相模原障害者施設殺傷事件

相模原市緑区において発生した大量殺人事件

相模原障害者施設殺傷事件(さがみはら しょうがいしゃしせつ さっしょうじけん)とは、2016年平成28年)7月26日未明、神奈川県相模原市緑区千木良476番地にある、神奈川県立の知的障害者福祉施設「津久井やまゆり園」に[1]、犯行当時26歳の元施設職員の男Aが侵入し[5][6][7][8]刃物で19人を刺殺し、26人に重軽傷を負わせた大量殺人事件である[5][6][7][8][1]第二次世界大戦日本で発生した殺人事件としては犠牲者の数が最も多く[9][注釈 1]戦後最悪の大量殺人事件[注釈 2][11][12]として日本社会に衝撃を与えた[13][5]

相模原障害者施設殺傷事件
場所 日本の旗 日本神奈川県相模原市緑区千木良476番地(旧・津久井郡相模湖町大字千木良)
神奈川県立の知的障害者福祉施設「津久井やまゆり園」[1][2][3]
座標
日付 2016年7月26日
午前2時頃 – 午前3時頃 (未明)
攻撃手段 刃物で刺す・切りつける
武器 刃物柳刃包丁ナイフなど)
死亡者 19人(戦後最大の人数
負傷者 26人
犯人 犯行当時26歳の元施設職員の男A
1990年1月20日生まれ)[4]
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目次

概要編集

2016年7月26日午前2時38分[注釈 3]、相模原市緑区千木良の知的障害者施設「神奈川県立 津久井やまゆり園」[1][2]から神奈川県警察[1]相模原市消防局[15]にそれぞれ、「刃物を持った男が暴れている」との通報があった。事件に気づいた施設の当直職員が、非番の男性職員にLINEを使って「すぐ来て。やばい」[14]と連絡を取り、連絡を受けた男性職員が電話で確認の上警察に通報した[16][14]。現場に駆け付けた医師が19人の死亡を確認し、重傷の20人を含む負傷者26人が6か所の医療機関に搬送された[1]

死亡したのは、いずれも同施設の入所者の男性9人(年齢はいずれも当時41 - 67歳)、女性10人(同19 - 70歳)である[17][1][18]。死因は19歳女性が腹部を刺されたことによる動脈損傷に基づく腹腔内出血、40歳女性が背中から両を刺されたことによる血気胸、残り17人が失血死とされ、遺体の多くは居室のベッドの上で見つかっていたことから、Aが寝ていた入所者の上半身を次々と刺したとみられる[19][6]。また、負傷したのは施設職員男女各1人を含む男性21人、女性5人で[18]、うち13人は重傷を負った[17]。入所者24人の負傷内容は全治約9日 - 約6か月間の胸への切り傷や両手の甲への打撲などとされる[6]。被害者の名前について神奈川県警は同26日、「施設にはさまざまな障害を抱えた方が入所しており、被害者の家族が公表しないでほしいとの思いを持っている」として、公表しない方針を明らかにしている[20]。そして被害者の家族の一人は公表しない理由を、「日本では、全ての命はその存在だけで価値があるという考え方が当たり前ではなく、優生思想が根強いため」と説明した[21]

午前3時過ぎ、津久井警察署に犯行当時26歳の元施設職員男Aが「私がやりました」と出頭し、午前4時半前に[22]、死亡した19歳の女性入所者に対する殺人未遂[23]建造物侵入の容疑で緊急逮捕された[1]。Aは正門付近の警備員室を避けて裏口から敷地内に侵入し[14]、午前2時頃[24]、ハンマーで入居者東居住棟1階の窓ガラスを割り、そこから施設内に侵入したとみられる[17][25]。起訴状によれば、Aは意思疎通のできない障害者を多数殺害する目的で通用口の門扉を開けて敷地内に侵入し、結束バンドを使って職員らを拘束し、一部を結束バンドで縛りその目の前で入居者の殺傷に及んでいたが、直接刃物で切りつけられた職員はいなかった[26]。Aは職員らを拘束した上で所持した包丁やナイフを使用して犯行に及んだとされ[17]、また凶器として自宅から持ち込んだ柳刃包丁5本などを持っており[6]、切れ味が鈍るなどする度に取り換えながら使用していた[27])。事件後に施設内で刃物2本が発見され、Aは別の刃物3本を持って津久井署へ出頭した[27]。Aは侵入時にスポーツバッグを所持しており、刃物やハンマー、職員を縛った結束バンドなどをバッグに収納し、行動しやすくしていたとみられる[27]。Aは犯行時、鉢合わせした職員らに「障害者を殺しに来た。邪魔をするな」などと脅しており、入居者に声をかけつつ返事がない入居者らを狙って次々と刺していった[26]。前述のようにAが裏口から施設に侵入したことから、Aは施設の構造や防犯態勢を熟知していたとみられる[14]。Aは取り調べに対し「ナイフで刺したことは間違いない」などと容疑を認めた上で「障害者なんていなくなってしまえ」という趣旨の供述もした[28]

同警察署の捜査本部は翌27日、殺人未遂の容疑を殺人に切り替えて、Aを横浜地方検察庁に送検した[29][24]

