練習曲作品4 (シマノフスキ)

4つの練習曲 作品4ポーランド語: Cztery etiudy op. 4[1])は、カロル・シマノフスキ1902年に作曲したピアノのための練習曲

4つの練習曲
作品4
カロル・シマノフスキ練習曲
初版の表紙
時代 後期ロマン派
様式 練習曲
形式 ピアノ独奏
作曲期間 1900年 - 1902年
献呈 ナタリア・ネイガウス
出版者 ウニヴェルザール出版社
演奏時間 約13分
楽器 ピアノ
初演
日付 1906年2月6日
会場 ポーランドの旗 ポーランド ワルシャワ
演者 ナタリア・ネイガウス

概要 編集

1900年から1902年にかけて作曲され、シマノフスキの親戚であるナタリア・ネイガウスに献呈された[注 1][5]。《9つの前奏曲 作品1》よりも規模が大きく、ジグムント・ノスコフスキのもとでの対位法の学習の成果が反映されている[5]

1906年2月6日に行われた若きポーランド英語版の第1回コンサートで初演された[6]。演者はナタリア・ネイガウス[6]

第3番は、イグナツィ・パデレフスキが愛奏したためシマノフスキの初期の作品の中で最も有名である[7]。シマノフスキは友人の指揮者グジェゴシュ・フィテルベルクに宛てた1910年11月13日付の手紙の中で、パデレフスキが「まだ若い年齢なのに自分の第九を作曲したとは、なんと不運なことか!」と語ったと綴っている[2][6]。のちにフィテルベルクは、この第3番をオーケストラ版に編曲した[1]

曲の構成 編集

第1番 編集

第1番
調 変ホ短調
拍子 4分の4拍子
演奏時間 約3分

アレグロモデラート変ホ短調

調性のある憂鬱な主題に始まり、作品全体を通じて展開されていく[2]。右手の平行6度にヨハネス・ブラームスの影響が見てとれる[6]。クライマックスにはフランツ・リスト風の仰々しい身ぶりも見られる[7]

 

第2番 編集

第2番
調 変ト長調
拍子 8分の6拍子(右手)
4分の2拍子(左手)
演奏時間 約2分

アレグロ・モルトレッジェーロ・エ・ヴェローチェ。変ト長調

右手のパートが8分の6拍子、左手のパートが4分の2拍子のポリリズムによる軽快な曲で、フレデリック・ショパンの《練習曲 作品10 第10番》を彷彿とさせる[6]。冒頭では変ト長調とト長調が1小節おきに入れかわる[7]

 

第3番 編集

第3番
調 変ロ短調
拍子 4分の3拍子
演奏時間 約4分

アンダンテ、イン・モド・ドゥナ・カンツォーネ変ロ短調

叙情的で哀愁を帯びた美しい旋律と、緊張感のあるダイナミクスが特徴的な作品[1]。この曲に頻出する増6の和音からアレクサンドル・スクリャービンの《練習曲 作品8 第11番》の影響を指摘する意見もある[7]

 

第4番 編集

第4番
調 ハ長調
拍子 4分の4拍子
演奏時間 約3分

アレグロ・マ・ノン・トロッポ、アフェトゥオーソ・エ・ルバート。ハ長調

9つの前奏曲 作品1 第6番》と同様に、リヒャルト・ワーグナーを思わせる半音階的和声や転調、複雑なリズムによる情熱的な曲である[6]。「愛情を込めて(: affettuoso)」「熱烈に愛して(: ardende amoroso)」などという指示がふんだんに書きつけられており、灼熱な恋愛感情を反映しているものであるとの指摘もある[7]

 

主な録音 編集

脚注 編集

注釈 編集

  1. ^ ナタリア・ターラ・ネイガウス(ロシア語ラテン翻字: Natalia Tala Neuhaus[2])は、シマノフスキの伯父にあたるグスタフ・ネイガウスロシア語版の娘でゲンリフ・ネイガウスの兄弟[3][4]ピアニストとして高い評価を得た[2]
  2. ^ 第3番のみ[8]

出典 編集

参考文献 編集

書籍 編集

  • 日本シマノフスキ協会 編『シマノフスキ 人と作品』春秋社、1991年5月20日。ISBN 9784393931097 
  • 森安芳樹; 田村進『シマノフスキ全集1』春秋社〈世界音楽全集 ピアノ篇〉、1992年7月20日。ISBN 9784393910627 

オンラインの情報源 編集

外部リンク 編集