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緊急告知FMラジオ(きんきゅうこくちエフエムラジオ)は、FM放送ケーブルテレビの放送を使って伝送された制御信号を、FMラジオ受信器が感知し、待機状態にある受信機を自動起動させることにより、緊急情報を伝達するシステム。またはその受信機。多くの自治体で、市町村防災行政無線の補完として導入されている。本項では、同様の目的で自然音を利用した起動信号を用いるComfis方式(コムフィスほうしき)についても述べる。

目次

概要編集

 
緊急告知FMラジオ受信機DPR-3(CSR製 岩手県一関市仕様)
 
地域FM局緊急放送ラジオ「あんしんラジオ きくぞうくん1号」 9ZA31KZ(リズム時計工業製 熊本県熊本市仕様)
 
ケーブルテレビで用いられていた緊急告知FMラジオ受信機KCT-02S(兼藤産業製 JCN船橋習志野(現ジェイコム船橋習志野)仕様)

放送局は緊急告知放送の前に自動起動用のDTMF・Comfis・EWSなどの制御信号を送信し、受信機はこれを感知して待ち受け状態の受信機が自動起動させ、緊急情報が拡声する。緊急告知放送の終了時には、停止用の制御信号が送信され、これを感知した受信機は待ち受け状態に戻る[1]。平成23年3月末現在、全国25を超える市町村で9万台以上が普及している[2]。 ケーブルテレビにおいては、コミュニティ放送の再送信によって実現するもののほかに、自主放送として行っているものがある。

緊急警報放送との違い編集

類似のシステムに緊急警報放送があるが、次の点で異なる。

法令

  • 緊急警報放送は、電波法施行規則第2条第1項第84号の2で規定する緊急警報信号を使用するため、信号の技術的条件や運用手順が法令に定められている。
  • 緊急告知FMラジオシステムの緊急告知放送は、法令には規定はないため、自治体によって制御信号・運用方法が異なる。そのため緊急警報放送の対象外である国民保護情報・緊急地震速報の伝達や、役所・警察・消防署からのお知らせ・時報放送(ミュージックチャイム)なども可能である。
  • 緊急警報放送は、テレビラジオ局のサービスエリアである県域・広域圏・全国が対象である。
  • 緊急告知FMラジオシステムは、コミュニティ放送・ケーブルテレビのサービスエリアである特定の自治体・地域内が対象である。

グルーピング

  • 緊急警報放送では、地域共通符号(全国向け情報)・広域符号(各広域圏向け情報)・県域符号(各都道府県向け情報)の3種類。
  • 緊急告知FMラジオシステムでは、自治体内の全地域向け・特定地域向けの2種類[3]。合併前の旧自治体ごとや、地区ごとにグルーピングをしている例もある(ゆふいんラヂオ局)。行政情報・学校情報(臨時休校・途中下校など)といった、聴取者の選択に応じて起動させる情報を選択できるようにしている自治体もある(Hits FM[4]

受信機の入手性

  • 緊急警報放送用受信機は、やや高価である。全国的に同一仕様であるため一般に販売されているが、対応機種が少ないためほとんど普及していない。
  • 緊急告知FMラジオは、緊急警報放送用受信機・市町村防災行政無線の戸別受信機に比べて安価ではあるものの、ラジオ受信機としては高価である。また自治体によって仕様が異なったり補助金制度があるため、入手方法は自治体・放送事業者からの貸与・支給に限られる。また希望者のみに有償配布という形をとっている自治体が多く、全国的には普及していない。

周波数

  • 緊急警報放送は、あらかじめ緊急警報放送に対応している放送局を設定する必要がある。
  • 緊急告知FMラジオは、その自治体に合わせて待ち受け周波数が指定されている。チューナーを1つしか搭載していない機種では、使用後は指定された待ち受け周波数に戻す必要がある。中継局によって周波数が違う場合や、ケーブルテレビが周波数変換パススルー方式(周波数変換して再送信)でコミュニティ放送を再送信しているときは、待ち受け周波数をそれにあわせて変更しなければならない。

市町村防災行政無線との関係編集

緊急告知FMラジオシステムは、市町村防災行政無線が聞こえづらい屋内・耳が遠い高齢者などへの情報伝達のために、市町村防災行政無線を補完することが目的である。しかし市町村合併や、アナログ式の市町村防災行政無線・有線電話放送の廃止を機に、市町村防災行政無線の代替として使用する例もある[5]。 また緊急告知FMラジオシステムと並行して、市町村防災行政無線・地域コミュニティ用無線局の戸別受信機を頒布している自治体もある[6]

沿革編集

  • 2005年
  • 2006年
    • 5月24日 - 倉敷市が購入した424台のラジオを市内の福祉施設や保育園・幼稚園などに貸与[7]
  • 時期不詳 - 長岡市内のモデル地区に配備[8]
    • 8月 - FMくらしきと倉敷ケーブルテレビの公募による結果、愛称を「こくっち」とする[9]
  • 2009年2月15日 - 武蔵野三鷹ケーブルテレビ(現:ジェイコム武蔵野三鷹)などJCNグループ局において、緊急地震速報サービスを順次導入(JCNがJ:COMと合併した2014年4月時点で未導入の局もあった。なお、導入済みの局についても2014年5月31日に受付を終了したが、既存加入者には引き続きサービスを提供している)。