事件で負傷して意識不明となった4人が入院していた病院は、翌27日の記者会見で4人全員の意識が回復したと発表した[30]。そのうちの20代の男性は首を深く刺されたため、全血液量の2/3を失い、搬送直後には脈をとれないほどの危険な状態だった[30]。男性は意識を取り戻して人工呼吸器を外されると、看護師に何度も「助けて」と繰り返し、容疑者としてAが逮捕されたことを知ると「生き返った」と答えた[30]

入所者のうち、被害を免れた比較的軽度の入所者が、Aが殺傷前に職員に縛り付けた結束バンドをはさみで切断して職員を解放していたことが判明し、捜査本部はこの行為が被害を抑えた可能性もあるとみている[31]

イルミナティ」と呼ばれるカードゲームの愛好者であるAは取り調べの中で「1001」は聖なる数字だとして本来は10月1日に施設襲撃を計画していたが、『日本経済新聞』の報道によると事件前日の7月25日に暴力団関係者と親交があるとする知人から「おまえは暴力団組員に追われている」と告げられたため、それが心理的な圧力になり、襲撃日を翌7月26日に前倒しするとともに、襲撃できなくなることを危惧して車の鍵を津久井署で受け取った(後述のように、この日は無断駐車で津久井署から呼び出しを受けていた)後、周辺のホームセンターで結束バンドを買ったり自宅から包丁を持ち出したりして犯行を準備したと供述している[32]。『朝日新聞』の報道によれば「自分は大麻の合法化を訴えているので大麻を資金源にしている暴力団から狙われている。殺される前になるべく早く事件を決行しなければ」と思い込んで実行を前倒ししたという[6]。園では夜間も職員を1棟あたり少なくとも2人配置し、園の正門や居住棟の入り口はそれぞれ施錠されている上、建物内に入ったとしても各ホームに自由に行き来することはできず、すべての鍵を開けられるマスターキーを持っている職員もいないという[17]。また、園には警備員が常駐しているが、午後9時半以降は正門近くの管理棟で仮眠してもよいことになっており、当直の警備員は侵入に気づかなかったという[14]

2017年2月、事件当日に施設で当直勤務し、事件を目の当たりにした女性職員3人が、心的外傷後ストレス障害(PTSD)により一時期出勤できなくなったとして、相模原労働基準監督署から労働災害の認定を受け[33]、他2人も労災を申請した[34]。その後、5人全員が4月14日までに労災を認定された[35]。2月3日に記者会見した園長によると、事件による退職者や休職者はいないものの、職員の一部は事件の影響で制限勤務を続けているという[36]

神奈川県立津久井やまゆり園編集

事件のあった「津久井やまゆり園」は神奈川県が1964年(昭和39年)から設置し、2005年(平成17年)度から指定管理者制を導入して社会福祉法人「かながわ共同会」が運営している知的障害者施設である[1][2]東日本旅客鉄道(JR東日本)・中央本線相模湖駅から東に2kmほど離れた、山に囲まれた相模川に面する住宅地に立地している[37]

入所定員は事件当時、長期入所者150人、短期入所者10人の計160人だった[1][2][3]。敷地の面積は3万890平方メートルの敷地内に2階建ての居住棟や管理棟、グラウンドや作業スペースなどがあり[38]、7月1日時点で職員数は164人、同日時点で入所していた19歳から75歳の長期入所者149人(男性92人、女性57人)全員が障害支援区分6段階のうち重い方の4から6に該当する重度の知的障害者(食事や入浴、排泄などの介助が必要)だった[1]

1992年(平成4年)12月より、開所当時の施設・設備が老朽化したことを受けて建て替え工事を実施した[39]。1994年6月に第1期工事(居住棟・厨房機械棟)が完成し、続いて既存棟の解体と、居住棟・作業訓練室やボランティア室などを備えた管理棟などを建設する第2期工事が同年7月から行われ[40]、1996年(平成8年)4月に完成したことで、再整備工事が完了し全面開所した[41][42]

捜査編集

捜査本部は7月27日の捜査で、新たに血痕の付いた包丁2本を発見した[16]。また、殺害された19人全員に、胸や首に複数の刺し傷があった[16]。27日までに12人の司法解剖が終了し、10人は負傷による失血死と失血性ショック、2人は腹と背中を刺されたことが致命傷となった[16]。傷の深さから、Aには明確な殺意があったものとみられる[16]

取り調べの中で、Aは犯行時、職員から奪った鍵で居住区画を仕切る扉を解錠して移動しながら、入居者の実名を叫んでいたことも新たに判明し、犠牲者には名前を呼ばれた入居者も含まれていたという[43]。神奈川県警はAが特定の人物を標的にした疑いがあるとみている[43]

8月15日、神奈川県警は園内の東側居住棟1階で、刃物で切りつけたり、突き刺したりして26歳から70歳の女性9人を殺害したとして殺人容疑でAを再逮捕し、横浜地検は19歳の女性に対する殺人容疑については処分保留とした[23]。県警は8月17日午前、Aを横浜地検に送検した[44]

