胃癌

胃に生じる上皮性悪性腫瘍・癌

胃癌(いがん、:Stomach cancer または Gastric cancer)は、に生じる上皮性悪性腫瘍の総称。初期の症状には、胸やけ、上腹部の痛み、吐き気、食欲不振などがある[1]。進行すると、体重減少、嘔吐、嚥下困難、下血などの症状が出現する[1]。がんは胃以外にも広がり、とりわけ肝臓、肺、骨、腹膜、リンパ節などに転移することがある[2]

胃癌
胃癌の疑いがあるとして切除された胃潰瘍の標本
概要
診療科 腫瘍学, 消化器学
分類および外部参照情報
ICD-10 C16
ICD-9-CM 151
OMIM 137215
DiseasesDB 12445
MedlinePlus 00022
eMedicine med/845
MeSH D013274
GeneReviews

最も多い原因はヘリコバクター・ピロリ菌の感染であり、60%以上を占める[3][4][5]。特定種のピロリ菌は、他のピロリ菌よりも高リスクである[3]。喫煙、食事習慣(たとえば高塩分の食餌摂取や肥満)などもリスク要因である[3][6]

診断は一般的に胃カメラによる生検による[1]。さらに他への転移を調べるために、画像診断がなされる[1]。日本と韓国は発病率が高いため胃がんスクリーニングが行われている[3]

世界的には、胃がんはがんの中で5番目に多く、また死因では3番目に位置づけられ、死因の7%から9%を占めている[7]。2012年には95万人が罹患し、72.3万人が死亡した[7]。胃がんの多発地域は、東アジア東ヨーロッパである[3]。男性は、女性の2倍発症する[3]

定義

編集

広義の「胃癌」には以下の種類がある。

疫学

編集
 
2004年における10万人毎の胃がんによる死亡者数(年齢標準化済み)[8]
  データなし
  3.5人以下
  3.5人から8人
  8人から12.5人
  12.5人から17人
  17人から21.5人
  21.5人から26人
  26人から30.5人
  30.5人から35人
  35人から40人
  40人から45人
  45人から50人
  50人以上

胃癌は中国日本韓国などアジア南米に患者が多く、アメリカ合衆国をはじめ他の諸国ではそれほど顕著ではない。

2003年の日本における死者数は49,535人(男32,142人、女17,393人)で、男性では肺癌に次いで第2位、女性では大腸癌に次いで第2位であった(厚生労働省 人口動態統計より)。かつて日本では男女とも胃癌が第1位であったが、死者数は年々減少している。

日本では、国立がん研究センターがん予防・検診研究センター予防研究グループにおいて、多目的コホート研究(JPHC Study〈Japan Public Health Center-based prospective Study〉)結果が発表されている[9]

日本のがん統計[10]
死亡数 (2017年) 罹患数 (2014年)
男女 男女
1位 大腸 乳房 大腸
2位 大腸 大腸
3位 大腸 膵臓 大腸
4位 肝臓 膵臓 前立腺 乳房
5位 膵臓 乳房 肝臓 肝臓 子宮 前立腺

1930年代以前では、西欧諸国のほとんどを含む世界の多くの地域において、癌による死亡の最も一般的な原因であった[11][12][13]。しかし時代を経るにつれ、世界の多くでは死亡率が減少している[3]。 その理由は、食物を新鮮に保つ方法として冷蔵が開発されたため、漬物による塩分の摂取量が減少したためと考えられている[14]

転移

編集

胃癌は肝臓腹膜によく転移する[15]。また、骨転移の頻度は2〜17%である[15]

原因・予防

編集

感染症

編集

胃癌の発生過程でヘリコバクター・ピロリ菌 (Helicobacter pylori) による「慢性萎縮性胃炎」・「鳥肌胃炎[16]の関与が示唆されている。ヘリコバクター・ピロリ菌の陽性者では、陰性者と比較して胃癌の発生のリスクは5倍となる。さらに、胃の萎縮の程度が進むと胃癌のリスクも上がり、ヘリコバクター・ピロリ菌感染陽性でかつ、萎縮性胃炎ありのグループでは、陰性で萎縮なしのグループと比較して胃癌の発生リスクは10倍となっている[17]メタ解析によると、アジアでの無症状の成人を対象としたヘリコバクター・ピロリの除菌は、胃癌発症率および胃癌死亡率を有意に低下させた[18]。しかし、除菌時に既に胃粘膜に病変を生じている場合、除菌が成功しても癌病変(粘膜下浸潤がん)が生じる事もある[19]。なお、この病変は内視鏡的存在診断は困難と指摘されている[19]

