NHK紅白歌合戦 > 第9回NHK紅白歌合戦

第9回NHK紅白歌合戦』(だいきゅうかいエヌエイチケイこうはくうたがっせん)は、1958年昭和33年)12月31日新宿コマ劇場で行われた、通算9回目のNHK紅白歌合戦。21時10分 - 23時35分にNHK生放送された。

第9回NHK紅白歌合戦
会場の新宿コマ劇場(写真は2009年当時)
ジャンル 大型音楽番組
製作
制作 NHK
放送
放送国・地域日本の旗 日本
放送期間1958年12月31日
回数NHK紅白歌合戦第9
NHK紅白歌合戦公式サイト
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第9回NHK紅白歌合戦
ジャンル 大型音楽番組
放送方式 生放送
放送期間 1958年12月31日
放送時間 1958年12月31日
放送局 NHKラジオ第1
公式サイト 公式サイト
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出演者 編集

司会者 編集

当時NHKの専属女優であった黒柳徹子が初司会。昭和生まれとしては初の司会であった。当初、番組側は前年初出場した楠トシエを紅組司会に起用する予定だったが、当時は歌手兼司会の例が無く、歌手としての出場を希望した楠は辞退。続いて打診を受けた黒柳は当時あまり歌番組を見ておらず、「歌手の方と付き合いが乏しい」と拒否したが、番組側の説得に応じる形で最終的に引き受けた[2]。その後、黒柳は5度司会を務めることになる。

出場歌手 編集

      初出場      返り咲き

紅組 白組
曲順 歌手 曲順 歌手
2 荒井恵子 4 橇は飛ぶよ 1 岡本敦郎 7 若人スキーヤー
4 松山恵子 2 だから言ったじゃないの 3 曾根史郎 3 初めての出航
6 松島詩子 8 喫茶店の片隅で 5 霧島昇 5 白虎隊
8 雪村いづみ 3 ヤキティ・ヤック 7 小坂一也 3 心にしみるブルース
10 築地容子 青い月夜のランデブー 9 三船浩 2 夜霧の滑走路
12 藤本二三代 夢みる乙女 11 神戸一郎 銀座九丁目水の上
14 織井茂子 3 夜が笑っている 13 津村謙 8 霧雨のけむる道
16 江利チエミ 6 さのさ節 15 フランキー堺 男はよわい
18 神楽坂浮子 三味線フラ 17 三波春夫 雪の渡り鳥
20 越路吹雪 4 マ・プティット・フォーリー 19 フランク永井 2 西銀座駅前
22 大津美子 3 銀座の蝶 21 若山彰 2 氷海越えて
24 二葉あき子 9 夜のプラットホーム 23 林伊佐緒 8 そっとこのまゝ
26 藤沢嵐子 2 ママ恋人が欲しいの 25 ジェームズ繁田 2 ヴォラーレ
28 渡辺はま子 7 長崎のお蝶さん 27 伊藤久男 7 イヨマンテの夜
30 中原美紗緒 3 河は呼んでる 29 旗照夫 3 碧い空
32 奈良光枝 7 晴着のかげに 31 三浦洸一 3 街燈
34 石井好子 ゴンドリエ 33 芦野宏 4 風船売り
36 コロムビア・ローズ 3 プリンセス・ワルツ 35 藤島桓夫 3 凧タコあがれ
38 ペギー葉山 5 年頃ですもの 37 笈田敏夫 6 オール・ザ・ウェイ
40 楠トシエ 2 銀座かっぽれ 39 若原一郎 3 おーい中村君
42 淡谷のり子 5 ばら色の人生 41 ディック・ミネ 6 私の青空
44 水谷良重東郷たまみ沢たまき アレキサンダーズ・ラグタイム・バンド 43 ダークダックス ともしび
46 島倉千代子 2 からたち日記 45 春日八郎 4 別れの燈台
48 宮城まり子 5 ジャワの焼鳥売り 47 高田浩吉 2 勇み肌千両男
50 美空ひばり 3 白いランチで十四ノット 49 三橋美智也 3 おさらば東京

選考を巡って 編集

審査員 編集

演奏 編集

応援ゲスト 編集

当日のステージ・エピソード 編集

  • この当時は民放各局で紅白同様、外部の大型劇場を借り切っての歌謡番組が大晦日の「目玉プログラム」として編成されており、出場歌手も複数の番組を掛け持ちしていた。ところがこの年の紅白会場がある新宿は他局の会場と離れていたため、移動が間に合わなくなる歌手が続出する。結局、パトカーの先導で到着した歌手がそのままステージに駆け込んで歌う状態になり、更に次の歌手が誰もいない間は、黒柳がアドリブのトークで間をつないだ。当の黒柳も誰が到着したのかわからず、松島詩子の出番の際に誤って「渡辺はま子さん」と紹介した[2]
  • 当時はまだテレビの音響設備が不完全であり、それに加え、今回の会場となったコマ劇場が円形のステージであったこと、また、観客からの声援が終始凄まじかったことも手伝い、後ろの楽団の演奏が全く聞き取れず、歌っている最中に演奏と歌がずれてしまうケースが多発。歌手側や局関係者からも「コマ劇場の使いにくさ」を指摘する声が上がり、結局、コマ劇場を会場とした紅白は今回1度のみに留まってしまった。
  • 当時は対戦相手の属性を揃える構成を基本としていたが、ダークダックスの対戦相手として適当な女性グループがなかったため、水谷良重・東郷たまみ・沢たまきの3人で即席ユニット「ヴォーカル・トリオ」が組まれた。当初は水谷・東郷に朝丘雪路を加えた3人組の予定だったが、前回すでに初出場していた朝丘が「今さら3人じゃなくても」と辞退、沢に入れ替えて出場した[3]。東郷は今回のみの出場に終わっている。以降も第13回1962年)まではグループは必ずグループ同士で対戦していた。
  • 当時江利チエミと婚約していた高倉健が紅組の応援ゲストでステージに登場し、「是非、紅組に勝たしてやってください」とコメント。
  • 7対4で紅組の優勝(通算5勝4敗)。
  • ラジオとテレビで同時中継されたが、VTRがなかったためテレビ映像は現存していない。ラジオ中継の音声の現存分では約5分の欠損がある(歌の部分は全て現存)。
  • 今回使用したマイクロホンは、司会者・歌手用共にNHK技研設計のAIWA VM-15、このマイクは試作品。

後日譚 編集

  • 紅組の司会を務めた黒柳徹子は後年、よくこの紅白歌合戦の話をしている。その際に出場者に名前が無い赤坂小梅の名前を毎回必ず登場させる。

脚注 編集

注釈 編集

  1. ^ 前回紅白を限りに引退。

出典 編集

  1. ^ 黒柳徹子 - NHK人物録
  2. ^ a b 合田, p. 67.
  3. ^ 合田, p. 68.

参考文献 編集

  • NHK『テレビ50年 あの日あの時、そして未来へ』(NHKサービスセンター 2003年2月)
  • 合田道人『紅白歌合戦の舞台裏』全音楽譜出版社、2012年12月15日。ISBN 978-4-11-880178-0 

外部リンク 編集