競艇選手

GC準優勝戦・競走中の競艇選手 戸田競艇場 2007年

競艇選手(きょうていせんしゅ)とは、競艇選手のことである。通称は、ボートレーサー

目次

概説編集

2014年平成26年)2月1日時点で、競艇選手の数は約1,583名(内女子190名)である[1]

競艇選手は特定の養成所での訓練を経た者だけがなることができる。養成所の場所は変遷してきたが、現在は福岡県柳川市にある「ボートレーサー養成所」で訓練が行われており、訓練期間は1年である(→ #競艇選手の養成課程)。

競艇選手の生活は、レースの開催期間中と期間外で異なっている。レース開催期間中は主としてモーター(=エンジン)の整備などに時間をかけており、体重管理・体調管理に気を配っている。競艇選手は開催競艇場から外出することができないだけでなく、電話などで家族も含めて外部の人と接触することもできない。競艇は(行政用語で言うところの)「公営競技」すなわち日本の行政機関が賭博(=ギャンブル)として開催している競技であるので、ギャンブルにまつわる不正行為(ノミ行為八百長やその他金銭の関係する行為)が行われて、競技が正しく運営されなくなってしまうような事態を防止するため、選手はコンピュータはおろか、携帯電話やスマートフォンなどの通信機器類も手元に置けない仕組みになっているからである(→#開催期間中)。

開催期間外は、一般人と同様に、競艇場の外の人々と接することが可能となる。過ごし方は選手によって差があるものの、以前は主としてプロペラ(=スクリュー )の研究や加工に多くの時間をかけており、競艇選手同士で「ペラグループ」と呼ばれる集団をつくり、良い成績を出せるプロペラを得るために、プロペラの加工、加工したプロペラのテスト、良い性能が出せたプロペラ形状の記録・保存等を行っていた(→#持ちペラ制)。しかし2012年に持ちペラ制が廃止されたことから、以後は過ごし方にも変化が生じている(→#開催期間外)。

競艇選手には4つのクラス(級)分けがあり、上位から「A1」「A2」「B1」「B2」のクラスに分けられており、勝率・複勝率・出走率・事故率などによって判断されており、審査・適用のプロセスは年に2回行われている(→ #選手のクラス分け)。

収入面について言えば、競艇選手はプロスポーツ選手(つまり競技で賞金や収入を得る選手)であり、無償で競技を行う選手ではない。収入の低い選手だと1千万円に達しないが、トップレベルの選手になると年間に1億円を超える賞金を得ている[2](→ #競艇選手の収入)。

選手寿命について言えば、プロスポーツの中では選手寿命が相当長いほうに属する。3年に一度の選手登録更新の際の健康診断で裸眼視力の基準などをクリアできず一定期間内で治療・再検査で合格できない場合には選手登録が抹消されるものの、定年制も存在しない。ただあまりにも成績不振であると、選手会からの退会勧告や(8項の)規定に抵触しての斡旋保留によりレースに出場不可能になる形で引退勧告が突きつけられることがある。また、選手の体面を著しく汚すような行為を行った場合は、成績優秀であっても解雇になることがある。大半の選手は、加齢による視力・体力の衰えが生じたり、減量の困難さが増すことにより、四十代後半から五十代で引退する(→ #選手寿命)。

競艇選手の養成課程編集

競艇選手は専門の養成所で訓練を受けた者だけがなれることになっており、2001年平成13年)以降は「ボートレーサー養成所」に入校し、1年間の訓練を受けた者でなければ競艇選手になれない。この養成所で、つねに礼節を重んじた形で(あるいは、いわゆる「軍隊調」と呼ばれるような形で)、モーター(エンジン)整備、競技の実技 等々、競艇選手として必要な基礎の訓練を受ける。

同所では年に2回の入学式(4月入学コースと10月入学コース)がある。

ボートレーサー養成所への入学資格が2008年平成20年)8月1日の106期の募集から、条件が大幅に変更となり特別試験枠が設けられた[3]

一般試験応募条件

  • 年齢 入学予定期日の時点で満年齢14歳以上30歳未満であること
  • 学歴 入学日において中学校を卒業していること(上の制限はない)
  • 身長 172cm 以下(※18歳未満の男子については168.0cm以下)
  • 体重 男子は47〜55kg、女子は42〜50kgであること。(※18歳未満の男子については52kg以下)
  • 視力 両眼とも裸眼で 0.8 以上であること(眼鏡コンタクトレンズの使用は認めない/RK・レーザー治療等による視力回復は可)
  • 弁色力 強度の色弱でないこと
  • 聴力その他健康状態 選手養成訓練を行うのに支障のないもの  
  • その他 禁固以上の刑に処せられた者及びモーターボート競走法に違反して罰金以上の刑に処せられた者、成年被後見人又は被保佐人、選手養成訓練中に成績不良又は素行不良により 養成を取りやめられた者のいずれにも該当しない者

