登米市

日本の宮城県の市
登米圏から転送)

登米市(とめし)は、宮城県の北部に位置する岩手県との県境にあり、登米郡8町と本吉郡津山町の合併によって2005年平成17年)に誕生した[1]

とめし ウィキデータを編集
登米市
登米市旗 登米市章
登米市旗 登米市章
2005年11月1日制定
日本の旗 日本
地方 東北地方
都道府県 宮城県
市町村コード 04212-9
法人番号 1000020042129 ウィキデータを編集
面積 536.09km2
総人口 71,596[編集]
推計人口、2024年3月1日)
人口密度 134人/km2
隣接自治体 石巻市栗原市大崎市気仙沼市遠田郡涌谷町本吉郡南三陸町
岩手県一関市
登米市役所
市長 熊谷盛廣
所在地 987-0595
宮城県登米市迫町佐沼字中江二丁目6番地1
北緯38度41分31秒 東経141度11分16秒 / 北緯38.69183度 東経141.18775度 / 38.69183; 141.18775座標: 北緯38度41分31秒 東経141度11分16秒 / 北緯38.69183度 東経141.18775度 / 38.69183; 141.18775
登米市役所本庁舎
外部リンク 公式ウェブサイト

登米市位置図

― 政令指定都市 / ― 市 / ― 町・村


地図
ウィキプロジェクト

地理 編集

 
登米市と栗原市にまたがる伊豆沼。

宮城県の北部、仙台市から北方へ70キロメートルに位置する。宮城県栗原市と宮城県本吉郡南三陸町の間にあり、岩手県一関市と境を接する。

市内中心部は、市役所がある迫町佐沼地区。

市名の読みは登米市(とめし)であるが、市内の登米町は(とよままち)と読む。

古くから米の名産地として知られる。また肉牛生産者も多く、「仙台牛」の産地としても有名である。

市内はほぼ平野地で、広大な平野に田園地帯が広がっている。

水郷地帯でもあり、冬季には日本一の越冬地として、伊豆沼、内沼、市内中心部を流れる迫川などに多くの渡り鳥が飛来することで知られている。

市内東部は北上山地に接しており、林業が行われている。森林セラピー基地に認定されており、NHK連続テレビ小説の作品である「おかえりモネ」でも紹介された。

漫画家の石ノ森章太郎は登米市中田町石森(いしのもり)の出身であり、今でも生家が残っている。

河川
湖沼

人口 編集

令和2年(2020年)国勢調査では76,037人であり、世帯数は25,697世帯。(出典:国勢調査結果(総務省統計局))

 
登米市と全国の年齢別人口分布(2005年) 登米市の年齢・男女別人口分布(2005年)
紫色 ― 登米市
緑色 ― 日本全国
青色 ― 男性
赤色 ― 女性

登米市(に相当する地域)の人口の推移
総務省統計局 国勢調査より

気候 編集

寒暖の差が大きく気温の年較差、日較差が大きい顕著な大陸性気候である。冬季の冷え込みは仙台市よりも厳しく、近年でも2012年2月3日に-18.3℃、2013年1月18日に-17.5℃、2018年1月27日に-17.3℃、2021年1月3日に-17.2℃を観測している。

極値(1976/11 -)

要素 観測値 観測年月日
最高気温 37.1℃ 2023年7月29日
最低気温 -19.5℃ 1976年12月30日
米山(1991年 - 2020年)の気候
1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
最高気温記録 °C°F 15.7
(60.3)
19.7
(67.5)
24.4
(75.9)
30.4
(86.7)
33.5
(92.3)
33.9
(93)
37.1
(98.8)
36.3
(97.3)
35.0
(95)
29.0
(84.2)
24.1
(75.4)
20.3
(68.5)
37.1
(98.8)
平均最高気温 °C°F 4.6
(40.3)
5.8
(42.4)
10.0
(50)
15.9
(60.6)
20.6
(69.1)
23.8
(74.8)
27.1
(80.8)
28.6
(83.5)
25.1
(77.2)
19.8
(67.6)
13.4
(56.1)
7.1
(44.8)
16.8
(62.2)
日平均気温 °C°F −0.1
(31.8)
0.6
(33.1)
4.0
(39.2)
9.4
(48.9)
15.1
(59.2)
19.0
(66.2)
22.5
(72.5)
23.8
(74.8)
20.1
(68.2)
14.0
(57.2)
7.6
(45.7)
2.2
(36)
11.5
(52.7)
平均最低気温 °C°F −4.5
(23.9)
−4.2
(24.4)
−1.6
(29.1)
3.3
(37.9)
10.4
(50.7)
15.3
(59.5)
19.3
(66.7)
20.4
(68.7)
15.9
(60.6)
8.7
(47.7)
2.2
(36)
−2.1
(28.2)
6.9
(44.4)
最低気温記録 °C°F −17.5
(0.5)
−18.3
(−0.9)
−13.6
(7.5)
−7.6
(18.3)
2.2
(36)
6.8
(44.2)
11.3
(52.3)
11.6
(52.9)
4.6
(40.3)
−1.9
(28.6)
−6.1
(21)
−19.5
(−3.1)
−19.5
(−3.1)
降水量 mm (inch) 35.5
(1.398)
29.1
(1.146)
69.9
(2.752)
77.3
(3.043)
93.6
(3.685)
111.2
(4.378)
161.6
(6.362)
120.1
(4.728)
150.6
(5.929)
129.4
(5.094)
58.6
(2.307)
41.4
(1.63)
1,078.2
(42.449)
平均降水日数 (≥1.0 mm) 5.8 5.7 7.9 8.5 9.5 9.8 12.7 10.4 10.8 8.9 7.3 6.9 104.2
平均月間日照時間 149.4 158.7 177.1 189.6 195.9 158.1 141.3 156.3 131.5 139.8 137.5 136.5 1,871.6
出典1:Japan Meteorological Agency
出典2:気象庁[2]

