第166回天皇賞

2022年10月に行われた競馬

第166回天皇賞(だい166かいてんのうしょう)は、2022年10月30日東京競馬場で行われた競馬競走である。3歳馬のイクイノックスが優勝し、前年のエフフォーリアに続きグレード制導入以降では史上4頭目となる3歳馬による天皇賞(秋)制覇となった。

第166回天皇賞(秋)
優勝馬イクイノックス
開催国 日本の旗 日本
主催者 日本中央競馬会(JRA)
競馬場 東京競馬場
施行年 2022年
施行日 10月30日(日)
距離 芝2000m
格付け GI
賞金 1着賞金2億円
出走条件 サラ系3歳以上(国際)(指定)
負担重量 定量
出典 [1]
天候
馬場状態
優勝馬 イクイノックス
優勝騎手 C.ルメール
優勝調教師 木村哲也美浦
優勝馬主 (有)シルクレーシング
優勝生産者 ノーザンファーム安平町
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競走前の状況 編集

出走馬15頭中5頭がGI馬、全頭が重賞馬というメンバーとなった。その中で2022年のクラシック競走での上位馬と古馬がぶつかり合う、3歳馬vs古馬の構図が注目された[1]

3歳馬からは3頭が出走した。

イクイノックス2021年東京スポーツ杯2歳ステークスの勝ち馬。皐月賞東京優駿のいずれも大外8枠18番からの発走になり2着に敗れ、今回は東京優駿後の左前脚の腫れの影響もあり5ヶ月の休養明けであった[2]

ダノンベルーガ共同通信杯の勝ち馬。皐月賞、東京優駿では2番人気、1番人気に支持されるも共に4着に敗れた。

ジオグリフは皐月賞の勝ち馬。3歳馬唯一のGI馬で、東京優駿では4番人気で7着に敗れた。レース後に右前脚の骨折が確認され[3]、こちらも休養明けであった。

古馬のGI馬からは同年のドバイシーマクラシックを制した前年のダービー馬シャフリヤール中山記念ドバイターフで逃げ切り勝ちを演じたパンサラッサ大阪杯を制したポタジェ、前年のオークスユーバーレーベンが出走を表明した。

その他重賞馬からは、同年の金鯱賞札幌記念を制しているジャックドール小倉記念を5馬身差圧勝したマリアエレーナ等が出走を表明した。

また、同レースの優先出走権が得られるオールカマーの勝ち馬ジェラルディーナ毎日王冠の勝ち馬サリオス京都大賞典の勝ち馬ヴェラアズールの3頭は同レースを回避した。

出走馬・枠順 編集

2022年10月30日 第4回東京開催9日目 第11競走

コース

 芝2,000m(Bコース)

天気

 晴、馬場状態: 良、発走: 15時40分

枠番 馬番 競走馬名 性齢 騎手 斤量[kg] 調教師 単勝人気 馬体重

[kg]

人気 オッズ
1 1 マリアエレーナ 牝4 松山弘平 56 吉田直弘 6 20.9 426
2 2 カラテ 牡6 菅原明良 58 辻野泰之 9 39.4 528
3 パンサラッサ 牡5 吉田豊 58 矢作芳人 7 22.8 472
3 4 ポタジェ 牡5 吉田隼人 58 友道康夫 8 34.6 468
5 ダノンベルーガ 牡3 川田将雅 56 堀宣行 4 7.3 500
4 6 ジオグリフ 牡3 福永祐一 56 木村哲也 5 9.1 506
7 イクイノックス 牡3 C.ルメール 56 木村哲也 1 2.6 488
5 8 シャフリヤール 牡4 C.デムーロ 58 藤原英昭 2 4.4 456
9 ジャックドール 牡4 藤岡佑介 58 藤岡健一 3 5.0 508
6 10 ノースブリッジ 牡4 岩田康誠 58 奥村武 11 59.9 492
11 レッドガラン 牡7 横山和生 58 安田隆行 14 279.7 520
7 12 バビット 牡5 横山典弘 58 浜田多実雄 12 173.4 462
13 アブレイズ 牝5 T.マーカンド 56 池江泰寿 13 179.0 494
8 14 ユーバーレーベン 牝4 M.デムーロ 56 手塚貴久 10 43.8 476
15 カデナ 牡8 三浦皇成 58 中竹和也 15 286.9 478

展開 編集

 
残り300m付近で後続馬群に対し大きくリードするパンサラッサ(写真右)

スタートでは15番カデナがやや出遅れ、後方からの競馬となった。パンサラッサとノースブリッジがハナを争うが、結局パンサラッサの逃げとなった。シャフリヤールとジャックドールは先団グループの競馬を選択し、イクイノックス、ダノンベルーガは中団から後方で控える形となった。

ハナを切ったパンサラッサは単騎での逃げとなり、1000mの通過タイムが57秒4と超ハイペースを作り出す。2番手以降を引っ張るバビットやジャックドールらはハイペースを警戒してか、前とは距離を置いての追走となった。その影響で4コーナーまで後続に大きな動きがなく、依然先頭とは大きな差のまま直線に入った。先団につけていたジャックドールやシャフリヤールが直線早めに動き出し、逃げ粘るパンサラッサを目標に押し寄せるが、先頭との差はなかなか縮まらない。残り300mほどで外イクイノックスと内ダノンベルーガに鞭が入り、それに合わせてジャックドールが脚を伸ばす。パンサラッサが必死に粘るが、ゴール寸前でイクイノックスが捉えきり、そのままゴールした。

