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筑後弁

筑後弁ちくごべん、ちっごべん)は、福岡県南部で話される日本語の方言

目次

概要編集

一般的に筑後弁という場合、福岡県筑後地方全体の方言を総称する場合(筑後方言と同義)と、筑後地方北部の久留米市筑後市を中心とした地域で使われる方言(久留米弁)を指していう場合とがある。

ここでは後者の久留米弁について記述する。久留米弁は大牟田市で使われる大牟田弁とはイントネーションや単語などに違いがみられるが、佐賀県鳥栖市の方言とは良く似ている。

一般に無アクセント方言とされ、語を音節ごとに一定の起伏のアクセントで発音するというより、音の高低は発話者の興奮などに左右されることが多い。そのためか、デスマス調[1]で話すと、20代以降の若年層には、同じ無アクセント地帯の宮崎と同様に、「~が」、「~を」、「~に」、「~て」、「~けん}などの各分節末のアクセントを語の種類にかかわらず上げて話すものが多く見られる。

語彙編集

動詞編集

  • 「いさる」「ゆさる」=沈殿する
  • 「うてあう」=相手にする
  • 「うっちょく」=置いていく
  • 「えすがる」「えずがる」=怖がる
  • 「おごる」=叱る
  • 「おしょれる」=折れる
  • 「おせこせする」=あれこれやる
  • 「おっちゃくる」「おっちゃえる」「ちゃえる」=落ちる、落下する
  • 「おっちゃやす」=落とす
  • 「おらす」=『居る』の丁寧語
  • 「おらぶ」=叫ぶ、大声を出す(「そげん、おらばんよ」=そんなに、大声を出すな)
  • 「かたる」=参加する
  • 「かたす」=参加させる(かたしてー!=さんかさせてー!)
  • 「がまだす」=精を出す
  • 「がめる」=盗む
  • 「からう」=背負う
  • 「がられる」「がらるる」=おこられる、どなられる
  • 「きびる」「くびる」=結ぶ
  • 「きる」=両替(「一万円札ば千円札にきってください」=一万円札を千円に両替してください )
  • 「ぐらりする」=失望する、がっかりする
  • 「くらす」「くらする」「こっくらす」=(主に拳で)殴る、叩く「誰々にくらされる」
  • 「くる」=行く(「7時までには来るたい」は、7時までには行きます の意)
  • 「け」=来い(命令)
  • 「けそけそする」=そわそわする、落ち着きが無い
  • 「ござる」=『来る』の丁寧語(ぼんさんの ござらっしゃった=お坊さんが お見えになった)
  • 「こずく」=咳をする
  • 「こっくずるっ」「こっぱげる」=壊れる
  • 「こっぱがす」=壊す
  • 「こちょぐる」=くすぐる
  • 「こわる」=筋肉痛になる
  • 「さかたんぶる」=上下がひっくり返る
  • 「されん」=出来ない
  • 「しこる」=繁る・茂る
  • 「じょうる」=おろす、さばく(魚、鶏など)
  • 「すたす」「すつる」「ほったする」=捨てる
  • 「すためる」=水を切る
  • 「せれ」=しろ(命令)
  • 「そうつく」「さるく」=うろうろ歩き回る
  • 「そぜる」「そでる」「そずる・る」=傷む・劣化する
  • 「ぞろびく」=(裾などを)ひきずる
  • 「たてがう」=ちょっかいを出す、からかう
  • 「たぎらかす」=沸かす、沸騰させる
  • 「たまがる」=びっくりする
  • 「ちんちろめする」=右往左往する、落ち着きなくアタフタする
  • 「つくじる」=からかう、ちょっかいを出す
  • 「つっからかす」=突き刺す、刺し通す(貫通させるニュアンス)
  • 「つやつける」=かっこつける
  • 「つんくじる」=むしりとる、小さくちぎってバラバラにする
  • 「つんのていく」=ついて行く
  • 「つんばる」=爪先立ちをする
  • 「つんぶろて」=(体・衣類に付いた砂や泥などを)払い落として

    用例:つんぶろちからけ!=払い落としてから来い!

