇侍像5軀(不動明王坐像、制多迦童子立像、矜羯羅童子立像、蓮華吉祥天立像、薬厠抳立像)・銅造倶利迦羅竜剣1基[1]
  • 厨子入木造五大明王像 5躯 - 元禄14年(1701年)湛海作、聖天堂安置。
  • 絹本著色春日曼荼羅
  • 絹本著色愛染明王像
  • 絹本著色弥勒菩薩像
  • 能本(世阿弥筆)5巻
    • 盛久、タタツノサエモン、江口、雲林院、柏崎(各1巻)
    • 附:弱法師(竹田広貞筆)1巻

奈良県指定有形文化財編集

  • 紙本墨画十巻抄10巻
  • 観世世阿弥能楽伝書8点
  • 金春禅竹能楽伝書5点
  • 金春家武芸関係資料13巻

山主歴代編集

  • 中興開山:宝山湛海
  • 2世:妙道湛清
  • 3世:大淵亀海
  • 4世:全道観明
  • 5世:玄光叡運
  • 6世:聆賢光善
  • 7世:智海光實
  • 8世:義山観光
  • 9世:空観恵達
  • 10世:信入隆源
  • 11世:光幢一實
  • 12世:傳瑞法英
  • 13世:法慶實乗
  • 14世:法禅乗空
  • 15世:隆範英空
  • 16世:覺隆慧證
  • 17世:明瑞乗圓
  • 18世:叡海實道
  • 現住:大矢實圓

授与品編集

  • 聖天念珠
    • 授与品のなかに「聖天念珠」という「本連の片房」念珠。母珠が一つある。「弘法大師御請来型」の念珠とほぼ同型である。聖天の「浴油供」で行われる「数取り」に最適であるとされる。浴油供に用いるには、ふさわしい念珠ともいえる。一般への販売も行っており、境内で「聖天念珠」を用いて礼拝を行っている信徒も多い。
    • 境内にある聖天堂近くの授与所と和光殿で販売されている。価格は3,000円から(2018年4月現在)。母珠に聖天と不動明王の梵字を刻み込んだものや、房の色や珠の材質の違うものが数種類あり、価格が異なる。また、念珠の中糸が赤色になっているものがあり、東密の事相に基づいた念珠の様式を採っている。
  • 木箱の護符 
    • 「歓喜天のお札」を「木箱」に納めている授与品。大小2種類ある。浴油祈祷(祈祷料でお札の種類が異なる)を申し込んだ後に授与されたり、浴油祈祷を申し込まなくても、授与所でも授与されている。宝山寺の歓喜天は秘仏であるため、お札を秘仏の歓喜天に見立て、木箱に納めることで、歓喜天が秘仏であることを表現しているとともに、封印することで、お札が汚れないようにする意味もある。
    • 祀り方は、最初から「包み紙」で木箱を包んであり、木箱が開けられないようにしてあるので、その包み紙の封を破らずに、そのままお祀りする。
  • 身代りお守り
    • 緑色のビニール製のお守り袋の中に、「除災招福」の文字と「歓喜天の梵字」が焼き印で押印してある木札の護符が納められている。宝山寺駐車場に隣接する「交通安全御祈祷所」向かいの授与所と山門内の授与所で授与されている。

札所編集

仏塔古寺十八尊
14 千光寺 - 15 宝山寺 - 16 鏑射寺
真言宗十八本山
12 醍醐寺 - 13 宝山寺 - 14 朝護孫子寺
大和十三仏霊場
1 宝山寺 - 2 西大寺
近畿三十六不動尊
28 成田山明王院 - 29 宝山寺 - 30 如意輪寺
西国愛染十七霊場
13 西大寺 - 14 宝山寺 - 15 施福寺
役行者霊蹟札所
神仏霊場巡拝の道
28 霊山寺 - 29 宝山寺 - 30 朝護孫子寺
大和北部八十八ヶ所霊場
33 根聖院 - 34 宝山寺 - 35 教弘寺

交通編集

宝山寺と近鉄創業期編集

1914年(大正3年)4月30日に現在の近畿日本鉄道(近鉄)の直系母体会社である大阪電気軌道(大軌)が初の路線である上本町駅(現・大阪上本町駅) - 奈良駅(現・近鉄奈良駅)間の路線(現、近鉄奈良線)を開業させた際、生駒山の麓に生駒駅が開設されて宝山寺の参詣者は大幅に増加したといわれる。しかしその生駒山を貫く生駒トンネルの莫大な開削費用負担や、沿線人口が少なく観光客頼みであった輸送が雨天期になって減少したことで、大軌は「大阪天気軌道」と揶揄された。

開通して間もない6月下旬には、社員給料の支払いはおろか翌日に使う切符の印刷費も出せないほどに財政が窮乏した。同社の取締役の一人であった金森又一郎(後、同社の代表取締役社長)は夜遅く宝山寺に向かい、寺に乗車券10万枚と引き換えに賽銭を貸して頂けないかと頼み込んだ。その結果、当時の管主は「大軌が開業する際に宝山寺が生駒に駅を設けることを請願したため、貴社は生駒トンネルの建設に苦しむこととなった。よって当寺にも大軌の苦境の責任がある。力になれるならぜひとも」として、快く資金を都合してくれたという話が残っている。この賽銭は給料にも回されたため、当時の大軌社員の給料袋はズッシリ重かったという。

今も宝山寺には、金森の書いた借用証書が残されているという。また、日本初のケーブルカーが生駒に開業した要因の一つには、上記の話に対する大軌の礼というものもあったといわれる。

 
生駒鋼索鐵道 中央行違線

脚注編集

  1. ^ 平成28年8月17日文部科学省告示第115号。
[脚注の使い方]

外部リンク編集