2着には粘ったパンサラッサ、3着にはダノンベルーガ、4着にはジャックドールが入線。2番人気シャフリヤールは前を捕らえる程の伸びは無く5着、5番人気ジオグリフは末脚を繰り出せず9着に敗れた。

競走結果 編集

着順 編集

着順 枠番 馬番 馬名 タイム 上3F 着差
1 4 7 イクイノックス 1:57.5 32.7
2 2 3 パンサラッサ 1:57.6 36.8 1
3 3 5 ダノンベルーガ 1:57.7 32.8 クビ
4 5 9 ジャックドール 1:57.8 33.5 1/2
5 5 8 シャフリヤール 1:58.1 33.6 2
6 2 2 カラテ 1:58.2 33.4 1
7 1 1 マリアエレーナ 1:58.2 33.5 ハナ
8 8 14 ユーバーレーベン 1:58.3 33.3 クビ
9 4 6 ジオグリフ 1:58.3 33.6 クビ
10 7 13 アブレイズ 1:58.4 33.7 クビ
11 6 10 ノースブリッジ 1:58.4 34.0 アタマ
12 8 15 カデナ 1:58.4 33.2 クビ
13 3 4 ポタジェ 1:58.4 33.4 クビ
14 6 11 レッドガラン 1:58.7 33.4 1.1/2
15 7 12 バビット 1:58.7 34.6 アタマ

制裁 編集

10番ノースブリッジ騎乗の岩田康誠は、2コーナーで斜行したため、11月12日と13日の2日間の騎乗停止となった[4]。(被害馬:1番 マリアエレーナ)

払戻金[5] 編集

馬番/枠番 人気 金額(円)
単勝 7 1 260
複勝 7 1 130
3 7 470
5 4 220
馬単 7-3 18 4930
馬連 3-7 12 3330
枠連 2-4 6 1680
ワイド 3-7 12 1210
5-7 3 320
3-5 25 2260
三連複 3-5-7 13 4400
三連単 7-3-5 68 23370

エピソード 編集

  • イクイノックスの父キタサンブラックは、種牡馬として初めてのGI制覇。加えて天皇賞(秋)親子制覇を達成[6]
  • 調教師の木村哲也は、これが初めての天皇賞勝利。
  • 鞍上のC.ルメールは2020年のアーモンドアイ以来4度目の同レース勝利。
  • 3歳馬の勝利は前年のエフフォーリアに続き2年連続4回目[7]、GI未勝利の3歳馬となると2002年のシンボリクリスエス以来20年ぶり2度目。
  • デビューから5戦目での天皇賞(秋)勝利は史上最速[8]
  • イクイノックスが本競走を勝利したことにより、前年のホープフルステークスから続いた「JRAが開催する平地GI競走における、1番人気馬の連敗記録」が16で止まった[9][10]
  • 1着、2着の上がり3ハロンのタイム差「4.1」はグレード制導入以降のGI競走では最大であった。
  • パンサラッサの叩き出した1000m通過タイム57秒4は24年前の天皇賞(秋)サイレンススズカの叩き出した1000m通過タイムと同じ。かつ、大逃げをうつ展開も同じであった。

テレビ・ラジオ中継 編集

本レースのテレビ・ラジオ放送の実況担当者

脚注 編集

出典 編集

  1. ^ 競馬天皇賞 秋のレース見どころ 3歳馬vs古馬 世代を超えた王座に輝くのは?”. NHKスポーツ. 2022年11月2日閲覧。
  2. ^ “イクイノックスが左前脚に腫れ 近日中に放牧へ”. デイリースポーツ. https://www.daily.co.jp/horse/2022/06/02/0015353918.shtml 2022年11月2日閲覧。 
  3. ^ “ジオグリフが骨折全治3カ月 「症状としてはごく軽く」手術せず治療の方針”. デイリースポーツ. https://www.daily.co.jp/horse/2022/06/02/0015351691.shtml 2022年11月2日閲覧。 
  4. ^ 開催競馬場・今日の出来事(10月30日(日曜)) JRA”. 日本中央競馬会. 2022年11月2日閲覧。
  5. ^ 2022年 天皇賞(秋) JRA”. 日本中央競馬会. 2022年11月2日閲覧。
  6. ^ “【天皇賞・秋】春のクラシック連続2着のイクイノックスがG1初V!父キタサンブラックと“父子盾制覇”の偉業も達成”. スポーツ報知. https://hochi.news/articles/20221030-OHT1T51261.html?page=1 2022年11月2日閲覧。 
  7. ^ 日本放送協会. “競馬 秋の天皇賞はイクイノックスが優勝 | NHK”. NHKニュース. 2022年11月16日閲覧。
  8. ^ 【天皇賞(秋)】イクイノックスが驚異的なポテンシャルを発揮! 敗れるも名勝負を演出したパンサラッサ陣営に最大限の称賛を”. THE DIGEST. 2022年11月2日閲覧。
  9. ^ 【天皇賞・秋】“1番人気の呪い”ついに解けた!イクイノックスG1初V 連敗「16」でストップ - スポニチ Sponichi Annex ギャンブル”. スポニチ Sponichi Annex. 2022年11月16日閲覧。
  10. ^ “1番人気の呪い”ついに解き放った イクイノックスG1初勝利「将来的には海外に」【天皇賞・秋】:中日スポーツ・東京中日スポーツ”. 中日スポーツ・東京中日スポーツ. 2022年11月16日閲覧。
  11. ^ 2022年度(第48回)アノンシスト賞全国審査会(TBS放送センターで2日間にわたって開催)最終日の翌日(2023年5月15日)に出演した『アフター6ジャンクション』(TBSラジオ)twitter公式アカウントからの報告ツイートを参照