盲腸(もうちょう、: cecum)とは、回盲弁(回腸-盲腸弁)より下方に伸び結腸へとつながる器官[1][2]。ヒトの盲腸の長さは約5cm[2]~7cm[1]。盲端に位置することから盲腸という[1]。盲腸という語は『解体新書』で初めて使われ、オランダ語の blinde darm(blinde ブリンデ=盲、darm ダルム=腸)を意訳したものである。盲腸の後内側表面からは虫垂 (appendix) と呼ばれる細長い器官が伸びている[1][2]

盲腸
図中 cecumが盲腸、appendixが虫垂、stomachは、small intestineは小腸、colonは大腸、rectumが直腸、anusが肛門
上回盲陥凹(盲腸は左下に図示)
グレイの解剖学 書籍中の説明(英語)
前駆体 Midgut
MeSH Cecum
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解体新書序図に記載された盲腸

機能 編集

盲腸は草食動物では微生物の力を借りてセルロースを消化分解する重要な機能をもつ[1]。肉食動物の盲腸はかなり小さいが、草食動物の盲腸はとても大きい。ヒトの盲腸はほとんど消化の役割を失ってしまっている[1]。現在は腸内フローラを管理する免疫細胞が多数存在していることが判明した。

また、虫垂は炎症を起こした際に切除されることが多い。

脚注 編集

出典 編集

  1. ^ a b c d e f Gillian Pocock , Christopher D. Richards『オックスフォード・生理学 原書3版』 (植村慶一、岡野栄之訳)丸善、2009年、462頁
  2. ^ a b c 内田さえ、原田玲子、佐伯由香 編『人体の構造と機能 第4版』 医歯薬出版、2015年、278頁

関連項目 編集

  • 虫垂炎 - 虫垂の炎症。俗に盲腸炎または盲腸ということもある。
  • 盲腸線 - 起点か終点のどちらかが他の路線にまったく接続していない鉄道路線。路線図が盲腸に見えることから。
  • 政務次官 - 2001年まで日本の省庁に存在していた官職で、権限が小さく、存在意義や役割が不明確なものと見なされていたことから、「省庁の盲腸」と揶揄されていた。