9月5日、神奈川県警は園西棟の1階と2階で、41歳から67歳の男性9人を刃物で切りつけて殺害したとして殺人容疑でAを再逮捕した[45]。逮捕は3回目で、これまでの逮捕容疑について横浜地検はいずれも処分保留とした[45]。これで東棟1階の女性10人と合わせ、死亡した19人全員について殺人容疑で立件され、Aはいずれも容疑を認めた[45]。鑑定留置の期間は翌2017年1月23日までの約4か月間を予定している[46]。Aは襲撃の途中に施設の職員室にあるパソコンで勤務表を調べ、自分より体格がよい職員がいないことを確認していたことが判明しており、捜査関係者は「殺害計画に沿って合理的に行動しており、心神喪失状態ではなかった」とみている[47]

12月19日、神奈川県警はこれまでの殺人容疑に加え、入所者24人に重軽傷を負わせたとする殺人未遂容疑でAを横浜地検に追送検し、一連のAによる殺傷行為についてすべて立件した[48][49]。また、県警はその負傷者のうち2人について家族の了解が得られたとして実名を公表した[48][50]

2017年(平成29年)1月13日、神奈川県警津久井署捜査本部はAが施設職員の男女5人を「騒いだら殺す」などと脅して結束バンドで手首などを縛り手すりに拘束し、うち女性職員2人の頭部を殴るなどして重軽傷を負わせたとして、施設女性職員2人への逮捕・監禁致傷容疑と、施設職員の男性3人への逮捕・監禁容疑(施設職員計5人に対する逮捕・監禁容疑)などでAを追送検した[51]

1月17日、事件当時のAの精神鑑定を実施し刑事責任能力の有無を判断した上で起訴するかどうか一括して判断するため、昨年9月21日から1月23日まで4カ月を予定してAの鑑定留置を実施していた横浜地検は、横浜地方裁判所に2月20日まで鑑定留置期間を延長するよう請求し認められたと発表した(延長理由は明らかにされていない。捜査関係者によると、鑑定を担当する精神科医が延長を申し出たという)[52]。2月20日に鑑定留置が終了し、Aの身柄は午後3時過ぎに立川拘置所から捜査本部が置かれている津久井警察署に移送された[53]。これまでの精神鑑定でAは「自己愛性パーソナリティ障害」など複合的なパーソナリティ障害があったとみられ[53]、「動機の了解可能性」「犯行の計画性」「行為の違法性の認識」「精神障害による免責の可能性」「犯行の人格異質性」「犯行の一貫性・合目的性」「犯行後の自己防衛行動」の面から[54]、Aは犯行時には「完全な刑事責任能力を問える状態」であったという[53]。横浜地検は勾留期限の2月24日までにAを起訴する方針を決めた[55]

そして2月24日、横浜地検はAを男女19人の入所者への殺人、男女24人の入所者への殺人未遂、職員3人への逮捕・監禁及び職員3人への同致傷、建造物侵入、銃刀法違反の6つの罪で横浜地裁に起訴し、事件発生から約7か月に及んだ一連の捜査が終結した[5][6][8][7]。事件は裁判員裁判で審理される見込みで[5]、裁判では責任能力が争点になるとみられ、公判前整理手続が長期化し初公判までに時間がかかる可能性がある[56]刑事裁判では検察側の死刑求刑が確実視される一方[8]、弁護側はAが犯行当時心神喪失状態だったとして無罪を主張する可能性もある[57]。横浜地検は今後の裁判において起訴状を朗読する際などに被害者の実名を呼ばず「○○さん」などの匿名での審理を裁判所に求める検討をしているが、法廷でも被害者名が明かされない可能性が出たことについて被害者の家族や障害者団体など関係者の意見は「遺族や家族の要望を重視するのは当然」という肯定的なものや「障害者であることを理由に特別扱いするなら差別だ」という否定的なものなどに分かれている[58]

今後刑事裁判でAに死刑判決が言い渡され確定した場合、殺害人数19人は連合赤軍事件坂口弘(17人への殺人罪で起訴。司法の認定は16人殺人・1人傷害致死)や、大阪個室ビデオ店放火事件死刑囚(16人殺人)を超え、麻原彰晃オウム真理教事件の死刑囚を除くと日本における死刑囚としては戦後最悪の数字となる。

横浜市内の精神鑑定経験が豊富な医師によると、一般的に「自己愛性パーソナリティ障害」は、衝動の抑制が効かなかったり理性的な判断が難しくなる場合はあるものの、刑事責任能力を左右する精神病とは区別されるという[59]。精神病というよりかは「性格の大きな歪み」に分類され、自分の意見が通らないと「周囲がいけない」「法律がおかしい」と自己中心的な思考に陥りがちになる[59]。その上で、Aの「かなり冷静に一貫した行動や言動」や、事件後の逃走を「自分の行動が犯罪だと認識している」点を指摘し[59]、Aの日常生活には問題がなかったことから「自己責任能力の否定材料が乏しく、起訴はまっとうな判断である」と評した[59]

神奈川県知事黒岩祐治は「裁判を通じて、この事件の全容が明らかになることを望む」と表明、また相模原市長の加山俊夫も「原因が究明され偏見や差別のない共生社会の実現につながってほしい」とコメントを出した[60]

