空間計量経済学(くうかん けいりょうけいざいがく、: spatial econometrics)は空間分析計量経済学の交差領域にある学問分野である。

一般的に、計量経済学は理論モデルに注力しているという点で他の統計分野とは異なっており、パラメータは回帰分析によって推定されている。空間計量経済学は、相異なる主体間の空間的な交互作用を含む理論モデルや、観測されたデータが空間的に独立でない場合について、改善・精錬されたものとなっている。空間データを対象とした統計的分析を行う分野としては地球統計学(狭義の「空間統計学」)も挙げられるが、地球統計学がデータ・ドリブンであるのに対して空間計量経済学はモデル・ドリブン英語版であるという相違点が指摘されている[1][2]

空間計量経済学における空間的自己相関近隣効果英語版を融合させたモデルは空間計量経済学の手法を用いて推定することができる。これらのモデルは地域科学英語版不動産経済学教育経済学などで用いられている。

歴史編集

空間計量経済学に関する初のテキストはPaelinck & Klaassen (1979)である[1]

代表的なモデル編集

空間ラグモデル編集

空間ラグモデル(: spatial lag model、略称: SLM)。行列・ベクトル表記では

 

と表現される。ここで、応答変数  、説明変数  、説明変数の係数パラメータ  、空間重み行列  、空間パラメータ  i.i.d.誤差   である[3]

空間誤差モデル編集

空間誤差モデル(: spatial error model、略称: SEM)は回帰モデルにおける誤差項同士の空間的な自己相関をモデル化しようとするものである。代表的なSEMは空間自己回帰型の誤差項   を持つモデルで、

 

と表現される。ここで   は空間パラメータである[4]

脚注・出典編集

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  1. ^ a b 堤・瀬谷(2012).
  2. ^ この区別に対して地球統計学の発展に貢献した Noel Cressie は批判を行っている。
  3. ^ 瀬谷・堤(2014), p. 100.
  4. ^ 瀬谷・堤(2014), p. 101.

参考文献編集

  • Paelinck, J.; Klaassen, L. (1979), Spatial econometrics, Farnborough: Saxon House, ISBN 978-0566002649 
  • Anselin, L. (1988). Spatial econometrics: Methods and models. Dordrecht: Kluwer Academic. ISBN 978-9024737352 
  • LeSage, J. P.; Pace, R. K. (2009). Introduction to spatial econometrics. Boca Raton, FL: CRC Press. ISBN 978-1420064247 
  • Anselin, L. (2010). “Thirty years of spatial econometrics”. Papers in Regional Science 89 (1): 3-25. doi:10.1111/j.1435-5957.2010.00279.x. 
  • Griffith, D. A.; Paelinck, J. H. P. (2011). Non-standard Spatial Statistics and Spatial Econometrics. Heidelberg: Springer. ISBN 978-3-642-16043-1 
  • 堤盛人、瀬谷創「応用空間統計学の二つの潮流:空間統計学と空間計量経済学 (PDF) 」 『統計数理』第60巻、2012年、 3-25頁、 NAID 40019434204
  • 瀬谷創、堤盛人『空間統計学―自然科学から人文・社会科学まで』朝倉書店、2014年。ISBN 978-4254128314

関連人物編集

関連項目編集