特別試験応募条件

なお、各項目の記録については、それを収めた日から訓練開始日までの期間が3年以内。

  • 年齢 15歳以上。上限なし
  • 学歴 不問
  • 身長 不問
  • 体重 男子は47kg以上55kg以下、女子は42kg以上55kg以下(※18歳未満の男子については52kg以下)
  • 視力 裸眼で両眼とも0.8以上(メガネ・コンタクト等の矯正視力は不可/RK・レーザー治療等による視力回復は可)
  • 弁色力 強度の色弱でないこと
  • 聴力その他健康状態 選手養成訓練を行うのに支障のないもの
  • その他 禁固以上の刑に処せられた者及びモーターボート競走法に違反して罰金以上の刑に処せられた者、成年被後見人又は被保佐人、選手養成訓練中に成績不良又は素行不良により 養成を取りやめられたのいずれにも該当しない者

現在では、元選手の鎌田義が運営する「カマギーボートレースアカデミー」など、ボートレーサー養成所入学のための予備校も存在する。

競艇選手の生活編集

詳細については漫画『モンキーターン』に詳しい。

開催期間中編集

レースの斡旋方法並びにレース前日から終了に至るまでの流れは競輪選手の場合と概ね共通している(詳細は競輪選手の項を参照)。ただし競艇の場合は1日に2回競走に出走する場合がある。またレースでフライングスタートに失敗して返還欠場となった場合(フライングもしくは出遅れによるスタート事故)、競輪で失格した場合とは異なり、原則として1回目は賞典除外となるのみでそのまま開催最終日まで競走に参加できる(2回目で強制帰郷となる)。ただ2013年11月の規則改正で.05以上のフライングが「非常識なフライング」と定義され、該当する選手は即日帰郷が命じられるようになった[4]

開催期間中は、多くの選手がレースで使用するモーター(エンジン)の整備に時間を費やす。モーターは各競艇場に備え付けのものから抽選で割り当てられたものを使用するが、性能には個体差があるため、ピストンリングクランクシャフトなどの部品を交換したり、ギヤの噛み合わせの調整(ギヤケース整備)、キャブレターの調整などを行ったりする。整備後はレースの合間などに試運転を行い、性能が向上しているかどうかを確認する。当然のことながら、整備により逆に性能が悪化することもあるので、その場合は状態を元に戻すことになる。またプロペラ(現在は競艇場備え付けのものを使用する。2013年11月以降はヤマト発動機のものが1枚ずつ割り当てられる)とモーターのマッチングのためにプロペラを微妙に加工したり、プロペラのメンテナンスを行ったりすることも多い(プロペラは使用することで水の抵抗を受け微妙に形状が変化するため、定期的なメンテナンスが不可欠である)。

このほか、絶食やサウナでの汗取りなどにより減量を試みる選手もいる(減量によりパワーウェイトレシオが改善し、ボートの性能が向上するため)。競艇選手の大半は普段から体重に気をつけているが、減量によるボートの性能向上と、それにより体力が低下することとのバランスを考え、重要なレースの前に限り特別に減量を行う場合もある。また一時期、減量により体調を崩す選手が増え、開催中の番組編成に支障をきたすほどの事態となったことから、1988年11月に選手の最低体重規定が設けられ、それ以下の体重の場合には重りを身に付けて競走に出走することとなった。なお最低体重は当初は「男子50kg・女子45kg」だったが、2003年5月より女子の最低体重が47kgに引き上げられている。

また、レースの公正面から(インサイダー行為・八百長行為・ノミ行為等の不正行為を防ぐ為)、開催期間中の出場選手は、緊急時以外および管理解除になるまでは、開催競艇場から外出はおろか外部との接触も禁止される。また来場客からの差し入れについても酒類、生ものの菓子、果物、医薬品などは衛生管理の関係上差し入れることを自粛するよう要請している[5]。物理的・社会的に閉ざされた合宿生活をすることになる。

