田房 永子(たぶさ えいこ、1978年 - )は、日本漫画家ライターエッセイストコラムニスト

田房永子
生誕 昭和53年(1978年
日本の旗 日本東京都
職業 漫画家エッセイストコラムニスト
活動期間 2000年-
代表作 『母がしんどい』
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略歴 編集

人物・来歴 編集

幼少期から習い事から着るものまで、親に決められる過干渉な家庭に育つ。[5][6]

武蔵野美術大学短期大学部美術科を卒業後、21歳で雑誌「マンガエフ」にて漫画家デビュー。翌年、第3回アックスマンガ新人賞佳作を受賞する。

漫画で生計を立てるため、25歳より男性向け青年誌(いわゆる「エロ本」)で漫画やイラスト、ライター業をはじめる[7]。26歳の時、エロ本の仕事をする中での女性としての葛藤を書いた文章が女性誌に掲載される。それらを『むだにびっくり』シリーズとしてまとめ、29歳で自費出版する。30歳には活動の場を女性向け媒体に移す。[8]

33歳で、母親との葛藤を描いたコミックエッセイ『母がしんどい』を刊行。初の単行本となった同作がベストセラーになったことで、広く知られるようになる。[9]

2012年に女児を出産。2014年には妊娠・出産・育児にまつわるさまざまなエピソードを描いた『ママだって、人間』を刊行。

2016年、自身が「今まで誰にも言えなかった深刻な悩み」であった「キレる」ことをテーマに、DVをしてしまう自分に苦しんでから穏やかな生活を手に入れるまでを描いた『キレる私をやめたい〜夫をグーで殴る妻をやめるまで〜』を刊行し、話題を呼ぶ。[10][11]

2019年、編集者松尾亜紀子によるフェミマガジン『エトセトラブックス』創刊号の責任編集を務める[12]

親子関係、夫婦関係に特化したコミックエッセイを多数発表してきたが、2020年の『男社会がしんどい 〜痴漢だとか子育てだとか炎上だとか〜』ごろから、女性の生きづらさや、フェミニズムに関する情報発信が増える[独自研究?][13]

2020年、女性学・ジェンダー研究パイオニアである上野千鶴子に田房がフェミニズムをゼロから教えてもらうというコンセプトの対談集『上野先生、フェミニズムについてゼロから教えてください!』を刊行。「私の母親のように、彼女たち(専業主婦)は家庭内で爆発するしかなかった」「だからこそ、子どもである私たちの世代が苦しみや呪いをいっぱい受けてしまった」と、男女不平等な世の中のあり方が、自身の過酷な家庭環境を生む遠因になったと分析している。[独自研究?][14]

2021年、初のフィクション作品『大黒柱妻の日常 共働きワンオペ妻が、夫と役割交替してみたら?』を刊行[15]。主人公を「エイコ」として自身の体験を描く従来の手法ではなく架空の人物を主人公とするフィクション作品に挑戦した理由について、田房は「ノンフィクションだと『田房さんだからこうなんだ』と、特別なケースとして読まれてしまって、意図が伝わりにくいので」と語っている[16]

著作 編集

漫画

  • 『母がしんどい』2012年3月/KADOKAWA/中経出版(新人物往来社)

  └韓国で韓国語版が発売されている。

  • 『ママだって、人間』2014年3月/河出書房新社
  • 『呪詛抜きダイエット』2014年7月/大和書房
  • 『うちの母ってヘンですか?』2014年9月/秋田書店
  • 『それでも親子でいなきゃいけないの?』2015年10月/秋田書店
  • 『キレる私をやめたい〜夫をグーで殴る妻をやめるまで〜』2016年6月/竹書房

  └韓国で韓国語版が発売されている。

  • 『しんどい母から逃げる!! 〜いったん親のせいにしてみたら案外うまくいった〜』2018年3月/小学館
  • 『お母さんみたいな母親にはなりたくないのに』2018年8月/河出書房新社
  • 『母がしんどい〔文庫版〕』2020年2月/KADOKAWA
  • 『男社会がしんどい 〜痴漢だとか子育てだとか炎上だとか〜』2020年5月/竹書房
  • 『大黒柱妻の日常 共働きワンオペ妻が、夫と役割交替してみたら?』2021年4月/MdNコーポレーション
  • 『なぜ親はうるさいのか 子と親は分かりあえる?』2021年12月/筑摩書房

