田中沙紀
田中 沙紀(たなか さき、1994年11月18日[1][2] - )は、将棋の女流棋士。石川県金沢市出身[2]。大野八一雄七段門下[3](女流3級時は木村義徳九段門下)[注釈 1]。金沢星稜大学女子短期大学部卒業[2]。
田中沙紀 女流1級 | |
---|---|
名前 | 田中沙紀 |
生年月日 | 1984年11月18日(30歳) |
プロ入り年月日 | 2021年(26歳) 9月 1日 |
LPSA番号 | 22 |
出身地 | 石川県金沢市 |
所属 | 日本女子プロ将棋協会 |
師匠 | 大野八一雄七段 |
段位 | 女流1級 |
プロフィール | LPSA所属女流棋士 |
2022年7月11日現在 |
棋歴
編集女流3級の仮資格を得るまで
編集小学4年の時に、叔父の勧めで将棋を始めた[2]。元奨励会三段のアマ棋士、鈴木英春の将棋教室に通い「英春流」を習得[4]。
将棋を始めて8年となる2012年、第5回女子アマ王位戦に出場し全国6位の成績を収める[5]。
アマチュア時代は女流王座戦と相性が良く、第5期(2015年)、第7期、第8期でアマ西日本大会を勝ち抜き一次予選に出場[6][7][8]。第6期もアマ西日本大会決勝まで勝ち抜くも、田中と同じく鈴木英春に師事した野原未蘭を相手に決勝で逆転負けした[9]。
マイナビ女子オープンは第11期(2017年)にチャレンジマッチを勝ち抜き一斉予選に出場[10]。
入会から4年後の2018年5月、C1クラスに昇級し女流3級の資格を取得。女流棋士資格申請を行い、2018年6月1日付で女流3級となった[2]。
女流3級として
編集同2018年度の第47期女流名人戦予選で準決勝まで勝ち進み、女流2級昇級条件のひとつ「女流名人戦予選決勝進出」まであと1勝と迫るも、準決勝の伊奈川愛菓との対局に敗れ、昇級の機会を逃した[11]。
その後も勝ち星が積み重ならず、女流2級昇級となる「規定の成績」を女流3級資格の期限となる2020年5月31日までに挙げられなかった。しかしながら当時は、新型コロナウイルス感染症の流行下にあり、2020年4月に日本政府が緊急事態宣言を発令、これに伴い女流2級への昇級条件にも懸かる女流棋戦の一つ「YAMADA女流チャレンジ杯」が棋戦開催を延期[注釈 2]となるほか、棋戦運営の進行が遅延している状況にあった。この特別な事情下にある状況を日本将棋連盟も考慮し、田中の女流3級資格を延長する判断が下された[12]。
この資格期限延長により、女流3級の資格は「次に抽選を行う1棋戦まで延長(注:第32期女流王位戦)」されることになり、田中の女流2級昇級には、2020年5月31日時点で勝ち残っている第10期女流王座戦での二次予選通過・本戦トーナメント進出、もしくは第32期女流王位戦での予選決勝進出、いずれかの条件を満たすことが必要であった。しかし、第10期女流王座戦の同年6月の二次予選では水町みゆに敗れ[13]、さらに同年8月25日、残る最後の昇級機会であった第32期女流王位戦の予選1回戦で宮宗紫野にも敗れ[14]、指定期間内の女流2級昇級が不可能となり、女流3級資格取り消しになる事が確定した。女流3級としての2年余りの女流公式棋戦での成績は10勝18敗であった[15][16]。
再び研修会へ
編集2020年11月より研修会へ復帰し(東海研修会C2クラス)[17]、再び女流2級を目指す事になった[4]。規定の改定により「女流3級」は廃止されており、年齢制限(満27歳未満[18])までにB2クラスへ昇級すれば、申請が承認された翌月1日付で女流2級となる状況であった[18]。そして年齢制限が迫っていた2021年8月8日、B2クラスへの昇級を果たして女流2級の資格を得た[3][19]。
その間もアマチュア棋戦には参加しており、2020年12月20日、第13回女子アマ王位戦で優勝[20][21]。2021年8月には第15回白瀧あゆみ杯争奪戦アマチュア予選に出場し、勝ち抜いてアマチュア代表となった[22][23]。
女流棋士として
編集2021年9月1日付で日本女子プロ将棋協会(LPSA)所属の女流2級となった[1][4]。
棋風
編集人物
編集昇段・昇級履歴
編集- 研修会入会から女流3級(仮資格)まで
- 2014年 5月 - 関西研修会 入会
- 2018年 5月 - 関西研修会 C1クラス昇級(女流3級資格)
- 2018年[2] 6月 1日 - 女流3級