開催期間外編集

開催期間外は、従来はプロペラの開発に多くの時間を費やす選手が多かったが(後述)、2012年の制度改正により選手個人が所有するプロペラの使用が禁じられたため、現在はどのように時間を使うのがベストか各選手が試行錯誤している過渡期にある。

なお競走の斡旋を受けていない場合でも、前検日及び開催中の競艇場において予備のボートを利用して練習を行うことができるため、まだ実戦経験の少ない若手選手が練習のために競艇場に赴くことは多い。

斡旋停止編集

スタート事故を起こした場合、前記の賞典除外・強制帰郷以外にも、級別決定期間(5~10月、11~4月)内に起こしたスタート事故回数に応じ、1回で30日間・2回で60日間・3回で90日間の斡旋停止となる。このほか直近のフライング事故から100走以内に更なるフライング事故を起こした場合には愛知県碧南市の「日本モーターボート選手会常設訓練所」で再訓練を行う必要がある。このほかSG・GI・GII競走、新鋭戦および女子戦の場合は特別な出場停止規定が課せられる(詳細は競艇#スタートを参照)。

スタート事故による斡旋停止の間は無収入状態となるほか、スタート事故による事故率の上昇に加えて、斡旋停止期間が長くなると、出走数が足りずにクラスが下がることもある(その節間に優秀な成績を残したとしても、事故率が規定の0.70に達した場合は、成績に関係なく次節ではB2級に強制的に落とされる)。そのため、特にB級の選手やA級から陥落するのを嫌がる選手にとってはかなりの痛手となるが、A1級の選手の中には「フライングによる斡旋停止は必要経費」「むしろ海外旅行などに行くのにちょうどいい休暇になる」と語る選手もおり、あまりスタート事故の抑止力とはなっていない。ただA1級の選手になるとレースの斡旋が絶え間なく入るのが通例のため、斡旋停止期間ぐらいしかまともに休みを取れない状況ではある。

持ちペラ制編集

1988年5月に、選手個人が所有するプロペラ(一般にスクリューと呼ばれているもの)をレースで使用できる、いわゆる「持ちペラ制」が導入されたため、以後は開催期間外に多くの選手がプロペラの研究に時間を費やすようになった。プロペラの加工には高度な技術が必要なほか、加工の際に発生する騒音対策として専用の作業場を確保する必要があることなどから、通常は仲の良い選手同士で「ペラグループ」と呼ばれるグループを作り、共同で研究や作業場の運営等を行っていた。

当時はプロペラは一度競走のために競艇場に持ち込むと(選手は1開催に際し5枚までプロペラを持ち込める)、前検の際に刻印が打たれそれ以後は他の選手に譲渡することができなくなるというルールだったが、逆に刻印の打たれていないプロペラであれば譲渡は自由であるため、多くのペラグループでは手先が器用な選手がプロペラの加工を担当し、それを他の選手が実戦で試すといった役割分担がなされていた。同様の理由で、ペラグループの中で一人でも良いプロペラの開発に成功すると同グループの他の選手も同じプロペラを利用できるようになるため、ペラグループ全体の成績が向上することが多かった。そのような良い性能のプロペラの情報は「ペラゲージ」と呼ばれるプラスチック製のパーツに形状を写し取り保存され、ペラグループの資産として活用される。

しかし2011年12月に日本モーターボート競走会が「新プロペラ制度について」という発表を行い、「現在の選手持ちプロペラ制度は、選手のプロペラ修整技術の向上により迫力あるレースの具現化に寄与した反面、モーターと選手持ちプロペラがどのようにマッチングするかが複雑で、推理が難しい」ということから、2012年4月より現行の選手持ちペラ制度を廃止し、各競艇場がモーター一基につきナカシマプロペラ・ヤマト発動機のプロペラを1枚ずつ配備する制度が施行された[6](その後2013年10月にナカシマプロペラが撤退したため[7]、以後はヤマト発動機のみ)。その後2014年より出力低減型の新モーターが導入されたことも重なり、選手の整備時の行動が大きく変化し、選手によってはプロペラの調整よりも選手個人のモーターの整備力と操艇技術の向上にウエイトが置かれるようになった。

競艇選手の収入編集

収入のほとんどはレースから得る賞金となるが、賞金は選手によってバラバラである。平均年収は、約1600万円である。最底辺の選手では300万円未満であるが、トップクラスともなると1億円以上稼ぐ選手が珍しくなく、2011年賞金王決定戦競走覇者・池田浩二の年間獲得賞金額は約2億5085万円にも上る。また、最高年収は、2002年植木通彦の年間獲得賞金・2億8393万円である。

