肉弾』(にくだん)は、1968年に公開された岡本喜八監督の日本映画戦争を題材とした岡本監督の代表作である。白黒・スタンダード作品。

肉弾
監督 岡本喜八
脚本 岡本喜八
製作 馬場和夫
ナレーター 仲代達矢
出演者 寺田農
大谷直子
音楽 佐藤勝
撮影 村井博
編集 阿良木佳弘
製作会社 「肉弾」をつくる会
ATG
配給 ATG
公開 日本の旗 1968年10月22日
上映時間 116分
製作国 日本の旗 日本
言語 日本語
製作費 1000万円
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概要 編集

岡本の戦争体験を基にした作品で、「あいつ」と呼ばれる主人公の青春と終戦を描いている[1]。企画当初は映画会社が制作費を出さず、監督の夫人の岡本みね子がプロデューサーとなって二人三脚で地道に制作費を集め、制作にこぎつけた。岡本は自宅を抵当に入れて製作費を捻出したという[1]。音楽も佐藤勝に依頼したが収録するスタジオなども用意出来なかったため、他作品のBGMを収録している合間にこっそり録音したとも言われている。

あらすじ 編集

昭和20年の夏、魚雷を抱えたドラム缶が漂流し、乗っている「あいつ」はまだ終戦を知らない。あいつは21歳の幹部候補生だが、広島に原爆が落とされ、戦局が危ぶまれる中、特攻隊員にされ、一日だけの外出を許される。 活字が恋しくなって古本屋に行き、両腕をもがれた爺さんと観音様のような婆さんに会う。女郎屋に行って清らかなおさげ髪の少女「うさぎ」に会うが、出てきたのは前掛けのおばさんだった。雨の中に飛び出したあいつは、再びうさぎに出会い、やがて二人は防空壕の中で結ばれる。 翌日のあいつは対戦車地雷を抱えて砂丘にいる。そこで知り合った小さな兄弟とモンペ姿のおばさん、それと今まで出会った人たち、あいつは死を賭けて守るものが出来たと思う。だが、その夜の空襲でうさぎが亡くなったことを知る。 それから作戦が変更され、あいつは魚雷と共に太平洋に出て、敵をじっと待ち、終戦を知らないまま日本は負けた。まもなく沖合でし尿処理船に助けられ、終戦を聞かされ、船に曳航されながら港に向かったが、ロープが切れて海に取り残されてしまう。 しかしあいつはそれに気づかず怒鳴り散らしていて、それから20年余、海水浴客でにぎわう海に浮いているドラム缶の中で、白骨化したあいつは、未だに怒鳴っている。

スタッフ 編集

  • 監督・脚本 - 岡本喜八
  • 製作 - 馬場和夫
  • 撮影・照明 - 村井博
  • 美術・スチール - 阿久根厳
  • 音楽 - 佐藤勝
  • 録音 - 渡会伸
  • 助監督 - 中西源四郎、池田誠、増田周保
  • 撮影助手 - 田畑圭補、赤松威善
  • 美術助手 - 小方一男、安木吉信
  • 記録 - 土屋テル子
  • 編集 - 阿良木佳弘
  • 現像 - キヌタ・ラボラトリー
  • 漫画 - 辻まこと
  • 製作担当者 - 堤博康
  • 協力 - 丸木位里 「原爆の図」(田園書房)

キャスト 編集

出典 編集

  1. ^ a b シン・ゴジラ』に岡本喜八監督が登場するワケ『日本のいちばん長い日』(1967年)”. シネマトゥデイ (2016年10月7日). 2017年9月9日閲覧。

外部リンク 編集