歴史 編集

  • 奈良時代以前からこの地には「遠山(とおやま)村」という村があり、これが「登米(とよま)」の語源である。蝦夷の抵抗が根強い地域であった。
  • 1189年文治5年):奥州藤原氏滅亡。葛西三郎清重が現在の岩手県南から宮城県北上川流域を所領に封ぜられる。
  • 鎌倉から戦国時代には葛西氏一族がこの地域を領有。登米寺池城に本拠をかまえる。
  • 戦国時代末期、葛西氏は伊達氏から跡取り養子を迎えるなど伊達氏と密接な関係をもった。伊達氏は葛西氏の軍事指揮権を掌握したが、徴税権は葛西氏が保持した。
  • 1579年天正7年):北上川氾濫による洪水で、登米、佐沼にて人馬多く死す[3]
  • 1590年(天正18年):豊臣秀吉の奥州仕置により葛西氏が改易され、秀吉の家臣の木村吉清が新領主となった。
  • 1590年(天正18年):葛西氏・大崎氏の旧臣らが木村吉清親子の支配に抗し、葛西大崎一揆を起こした。この一揆を扇動した人物が政宗である。一揆勢は木村親子の籠もる佐沼城を包囲。政宗がこの一揆を扇動していたことが発覚し、窮地に立たされた政宗は、秀吉の命令によりこの一揆を鎮圧した。その後、秀吉は政宗から先祖ゆかりの土地である伊達郡などを没収し、その代わりに政宗に旧葛西領と旧大崎領を与えた。これにより、現在の登米市の領域は伊達領の一部となった(居城は岩出山城)。
  • 1601年慶長6年):仙台藩の誕生により、現在の登米市は仙台藩の一部となった。政宗の部将で白石宗実の子・白石宗直は政宗から「伊達」の姓を賜り、寺池城(旧・登米町(とよままち))に入って登米伊達氏の祖となった。
  • 1606年(慶長11年):亘理定宗が政宗から「伊達」の姓を賜り伊達一門になったことにより、政宗の庶子宗根が亘理家を相続し、現在の栗原市の高清水城(旧・高清水町)城主となった(高清水亘理氏)。のち亘理宗根は現在の登米市の佐沼城(旧・迫町)へ居城を移し、「佐沼亘理氏」の祖となった。
  • 1608年(慶長13年):新田開発の一環として、北上川の氾濫を防ぐための相模土手が完成。
  • 1665年寛文5年):寺池館主伊達宗倫と涌谷館主伊達宗重との間に所領争い有り。後の寛文事件(伊達騒動)の火種となる。
  • 慶応4年/明治元年 - 明治2年(1868年 - 1869年)に起きた戊辰戦争の敗北による仙台藩の大幅減封(62万石→28万石)により、登米郡は土浦藩取締地を経て涌谷県となる(のち登米県一関県水沢県磐井県と変遷)。
  • 1876年(明治9年):宮城県に編入。
  • 1894年明治27年):日本鉄道の駅として新田駅が開業。
  • 1921年大正10年):仙北鉄道開通。