また選手の収入には、賞金以外にもレースに参加することで得られる完走手当などの日当がある。日当は競艇場で選手に対し現金で支払われるが、賞金は原則として選手の個々の口座への銀行振込である。なお、賞金を辞退したり寄付することも可能であり、その場合は例外的に銀行振込は行われない(2015年の第62回全日本選手権競走で優勝した守田俊介は優勝賞金3500万円を全額日本財団に寄付する意思を示したため、優勝賞金は同財団が直接受け取ったことから、銀行振込が行われなかった)。

選手のクラス分け編集

競艇選手は上位からA1、A2、B1、B2のクラスに分けられる(1988年以降。それ以前はA、B、Cのクラスであった)。クラスの決定には幾つかの条件によって審査される。これを級別審査という。級別審査に課される条件については下に詳細を記す。

選手にとっては級が上位に行くほどグレードの高い競走に出場できるようになる。又一月の稼動可能日数が多くなり賞金を稼ぐ機会も増える。ただし競艇の場合フライング・出遅れ休み明けの場合は必ず一般戦から復帰するという規定があることと、SGの選出漏れその他の理由などから、一流選手でも一般戦を走ることがあり、そこでは一流選手と、引退を宣言しているベテラン選手や新人選手が直接対決するなど他の競技では見られないような光景も見ることができる。

ファンにとってはクラスの上下や勝率、複勝率の大小は選手のレベルを計り舟券を予想する上でも重要なファクターになる。またこれ以外の条件も(特に期末間近になると)レースの勝敗を決定する要素になり得る。

仕組み編集

大まかに以下の条件付けでクラスが決定される。

定率 勝率 複勝率 出走数
A1 20% 勝率上位者 2連対率30%以上・3連対率40%以上 90走以上
A2 20% A1を除く勝率上位者 同上 70走以上
B1 50% 勝率2.00以上で、A1A2を除く勝率上位者 不問 50走以上
B2 A1、A2、B1の条件を満たしていない者、又は前節の成績に関係なく事故率0.70を超えた者、及び新人選手

2016年5月から(適用は2017年前期から)選手級別決定基準の一部改正について

審査と適用編集

級別審査は年に2回行われる。成績を集計する級別審査対象期間と、そのランク分けが反映される級別実施期間に分かれている。各競艇場へのあっせん予定の関係から、審査終了の2か月後に反映される。

級別審査対象期間 級別実施期間
前期 前年5月1日から前年10月31日まで 当年1月1日から当年6月30日まで
後期 前年11月1日から当年4月30日まで 当年7月1日から当年12月31日まで

(財)日本モーターボート競走会内規 選手級別決定基準

勝率編集

競艇における勝率とは任意に設定された審査期間内の着順点の総計を、出走数で割ったものである。

級別審査以外でもSG全日本選手権競走クラシック(同一優勝回数の場合)、プレミアムGIヤングダービー競走女子王座決定戦競走名人戦競走でも任意の審査期間内を設定して勝率上位(同勝率の場合は着順点上位順=出走が多い)である事を出場条件として設定している。

着順点は以下の通りである。

着順 SG GI・GII GIII・一般戦
1着 12点 11点 10点
2着 10点 9点 8点
3着 8点 7点 6点
4着 6点 5点 4点
5着 4点 3点 2点
6着 3点 2点 1点
失格 0点

優勝戦では1着-3着が1点増し、4着-6着が2点増しになり、以下の点数になる。

着順 SG GI・GII GIII・一般戦
1着 13点 12点 11点
2着 11点 10点 9点
3着 9点 8点 7点
4着 8点 7点 6点
5着 6点 5点 4点
6着 5点 4点 3点
失格 0点

オーシャンカップ競走ではGI、GIIの着順点合計は、優勝戦得点が同一の場合に使用される。

複勝率編集

複勝率は連対数の総計を出走数で割る事によって計算される。複勝率には2着以上までに入った2連対率と3着以上までに入った3連対率がある。

出走数編集

審査期間内に出場した競走回数である。勝率を出場条件とするSGやプレミアムG1でも極端に少ない出走数で勝率を維持する事を排除するために出走数の下限を定めている。

選手責任の失格は出走数にカウントされるが、選手責任外の失格や出遅れは出走数にカウントされない。選手責任外の場合、着順点が0点でも勝率に影響しないようになっている。