日本で行われた調査で、3,161件の胃癌治療をした患者を検査したところヘリコバクター・ピロリ菌が未感染であったのは21件 (0.66%) であった。また別の調査で240件の胃癌の内視鏡治療をした患者中ヘリコバクター・ピロリ菌が未感染であったのは1例 (0.42%) のみであった[20]

理化学研究所生命医科学研究センター、愛知県がんセンター研究所がん予防研究分野らの国際共同研究グループは、日本の11,000人以上の胃がん患者群と44,000人以上の非がん対照群を用いた世界最大規模の症例対照研究を行い、胃がんのリスクに関連する遺伝子の存在とその特徴を示し、BRCA1BRCA2遺伝子など相同組換え修復機能に関わる遺伝子群の病的バリアントが、ヘリコバクター・ピロリ菌感染による胃がんのリスクへの影響を増強させていることを明らかにした[21][22]

塩分・塩蔵品

編集
 
漬物を取りすぎない

2003年世界保健機関 (WHO) と国連食糧農業機関 (FAO) による「食事、栄養と生活習慣病の予防[23]」 (Diet, Nutrition and the Prevention of Chronic Diseases) では、食塩の摂取は1日5g以下 (ナトリウム2g以下)とされ、塩や塩蔵の食品は胃癌のリスクが上がることが起こりうるとしている。

厚生労働省による1990年代の研究では、塩分濃度の高い食事を日常的に摂取する人たちは、そうでない人たちに比べて胃癌となるリスクが高いことが統計的に示されている[24]食塩の多い食事で、男性の胃癌リスクが上がる。いくら塩辛、練りうに漬物などをよく食べる人で胃癌が多い[25]。食塩(塩化ナトリウム)そのものに胃がんの原因が存在するかは研究によって「関連性が認められる」とするものと「関連性が見いだせない」とするものが存在するが[26]、動物実験においては発がん性物質の発がん(イニシエーション)を食塩が促進(プロモーション)する効果が認められている[27]。前述のピロリ菌と高塩分が重なることによりさらに発がん性物質のがん化が促進される。

漬物やソーセージ魚卵製品などの塩蔵品、または生野菜に含まれる硝酸塩から体内で生成されるとされるニトロソアミンも原因ではないかと推測もされているが追跡調査が難しく不明な点が多い。IARC発がん性リスクでは加工肉がグループ1 (発がん性が認められる)、アジア式野菜の漬物がグループ2B(発がん性が疑われる)に分類されている。野菜類に関しては抗酸化作用やニトロソアミン抑制効果を持つビタミンCなどが含まれるため同時にリスクの低減にも寄与されるとみられている[28]

焦げた動物性タンパク質

編集

魚肉や食肉からは炭化する(焦げる)と発癌物質であるニトロソアミンアクリルアミドが増加し胃がんの発生リスクを増幅させる[29]。ただし常習的に食していなければ問題ない数値である。[要出典]

喫煙・飲酒

編集

たばこを吸う人は吸わない人に比べて2倍胃癌になりやすい。お酒を飲むと2倍から3倍、胃噴門部の胃癌になりやすい[30]

アルコール代謝活性関連遺伝子 (AHH1B, ADH1C, ALDH2) との相関を調べたところ、ADH1C、ALDH2の代謝活性が低い遺伝子型で大量飲酒(週あたり150g以上で、日本酒1合相当以上を連日の計算)した場合に、胃癌になりやすい[31]
アルコール摂取時に、L-システインを同時に摂取することにより、胃内のアセトアルデヒド濃度を下げ、胃癌リスクの低減が図られることが報告された[32]

コレステロール

編集

コレステロール低値は、男性の胃癌リスクと関係する[33]

β-カロテン

編集

男性では、血中β-カロテン濃度が高いと胃癌リスクが低いが、女性では関連が見られない[34]

緑茶

編集

緑茶をよく飲むと女性の胃癌リスクが下がる[35]喫煙状態によって、緑茶ポリフェノールと胃癌の関係が変わる。緑茶に胃癌予防効果があるとしても、たばこを吸っている場合には効果は得られない可能性が高い[36]

胃癌検診

編集

胃癌検診を受けている人では、胃癌による死亡率が低い[37]

日本人の伝統的食生活

編集

日本人の伝統的な食生活[注釈 1]で、胃癌のリスクが高くなる[38]野菜果物は少量の摂取で胃癌の発生率を下げる[39]

病理

編集

症例の10%は家族も同じ疾患であり、1%から3%は遺伝性びまん性胃がん英語版による[3]。胃がんのほとんどは消化器癌腫である[3]。複数のサブタイプが存在する[3]悪性リンパ腫間葉も形成されうる[3]。多くの胃がんは数年かけて形成される[3]