昭和 編集

平成 編集

令和 編集

行政 編集

市内迫町佐沼字中江にある旧迫町役場を登米市役所本庁舎兼迫総合支所とし、他の旧町の役場を総合支所として利用している。

市内迫町佐沼地区には登米市地方を管轄する国・県の出先機関が多く立地しており、宮城県の登米合同庁舎が置かれている。

ただし仙台法務局登米支局及び仙台地方検察庁登米支部、登米区検察庁は登米町寺池地区に立地している。

主な行政課題としては、市内人口の多くを占める高齢者対策、登米市立登米市民病院に象徴される医療対策、産業の活性化策及び観光の振興策がある。

歴代市長 編集

氏名 就任日 退任日 備考
初-3代 布施孝尚 2005年4月29日 2017年4月28日
4-5代 熊谷盛広 2017年4月29日 現職 津山町

市庁舎 編集

総合支所
  • 迫総合支所(市役所本庁舎)
  • 登米総合支所
  • 東和総合支所
  • 中田総合支所
  • 豊里総合支所
  • 米山総合支所
  • 石越総合支所
  • 南方総合支所
  • 津山総合支所

姉妹都市・提携都市 編集

登米市は富山県下新川郡入善町カナダバーノン (ブリティッシュコロンビア州)アメリカ合衆国テキサス州サウスレイク英語版、と姉妹都市を締結している[9]

また、静岡県湖西市と災害協定都市を結んでいる。

司法 編集

警察 編集

  • 佐沼警察署(迫町、中田町、米山町、南方町、石越町を管轄。石越町は合併新市発足により若柳警察署から移管された。)
  • 登米警察署(登米町、東和町、豊里町、津山町を管轄)

経済 編集

平成29年度(2017年)データでは、産業人口の約6パーセントが第一次産業、約35パーセントが第二次産業、約59パーセントが第三次産業に従事している。(資料:宮城県震災復興・企画部統計課「市町村民経済計算」)

第一次産業

一帯が田園地帯でありササニシキひとめぼれコシヒカリ等の有名米の産地である。登米市の農業産出額は弘前市の371億円に続いて303億円となり東北地方第2位である。(出典)。南東北農業産出額の順位はこちらを参照。津山地区、東和地区では林業が盛んである。

第二次産業

工業は電子機器の工場などが点在する。デクセリアルズなかだ事業所、登米村田製作所がある。

第三次産業

市街地、商業地区は佐沼地区を中心に形成されている。

金融機関

登米市の指定金融機関は、みやぎ登米農業協同組合指定代理金融機関七十七銀行仙台銀行の各市内店舗になっている。

交通 編集

鉄道 編集

 
新田駅の旧駅舎(2021年建替)

市役所のある中心部の迫町佐沼地区に鉄道は通っていない。

JR東日本の各駅は下記の通り。東北新幹線「くりこま高原駅」(栗原市)が市内中心部から車で30分程度と便利である。

瀬峰駅(栗原市)と登米の間に開設されていた仙北鉄道登米線は1968年に廃止され、石越細倉マインパーク前(栗原市)との間を結んでいたくりはら田園鉄道線2007年に廃止された。

バス 編集

  • 路線バス

ミヤコーバス佐沼営業所が中心バスターミナルの扱いとなっている。それ以外の会社の路線も市役所を通るため乗換え拠点となっている。

  1. 登米市民バスミヤコーバスに運行委託)
  1. 栗原市民バス
  • バス高速輸送システム(BRT)
  1. 東日本旅客鉄道(JR東日本)
  • 高速バス
  1. 仙台 - 佐沼線
  2. 仙台 - とよま線

道路 編集

高速道路 編集

  • E45 三陸沿岸道路

   東北自動車道築館インターチェンジ若柳金成インターチェンジは栗原市にある。

   三陸沿岸道路の桃生豊里インターチェンジ桃生津山インターチェンジは石巻市にある。

  東北自動車道と三陸自動車道を結ぶ、地域高規格道路が令和3年(2021年)12月17日に全線開通。朝晩の市内渋滞の解消が今後期待される。

一般国道 編集

県道 編集

主要地方道
一般県道

運転代行 編集

登米市の佐沼地区は飲食店の多い地域である。

登米市内各所から飲食客が佐沼地区へ集まるが、通勤通学以外、市民は公共交通機関よりも自家用車が大きな交通手段としている。

そのため運転代行が夜の市民の足として用いられている。

過去、登米市の運転代行業者は合同で「運転代行プール」を佐沼地区市街地に設置し、2006年には、運転代行の利便性向上と、飲酒運転根絶のために飲食店が協賛して運転代行の割引や協賛店舗の特典などを付帯した「乗っちゃイヤ!券」を発行した[10]

