算盤が恋を語る話

江戸川乱歩による日本の小説

算盤が恋を語る話』(そろばんがこいをかたるはなし)は、江戸川乱歩の著した短編小説1925年大正14年)4月、『写真報知』に掲載された。

登場人物

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T
主人公。○○造船株式会社会計係の特に女性に対し内気な青年。30歳に近い年齢。
S子
Tの助手を務めている若い事務員。

あらすじ

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○○造船会計係の内気な青年Tは、片思いしている助手のS子に想いを伝えようと、毎朝、S子の机に、ある数字を示した算盤を置く。それは職工の給料を名前別に仕分けする方法にしたがえば「いとしききみ」と読めるのである。ある朝、T子はやっとその意味に気づいたのか、真っ赤になって、Tと目をあわせる。伝わったと思ったTは今度は「ひのやま」と逢引きの場所を算盤に託す。しかしある朝、S子が毎朝算盤を置くのはあなたでしょうとTに無邪気に言ってくる。やはり伝わってないのかと落胆するTだが、「きょうかえりに」と数字を置いてみると、退社したS子の机の上の算盤には「ゆきます」との数字が並んでいる。Tは喜び勇んで樋の山遊園地へおもむく。が、S子は来ない。ハッと気づいたTが会社に取って返すと、S子の扱う帳簿の最後の数字は「ゆきます」と同じであった。

出版

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映像化

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外部リンク

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