- 2020年[15][16] 8月25日 - 女流3級資格取り消し(女流3級での成績 = 10勝18敗)
- 研修会再入会以降
- 女流棋士
主な成績
編集在籍クラス
編集開始 年度 |
女流順位戦 | |||||||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
期 | 白玲 | A級 | B級 | C級 | D級 |
|
||||||||||||
2022 | 2 | D27 | 7-1
| |||||||||||||||
2023 | 3 | C16 | 4-4
| |||||||||||||||
2024 | 4 | C12 | 4-4
| |||||||||||||||
2025 | 5 | C11 |
| |||||||||||||||
女流順位戦の 枠表記 は挑戦者。右欄の数字は勝-敗(番勝負/PO含まず)。 順位戦の右数字はクラス内順位 ( x当期降級点 / *累積降級点 / +降級点消去 ) |
年度別成績
編集年度 | 対局数 | 勝数 | 負数 | 勝率 | (出典) | |||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
2018年度 | 8 | 3 | 5 | 0.3750 | [26] | |||||
2019年度 | 16 | 5 | 11 | 0.3125 | [27] | |||||
2020年度 | 4 | 2 | 2 | 0.5000 | [28] | |||||
2018-2020 合計 |
28 | 10 | 18 | 0.3571 | [15] | |||||
上記は女流3級としての成績。 女流棋士仮資格取消のため通算成績には含めない。 | ||||||||||
年度 | 対局数 | 勝数 | 負数 | 勝率 | (出典) | 女流通算成績 (2021年度以降) | ||||
2021年度 | 12 | 6 | 6 | 0.5000 | [29] | 対局数 | 勝数 | 負数 | 勝率 | (出典) |
2022年度 | 22 | 12 | 10 | 0.5454 | [30] | 34 | 18 | 16 | 0.5294 | [31] |
2023年度 | 22 | 9 | 13 | 0.4090 | [32] | 56 | 27 | 29 | 0.4821 | [33] |
2024年度 | 23 | 10 | 13 | 0.4347 | [34] | 79 | 37 | 42 | 0.4683 | [35] |
通算 (2021以降) |
79 | 37 | 42 | 0.4683 | [35] | |||||
2024年度まで |
脚注
編集注釈
編集- ^ 田中が女流3級であった当時(2018年6月1日〈女流3級〉 - 2020年8月25日〈女流3級資格取り消し〉)は、木村義徳九段門下であった[2]。
- ^ YAMADA女流チャレンジ杯の開催延期は2020-2021年度にまで及んだ。
出典
編集- ^ a b c 「当協会所属 女流2級誕生のお知らせ」『日本女子プロ将棋協会』2021年8月31日。
- ^ a b c d e f g h i j 「田中沙紀さんが女流棋士3級に」『日本将棋連盟』2018年5月30日。
- ^ a b 大野八一雄. “田中沙紀 女流棋士”. 川口・大野教室ブログ. 2021年8月8日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年8月8日閲覧。
- ^ a b c d “涙超え 夢の女流棋士 金沢・田中沙紀さん 県出身4人目”. 中日新聞Web (2021年9月29日). 2021年10月19日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年10月19日閲覧。
- ^ “12/16(日) 第5回女子アマ王位戦全国大会 小野ゆかりさんが2回目の優勝!”. LPSA (2012年12月16日). 2018年10月23日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年10月23日閲覧。
- ^ “第1ブロック優勝は田中さん”. リコー杯女流王座戦中継Blog. 日本将棋連盟 (2015年4月19日). 2020年9月18日閲覧。
