第7代総選挙 (大韓民国)
第7代総選挙(だい7だいそうせんきょ)は、大韓民国国会の議員を選出するため1967年6月に行なわれた、第三共和国時代の韓国における国政選挙である。韓国では「第○回」ではなく「第○代」と選挙回数を数える。また、名称も「総選挙」(총선거)ではなく、「総選」(총선)と呼ぶのが一般的である。
第7代総選 | |
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各種表記 | |
ハングル: | 제7대 총선 |
漢字: | 第七代總選 |
基礎データ
編集- 議員任期:4年
- 選挙制度:小選挙区比例代表並立制。有権者は地域区の候補者にのみ投票(記号式)、全国区は地域区で獲得した得票率に応じて各党に配分(詳細は第6代総選挙に書いているので、本稿では省略する)。無所属候補の立候補は禁止。
- 選挙人数:14,717,354名
選挙結果
編集- 投票者数:11,202,317名
- 有効票数:10,856,008票
出典:韓国中央選挙管理委員会の「歴代選挙情報システム」より引用
政党名 | 得票数 | % | 地域区 | 全国区 | 合計 | % |
---|---|---|---|---|---|---|
民主共和党(민주공화당) | 5,494,922 | 50.6 | 102 | 27 | 129 | 73.7 |
新民党(신민당) | 3,554,224 | 32.7 | 28 | 17 | 45 | 25.7 |
大衆党(대중당) | 249,561 | 2.3 | 1 | 0 | 1 | 0.6 |
その他の政党 | 1,557,301 | 14.4 | 0 | 0 | 0 | 0.0 |
合計 | 10,856,008 | 131 | 44 | 175 |
- 出典:金浩鎮『韓国政治の研究』李健雨訳(三一書房)238頁“(表8-4)第6・7・8代国会議員総選挙”。得票数はアジア経済研究所『「アジア動向年報」1972年版』と大韓民国国会ホームページの「政党別議席数及び得票現況」から。なお議席を獲得出来なかった政党(自由党・民主党・韓国独立党など8党)の得票については「その他の政党」として合算して掲載。
市・道 | 定数 | 共和 | 新民 | 大衆 |
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合計 | 131 | 102 | 28 | 1 |
ソウル特別市 | 14 | 1 | 13 | 0 |
釜山直轄市 | 7 | 2 | 5 | 0 |
京畿道 | 13 | 10 | 3 | 0 |
江原道 | 9 | 8 | 1 | 0 |
忠清北道 | 8 | 8 | 0 | 0 |
忠清南道 | 13 | 12 | 1 | 0 |
全羅北道 | 11 | 11 | 0 | 0 |
全羅南道 | 19 | 16 | 2 | 1 |
慶尚北道 | 20 | 18 | 2 | 0 |
慶尚南道 | 15 | 14 | 1 | 0 |
済州道 | 2 | 2 | 0 | 0 |
- 出典:『「アジア動向年報」1972年版』58頁 参考資料5「国会議員選挙結果」(1)地域区結果
解説
編集11政党の候補が立候補したが、第3党の当選者は大衆党の1名のみで、民主共和党(共和党)と新民党の二大政党が殆どの議席を占める結果となった。この選挙で共和党は、憲法改正[1]を単独で実施するために必要な3分の2議席を確保するために、事前不正票や票の売買・脅迫投票などの不正行為[2]を行ない3分の2を優に上回る議席を得た。対する野党・新民党は都市部では優位に立ったが、農山村部では軒並み共和党に敗北する結果となった。この不正選挙に対し学生達が抗議するデモを行なうと、朴正熙は共和党の議席を一つ新民党に引き渡すことを指示し、6名の共和党議員に不正選挙の責任をとらせ、党が除名する措置をとった[3]。また新民党は再選挙を求め、国会への登院を拒否する事態となった。そのため、与党共和党は単独国会開催を決め、7月10日に国会を召集した。そして、単独国会を合法化するために共和党内の国会議員13名を理由をつけて離党させ、無所属の院内交渉団体を結成することで御用野党をつくったが、10月5日に院内交渉団体として登録されたことから「10・5倶楽部」(십오구락부)との名称がつけられた。
その後、11月6日に与野党全権代表者会談を開催し、(1)朴大統領の鎮海発言[4]によって不正選挙の事実を認め、謝罪したものとみなす、(2)不正選挙区の再選挙や関係者の引責問題は特別委員会で審議する、(3)単独国会は既成事実として、その国会で処理された案件は特別国政監査を持って追認、(4)選挙不正の再発防止のための保障立法を行なうこと等で合意し、11月29日に新民党所属の国会議員は国会に登院した。
- 女性当選者3人(地域区1人/全国区2人)[5]
党派 | 合計 | 地域区 | 全国区 |
---|---|---|---|
民主共和党 | 1 | 0 | 1 |
