羊たちの沈黙 (映画)

アメリカの映画作品

羊たちの沈黙』(ひつじたちのちんもく、The Silence of the Lambs)は、1991年アメリカ合衆国サイコスリラー映画。監督はジョナサン・デミ、出演はジョディ・フォスターアンソニー・ホプキンススコット・グレンなど。原作はトマス・ハリス同名小説。 連続殺人事件を追う女性FBI訓練生と、彼女にアドバイスを与える猟奇殺人犯で元精神科医との奇妙な交流を描く。

羊たちの沈黙
The Silence of the Lambs
監督 ジョナサン・デミ
脚本 テッド・タリー
原作 トマス・ハリス
羊たちの沈黙
製作 エドワード・サクソン
ケネス・ウット
ロン・ボズマン
製作総指揮 ゲイリー・ゴーツマン
出演者 ジョディ・フォスター
アンソニー・ホプキンス
スコット・グレン
テッド・レヴィン
音楽 ハワード・ショア
撮影 タク・フジモト
編集 クレイグ・マッケイ
製作会社 Strong Heart Productions
配給 アメリカ合衆国の旗 オライオン・ピクチャーズ
日本の旗 ワーナー・ブラザース
公開 アメリカ合衆国の旗 1991年2月14日
日本の旗 1991年6月14日
上映時間 118分
製作国 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
言語 英語
製作費 $19,000,000[1]
興行収入 世界の旗 $272,742,922[1]
アメリカ合衆国の旗カナダの旗 $130,742,922[1]
次作 ハンニバル
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第64回アカデミー賞主要5部門を受賞。アカデミー賞の主要5部門すべてを独占したのは『或る夜の出来事』、『カッコーの巣の上で』に次いで3作目である。 本作はアカデミー作品賞を受賞した唯一のホラー映画でもある。2011年にはアメリカ国立フィルム登録簿に新規登録された。

物語の主役である精神科医のレクター博士アンソニー・ホプキンスが演じ、アカデミー主演男優賞を受賞した。続編である『ハンニバル』でもホプキンスがレクターを演じている。もう一方の主役のFBI訓練生、クラリス・スターリングを演じたジョディ・フォスターアカデミー主演女優賞を受賞しているが、こちらはホプキンスと異なり、続編には出演していない(ジュリアン・ムーアが同役を演じた)。

ストーリー編集

カンザスシティをはじめとしたアメリカ各地で、若い女性が殺害され、皮膚を剥がれるという連続猟奇殺人事件が発生。逃走中の犯人は、「バッファロー・ビル」と呼ばれていた。

FBIアカデミーの実習生クラリス・スターリングは、バージニアでの訓練中、行動科学課(BSU)クロフォード主任捜査官からある任務を課される。クロフォードは、バッファロー・ビル事件解明のために、監禁中の凶悪殺人犯の心理分析を行っていたが、元精神科医の囚人ハンニバル・レクターは、FBIへの協力を拒絶していた。クラリスは、クロフォードに代わって事件に関する助言を求めるため、レクターの収監されているボルティモアの州立精神病院に向かう。

レクターは、当初は協力を拒んでいたものの、やがてクラリスに自身の過去を語らせることと引き換えに、助言することを約束する。そして、クラリスは父親の死を受けて伯父に預けられた過去を話し、そこで明け方に伯父が羊たちを屠殺するのを目撃したことがトラウマとなっていることを明かす。

一方、新たに上院議員の娘がバッファロー・ビルに誘拐される事件が発生したため、精神病院院長チルトンは、自身の出世のためにレクターを上院議員に売り込む。議員である母親は、捜査協力の見返りとして、レクターを警備の緩い刑務所へ移送させることを約束する。しかし、レクターは、移送の隙をついて警備の警察官や救急隊員たちを殺害して脱獄を果たす。

クラリスは、レクターが示唆した数々のヒントによって、犠牲者たちの足跡をたどり、訪れたある民家に住む男性がバッファロー・ビルであると確信する。単身で民家の地下室へ踏み込んだ彼女は暗闇の中、間一髪で犯人を射殺し、人質を無事助け出す。