  └ちくまQブックス第1弾。

  • 『いつになったらキレイになるの? ~私のぐるぐる美容道~』2022年6月/扶桑社

  └前半は漫画、後半はエッセイ。

  • 『人間関係のモヤモヤは3日で片付く ~忘れられない嫌なヤツも、毎日顔を合わせる夫も~』2022年6月/竹書房

エッセイ

  • 『男しか行けない場所に女が行ってきました』2015年2月/イースト・プレス
  • 『母乳がいいって絶対ですか?』2015年12月/朝日新聞出版

  └韓国で韓国語版が発売されている。

  • 『他人のセックスを見ながら考えた』 2019年2月/筑摩書房

  └「男しか行けない場所に女が行ってきました」の大幅加筆修正文庫版。

  • 『「男の子の育て方」を真剣に考えてたら夫とのセックスが週3回になりました』2019年6月/大和書房

対談、共著、挿絵

  • 『母と娘はなぜこじれるのか』2014年2月/NHK出版

  └斎藤環による対談集。田房の他に角田光代、萩尾望都、信田さよ子、水無田気流の対談が収録。韓国で韓国語版が発売されている。

  • 『オトナの保健室 セックスと格闘する女たち』集英社/2018年10月

  └漫画を担当。

  • 『平成遺産』2019年2月/淡交社

  └平成の負の遺産をテーマに90年代の女子高生ブームについてを執筆。

  • 『上野先生、フェミニズムについてゼロから教えてください!』大和書房/2020年1月

  └上野千鶴子との対談共著。挿絵及び漫画を担当。2021年、中国簡体字版が中国で発売され、中国最大級読書サイト「豆瓣」で「2021年最も注目された本」第3位、「ノンフィクション部門」第2位を獲得。2022年からは台湾でも台湾繁体字版が発売されている。オーディオブックは中国語版、日本語版がある。

  • 『キレたくないのにキレてしまうあなたへ』2021年8月/朝日新聞出版

  └岡田法悦・著。田房は漫画を担当。

責任編集

  • 田房永子責任編集『エトセトラ VOL.1』2019年5月/エトセトラブックス

寄稿

  • 『ガールズトーク』2013年5月/学研パブリッシング
  • 『恐怖女子会 不祥の水』2013年5月/竹書房
  • 『女子校育ちはなおらない』2014年10月/KADOKAWA/メディアファクトリー
  • 『日本の童貞』2015年6月/河出書房新社

  └澁谷知美・著。解説を寄稿。

  • 『どんな絵本を読んできた?』2017年8月/平凡社
  • 『続 学校に行きたくない君へ 大先輩たちが語る生き方のヒント。』2020年7月/ポプラ社
  • 『共依存 苦しいけれど、離れられない[新装版]』2023年6月/朝日新聞出版

  └信田さよ子・著。解説を寄稿。

脚注 編集

  1. ^ 田房永子 | 情報・知識&オピニオン imidas - イミダス”. 情報・知識&オピニオン imidas. 2023年9月22日閲覧。
  2. ^ 田房永子 | プロフィール”. Book Bang -ブックバン-. 2023年9月22日閲覧。
  3. ^ マンガ新人賞受賞者[青林工藝舎]
  4. ^ Webadmin, 投稿者: (2020年11月16日). “田房永子×西井開「男社会で「非モテ」に向き合うということ」『モテないけど生きてます――苦悩する男たちの当事者研究』(青弓社)刊行記念”. 本屋 B&B. 2023年9月22日閲覧。
  5. ^ 『母がしんどい』著者の田房永子さんロングインタビュー。「自分はどう生きたいか」をはっきりさせると子どもともいい距離を置けるはず”. kodomoe(コドモエ)—「親子時間」を楽しむ子育て情報が満載!. 2023年9月22日閲覧。
  6. ^ “私の母”という呪縛 漫画家、田房永子 / 不登校新聞”. 不登校新聞. 2023年9月22日閲覧。
  7. ^ https://gendai.media/articles/-/65373?page=2
  8. ^ https://www.gentosha.jp/author/203/
  9. ^ イベント情報 > 「キレる私」と「母娘関係」-田房永子さんとフェミニストカウンセリングのコラボ”. wan.or.jp. 2023年9月22日閲覧。
  10. ^ いつもは穏やかで腰の低い私。なのに夫にはイライラが止まらない!!/キレる私をやめたい”. ダ・ヴィンチ. 2023年9月22日閲覧。
  11. ^ https://www.takeshobo.co.jp/book_d/shohin/5110601
  12. ^ https://etcbooks.co.jp/book/vol1/
  13. ^ 【推薦図書】はあちゅうさんとフェミニズムについて考える<6冊> | 読み物・インタビュー | VERY[ヴェリィ] 公式サイト|光文社”. VERY[ヴェリィ] (2023年4月21日). 2023年9月22日閲覧。
  14. ^ 「後ろを向いたら誰もついてきてなかった。若い世代の変化が心強い」上野千鶴子×田房永子、フェミニズムの現在地を語る”. ハフポスト NEWS. 2023年9月22日閲覧。
  15. ^ https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000003799.000005875.html
  16. ^ https://www.businessinsider.jp/post-208974

関連項目 編集

外部リンク 編集