被告人編集

Aは1990年(平成2年)1月20日[4]東京都日野市[61]、自治回活動に積極的に参加していた図工教師の父親と漫画家の母親の間に生まれた[62][63]

Aが1歳の頃(1991年〈平成3年〉1月)[64]、Aは両親とともに東京都内の団地から、現場からわずか500mほどの距離の、津久井郡相模湖町千木良(当時・現在の相模原市緑区千木良)にある自宅に移住した[65][66][4]。中学時代は熱心なバスケットボール部員で勉強もできる方だったという[66]。Aは相模原市内の小中学校を卒業後、東京都八王子市内の私立高校に進学し[63]、2008年(平成20年)4月に帝京大学教育学部に入学した[4]

Aは子供の頃、いじめられているをかばうなど優しい少年だったものの、高校に入学してからは同級生を殴って転校した経験を持つ[67]。また、刺青は帝京大学在籍時の教育実習中に入れていたことが明らかになっており、Aの性格が豹変したのもその頃からだったという[63]。この頃Aは「強い人間」に憧れてナイトクラブに通い、2010年〈平成22年〉頃から大麻などを吸引し始めるなど薬物に手を出すようになり[4]、卒業後は半グレ集団や右翼関係者とも交友を持つようになっていた[67]。2012年(平成24年)3月にAは帝京大学を卒業し、同年12月1日から「津久井やまゆり園」に就職した[4]。Aは大麻を吸っていても「きかない」といってさらに危険ドラッグを吸うこともあった他、後述の措置入院後も大麻や危険ドラッグを使用していたという[68]

事件の4, 5年ほど前にA宅から夜中に母親とみられる女性の泣き叫ぶ声が聞こえ、その約半年後にAとの同居に耐えかねた両親がAを残して八王子市のマンションに引っ越したという[62]。大学卒業後Aは自動販売機の設置業者、運送会社デリヘルの運転手などを転々とし、相模原市内のクラブにも頻繁に出入りしていた[62]。転居の理由について近隣住民らは「Aの母親が野良猫に餌を与えて近隣とトラブルになったから」という説や「A君が入れ墨を入れたことに両親が怒ったから」という話があったという[64]

Aは2012年12月1日付で「津久井やまゆり園」に非常勤職員として採用され[4]、翌2013年4月1日から常勤職員として採用され[6]、2016年2月まで勤務していた[24]。逮捕後の取り調べに対し、「ナイフで刺したことは間違いない」と容疑を認めた上で、「施設を辞めさせられて恨んでいた」とも話したという[22]。Aは2012年8月、施設を運営する社会福祉法人「かながわ共同会」の就職説明会に参加し、「明るく意欲があり、伸びしろがある」という判断で採用された[69]。しかし、採用後の勤務態度には施設入居者への暴行や暴言を繰り返すなどの問題が多々あり、何度も指導や面接を受けていたほか[69]刺青を入れたり、業務外での問題行動も散見された[69]

Aは2016年2月半ばに、衆議院議長公邸を訪れ、衆議院議長の大島理森に宛てた手紙を職員に手渡した[70]。この手紙の一部には、犯行予告とも取れる文言があり[70]、同施設を含む2つの施設が標的として名指しされるとともに手口が具体的に記されていた[71][72]。供述によれば、Aは同年2月に安倍晋三首相宛の手紙を自由民主党本部にも持参していた[73]

事件を受けて、7月26日に衆議院事務総長の向大野新治[70]が記者会見し、手紙を受け取った経緯などを説明した[74]。それによると、Aは2月14日午後3時25分頃に議長公邸を訪れ、書簡を渡したいと申し出たが受け入れられず、土下座をするなどしたため、警備の警察官が職務質問したところ、そのまま立ち去った[74]。その後、男性は翌日午前10時20分頃に再訪し[74]、正門前に座り込むなどしたため[75]、衆議院側で対応を協議して、午後0時半頃に手紙を受け取ると、ようやくその場を立ち去った[74]。手紙に犯罪を予告するような内容があったため、衆議院の事務局が警察に通報し、手紙を提出[74]。向大野は「すぐに大島議長の指示をあおいで警察に連絡しており、適切な対応だったと考えている」と述べた[74]。この手紙について、警視庁は同15日中に津久井署に情報を提供した[71]

複数の知人によると、Aは2月17日に「聴いて下さい!!話は障害者の命のあり方です」から始まるメッセージをLINEで同級生らに一斉に送信し「彼らを生かすために莫大な費用がかかっています」「ご意見をお聞かせ下さい」などと自説を展開した[76]。その後Aは同級生らに直接電話を掛けて犯行計画を打ち明け「俺だって殺したくないけど、誰かがやらないといけない」「職員を結束バンドで縛るから取らないように見張ってくれ」などと独自の理論を展開し、犯行に協力するよう勧誘したという[76]。同級生らはその都度、Aに対し計画を取りやめるよう説得を試みたが、反論した友人に対しAは「じゃあ、お前を殺してからやる」と言い放ったという[76]。一部同級生は「ふざけるな」と言ってAを殴るなどしてまで中止を迫ったが、Aは聞く耳を持たず、実際に実行すると思わなかったこともあり、そのうち知人らは「あまり他の人に言うな」と反応するしかなくなったという[76]