  • 「でやす」=しかる、たたく≒どやす
  • 「とごえる」「とごゆる」=数人でふざけて暴れる
  • 「とっかる」=手が届く
  • 「なおす」=しまう
  • 「なごなる」=横になる、寝る
  • 「なんかかる」=寄りかかる
  • 「にやがる」=ふざける、図にのる
  • 「ねぶる」=舐める
  • 「ねまる」=腐る
  • 「のうなる」=無くなる
  • 「のうなかす」=無くす
  • 「のこる・のこらかす」=挿す・ささる(貫通せずに埋まるニュアンス)
  • 「のごう」=拭く、ぬぐう(のごとって=拭いておいて)
  • 「はぐる」=めくる(『つ』がはぐれた = 『かさぶた』がめくれた)
  • 「はじく」=(主に掌・平手で)叩く、ひっぱたく
  • 「はっていく」=行ってしまう、いなくなる
  • 「はらかく」=腹を立てる
  • 「はわく」=掃く
  • 「ひく」=敷く
  • 「ぴっしゃぐるっ」「びっしゃげる」「びっちゃげる」=潰れて扁平になる
  • 「ふっとずる」「ふっとでる」=飛び出る
  • 「ふんしゃぐ」=踏みつぶす
  • 「ほうからかす」=放置する
  • 「ほうどる」=這っている (虫など)
  • 「ほがす」=穴をあける
  • 「ほげる」=穴があく(ズボンに穴んほげた = ズボンに穴があいた)
  • 「ほたくる」=無造作に放置する
  • 「ほっちらかす」=散らかす
  • 「ぼてくりまわす」=ボコボコにする
  • 「まめる」=①まるめる、整える、スムーズにする(餅ばまめて=餅を丸くして)②和える、混ぜる
  • 「まりかぶる」「しかぶる」=漏らす
  • 「まる」=用を足す
  • 「みみる」=聞こえる (「みみらんばい」=聞こえないよ)
  • 「めっかる」=見ることができる、見つけることができる (「めっかったの?」=見ることができた?)
  • 「むぞがる」=かわいがる
  • 「よめる」=嫁ぐ

形容詞編集

  • 「うらめしか」「うらんしか」=きもちわるい
  • 「えすか」「えずか」=こわい、恐ろしい
  • 「えーらしか」=可愛らしい
  • 「おうちゃっか」=横着、姑息、卑怯
  • 「からか」=辛い、しょっぱい
  • 「きなか」=黄色い
  • 「げさっか」=みっともない
  • 「こすか」=セコい、ずるい
  • 「こちょばいか」=くすぐったい
  • 「こまか」=小さい、背が低い
  • 「こゆか」=濃い
  • 「こわか」=硬い
  • 「ざっとなか」=大変だ、骨が折れる
  • 「しかとんなか」=くだらない
  • 「しょんなか」=しょうがない
  • 「しるしか」=面倒くさい、かったるい、やる気が起きそうにない(雨んふっとるけんしるしか〜)
  • 「すいか」=すっぱい
  • 「すかん」=嫌い
  • 「せからしか」「しゃあしい」=邪魔くさい、うっとうしい、手間がかかってめんどくさい
  • 「とぜんなか」=寂しい
  • 「ぬっか」=暖かい
  • 「ばさらか」=大量に
  • 「ひだるか」=ひもじい、腹が減った
  • 「ひゅーなか」=変な
  • 「ふとか」=大きい、でかい、背が高い
  • 「みたもんなか」=みっともない
  • 「むぞか」=かわいそう
  • 「やおなか」=大したものだ
  • 「よか」=良い、よろしい