- ^ “第2ブロック・田中沙紀さん一次予選進出”. リコー杯女流王座戦中継Blog. 日本将棋連盟 (2017年4月16日). 2020年9月18日閲覧。
- ^ “2ブロックは田中さんが優勝”. リコー杯女流王座戦中継Blog. 日本将棋連盟 (2018年4月15日). 2020年9月18日閲覧。
- ^ “第2ブロック・野原さんが優勝”. リコー杯女流王座戦中継Blog. 日本将棋連盟 (2016年4月17日). 2020年9月18日閲覧。
- ^ “田中沙紀アマがチャレンジマッチ通過”. マイナビ女子オープン中継Blog. 日本将棋連盟 (2017年7月1日). 2020年9月18日閲覧。
- ^ “田中沙紀女流3級の昇級は持ち越し 将棋女流名人戦予選”. スポーツ報知 (2020年2月20日). 2024年8月28日閲覧。
- ^ 「田中沙紀女流3級の女流棋士(女流3級)資格延長について」『日本将棋連盟』2020年6月1日。
- ^ “将棋の田中沙紀女流3級が敗れる 正資格の2級への昇級は持ち越しに 「自分が変わるしかない」”. スポーツ報知 (2020年6月26日). 2024年8月28日閲覧。
- ^ “2020年8月の対局結果”. 日本将棋連盟 (2020年8月). 2020年8月29日閲覧。
- ^ a b c 「女流棋士通算成績(2020年9月2日対局分まで)」『日本将棋連盟』。2020年9月3日時点のオリジナルよりアーカイブ。
- ^ a b c d e “「あの方の言葉がなかったら将棋を辞めて金沢に帰っていました」田中沙紀女流2級が再デビュー”. スポーツ報知 (2021年10月21日). 2021年10月21日閲覧。
- ^ a b 「東海研修会B・Cクラス」『日本将棋連盟』。2020年12月3日時点のオリジナルよりアーカイブ。
- ^ a b “女流棋士規定変更のお知らせ|将棋ニュース|日本将棋連盟”. 日本将棋連盟 (2018年4月2日). 2021年8月9日閲覧。
- ^ a b 「東海研修会B・Cクラス」『日本将棋連盟』。2021年9月22日時点のオリジナルよりアーカイブ。
- ^ 『第13回女子アマ王位戦』(プレスリリース)LPSA、2020年12月20日 。2020年12月21日閲覧。
- ^ 『第13回女子アマ王位戦・決勝大会』(プレスリリース)LPSA、2020年12月20日 。2020年12月21日閲覧。
- ^ “第15回白瀧あゆみ杯争奪 新人登竜門戦 アマチュア予選・本戦準決勝の結果|イベント|日本将棋連盟”. 日本将棋連盟 (2021年8月18日). 2021年8月22日閲覧。
- ^ “第15回白瀧あゆみ杯争奪戦”. 日本将棋連盟. 2021年8月22日閲覧。
- ^ 「田中沙紀女流2級が女流1級に昇級」『日本女子プロ将棋協会(LPSA)』2022年7月12日。
- ^ 「女流棋士通算成績(2022年7月11日対局分まで)」『日本将棋連盟』。2022年7月12日時点のオリジナルよりアーカイブ。
- ^ 2018年度女流棋士成績 - 日本将棋連盟
- ^ 2019年度女流棋士成績 - 日本将棋連盟
- ^ 「田中沙紀 - 女流棋士データベース」『日本将棋連盟』。2020年8月27日時点のオリジナルよりアーカイブ。
- ^ 2021年度女流棋士成績 - 日本将棋連盟
- ^ 2022年度女流棋士成績 - 日本将棋連盟
- ^ 女流棋士通算成績(2023年3月31日対局分まで) - 日本将棋連盟(2023年4月1日時点のアーカイブ)
- ^ 2023年度女流棋士成績 - 日本将棋連盟
- ^ 女流棋士通算成績(2024年3月31日対局分まで) - 日本将棋連盟(2024年4月1日時点のアーカイブ)
- ^ 2024年度女流棋士成績 - 日本将棋連盟
- ^ a b 女流棋士通算成績(2025年3月31日対局分まで) - 日本将棋連盟(2025年4月1日時点のアーカイブ)
関連項目
編集外部リンク
編集- LPSA所属女流棋士 - LPSA 日本女子プロ将棋協会
- 棋歴(田中沙紀) - LPSA 日本女子プロ将棋協会
- 田中沙紀(女流3級当時) - 女流棋士データベース - 日本将棋連盟 - ウェイバックマシン(2020年8月29日アーカイブ分)
- 田中沙紀 (@mikan_juice_s) - Twitter(現X) - ウェイバックマシン(2022年9月23日アーカイブ分)