事件は解決し、その後、同期生たちと共に正式なFBI捜査官となったクラリスの元に、逃亡中の身であるレクターから電話が入る。レクターは、彼女のトラウマが解消されたかどうかを尋ね、事件解決と捜査官への就任を祝福し、「I'm having an old friend for dinner.」という言葉でチルトン殺害をほのめかして通話を終えると、彼の背中を追って人混みの中に姿を消す。

キャスト編集

役名 俳優 日本語吹替
VHS テレビ朝日 DVDBD[注 1]
クラリス・スターリング ジョディ・フォスター 勝生真沙子 戸田恵子[2] 佐々木優子
ハンニバル・レクター アンソニー・ホプキンス 金内吉男 石田太郎 堀勝之祐
ジャック・クロフォード主任捜査官 スコット・グレン 有川博 家弓家正 有本欽隆
バッファロー・ビル テッド・レヴィン 牛山茂 曽我部和恭 家中宏
フレデリック・チルトン医師 アンソニー・ヒールド 小島敏彦 堀勝之祐 石井隆夫
アーディリア・マップ ケイシー・レモンズ 松本梨香 高山みなみ 湯屋敦子
キャサリン・マーティン ブルック・スミス 喜田あゆ美 中沢みどり 水田わさび
ルース・マーティン議員 ダイアン・ベイカー 此島愛子 谷育子 藤木聖子
バーニー フランキー・R・フェイソン 中村秀利
ヘイデン・バークFBI長官 ロジャー・コーマン 登場シーンカット
メンフィスのFBI捜査官 ジョージ・A・ロメロ
(ノンクレジット)
プレシャス Darla
(タレント犬 ビション・フリーゼ

反響編集

主な受賞編集

抗議編集

  • 本作はバッファロー・ビルの描写にあたって、差別を助長しかねないとしてゲイ団体より激しい抗議を受けた。監督のジョナサン・デミは次作で「フィラデルフィア」を製作し、その声に謙虚に応えた。

製作編集

準備編集

  • 当初、トマス・ハリスから原作権を購入したのは、ジーン・ハックマンであり、彼自身が監督を希望していた。しかし、脚本の内容が暴力的であることを理由に降板。その権利も放棄し、オライオン・ピクチャーが権利を買い取った。

キャスティング編集

  • レクター博士はスタジオ側がショーン・コネリーを希望したが、コネリーはオファーを拒否、第2候補だったホプキンスに役が回ってきた。
  • クラリス役はジョナサン・デミがミシェル・ファイファーを希望していたが、本人がオファーを辞退、当初から売り込んでいたジョディ・フォスターが役を得た。
  • 本作に登場するバッファロー・ビルの被害者たちの写真は、実在の女優らを使って撮影されたものである。

演技およびタイトル編集

公開編集

  • クレジットでも確認できるように、本作は元々は1990年に公開予定だった。しかしオライオン・ピクチャーズは同じく1990年に公開だった『ダンス・ウィズ・ウルブズ』とアカデミー賞を分け合うことを嫌い、1991年に延期された。そして同年2月14日のバレンタインデーに公開された。年の早い時期の公開はアカデミー賞には不利と言われていたが、史上3作目の主要5部門を受賞し、2021年現在でも4作目は出ていない。

スピンオフ編集

映画の一年後を描くドラマシリーズ"Clarice"が企画されている[3]

脚注編集

注釈編集

  1. ^ 2020年6月7日放送のBSフジ4K版はこれを流用。

出典編集

  1. ^ a b c The Silence of the Lambs (1991)” (英語). Box Office Mojo. 2010年7月5日閲覧。
  2. ^ フキカエ”. 戸田恵子オフィシャルブログ (2013年9月26日). 2013年9月26日閲覧。
  3. ^ 『羊たちの沈黙』ドラマ版、アンチヒーローストーリーに!?主人公クラリスはどのように描かれるのか分析”. 2021年1月3日閲覧。

関連項目編集

  • プロファイリング - 本作をきっかけに日本でも広く知られ、使われるようになった言葉。
  • ロバート・K・レスラー - 元FBI行動科学課の捜査官。プロファイリング技術の確立に貢献。
  • メンガタスズメ - 学名アケロンティア・スティクス(Acherontia styx)。劇中における重要なガジェットであり、ポスターやジャケットにも登場する。
  • 羊たちの沈没(原題:The Silence of the Hams) - 本作をパロディしたコメディ映画。

外部リンク編集