副詞など編集

  • 「いっちょん」=全然、まったく、一つも
  • 「いっちご」=二度と、金輪際
  • 「えらい」=とても、沢山
  • 「がば」=とても、沢山
  • 「かつがつ」=片っ端から (かーつがつ食うてから!=片っ端から食いやがって!)
  • 「ぐすと」=とても、めいっぱい(ぐすと押さんの!=めいっぱい押しなさい!)
  • 「ごうほ」=とても大きい、とても太い
  • 「ごつ」「ごと」=みたいな、のようだ(石んごつ硬か=石のように硬い)
  • 「さっち」「しゃっち」=いつも、決まって、必ず
  • 「さでくり」=したたかに、派手に(さでくりころだ=派手に転んだ)
  • 「ぞーたん」=冗談
  • 「ぞうたんのごつ」=冗談じゃない!、全くもう!、とんでもない!
  • 「そーにゃ」=とても、そうとう(伸ばすほど、「とっっっっても」となる)
  • 「ばさらか」「ばさろ」=沢山、大量に
  • 「とーし」=ずっと
  • 「つんのうて」=連れ立って(つんのうて出かくるばい=連れ立って出かけます)
  • 「こけ」「そけ」「あすけ」「どけ」=ここ、そこ、あそこ、どこ
  • 「こげん」「そげん」「あげん」「どげん」=こんな、そんな、あんな、どんな
  • 「こっつぁん」「そっつぁん」「あっつぁん」「どっつぁん」=こっちに、そっちに、あっちに、どっちに
  • 「あて」「うち」=私:女性(「あてどん」「うちどん」=私たち)
  • 「おどん」=私:男性(「おっだん」「おどんどん」=俺たち)
  • 「すら」「すらごつ」「しらごつ」=嘘、虚言「〜つくな」
  • 「でけん」=駄目
  • 「むご」=上手に、うまく(むごでけた=じょうずにできた:むごとこしたのぉ=うまいことやったなぁ)
  • 「ねーごつ」=寝言・たわごと・無いこと
  • 「ばの!」=からな!※念押し (言うたばの!=言ったからな!)
  • 「ほんなこつ」=本当のこと、本当に
  • 「やっさと」=目の色を変えて、一生懸命に、次々に (やっさとがまださにゃ日の暮るっばい=目の色変えて頑張らないと日が暮れてしまうよ)
  • 「やん」=なければ※責務・義務を伴う時に

   言わやん=言わなければ  せやん=しなければ  聞いとかやん=聞いておかねば  見とかやん=見ておかねば etc.

  • 「ようら」=適当( いい加減な感じ )

名詞編集

  • 「いん」=犬
  • 「くもんえばり」=蜘蛛の巣(えばり単体ではあまり使われない)
  • 「おうかん」=一般道路
  • 「かべちょろ」=トカゲ
  • 「ぎゅった」=輪ゴム
  • 「くちなわ」「ひらくち」=蛇
  • 「けちょくりん」=カイツブリ
  • 「こしょう」=唐辛子
  • 「こうじょ」=わがまま
  • 「すめ」=出汁、つゆ(うどんなどの出汁、そうめんなどはつゆ)
  • 「じご」=内臓、わた。主に虫や魚など比較的小さな生物に使用
  • 「じじ」=魚(幼児言葉)
  • 「じんじんがっこ」=肩車(幼児言葉)
  • 「たろがしんのげ」=どくだみ
  • 「たんがく」「たんがらびき」「びきたん」=雨蛙・疣蛙等の小さめの蛙
  • 「たんなか」=田んぼ
  • 「つ」=かさぶた
  • 「つし」=納谷、小屋
  • 「つっかけ」=底が薄く、かかとが殆ど無い履物全般(サンダル、ぞうり、スリッパ、雪駄など)
  • 「とんまめ」=そらまめ
  • 「ひして」=一日 ≒ 24時間(ひしてじゅう = 一日中)
  • 「ぶーちゃん」=お風呂・コップに注いだ水 または 白湯(幼児言葉)
  • 「べんた」「べんぷ」=ほっぺた ※べんぷは主にお尻のほっぺたを指す:「蚊に尻のべんぷば食われた」
  • 「ほいと」=世捨て人
  • 「むこどん」=婿
  • 「もー」=赤ちゃん用:四つん這いでお尻を上げた様
  • 「よーかれ」=怖がり、弱虫
  • 「よめご」=嫁

助詞・助動詞など編集

  • 「〜がた」「~がつ」「~がと」=〜の分(500円がた=500円分)
  • 「〜(ん)げ」=〜(の)家
  • 「〜げな」=〜だそうだ(伝聞)
  • 「〜けん」=〜から(危なかけん気をつけて=危ないから気をつけて)
  • 「〜ごたる」=① 〜みたい、〜のようだ