2月18日には、Aが勤務中に同施設職員に対し、重度の障害者について「安楽死」を容認する発言をし、施設側から「ナチス・ドイツの考えと同じだ」と批判されたが[77]、その主張を変えなかったことから[注釈 4]、翌19日に同施設が警察に通報し、これに対応した津久井警察署はAが「他人を傷つけるおそれがある」と判断して相模原市長に対して精神保健福祉法23条に基づき通報を行った[79]。同市は、措置診察を行う事を決め、1人の精神保健指定医が「入院の必要がある」と診断したため[79]精神保健福祉法に基づいて緊急措置入院を決定した[75]。Aは同日、勤めていた同施設を「自己都合」により退職した[25]。さらに、翌20日には尿から大麻の陽性反応が見られ[79]、22日に別の2人の精神保健指定医の診察を受けたところ、指定医の1人は「大麻精神病」「非社会性パーソナリティー障害」、もう1人は「妄想性障害」「薬物性精神病性障害」と診断[80]。市は同日、Aを正式な措置入院とした[75]。指定医は「症状の改善が優先」などとして警察には通報せず、市は3月2日、医師が「他人に危害を加える恐れがなくなった」と診断したため、Aを退院させた[75]。同級生の男性曰く、この頃にAの自宅にA自身が執筆した「ニュー・ジャパン・オーダー(新日本秩序)」と題した計画書のような文書があり、内容は障害者殺害の他「医療大麻の解禁」「暴力団日本の軍隊として採用」などの計画だったという[4]。男性曰く「この頃スーツを着て『革命軍っぽくない?』と話すなど、革命という言葉を繰り返し使っていた」という[4]

Aは犯行前日の7月25日未明に相模原市内で知人男性2人と会い、うち1人から「自分が狙われている」と感じ、前述のように10月1日に予定していた襲撃日の前倒しを決意した[5]。2人と別れた後、バスなどで京王線の駅に向かい、始発電車新宿駅に向かった[5]。同日午前新宿漫画喫茶で仮眠を取り、昼頃に相模原市内のファストフード店に車を放置したとして家族(母親)を通じ津久井署から呼び出しを受け、電車で相模原市に戻った[5][32]。Aは車を引き取った後、自宅から包丁などを持ち出し[5]、東京都内のホームセンターハンマーや結束バンドなどを購入して犯行の準備をした[5][32]。その後Aは車で再び都内へ向かい、新宿のホテルの一室を借りて室内で頭髪を金色染めた[5]。午後9時ごろにAは好意を寄せていた知人女性と待ち合わせて高級焼肉店で食事し、その際に女性に障害者襲撃計画を話した[5][6][4]。「世界のために障害者を抹殺するという考えを認めてほしかった」といい、女性から反対されたが、偏った考えを変えることはなく、食事を終えた後都内のホテルに滞在してから相模原市に戻り、翌26日午前1時頃にホテルを出て車で「津久井やまゆり園」に向かい、2時頃に園内に侵入して凶行に及んだ[5][4]

凶行に及んだ直後、警察に出頭する直前の午前2時50分にAはTwitterに「世界が平和になりますように。beautiful Japan!!!!!!」という内容のツイートを[6][4][81][25]、赤いネクタイに白いYシャツ、黒いスーツ姿で口を半開きにし、少し固い笑みを浮かべて正面を向いた自撮り写真を添付してTwitterに投稿していた[82]。Twitterは2014年11月に開始したが、投稿は意味不明なものや幼稚なものが多く[83]、Twitterアカウントのプロフィールページのヘッダー画像には「マリファナは危険ではない」と書かれた画像が使用されていた[81]。Aは車で出頭する途中、コンビニエンスストアに立ち寄ってトイレを利用し、そこで手や腕に付着した血を洗った後、千円札菓子パンを購入していた[27]"。コンビニの防犯カメラの画像などから、犯行時と出頭時は同じズボンとシャツを着用しており、服には血も付いていたという[27]

Aは逮捕後の26日夜、取り調べの中で「突然のお別れをさせるようになってしまって遺族の方には心から謝罪したい」と遺族への謝罪の言葉を口にしたが[16]、一方で被害者への謝罪は行っておらず、障害者に対する強い偏見を表す形となった[16]。Aは麻薬覚醒剤の尿検査には応じたが、大麻使用の尿検査を拒否したため[16]。Aは高校時代から障害者に対する差別発言を繰り返していた[69]強制採尿した結果[84]、大麻の陽性反応が出た[85]

神奈川県警が27日にA宅を家宅捜索した結果[86]、微量の植物片が見つかり[87]、分析により大麻であることが確認された[88][89]

