産経児童出版文化賞(さんけいじどうしゅっぱんぶんかしょう)は、学校図書館法の施行にあわせて1954年(昭和29年)に産業経済新聞社が創設した賞で、児童文学の賞の一つ。同社主催のもと、次世代を担う子供たちに優れた本を与える目的で制定された。現在の後援はフジテレビジョンニッポン放送で、JRグループ[1]が協賛、協力は東京都飯田橋にあるホテルメトロポリタンエドモント

第9回から第35回(1962年から1988年)はサンケイ児童出版文化賞の表記が使われた[2]

概要 編集

対象作品は前年の1月1日から12月31日までの1年間に日本国内において出版されたすべての児童書籍の中から、選考委員の審査を経て選ばれる。受賞作は毎年5月5日こどもの日に発表、贈賞式は5月末か6月初頭にホテルメトロポリタンエドモントにて行われ、文仁親王妃紀子が臨席する。

毎年の受賞は最優秀賞ともいえる大賞のほかに各部門賞があり、部門名や受賞作品数は後援や協賛の違いなどにより異なる年もある。選考委員は川端有子土居安子落合恵子さくまゆみこ木下勇張替惠子など。

2007年、受賞基準が一部改定された。それまで海外児童書の翻訳本についても大賞と各部門賞の作品選考対象であったが、受賞作に翻訳本が多いことから、日本人または日本国内に居住する原作者の本のみを対象とするよう改定され、新たに翻訳作品賞が設けられるようになった。また、この改定に伴い、大賞とJR賞に次ぐ受賞であった「賞」部門は「産経新聞社賞」へ変更となり、受賞作品数もそれまでの5点から1点に変更されている。このほか、受賞作とは別に推薦作品10点が選ばれていたが、この改定後から選考休止となっている。

大賞
賞金50万円
賞状・楯
記念品
JR賞
賞金30万円
賞状・楯
記念品
美術賞
賞金20万円
賞状・楯
産経新聞社賞
賞金10万円
賞状・楯
フジテレビ賞
賞金10万円
賞状・楯
ニッポン放送賞
賞金10万円
賞状・楯
翻訳作品賞
賞金10万円
賞状・楯

歴代受賞作 編集

現行の賞 編集

大賞 編集

※ 1961年より新設

JR賞 編集

※ 協賛により1990年新設

タイヘイ賞 編集

※ 2023年より新設

  • 第70回(2023年) - 「ぼくとお山と羊のセーター」(作/飯野和好:偕成社)

美術賞 編集

※ 1979年より新設

産経新聞社賞 編集

※ 改定により2007年新設

  • 第54回(2007年) - 「どこかいいところ」(詩/高木あきこ、絵/渡辺洋二:理論社)
  • 第55回(2008年) - 「幸子の庭」(著/本多明:小峰書店)
  • 第56回(2009年) - 「いぬうえくんが わすれたこと」(作/きたやまようこ:あかね書房)
  • 第57回(2010年) - 「野生動物のお医者さん」(著/齊藤慶輔:講談社)
  • 第58回(2011年) - 「はやくはやくっていわないで」(作/益田ミリ、絵/平澤一平ミシマ社
  • 第59回(2012年) - 「鉄は魔法つかい」(作/畠山重篤、絵/スギヤマカナヨ:小学館)
  • 第60回(2013年) - 「まぼろしのノーベル賞 山極勝三郎の生涯」(著/神田愛子:国土社)
  • 第61回(2014年) - 「クモの巣図鑑」(著/新海明、写真/谷川明男:偕成社)
  • 第62回(2015年) - 「町工場のものづくり」(小関智弘少年写真新聞社
  • 第63回(2016年) - 「すぐそこに、カヤネズミ」(畠佐代子:くもん出版)
  • 第64回(2017年) - 「アイヌのむかしばなし ひまなこなべ」(文/萱野茂、絵/どいかや:あすなろ書房)
  • 第65回(2018年) - 「こんぴら狗」(今井恭子:くもん出版)
  • 第66回(2019年) - 「ひだまり」(文/林木林、絵/岡田千晶:光村教育図書)
  • 第67回(2020年) - 「家をせおって歩く かんぜん版」(作/村上慧:福音館書店)
  • 第68回(2021年) - 「バウムクーヘンとヒロシマ ドイツ人捕虜ユーハイムの物語」(著/巣山ひろみ、絵/銀杏早苗:くもん出版)
  • 第69回(2022年) - 「ハタハタ 荒海にかがやく命」(文・写真/高久至:あかね書房)
  • 第70回(2023年) - 「ひろしまの満月」(作/中澤晶子:小峰書店)

フジテレビ賞 編集

※ 後援により1994年新設

ニッポン放送賞 編集

※ 後援により1994年新設

翻訳作品賞 編集

※ 改定により2007年新設

過去の賞 編集

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※ 改定により2007年中止

理想教育財団科学賞 編集

※ 後援により1996年新設

  • 第43回(1996年) - 「風にのれ! アホウドリ」(著/長谷川博:フレーベル館)
  • 第44回(1997年) - 「森の新聞 4 ホタルの里」(著/大場信義:フレーベル館)
  • 第45回(1998年) - 「湖の世界をさぐる」(共著/西條八束村上哲生:小峰書店)
  • 第46回(1999年) - 「黒いトノサマバッタ」(著/矢島稔:偕成社)

※ 後援終了により2000年中止

歴代推薦作 編集

※ 改定により2007年中止

脚注 編集

  1. ^ JR東日本JR東海JR西日本JR北海道JR四国JR九州JR貨物の7社。
  2. ^ 過去の受賞作品”. 産経児童出版文化賞. 2023年9月28日閲覧。
  3. ^ 森住さん、受賞を辞退 産経児童出版文化賞 47NEWS 2004/05/11【共同通信】 - ウェイバックマシン

外部リンク 編集