神三ダム(じんさんダム、別称:神通川第三ダム)は、富山県富山市一級河川神通川水系神通川に建設されたダム。高さ15.5メートル[1]重力式コンクリートダムで、北陸電力発電用ダムである。同社の水力発電所・神通川第三発電所および神通川第三左岸発電所に送水し、合計最大1万6,500キロワットの電力を発生する。

神三ダム
神三ダム
所在地 左岸:富山県富山市須原
位置 北緯36度33分36秒 東経137度12分07秒 / 北緯36.56000度 東経137.20194度 / 36.56000; 137.20194
河川 神通川水系神通川
ダム湖
ダム諸元
ダム型式 重力式コンクリートダム
堤高 15.5 m
堤頂長 242.0 m
堤体積 23,000
流域面積 2063.0 km²
湛水面積 26.0 ha
総貯水容量 1,455,000 m³
有効貯水容量 806,000 m³
利用目的 発電
事業主体 北陸電力
電気事業者 北陸電力
発電所名
(認可出力)
神通川第三発電所
(9,400kW)
神通川第三左岸発電所
(7,100kW)
施工業者 前田建設工業
着手年/竣工年 1953年/1954年
テンプレートを表示

歴史 編集

1954年昭和29年)、北陸電力は神通峡において、神通川第一発電所の運転を開始した。かつて日本発送電が寺津発電所として着工し、中断されていたものを継承し、完成させたものである。神通川第一発電所は神一ダムより取水し、電気が多く消費される時間帯に集中して発電するピーク運用がなされるため、出力変動に伴い使用水量が増減することから、発電所の下流では河川水位の変動を催す。これは利水やレジャーなど、人々の河川利用に悪影響を及ぼしかねないことから、流量を平均化するための逆調整池として神二ダムの建設が計画された。神通川第一発電所からの放水を神二ダムで一時的に貯留し、ダム直下の神通川第二発電所を通じて常時一定量の水を下流に放流するのである。

神通川第一・第二発電所の建設が進む中、新たに神三ダムの建設が計画された。神二ダムからさらに4キロメートル下流に建設するものであり、神二ダムに代わって逆調整の目的を担う。これにより、神通川第二発電所は神通川第一発電所と連携したピーク運用が可能になった。神三ダムは両岸に発電所を設け、右岸側を神通川第三発電所(以下、右岸発電所[2])、左岸側を神通川第三左岸発電所という。右岸発電所はダム直下に位置し、ダム右岸側より最大110立方メートル毎秒の水を取り入れ、最大9,400キロワットの電力を発生するもので、1954年2月に着工し、1955年(昭和30年)1月25日に完成した[3]。一方、左岸発電所はダムから1.8キロメートル下流に位置し、ダム左岸側より最大52.3立方メートル毎秒の水を取り入れ、最大7,100キロワットの電力を発生するもので、1955年4月に着工し、1956年(昭和31年)1月26日に完成した[3]。当初は両発電所ともダム直下に建設する予定であったが、左岸発電所についてはダムから距離を置くことで落差を稼ぎ、使用水量が右岸発電所の半分という弱点を補っている。

周辺 編集

北陸自動車道富山インターチェンジから国道41号を南下、神通川に架かる新笹津橋を右折し、富山県道25号砺波細入線を進むと神三ダムの左岸側に出る。また、新笹津橋の手前で右折し、JR高山本線笹津駅西側へと抜けると、神三ダムの右岸側に出る。

付近には春日温泉があり、ゆーとりあ越中、リバーリトリート雅樂倶(ガラク)といった保養施設がある。温泉が発見されたのは大正時代のことで、に現れたのお告げが温泉の発見につながったといわれている[2]

脚注 編集

  1. ^ 神三ダムの堤高について、ダム便覧[1]は15.5メートルとしているが、『北陸地方電気事業百年史』では13.5メートルとある。
  2. ^ 「右岸発電所」という名称は解説のため便宜上用いるものであって、実際の呼称とは無関係である。
  3. ^ a b 『北陸電力50年史』(2001年11月、北陸電力発行)617頁。

関連項目 編集

参考文献 編集

外部リンク 編集