職業軍人(しょくぎょうぐんじん)とは、軍隊(例:陸軍海軍空軍海兵隊等)所属で、尚且つ軍の業務を正式な職業とする者(軍人)の事である。対義語は募兵。

概要編集

一般的には、徴兵制度及び志願によりとなり、任期満了を迎えた後に採用試験を受け軍人として任官された者(大抵この時点で下士官となる)、元から軍人として就職する為の採用試験を経て任官された者(先述と同様)、並びに採用後、士官学校等を経て尉官佐官将官(所謂将校士官)となる者の事を指す。

職業軍人としての概念は徴兵制度同様古くからあり、最古の例として、紀元前共和政ローマにおけるガイウス・マリウス軍制改革によって、過酷な訓練にも耐え、結束力の高いプロの戦闘集団を編成した事例等がある。 しかし、戦争の近代化に伴って兵器が高度化されるにつれ、志願兵による職業軍人のみでは対応出来ないなどの問題が発生し、同時に国民を戦場に駆り出す大義名分もあり、兵役義務を課して国民を動員させる国家が多く現れ始めた(徴兵制はそれ以前から存在する)。第二次世界大戦後も徴兵制度を採る国家が多数存在するが、後述の理由により、国民皆兵による徴兵制の魅力が無くなった事から、職業軍人のみで構成される軍隊を組織する国が多くなった。

徴兵との違い編集

徴兵との大きな違いは、基本教練格闘射撃戦闘技術等のみに限らず、軍事学、士官においては軍事的リーダーシップ等の高度な軍事教育を行う所にある。簡単に言えば、徴兵の様に徴兵期間に囚われず、軍事に関する高度な知識・技術や戦略ノウハウを教育させる事で、各分野のプロフェッショナルを育成し、有能な軍人を戦線に投入・運用出来るメリットがある。

特に最大のメリットは、専門職種の存在である。 第二次世界大戦後においては、軍用機戦車・軍事用電子機器対戦車ミサイル等、兵器のハイテク化・専門化が目覚しく進歩し、兵器運用の必要人員も少なくなった。しかしそれと引き換えに、兵器の運用技術及び知識が必須となったが、デジタル・ハイテク化がそこまで発達していない第二次世界大戦以前ならばいざ知らず、現代において1年から3年程度の勤務しかない徴集兵では現代におけるハイテク兵器の技能を習得する事は到底難しく、加えて徴兵対象者全員に訓練を施そうとしても莫大なコストが掛かり、戦時に兵器のアップデート等が施された場合等には技術維持が困難であると言ったリスク[1]も存在する。また、現代においては兵士の頭数よりもハイテク兵器の使用と高度な教育を受けた軍人の方が有利(ただし、ゲリラ戦法などを叩き込まれた人間及び、対ゲリラ作戦遂行可能者に関しては別の次元)である事もあり、徴兵制はそぐわないと言う潮流が世界で広まっている事も加えて、先進国を中心に採用による志願制のみとしている国が増えている。

また、職業軍人として定年まで勤め上げ、または戦闘で負傷して退役した軍人(傷痍軍人)に対して様々な福利厚生における優遇を受けられる国もある。代表的な例としてアメリカ合衆国が挙げられる。アメリカでは、軍歴が重視される風潮があり、名誉除隊した退役軍人に対して名誉除隊証書が交付されたり、年金、教育上の援助、住宅ローン等の福利厚生の恩恵を受けられる制度が整備されている。

現状編集

現代では、先述の様に航空機の操縦士や、特殊部隊隊員、狙撃兵、斥候エンジニア(工兵)等、特定の任務や技術に特化した専門職の軍人を教育・運用するに当たっては、職業軍人である事が前提である。

また、現地の敵対勢力に対抗するゲリラと友好関係を築いて、近代戦術の訓練を施す例もある[2]

脚注編集

  1. ^ 一例:戦闘機等の航空機パイロットに代表される航空力学、航法、空中戦闘機動等の航空飛行戦術等で最低でも2~3年程度掛かる。また、グリーンベレーSASの様な諜報偵察、急襲等を行う軍事系特殊部隊に関しては、より高度な知識と体力、精神力を必要とする為、特殊技能徽章を付けるに相応しい者に育成するのに2~5年掛かると言われている。
  2. ^ 例として、アメリカ同時多発テロ事件の報復侵攻の際に、グリーンベレーが最大の反タリバン勢力である北部同盟に近代戦術の訓練を施した事例がある。

関連項目編集

外部リンク編集