さらにAは障害者を「税金の無駄」と揶揄する一方で[90]、自らは事件前の3月24日から31日の8日間にかけて生活保護を受給しそれを遊興費として浪費していた、数百万円の借金があったという報道もなされている[43][91][92][93][94]。Aは3月24日に福祉事務所の窓口を訪れ「親族の援助もなく、1人で暮らしている」「預貯金が底をついてしまった。働いていないので生活できない」と訴え、これを受けて相模原市はこの時点でAに収入がないことなどを確認して生活保護費用を4月3日に給付した[91]。給付分は3月24日から31日までの日割り分と4月分だったが、4月下旬に雇用保険が支払われたことを確認したため4月分は返還されたという[91]

Aは逮捕後の取り調べで「今の日本の法律では、人を殺したら刑罰を受けなければならないのは分かっている」と供述する一方で「権力者に守られているので、自分は死刑にはならない」という趣旨の発言もしている[95][注釈 5]。また、「事件を起こした自分に社会が賛同するはずだった」という趣旨の供述もしている[97][98]

捜査関係者によると、Aは「障害者の安楽死を国が認めてくれないので、自分がやるしかないと思った」と供述し、こうした偏見に至った背景について、中学時代に障害を持つ同級生と関わったことや、園で働いた経験などを挙げ「障害があって家族や周囲も不幸だと思った。事件を起こしたのは不幸を減らすため。同じように考える人もいるはずだが、自分のようには実行できない」とした[44][98]。その上で「殺害した自分は救世主だ」「(犯行は)日本のため」などと供述している[44][98]

起訴された2017年2月24日現在もAは「障害者は不幸しか作れない。いない方がいい」などと差別的な主張を続けているという[7]。Aは2月27日、拘留中の津久井署で『中日新聞』記者と接見した際に「遺族の皆さまを悲しみと怒りで傷つけてしまったことを深くおわび申し上げます」と述べる一方、自らが殺傷した被害者そのものに向けた言葉はなく、障害者への差別思想の根強さをうかがわせた[99]

またAは7月15日までに、手紙を通じて時事通信社の複数回の取材に応じたが、重度・重複障害者を「人の幸せを奪い、不幸をばらまく存在」だと主張し、その上で「面倒な世話に追われる人はたくさんいる」「命を無条件で救うことが人の幸せを増やすとは考えられない」として、重度障害者の殺害を正当化する考えは事件前と変化していなかった[100]。殺害を思い立ったきっかけとして、ニュースで報じられたアメリカ合衆国大統領就任前のドナルド・トランプが「世界には不幸な人たちがたくさんいる」と述べた演説を聞いて、「真実を話していると強く思いました」と記し、また過激派組織ISILの活動についても挙げた。勾留生活についても「息の詰まる生活に嫌気がさす」「時折外の生活を恋しく思う」と言及し、食事への不満にも触れた。

社会への影響編集

措置入院制度の見直し検討編集

  • 措置入院のあり方について、解除の判断や解除後の支援体制、警察・関係団体との連携などが十分でなかったとの指摘が出ていることから、政府は再発防止に向けて措置入院の制度や運用が適切であったか再検証し、必要な対策を検討していくとしている[101][102]
  • 2016年9月14日に公表された厚生労働省の中間報告[103]において、Aを措置入院させた病院と相模原市が、本来は退院後に必要なケアや復帰プログラムなどを検討しないまま退院させていたことが明らかとなった[104]。また、措置入院させた病院内には薬物使用に詳しい専門の医師がおらず、外部に意見を求めることもなかったため、以後の薬物依存を防ぐ手立てが何一つなされていなかったことも指摘された[104]。さらに、他の精神障害の可能性や心理状態の変化、生活環境の調査や心理検査が行われなかったことも問題とされた[104]。措置入院解除の時に必要な届け出に2点の不備があり、病院とAの両親との間で理解に食い違いがあり、「同居を前提とした」措置入院解除であったにもかかわらず、Aは実際には一人暮らしとなった[104]。届書に空白欄があったにもかかわらず、相模原市がその空白欄を追及しなかったため、精神保健福祉法で定められている「精神障害者の支援」の対象とならなかった点について、報告書は「相模原市の対応は不十分であった」と結論付けた[104]
  • 2016年12月8日、厚生労働省の有識者検討会は最終報告書をまとめて発表した[105]