        ② 要望を柔らかくした表現 (ウチも見ろ(ぅ)ごたる=あたしも見たいなぁ)

  • 「〜さん」「~さね」=〜へ(久留米さん行ってくる=久留米へ行ってくる)
  • 「〜しきらん」=〜できない
  • 「~しこ・~しご」=~だけ(こがしこ・これしご=これだけ)例:どがしこせやんね?=どれだけすればいいの?
  • 「〜しとっと?」=〜しているの?
  • 「〜しなん」=〜でしょうがない、たまらない 例:暑しなん=暑くてしょうがない
  • 「〜しよらす」=〜している(主語は人、三人称単数・複数)
  • 「〜すうごつなか」=〜したくない
  • 「〜せやん」=〜をしなければならない
  • 「〜たい」=〜ね、〜よ(しょんなかたい=しょうがないね、私がするたい=私がするよ)
  • 「~ちや」=①~だって ②~のか:念を押す感じ(「や」はハッキリ発音。ニュアンスで①と②を使い分け)

       ①なんちや?=なんだって? ②見たちや?=(ほんとに)見たのか?

  • 「〜ちゃなか?」=〜ではないだろうか?(推定)
  • 「〜ちゃる」=①〜てあげる ②~なさる・おられる(①は一人称で使用する場合、②は三人称で使用する場合)

     ①しとっちゃる=やっといてあげる ②しよっちゃる(≒してござる≒しよらっしゃる≒しよらす)=しておられる)

  • 「~でん」「~どん」=~でも(めしどん食おうか=めしでも食おうか)
  • 「〜にゃ」=〜なければ、~なきゃ(○○しとかにゃ=○○しておかなければ、○○しておかなきゃ)
  • 「〜ばい」=〜よ(外は寒かばい=外は寒いよ)
  • 「~ばし、したか」=~なんか、していない:強い否定
  • 「〜やけん」=〜だから
  • 「(疑問)+ やん!」「(疑問)+ じゃん!」=ってば!※語意を強める働き(何ばしょっとかやん!=何やってるんだっての!)
  • 「〜んにき」=〜の近く、〜の周辺 (そこんにきばさるいてくる=そのあたりを散策してくる)

連語など編集

  • 「おとんことんなか」=音沙汰ない
  • 「おめんなかった」=うっかりしていた
  • 「かたかた、かたちんば」=対になるべきものが揃っていない(例:靴下がかたかた)
  • 「かったりばんこ」=かわるがわる、こうだいごうたい
  • 「くちがまめらん」=ろれつが回らない
  • 「だけんね」「そいけんさい」=だからね(理解されていない時にさらに詳しい説明など)
  • 「~ばっするごつ」=~のはずはない(「〜ち、言うたばっするごつ」=〜と言ったななてはずはない)
  • 「げんしょんかな(ゎ)ん」=大変困り果てる、どうにもお手上げである
  • 「そうちのぅ」=そうなのね、そうなんだ
  • 「つれうしなう」=みんなとはぐれて迷子になる
  • 「てのだった」=手が疲れた
  • 「とつけなとけ」=とんでもないところに
  • 「どんこんいかん」=にっちもさっちもいかない
  • 「どんこんされん」=どうにもこにうもできない
  • 「どんこんこんこん」=どうにもこうにも
  • 「どげんだっちゃよか」「どげんでんよが」=どうでもいい
  • 「なんなか」=何もない
  • 「なんばしょっと?」=何をしているの?
  • 「にくじんごつ」=ひどく意地悪な様
  • 「餅がつうばる」=餅の表面がパリパリになる
  • 「やおいかん」=大変、一筋縄ではいかない
  • 「やらやらする」=①イガイガする(内傷的なもの:主に喉が悪い状態)

          ②ヒリヒリする(外傷的なもの:主に火傷などで爛れた時)

  • 「ようなか」=よくない
  • 「うんにゃ」=いいえ だめ

関連項目編集

脚注編集

  1. ^ デスマス調