緊急告知FMラジオを運用している放送事業者編集

配列は放送の種類(県域放送コミュニティ放送臨時災害放送ケーブルテレビ)別、総務省#総合通信局の組織順、都道府県コード順とし、同一都道府県内の事業者は北から南、東から西の順とした。また、かっこ内の市町村名は放送事業者の所在地に限らず、緊急告知FMラジオの情報を提供したり受信機を配布したりしているものを併記する。

県域放送編集

東北編集

信越編集

コミュニティ放送編集

総務省の調査では2016年11月時点で、26社が緊急告知FMラジオシステムを運用している[13]

北海道編集

東北編集

関東編集

信越編集

北陸編集

東海編集

近畿編集

中国編集

四国編集

九州編集

臨時災害放送編集

コミュニティ放送局を一時休止して開設された臨時災害放送局は省略。

東北編集

ケーブルテレビ編集

関東編集

信越編集

北陸編集

東海編集

中国編集

九州編集

受信機メーカー編集

Comfis方式編集

Comfis方式(コムフィスほうしき)とは、緊急告知FMラジオと同様の目的で、始動用にDTMF信号でなく自然音を利用することにより、起動時間の短縮を図った方式。ワキヤ技研が開発し[20]FMながおかが緊急警報放送及び緊急告知FMラジオとともに運用。同局エリア内の小千谷市が各世帯に対応受信機を配布している[21]。また、豊橋市においても、2012年9月からエフエム豊橋豊橋ケーブルネットワークによる同一周波数再放送を含む。)を受信できるComfis方式受信機「豊橋防災ラジオ」の販売が始まり、9月30日には実際に運用された[22]。 なお、Comfisは日本キャステムの登録商標である。

脚注編集

  1. ^ 「緊急告知用ラジオ(実用新案登録第3118188号)」『登録実用新案公報』、日本国特許庁、2006年1月26日。
  2. ^ 災害時はコミュニティメディアの出番 (pdf)”. FMくらしき. 2012年8月6日閲覧。
  3. ^ ただしグルーピング機能はオプション機能。また受信機の実装により、鳴り分けに対応していない場合もある。
  4. ^ 高山防災ラジオのご案内”. 飛騨高山テレ・エフエム. 2013年5月26日閲覧。
  5. ^ 北海道稚内市エフエムわっかない)・新潟県長岡市FMながおか)・愛媛県宇和島市FMがいやなど。
  6. ^ 例えば、岡谷市三島市蒲郡市
  7. ^ 山陽新聞 2006年5月25日付け
  8. ^ 読売新聞 2006年6月4日付け
  9. ^ 山陽新聞 2006年8月30日付け
  10. ^ http://www.fm-akita.co.jp/urgent_fm/ 命を守るラジオ 【緊急告知エフエムラジオ】 - エフエム秋田公式
  11. ^ 「市報にいがた」 (PDF)”. 新潟市 (2013年4月7日). 2013年4月11日閲覧。
  12. ^ 新潟市との「災害時における放送要請に関する協定」について”. エフエムラジオ新潟 (2012年9月26日). 2013年4月11日閲覧。
  13. ^ 総務省情報流通行政局衛星・地域放送課「「コミュニティ放送等を活用した自動起動ラジオ地域事例集」の公表 」『総務省』 総務省、2017年7月7日、「別紙2 コミュニティ放送等を活用した自動起動ラジオ地域事例集」4ページ
  14. ^ 「広報かねがさき」 (PDF)”. 金ケ崎町 (2013年2月). 2013年4月11日閲覧。
  15. ^ 緊急告知FMラジオの運用を開始 (PDF)”. 群馬県昭和村. 2012年10月12日閲覧。
  16. ^ 緊急告知FMラジオ起動試験放送”. エフエム新津 (2011年11月17日). 2012年10月12日閲覧。
  17. ^ 東日本大震災に際し開設された臨時災害放送局の開設状況(平成25年9月1日現在) (PDF)”. 総務省. 2013年9月17日閲覧。
  18. ^ おおふなとさいがいエフエム”. 大船渡市. 2013年4月11日閲覧。
  19. ^ 東日本大震災に際し開設された臨時災害放送局の開設状況(平成25年4月1日現在) (PDF)”. 総務省. 2013年4月11日閲覧。
  20. ^ 平成22年度長岡市フロンティアチャレンジ補助金事業事例集 (PDF)”. 長岡市商工部工業振興課. p. 7. 2012年8月6日閲覧。
  21. ^ 「市報おぢや」平成24年5月25日号お知らせ版 (PDF)”. 小千谷市役所. p. 2. 2012年8月6日閲覧。
  22. ^ 読売新聞 2012年10月25日付け

関連項目編集

外部リンク編集