結膜 (けつまく)(英:conjunctiva)とは、強膜眼瞼の内側を覆う膜である。杯細胞を含む非角化重層扁平上皮(en)と重層円柱上皮(en)で構成されている。

結膜
矢状切片の上半分、眼球前部(中央左部が'結膜')
眼球の水平断面図
概要
動脈 涙腺動脈(en), 前毛様体動脈(en)
神経 滑車上神経
表記・識別
ラテン語 tunica conjunctiva
MeSH D003228
グレイ解剖学 p.1026
TA A15.2.07.047
FMA 59011
解剖学用語
眼の結膜の血管
結膜の血管が充血した状態

機能 編集

結膜は粘液と、涙腺より量は少ないながらを生産することによって、目の機能を補助する。結膜は目の中への微生物の侵入を防ぐ働きをし、免疫監視機構に貢献する[1]

解剖学 編集

解剖学的に、結膜は3つの部分に分けられる。

部分 部位
眼瞼結膜、瞼板結膜 瞼の内側を覆う。
眼球結膜、眼結膜 結膜で眼球の強膜表面を覆う。結膜と強膜の間には、テノン嚢(鞘)と言われる 薄い膜があり、これが結膜と強膜の潤滑油の役割を果たす。
円蓋結膜 眼球結膜と眼瞼結膜の両者の移行接続部。眼球運動やまばたきを滑らかに行わせる[2]

知覚神経支配 編集

結膜の知覚神経支配は、4つの部分に分かれる[3]

部位 神経
上部
下部Inferior 眼窩下神経
側部 涙腺神経 (頬骨顔面神経(en)から分担される)
角膜周囲 長毛様体神経(en)

組織学 編集

結膜は、散在する杯細胞[4]と一緒に、重層円柱上皮と重層扁平の両方によって構成されている。上皮層は血管、繊維組織、リンパ管を含む[4]。結膜中の涙腺が、涙における水分を定期的に生産する[4]。結膜表皮にある細胞には、メラニン細胞やリンパ球(en)がある[4]

病気と障害 編集

結膜と角膜の障害には、共通する病気がある。目の表面は、特に敏感な器官の為に感染、科学刺激、アレルギードライアイ等にさらされやすい。結膜は、感染や自己免疫反応(en)から炎症を起こす。よく知られているものに、結膜炎はやり目があげられる。結膜の刺激は、揮発性有機化合物(VOC)による露光過度から、ドライアイを含む広範囲な理由によって引き起こされる。レプトスピラによる感染で引き起こされるレプトスピラ症により、結膜を赤くさせ、結膜浮腫[注釈 1]や滲出液が出ない発赤が顕著に現れる。年齢により、結膜は強膜によって伸縮と弛緩を起こし、結膜弛緩症(en)として知られているような、結膜を覆うような状態になる[5][6]。結膜は、良性・前がん状態・悪性の腫瘍に侵されることがある[7]

その他 編集

追加画像 編集

脚注 編集

注釈 編集

  1. ^ 白目の部分がぶよぶよとしたゼリー状になってしまう症状。

出典 編集

  1. ^ London Place Eye Center (2003). Conjunctivitis. Retrieved July 25, 2004.
  2. ^ Eye, human Encyclopaedia Britannica
  3. ^ http://www.nda.ox.ac.uk/wfsa/html/u06/u06_b06.htm[リンク切れ]
  4. ^ a b c d Goldman, Lee. Goldman's Cecil Medicine (24th ed. ed.). Philadelphia: Elsevier Saunders. p. 2426. ISBN 1437727883 
  5. ^ Conjunctivochalasis - Medical Definition”. Medilexicon.com. 2012年11月13日閲覧。
  6. ^ WL Hughes Conjunctivochalasis. American Journal of Ophthalmology 1942
  7. ^ Biswas, Jyotirmay; Varde, MeghanaAnika (2009). “Ocular surface tumors”. Oman Journal of Ophthalmology 2 (1): 1. doi:10.4103/0974-620X.48414. ISSN 0974-620X. 

外部リンク 編集