必要な出走数を稼ぐのを阻害する要因として以下のようなものが挙げられる

  • ケガ(程度にもよる)
  • 出産 (女子選手のみ。大半は概ね1年およびそれ以上休むため、B2まで落ちる)
    • 2016年4月1日より産休・育休特例の制定により、復帰後も産休を開始した時点の級別と同等のあっせん日数を6ヶ月間適用する特例を設けた。
  • スタート事故による斡旋辞退(フライング休みと呼ばれる)
    • スタート事故1本目で30日、2本目で90日、3本目で180日斡旋停止になる。このためフライング・出遅れによる斡旋停止が長くなると出走数が足りなくなり、以下に既述する事故率オーバーと共にクラスの維持が出来なくなる。

事故点・事故率編集

競艇における事故率とは任意に設定された審査期間内の事故点の総計を出走数で割る事によって事故率を算出する。B2以外の全ての級で事故率が0.70を越える(計算上は0.705以上)と事故率オーバーとして、それ以外の条件や成績に関係なくB2まで落ちる[8]

級別審査以外でもヤングダービー競走女子王座決定戦競走は任意の審査期間内を設定しており、2012年開催分からはすべての選手が事故率が0.40未満(計算上は0.394以下)でなければ出場できない。

事故点は以下のように定められる

事故の内容 事故点
優勝戦のフライング、出遅れ 30点
フライング、出遅れ 20点
反則失格(妨害等) 15点
選手責任の失格・欠場(転覆・落水・不完走等) 10点
不良航法 2点
待機行動違反 2点

失格原因が不良航法の場合は2つ重ねて事故点がつく(失格10点と不良航法2点の併科となり、合計12点になる)。

期末間近で事故率が高い選手を俗に「事故パン」と呼ぶ。事故パンになると積極的なレースが出来なくなる。その一方で事故率を減らす目的で事故パンの選手が積極的に斡旋を受けて頻繁にレースに出走する場合もある。

8項編集

級別審査とは直接的な関係ないが、審査期間において勝率3.00以上を維持できない場合、事故点が1.00を越えた場合、一定期間において斡旋保留になる「選手出場あっせん保留基準第8号」俗に「8項」と呼ばれる規定が存在する。ただし、これには適用除外の条件が別に定められていて、登録6期目(3年目)までの新人選手であるか、出走回数が50回未満であれば8項の適用を回避できる。この8項の適用を受けた選手は事実上の引退勧告となる。

登録番号編集

登録番号は競艇選手を区別するための番号である。登番とも略される。

選手第1号は11番の鍋島弘であり、11番以降は選手に番号が与えられている(ただし、42番は欠番となっている)。初期の頃は登録の順番にきまりはなく、早く登録した選手から番号が与えられていた。途中から、養成期毎に選手登録試験に合格した選手養成員を生年月日順に並べ、年長者順に登録番号の若い番号から通し番号で付与されることになった。12X期までの選手に50XX番まで与えられている。

現在では、選手の間では世代を分けるための基準としても使われる。

なお、1番より10番までは非選手の番号であり、競艇の設立に大きく貢献した人物に与えられている。1番は競艇の産みの親である笹川良一。2番~10番は非公表になっている。

選手寿命編集

定年制や競輪の様な成績評価による強制引退の制度は導入していないが、3年に一度行われる選手登録更新の際に健康診断を受けることが義務付けられており、その際に「視力検査で裸眼視力が0.5以上」などの基準をクリアできない場合には選手登録が抹消される[9]。一定期間内に治療を行い再検査で基準をクリアすれば再登録可能となり、現役復帰が可能となるが、治療の結果基準値をクリアできない場合は半ば強制的な引退を余儀なくされる。

このほか、競艇選手の選手会である日本モーターボート選手会では「競走の公正確保及び競技水準の向上化に関する規程」という規程を定めており、直近の4期(通常は2年間)の通算の事故率が0.70以上、もしくは4期通算勝率が3.50未満の選手に対して選手会の退会勧告を行うことができる(ただし選手数が1600名を超えている場合のみ[10])。同勧告は一時免除状態となっていたが、2012年11月より制度が復活したため[11]2014年に実際に退会勧告が出された[12]。また、あまりにも成績不振であると先述の8項に抵触して、斡旋保留によってレースに出場不可能になる形で引退勧告がなされることがある。

