神の杖(かみのつえ)または神からの杖(かみからのつえ、Rods from God)は、アメリカ空軍が開発中と噂されている宇宙兵器軍事衛星)。Kinetic bombardment(運動エネルギー爆撃)とも呼ばれる。実在を信ずるに足る根拠はない一方で、ネット上を中心に定期的に話題になる。

概要編集

核兵器に代わる戦略兵器として計画されている兵器で、タングステンチタンウランからなる全長6.1m、直径30cm、重量100kgの金属棒に小型推進ロケットを取り付け、高度1,000kmの低軌道上に配備された宇宙プラットホームから発射し、地上へ投下するというもの。極めて大規模であるが、一種の運動エネルギー弾であると言える。落下中の速度は11,587km/h(約マッハ9.5)に達し、激突による破壊力は核爆弾に匹敵するだけではなく、地下数百メートルにある目標を破壊可能だとされている。

金属棒の誘導は他の衛星によって行われ、地球全域を攻撃することが可能。また、即応性や命中率も高いばかりか、電磁波を放出しないため探知することが難しく、迎撃は極めて困難とされている。

柳田理科雄は、寸法通りの金属棒だと重量はタングステンで8.3t、チタンで2tに及んでしまい、さらに、100kgの物体が11,587km/hで落下しても威力は広島型原爆の12万分の1にしかならないなどとして、神の杖の存在に否定的な見解を示している。また米国科学者連盟英語版ジョン・E・パイクドイツ語版は、金属棒が大気の断熱圧縮により融解してしまう事を指摘している。

なお、神の杖のような宇宙兵器の保有は宇宙条約によって禁止されている。

運動エネルギー爆弾が登場する作品編集

1960年代半ば軌道力学に対する一般的な科学的関心が多数のSF作品につながった。一例としては、ロバート・A・ハインラインによる『月は無慈悲な夜の女王』がある。月の市民は、地球に向け電磁発射システムから発射される鉄の容器に包まれた岩で地球を砲撃した。

1970年代と1980年代にこのアイデアは、次のようなSF小説で更に洗練されたものが登場した。ラリー・ニーヴンとジェリー・パーネル共著による『降伏の儀式』(当初はノンフィクションの軍事利用のためのアイデアとしてパーネルによって提案された)では、異星人は神の杖タイプのシステムを使用した。このような武器は1980年代と1990年代にはSF作品の定番となった。TRPGではトラベラー (TRPG)シャドウランヘビーギア(これらのゲームで武器を砲兵を意味するartilleryと軌道を意味するorbitを組み合わせたortilleryと命名した)、テレビドラマではバビロン5、映画ではスターシップ・トゥルーパーズなどに登場した。

スペースコロニーを運動エネルギー爆弾として使用するコロニー落としは、ガンダムシリーズで多く使われ、機動戦士ガンダムにおける重要な出来事となる。シリーズ作品では、機動戦士ガンダム 逆襲のシャア機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY新機動戦記ガンダムW機動新世紀ガンダムX機動戦士ガンダムSEED DESTINYなどに登場する。伝説巨人イデオンでは、光速に近い速度で航行している戦艦などからミサイルを発射し、ミサイルによる破壊力と運動エネルギーによる破壊力を合わせた攻撃方法として準光速ミサイルが登場した。運動エネルギー宇宙兵器は、弐瓶勉の漫画及び同作を原作とするアニメシドニアの騎士でも使用されている。

より小さな種類の「クローバー」は、Marc Stiegler 英語版によるDavid's Sling 英語版(Baen、1988)に登場する。冷戦時代に設定されたこの物語では、敵の数値的優位性を克服するための(比較的安価な)情報ベースの「インテリジェント」システムの使用に基づいている。軌道運動爆撃システムは、ヨーロッパに侵入したソビエトの戦車軍隊を最初に破壊し、その後、核攻撃の前にソビエトのICBMサイロを撤去するために使用される。

出典編集

関連項目編集