船舶 編集

古くは北上川の舟運で栄えたが、現在では桜の季節に観光船が走る程度である。

メディア 編集

放送 編集

新聞 編集

  • 仙北郷土タイムス(宮城県登米市の月刊新聞)
    • 毎月20日発行 / 発行部数1,400部 / ブランケット版4ページ

観光 編集

名所・旧跡 編集

 
教育資料館
 
水沢県庁記念館

旧登米町周辺には明治時代の建造物が多く、「みやぎの明治村」と呼ばれている。

自然・名勝 編集

 
長沼フートピア公園

道の駅 編集

市内には、全国でも有数の多さである道の駅がある。各地域ごとの名産品が見られる。

観光スポット 編集

ご当地マスコット 編集

祭り・イベント 編集

 
平筒沼ふれあい公園桜まつり
  • 佐沼どんと祭(迫町)
  • 石越冬のまつりと石越どんと祭(石越町)
  • 佐沼どんと祭・裸参り(迫町)
  • 米川の水かぶり:ユネスコ無形文化遺産に登録(東和町)
  • とよま凧あげ大会(登米町)
  • 平筒沼ふれあい公園桜まつり(米山町)
  • 日本一はっとフェスティバル[13](迫町)
  • YOSAKOI&ねぷたinとよさと(豊里町)
  • みなみかた千本桜まつり(南方町)
  • 登米フードフェスティバル、東北風土マラソン(迫町)
  • 米山チューリップまつり(米山町)
  • みなみかた花菖蒲まつり(南方町)
  • 佐沼夏まつり(迫町)
  • 伊豆沼・内沼はすまつり(迫町)
  • 長沼はすまつり(迫町)
  • キリシタンの里まつり(東和町)
  • とよま明治村夏祭り(登米町)
  • ふるさと花火in長沼(迫町)
  • もっこり牛まつり
  • みろく尊大祭
  • とよま盆踊り大会(登米町)
  • 登米市産業フェスティバル(迫町)
  • とよま秋祭り(登米町):県指定無形民俗文化財
  • 石ノ森章太郎ふるさと記念館夏祭り[14](中田町)
  • カッパハーフマラソン
  • とよま産業まつり(登米町)
  • 冬の蛍通り(豊里町)
  • もくもくランドライトアップ(津山町)
  • 登米市民ふれあい美術展

郵便 編集

郵便局

  • 津山郵便局(集配局)
  • 登米郵便局(集配局)
  • 新田郵便局(集配局)
  • 南方郵便局(集配局)
  • 米川郵便局(集配局)
  • 米山郵便局(集配局)
  • 横山郵便局
  • 登米吉田郵便局
  • 中津山郵便局
  • 陸前豊里郵便局
  • 東佐沼郵便局
  • 北方郵便局
  • 上沼郵便局
  • 浅水郵便局
  • 宝江郵便局
  • 米谷郵便局
  • 錦織郵便局
  • 長根郵便局

簡易郵便局

  • 善王寺簡易郵便局
  • 三方島簡易郵便局
  • 黒沼簡易郵便局
  • 鱒渕簡易郵便局
  • 梅ヶ沢駅前簡易郵便局
  • 葉ノ木沢簡易郵便局

教育 編集

高等学校 編集

中学校 編集

  • 登米市立登米中学校
  • 登米市立東和中学校
  • 登米市立南方中学校
  • 登米市立津山中学校

小学校 編集

平成31年3月に策定した「登米市立小中学校等再編構想」に基づき、米山地区・東和地区で再編計画中である。

迫地区

  • 登米市立佐沼小学校
  • 登米市立新田小学校

登米地区

  • 登米市立登米小学校

東和地区

  • 登米市立米谷小学校
  • 登米市立錦織小学校

中田地区

  • 登米市立浅水小学校
  • 登米市立宝江小学校
  • 登米市立上沼小学校

豊里地区

米山地区

  • 登米市立中津山小学校
  • 登米市立米岡小学校

石越地区

  • 登米市立石越小学校

南方地区

  • 登米市立南方小学校
  • 登米市立西郷小学校
  • 登米市立東郷小学校

津山地区

  • 登米市立津山小学校 

幼稚園・保育所・こども園 編集

公立

私立認定こども園

私立認可保育所


出身有名人 編集

江戸時代生まれ

明治時代生まれ

昭和時代生まれ

平成時代生まれ

生年月日不詳

ゆかりの人物 編集

市外局番 編集

市内の大部分は0220(迫MA)であるが、旧石越町および旧迫町新田地区の一部が0228(築館MA)、旧豊里町と旧津山町が0225(石巻MA)である。

脚注 編集

出典 編集

参考文献 編集

  • 『図典 日本の市町村章』小学館、2007年。ISBN 978-4-09-526311-3 

関連項目 編集

外部リンク 編集

公式サイト