施設の建て替え編集

  • 2016年9月13日、神奈川県知事黒岩祐治は、施設を管理していた社会福祉法人「かながわ共同会」の要望を受け、施設をすべて建て替えることを表明した(犯行現場となった居室などが使用できなくなったため、一時は30人以上が体育館で過ごすなどの状態に置かれていた。その後、県内の他施設に移ったり自宅に帰ったりして、9月12日現在で約60人が園で生活している)[106]。11月16日には地元の公民館で県の説明会が開かれ、「60億円から80億円で翌2017年度から4年間かけて施設を全面的に建て替える。その間入所者は横浜市内の県立施設へ仮居住などするために全員が施設を離れる」などの説明が県からなされ、住民からは「絶対忘れてはいけない事件。亡くなった方の名前も入れた、誰でも慰霊できる碑を造るべきだ」「基本構想の作成に障害者も加えるべきだ」「防災拠点にもしてほしい」などの意見が出た[107]。仮移転先は横浜市港南区にある知的障害児施設「ひばりが丘学園」で、2017年3月に閉鎖し入所者が県内の新しい施設に移るこの施設を再利用する(移動は4月以降を想定し、園に残る約60人と別の施設に移った約30人も一緒に「ひばりが丘学園」に移る方向で調整している)[108]
  • 2017年4月5日から21日にかけて、事件後も「津久井やまゆり園」で生活していた入所者約60人が「ひばりが丘学園」に転居し、「津久井やまゆり園芹が谷園舎」への仮移転が行われた[109][110]。「やまゆり園」は今月限りで閉鎖され、4年後の2021年の完成を目指して建て替え工事が行われる予定であるが[109][111]、同じ場所で建て替えられるかどうかは不透明な状況だという[112]
  • 4月27日に横浜市中区で5人の委員と県の担当者が出席した「津久井やまゆり園の再建の在り方を検討する部会」の会合が開かれ、意見の集約に向けた議論が行われた。委員からは「複数の小さな施設に入所者を分散することが望ましい」という趣旨の意見が相次ぎ、部会として「入所者を地域生活に移行させるためには、これまでと同様の大規模な施設は前提としない」とする提言を、県に6月に提出する方針が決まった一方、神奈川県の担当者は「小規模な施設を複数つくることは、土地の確保の面から難しい」と述べた[113]

批判編集

  • 神奈川県内の障害者団体や有識者らが、障害者総合支援法(2005年成立)が障害者の地域社会での生活の支援を謳っていることを理由に、「大規模収容施設は、時代の逆行以外の何物でもない」と反発している[114]

反応編集

日本国内編集

政府など編集

  • 内閣総理大臣安倍晋三は事件に対し「心からご冥福とお見舞いを申し上げる。真相解明に政府も全力を挙げたい」と述べた。また、官房長官菅義偉は「関係省庁と協力して再発防止策の検討を早急に行いたい」と記者会見上で述べた[115]
  • 神奈川県知事黒岩祐治は、7月26日午前10時から神奈川県庁で保健福祉局幹部とともに記者会見し、「被害に遭われた方やご家族におかれては、あまりに突然のことでお慰めの言葉もない。県も指導・監督する立場として心からおわび申し上げる。今後被害者支援をできる限り行うと同時に警察の捜査に全面的に協力し、再発防止に全力を尽くす」と謝罪した[116]
  • 神奈川県議会は2015年9月8日、「県立津久井やまゆり園で発生した事件の再発防止と共生社会の実現を目指す決議」を全会一致で可決した。同年10月14日、神奈川県は「ともに生きる社会かながわ憲章」を制定した[117]
  • 相模原市長の加山俊夫は「犯行の動機などその背景は明らかでありませんが、このような悲惨な事件が本市で起きましたことは心痛に耐えません。障害を抱え、体が不自由な方々を標的にした、許されざる行為に対し、強い憤りを感じております」と事件を非難し、その上で犠牲者へのお悔やみと負傷者へのお見舞いのコメントを寄せた[118]
  • 自民党の元参院副議長山東昭子は、犯罪予告やほのめかした人物、再犯の恐れのある性犯罪者などに対して、GPSを埋め込むようなことも含めた議論をすべきとの考えを示した[119][120][121]

メディア編集

  • 沖縄タイムス』の7月27日の社説では、Aの事件前の言動と行政の対応に言及した上で、“今回の事件は障がい者を標的にした犯罪「ヘイトクライム」である。”と述べている[122]
  • 『中国新聞』の7月27日の社説では、犯行を強く非難した上で、“本人の生い立ちや人間関係はもとより事件に潜む社会的な病巣はないのか”と問いかけ、また障害者施設を含めた福祉施設の防犯対策を検討する必要があると指摘している[130]
  • 『中日新聞』の7月27日の社説では、Aの事件前の言動に言及した上で、批判の矛先が行政や病院、警察に安易に向けられることについて、“そうした批判は、ともすると地域で暮らす精神障害者への差別や偏見を助長しかねない”と懸念を示している[131]
  • 『毎日新聞』の7月27日の社説では、犯行の動機について“軽々に判断すべきではない”と述べ、また事件のあった施設の防犯体制に言及して「障害者施設の運営上の課題を十分に点検すべきだ」と指摘している[132]
  • 『毎日新聞』は7月28日、『東京新聞』は7月30日、肉体的生命を奪う「生物学的殺人」と同時に、人間の尊厳や生存の意味そのものを、優生思想によって抹殺する「実存的殺人」という「殺人の二重性」があるとの福島智の指摘を掲載した[133][127]
  • 『西日本新聞』は7月29日の朝刊オピニオンで「ナチス・ドイツユダヤ人の大虐殺だけでなく、「T4計画」と呼ばれる非人道的な計画も実行した…」という題で、ナチスが7万人の障害者を、ユダヤ人と同じようにガス室で殺害した例をあげ「ヘイトスピーチが横行する社会に、亡霊を呼び寄せる黒い感情が満ちてはいまいか」と警鐘を鳴らした[134]
  • 『産経新聞』オピニオンiRONNA編集部の白岩賢太編集長は、「Aの一方的な偏見と、国内外で広がりをみせる愛国思想や保守主義を同等に論じるメディアや識者がいる」として『障がい者大量殺害、相模原事件の容疑者はネトウヨ? 安倍首相、百田尚樹橋下徹Kギルバートらをフォロー』とAがツイッターでフォローしていたのがいわゆる「ネトウヨが好みそうな極右政治家、文化人がずらりと並んでいる」であるとリテラが報じた[135]のに対し、「犯人の誇大妄想と右翼思想を無理やり関連づけ」たとして「強い嫌悪感を覚える」と批判した[136]
  • 『産経新聞』論説委員鹿島孝一は、今回の事件を受けて、人権派から「予防拘禁だ」「権力が乱用する恐れがある」として反対している「保安処分」を制度化するしかないのではないかと主張している[137]
  • 『日本文化チャンネル桜』社長水島総は、Aと在日特権を許さない市民の会などの団体の思想の共通点を取り上げ、「日本人の発想ではない」と批判している[129]

