美女と液体人間』(びじょとえきたいにんげん)は、1958年6月24日に公開された日本特撮映画。英題は "The H-Man "。製作、配給は東宝カラー東宝スコープ。上映時間は87分[2]

美女と液体人間
The H-Man
監督 本多猪四郎(監督)
円谷英二(特技監督)
脚本 木村武
原作 海上日出男
製作 田中友幸
出演者 白川由美
佐原健二
平田昭彦
佐藤允
小沢栄太郎
千田是也
音楽 佐藤勝
撮影 小泉一(本編)
荒木秀三郎(特撮)
有川貞昌(特撮)
編集 平一二
製作会社 東宝[1][注釈 1]
配給 東宝[1][注釈 1]
公開 日本の旗 1958年6月24日
上映時間 87分
製作国 日本の旗 日本
言語 日本語
次作 電送人間
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概要編集

変身人間シリーズ」の1作。タイトル通り、女性の登場するシーンも多く、アダルトな雰囲気も持つ特撮映画である。

本作の設定では「強い放射線を浴びた生物は液体状に変化し、液体生物と呼ぶべき別の生物になる」とされ、真木博士がカエルを使って公開実験を行っている。

劇中で水爆実験の放射能を浴びた日本のマグロ漁船「第二竜神丸」は、当時としてはまだ記憶に新しいビキニ環礁の水爆実験事故「第五福竜丸事件」をヒントにしたものである。

原作者の海上日出男東宝所属の俳優であったが、本作製作前の『地球防衛軍』撮影中に死去している(詳細は海上日出男#『液体人間現る』について参照)。

あらすじ編集

ある雨の晩、日本橋兜町で不審な二人の男たちが暗躍していた。しかし、男の一人は突如苦しむようなうめき声を上げるとピストルを発砲し始め、着ていた衣服と大量の麻薬を残してその場から忽然と姿を消してしまう。

遺留品から消えた男の正体がギャングの一員・三崎であることを突き止め、彼らが麻薬密売を目論んでいると推理した警視庁の富永は、三崎の情婦であるキャバレー「ホムラ」の歌手・新井千加子を監視し、彼女に接触してきた男を逮捕する。しかし、男の正体はギャング関係者ではなく富永の友人である城東大学助教授・政田だった。政田は三崎が大量の放射性物質を浴びて「液体人間」と化したのではないかという仮説を立てており、「死の灰を浴びた第二竜神丸の船員が液体人間と化していた」という証言や強い放射線を浴びせたカエルが液体化するという実験結果、永代橋付近で見つかった第二竜神丸の浮き輪などの証拠を提示するが、富永ら捜査陣は全く信じない。

事件が暗礁に乗り上げる中、千加子の証言から「ホムラ」のボーイ・島崎が事件に関係している可能性が浮上した為、警視庁は築地に警官隊を集め「ホムラ」の一斉摘発に踏み切る。しかし、それと時を同じくして隅田川から液体人間が上陸。「ホムラ」の踊り子や刑事、そして島崎が液体化させられてしまう。ここにきてようやく事の重大さに気付いた捜査陣は政田や彼の師・真木博士の意見を取り入れ、隅田川付近の下水道ガソリンを流して火を放つことで液体人間を殲滅する作戦を実行する。

一方、政田と千加子はいつしか恋愛関係になっていたが、兜町の事件で三崎の相棒だったギャングの一員・内田が千加子を拉致、彼女を連れて下水道内に隠した麻薬を回収しようと企む。内田は液体人間に襲われて消滅したが、千加子は液体人間とガソリンの炎という二重の脅威に晒される。しかし、政田と富永率いる捜索チームが下水道へ飛び込み、無事千加子の救出に成功した。

隅田川沿岸を炎に包み込むほどの猛火により液体人間は全滅した。だが真木博士は「もし地球が死の灰に覆われて人類が全滅したとき、次に地球を支配するのは液体人間かもしれない」と語るのだった。

液体人間編集

核実験で飛散した死の灰を浴び、強い放射線の影響で肉体が変質・全細胞が液体化した人間。劇中では人間のみならず強い放射線を浴びたカエルも同様の姿に変異している。

一般的な伝承における吸血鬼のごとく他の人間を襲うことによって、犠牲者を自分と同様の液体人間に変える習性を持つ。そのため、物語終盤には液体人間が2体登場した。彼らの武器は文字通りゲル状に液体化した肉体であり、これに触れた人間は肉体が縮むように溶かされ、泡となって消え去ってしまう。さらに液体人間は全身が液体で構成されているため銃などの武器はまったく効果がない。その為、火炎によって焼き殺す事が唯一の対処法と言われている。

真木博士によれば液体人間には犠牲者の精神活動が少しでも残る可能性があるという(これが、最初の犠牲者が東京に戻った理由である)。しかし、液体人間となった者が人間的な意識をどれだけ保って行動しているのかは、不明である[注釈 2]

撮影に際し、地をはう液体人間の表現には、化粧ベース素材の有機ガラスが用いられた[3]

スタッフ編集

キャスト編集

ノンクレジット編集

映像ソフト編集

2005年2月25日に、発売された。オーディオコメンタリー(佐原健二/聞き手:古怒田健志
2014年2月7日に、<期間限定プライス版>として再発売された。
2015年7月15日に、<東宝DVD名作セレクション>として再発売された。

脚注編集

注釈編集

  1. ^ a b c ノンクレジット
  2. ^ 劇中に液体人間の視点からの描写はなく、人間関係によって推測・暗示されるだけである。

出典編集

  1. ^ a b c d e 映画資料室”. viewer.kintoneapp.com. 2020年4月17日閲覧。
  2. ^ 美女と液体人間 H-Man”. 本多猪四郎オフィシャルサイト. 2015年10月31日閲覧。
  3. ^ 『東宝特撮映画大全集』 ヴィレッジブックス、2012年、28 - 31頁。ISBN 9784864910132 
  4. ^ a b c d e f g h i j k l m 「俳優名鑑」『東宝特撮映画DVDコレクション』第48号、デアゴスティーニ・ジャパン、2011年8月、 8頁、 雑誌コード:20693-8/16。

外部リンク編集