空集合の公理

「空集合が存在する」ことを主張する公理

空集合の公理 (くうしゅうごうのこうり、: axiom of empty set) は、ツェルメロ=フレンケル集合論KP集合論公理の一つで、「いかなる要素も含まない集合が存在する」ことを主張するものである。ただし、この公理を採用しないZF公理系の定式化も存在する[1]

定義 編集

「ある集合 x が存在して、任意の y に対し、yx の要素でない。」 すなわち、

 

性質 編集

外延性の公理により、公理で主張される集合は一意に存在することがわかる。その集合を「空集合」と呼び、通常は { } の記号で表わす。空集合を表す定数記号を予め用意してZFを記述することもある。その場合、無限公理に現れる ∅ は単に何らかの集合を表す記号であり、空集合の公理によってはじめてそれが空であることが保証される。

この公理の主張自体は明白なものと考えられているが、一階述語論理置換公理から導くことが可能なため[2]、公理には加えないこともある。

脚注・出典 編集

  1. ^ ケネス・キューネン『集合論 独立性証明への案内』藤田博司訳、日本評論社、2008年、ISBN 978-4-535-78382-9
  2. ^ Metamath Proof Explorer, Theorem axnul

参考文献 編集

  • Jech, Thomas (2002), Set Theory, Springer Monographs in Mathematics (3rd millennium ed.), Springer, ISBN 3-540-44085-2