その他編集

  • 知的障害者と家族で作る「全国手をつなぐ育成会連合会」をはじめ[138][139]、多くの障害者団体が、Aが書いた障害者を侮蔑する内容の文言に対し、緊急の声明や障害者に向けた文章を発表した[140]
  • 弁護士の師岡康子は、共同通信のインタビューに答え、Aが障害者を同じ人間として認めず、強い偏見や差別意識をもっていたとし、「特定の集団や個人を標的とする、罪「ヘイトクライム」といえる」とし障害者差別解消法が2016年4月に施行されたことを指摘して、「日本でもヘイトクライムを決して許さない取り組みが必要だ」との意見を述べた[141]
  • 作家の石原慎太郎は「この間の、障害者を十九人殺した相模原の事件。あれは僕、ある意味で分かるんですよ」とAの行為に理解を示した[142]
  • 川崎市中原区にある障害者施設の施設長は、「障害者を排除するという被告の極端な考え方は、施設で働いていたからこそエスカレートしたのではないか」と問題を提起した。職員が障害者を主従関係で扱っているようになれば、「他の施設でも起きないとは限らない」という。事件の背景には「社会に潜在する障害者への差別意識」があり、もともと社会からの風当たりが強い障害者施設で、さらに職員による障害者の管理が厳しくなれば、「みんな障害者を邪魔に思っているんだ。差別して何が悪いんだ」という虐待の温床になりかねないと、障害者施設のあり方を問題視している[143]
  • 事件後、神奈川県警には「いつAに面会できますか?」という問い合わせが相次ぎ、その中には「労いの言葉をかけたい」「応援してるので、差し入れしたい」などの内容もあった[144]。また、Twitterなどのインターネット上では「よくやった」「遺族は自分で面倒見きれないから、金を払って施設に押し付けてたんだろ。殺してくれたAに感謝すべき」「人に危害を加える重度障害者に、人権なんて与えなくていい。犯人はよくやったと思う」「Aはぶっちゃけ、障害者という税金食い潰すだけのやつらを殺処分した英雄」などのようにAの残虐な犯行を賞賛・支持したり、Aを英雄視するコメントが相次いだ[144]

国際社会の反応編集

派生した事件・犯罪編集

事件発生後、これに関連・便乗した事件が発生した。

  • 2016年7月29日、横浜市の障害者就労支援施設を破壊するとの予告メールを送った無職の男が神奈川県警に威力業務妨害容疑で逮捕された[148]
  • 同年10月13日、水戸市の介護施設でこの事件を想起させる脅迫文がばらまかれた。茨城県警察は威力業務妨害の疑いで捜査を開始した[149]
  • 同年11月10日、津山市の障害者支援施設へ脅迫電話がかけられた。翌日、岡山県の無職の男が威力業務妨害容疑で岡山県警察に逮捕された[150]

関連書籍編集

脚注編集

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注釈編集

  1. ^ 組織テロオウム真理教事件連合赤軍事件を除く。この事件が発生するまでは2008年(平成20年)に発生した大阪個室ビデオ店放火事件の16人が最多であった[10]2001年(平成13年)に発生した歌舞伎町ビル火災未解決事件)は44人の犠牲者を出しており、放火の可能性が疑われているが、火災原因が確定していないため、殺人事件からは除外されている[10]
  2. ^ 殺害人数19人は連合赤軍事件(主犯は坂口弘)の17人を上回る。戦前には本事件を上回る犠牲者数の事件として1938年(昭和13年)に発生し、30人が殺害された津山事件があった。
  3. ^ 神奈川県警は当初110番通報の時間を午前2時45分としていたが[1]、38分に訂正した[14]
  4. ^ 入院中に、Aが『ヒトラーの思想が2週間前に降りてきた』と話していたとする証言もある[78]
  5. ^ 実際、弁護士の山口宏は「精神科医が責任能力の有無を判断し、裁判官が量刑を決める。過去の事件の判決のように、おかしな結末になることも否定できません」とし、また新宿西口バス放火事件の判例を挙げて「普通だったら死刑になりますが、無期懲役もあり得ます」としている[96]

出典編集

以下の出典において、記事名に実名が使われている場合、この箇所をAとする。また時刻は日本標準時とする。

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関連項目編集

関連リンク編集