登録更新検査をクリアし選手会の退会勧告を受けない程度の成績を維持している場合は、生涯選手を続けることも可能である。ただ、事故や犯罪によって逮捕され有罪が確定するなど、選手の体面や競艇の信頼を著しく損なわせた場合には、どんなに成績優秀であっても退会勧告を受けたり、強制引退になることがある。

加齢によって視力・体力の衰え以外にも減量が厳しくなってくるため、40代後半から50代で多くの選手が引退する。ただし、男性選手については還暦を超えて現役を続けている者も2012年現在では10人以上存在していた。

2017年現在、競艇選手最高齢は70歳で、2014番高塚清一選手である。プロスポーツの中ではゴルフと並んで選手寿命が長い競技である。

選手会編集

社団法人日本モーターボート選手会は、競艇選手で構成する団体である。選手の福利厚生の充実、相互扶助、資質向上のための自主訓練など、活動は多岐にわたる。選手会長は、事実上現役引退したB2の選手が大半である。現在の選手会長は上瀧和則

関連文献編集

選手が執筆した書籍など編集

  • 石原加絵(3098)
    • 石原加絵・著 『青春の水しぶき -- モーターボートに賭けた私』 山手書房(東京) 1984年11月
  • 土屋勇(2112)
    • 土屋勇・著 『競艇!走れわが戦友(とも)よ -- 激走のはざまに見る人間模様』 泰光堂(東京) 1993年5月 ISBN 4-8027-0115-2
  • 松村武明(413)
  • 中道善博(2096)
    • 中道善博・著 『競艇選手心理の読み方 -- 名人・善さんの競艇人生と歴戦の体験から読み解く舟券戦術』 東邦出版(東京) 2006年3月 ISBN 978-4809405211
  • 日高逸子(3188)
    • 日高逸子・著 『私は、迷わない。―46歳・現役トップレーサー・母そして妻』 中経出版(東京) 2008年6月 ISBN 978-4-8061-3050-5
  • 植木通彦(3285)
    • 植木通彦・著 『水に舞う不死鳥・艇王の二十年』 弦書房(福岡) 2008年9月 ISBN 978-4-86329-008-2

選手に取材した書籍など編集

実在していた選手であった木村厚子(2003年没)が競艇選手になり、アイドルレーサーとして活躍するまでを描いたコミック。
今村豊西田靖、上滝和則(上瀧和則)、中道善博安岐真人黒明良光、片山幸子(佐藤幸子)、鵜飼菜穂子荘林幸輝池上裕次桑原淳一長岡茂一高山秀則新美恵一江口晃生山崎毅服部幸男応治千代美松井繁長嶺豊野中和夫の21選手に取材。
  • 日高邦博・著 『逸子さん、僕が主夫します!―競艇のグレートマザーに恋して』 中日新聞社 2007年7月 ISBN 978-4806205470
  • 田中耕・著 『フルターン―競艇界のグレートマザー日高逸子』 西日本新聞社 2008年4月 ISBN 978-4816707513

脚注編集

  1. ^ 2月1日(土)より第117期ボートレーサー募集開始”. 一般財団法人日本モーターボート競走会 (2014年2月3日). 2014年3月25日閲覧。
  2. ^ ただし、競艇選手はあくまで、競技で出した結果によって収入を得ているプロ選手であり、その収入というのは「最低賃金」のように、最低額が絶対的に保証されているものではなく、また、あまりに成績不振が続くと斡旋保留・レース出場不可状態・引退勧告という事態になり、競艇選手としての収入はほぼ完全に途絶えることもある。
  3. ^ 第106期選手募集から、競艇選手の門戸を拡大
  4. ^ 【ボート】非常識なフライングに厳罰 - デイリースポーツ・2013年10月21日
  5. ^ ボートレース公式サイト(2014年5月8日)
  6. ^ 新プロペラ制度について - 日本モーターボート競走会・2011年12月25日
  7. ^ プロペラ制度の一部変更について - 日本モーターボート競走会・2013年10月11日
  8. ^ 代表的な例として2011年前期にはA1級であった西島義則は優秀な成績を残していたものの、事故率オーバーで同年後期には一気にB2級に降格した。なお、2012年前期にはA1級に復帰した。
  9. ^ FAQ(よくある質問と回答) - BOAT RACE 桐生 Official Site
  10. ^ FAQ ボートレース一般編 - 宮島競艇フリークス
  11. ^ 平成24年度事業報告書 - 日本モーターボート選手会
  12. ^ 退会勧告 - ☆3661☆柳瀬興志のボートレーサー☆ブログ・2014年7月8日

関連項目編集