新民党 | 2 | 1 | 1 |
合計 | 3 | 1 | 2 |
- 女性議員比率1.7%
当選議員
編集小選挙区
編集民主共和党 新民党 大衆党
繰上当選
編集年 | 日付 | 選挙区 | 当選者 | 当選政党 | 欠員 | 欠員政党 | 欠員事由 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1968 | 6.3 | 忠清南道舒川郡・保寧郡 | 金玉仙 | 新民党 | 李源長 | 民主共和党 | 当選無効 |
補欠選挙
編集年 | 日付 | 選挙区 | 当選者 | 当選政党 | 欠員 | 欠員政党 | 欠員事由 |
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1968 | 9.24 | 全羅北道高敞郡 | 慎鏞南 | 大衆党 | 慎鏞南 | 無所属 | 不正選挙により党除名、のちに辞職 |
全羅南道和順郡・谷城郡 | 梁会璲 | 新民党 | 奇世豊 | 無所属 | 不正選挙により党除名、のちに辞職 | ||
忠清南道扶余郡 | 金鍾翊 | 民主共和党 | 金鍾泌 | 民主共和党 | 朴正煕牽制のために政界引退宣言により離党及び辞職 | ||
1969 | 2.28 | 全羅南道羅州郡 | 李浩範 | 民主共和党 | 李浩範 | 民主共和党 | 当選無効 |
8.14 | 全羅南道宝城郡 | 李重載 | 新民党 | 梁達承 | 民主共和党 | 当選無効 | |
12.5 | 慶尚南道昌寧郡 | 成楽絃 | 民主共和党 | 成楽絃 | 新民党 | 三選改憲に賛成したため、新民党の自主解散により議員職喪失 | |
1970 | 5.22 | 慶尚南道忠武市・統営郡・固城郡 | 崔奭林 | 民主共和党 | 崔奭林 | 民主共和党 | 選挙無効 |
全国区
編集民主共和党 | 鄭求瑛 | 尹致暎 | 白斗鎮 | 崔熙松 | 金貞烈 | 尹天柱 | 楊燦宇 | 李東元 | 金東煥 | 崔栄喜 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
李永根 | 金成熺 | 李元燁 | 金裕琸 | 朴魯璿 | 金龍鎬 | 金永福 | 李丁錫 | 申東旭 | 金圭南 | |
李炳主 | 李梅利 | 李聖秀 | 申東峻 | 金益俊 | 李元栄 | 李永浩 | ||||
新民党 | 朴順天 | 金度演 | 鄭海永 | 高興門 | 李載灐 | 金洗栄 | 鄭雲甲 | 韓通淑 | 金星鏞 | 延周欽 |
片鎔浩 | 朴載雨 | 李基沢 | 李敏雨 | 金守漢 | 金相賢 | 曺興万 |
繰上当選
編集年 | 日付 | 当選者 | 名簿政党名 | 欠員 | 欠員事由 |
---|---|---|---|---|---|
1967 | 7.19 | 金顕基 | 新民党 | 金度演 | 死去 |
1968 | 2.27 | 玄正柱 | 民主共和党 | 崔栄喜 | 国防部長官に指名 |
1969 | 5.14 | 金鎔采 | 民主共和党 | 金圭南 | 辞職 |
脚注
編集- ^ 当時の大韓民国憲法では大統領の再選は1回のみ認められており(3選禁止)、朴正熙は任期が切れる1971年には、大統領の座を去らねばならなかったが、それを避けるために、3選が可能なように改憲をしようとしていた(三選改憲)。
- ^ 史上最悪의不正選擧 野黨6・8總選을糾弾彈(史上最悪の不正選挙 野党6・8総選を糾弾)東亜日報1967年6月9日付1面 (PDF) 、난장판 無法・・・暴力에짓밟힌公明選擧(乱場 無法・・・暴力に踏みにじられた公明選挙)前掲3面 (PDF) 、不正選挙について糾弾する記事が掲載されている。
- ^ 金容権編著『朝鮮韓国近現代史』日本評論社、439頁“6・8総選挙(第7代総選挙)”の解説より
- ^ 1967年8月1日、休養先の鎮海で記者会見を行なった朴大統領が六・八総選挙の不正について「その原因がどこにあるにせよ、遺憾に思う」と発言した。
- ^ 春木育美『現代韓国と女性』新幹社、158頁“表5-1「歴代女性国会議員数」”、166頁
参考文献
編集- 韓国中央選挙管理委員会の歴代選挙情報システム(韓国語)、過去に韓国で行われた国政及び地方選挙の有権者数や候補者、投開票結果を閲覧することが可能(ただし比例代表(全国区)については、第17代以前は未掲載)。
- 大韓民国国会ホームページ」
- 大韓民国憲政会の代別議員情報
- 金浩鎮『韓国政治の研究』李健雨訳(三一書房)
- 「1971年の韓国」『アジア動向年報 1972年版』、アジア経済研究所、1972年、11-77頁、doi:10.20561/00039400、hdl:2344/00001670。「ZAD197200_003」
関連項目
編集外部リンク
編集- 新聞記事
- 第七代国会議員当選者一覧①(東亜日報1967年6月10日付4面)
- 第七代国会議員当選者一覧②(東亜日報1967年6月10日付5面)