組織型としては、ほとんどが腺癌胃小窩や胃腺に分化する円柱上皮幹細胞から生ずる)であり、まれにガストリンなどの内分泌細胞から生ずる内分泌細胞癌(=高悪性度カルチノイド)を発症する。

病理学的には以下に分類される。

  • 一般型
    • 乳頭腺癌 (pap:papillary adenocarcinoma)
    • 管状腺 (tub:tubular adenocarcinoma)
      • 高分化型 (tub1:well differentiated type)
      • 中分化型 (tub2:moderately differentiated type)
    • 低分化腺癌 (por:poorly differentiated adenocarcinoma)
      • 充実型 (por1:solid type)
      • 非充実型 (por2:non-solid type)
    • 印環細胞癌 (sig:signet ring cell carcinoma)
    • 粘液癌 (muc:mucinous adenocarcinoma)
  • 特殊型

印環細胞癌と低分化型は、4型の進展となることが多く、胃が硬くなる「硬癌」の状態となることが珍しくない。一般に「スキルス胃癌」として早期発見が困難で予後が悪い胃癌の代名詞として知られる。胃切除例の組織分類の検討では、tub1[40]が45.7%と最も多く、低分化型 (por1・por2) と印環細胞癌 (sig) は合わせると約30%を占めた[41]

筑波大学東京医科歯科大学の病理学教授を勤めた中村恭一名誉教授は、「胃癌の三角」という概念を提唱している。すなわち、発生部位(場)・肉眼型・組織型には互いに相関がある。胃底腺領域から発生する癌の95%以上は未分化癌であることなどは、この「胃癌の三角」の臨床診断の一説としている[42]。また歴史的に、胃癌の他覚的発見にちなんで、転移・浸潤先の病変に名称が付けられており、卵巣への直接浸潤として「クルーケンベルグ (Krukenberg) 腫瘍」、ダグラス窩直腸子宮窩) に転移したものは「シュニッツラー (Schnitzler) 転移」、左鎖骨窩リンパ節転移は「ウィルヒョウ (Virchow) 転移」と呼ばれている。

写真説明の組織型分類は胃癌取り扱い規約第14版による分類である。

症状

編集

自覚症状による胃癌の早期発見は難しい。ほとんどの場合、早期癌の段階では無症状であり、癌が進行してからでないとはっきりとした自覚症状が出てこないことが多いからである。胃癌は進行してくると次のような症状が出てくる。

  • 自覚症状
    • 腹痛・上腹部不快感・吐き気・嘔吐・胸焼け・食後の腹部膨満感・食欲減退など
  • 理学的症状
    • 急な体重減少・腹水貯留・黒色便・吐血・貧血

検査

編集

胃癌か否かを決定するのは原則として胃から採取した組織の病理検査である。

画像検査

編集
腹臥位やや頭低位による撮影。胃体中部前壁に発生した3型胃癌(低分化型腺癌: por2>tub2)
上と同じ症例の内視鏡像。

他に発見・診断を目的として以下の検査が行われている。

上部消化管造影検査
いわゆる「バリウム検査」「胃透視」である。内視鏡検査に先んじて、日本で開発・研究された検査であり、現在でもその功績から、多くの癌検診として広く行われている。内視鏡と比較して安全かつ医師でなくても施行できるため、集団検診で用いられる。内視鏡で診断しにくいスキルス胃癌の発見に有効なことがある。また、術前検査として正確な位置診断を行うために有用である。
上部消化管内視鏡
現在において最も確実な検査方法。病変部の細胞を採取して診断できるため確実度が増す検査であるが、造影検査よりも費用高価・身体負担が多いため、集団検診には向いていない。2013年改訂の厚生労働省指針でも、バリウムを飲むX線検査が従来通り公費検診で推奨され、内視鏡は推奨されてこなかったが、2013年2月21日にピロリ菌の除菌が、その適応を慢性胃炎の段階まで拡大した上で保険適用とされ、要件に上部消化管内視鏡検査が盛り込まれた結果、早期の胃がんの発見に結びついたことから[43]、2016年4月より上部消化管内視鏡が追加されている[44]。多くの医療機関・人間ドックで施行されている。
  • 胃潰瘍と胃癌の鑑別
    • 形態(円滑 vs 不整)
    • 大きさ(3センチメートルを超える潰瘍はまれ)
    • 陥凹底の性状(凹凸・不整 vs 平滑)
    • 潰瘍辺縁の性状(不整 vs 整、蚕食像など)
    • 潰瘍周辺の皺襞先端の性状(ヒダの細まり方のなだらかさ、断崖様の途絶など)
    • 周囲隆起の性状(浮腫状 vs 顆粒・結節)
    • 病変周囲粘膜の性状(発赤・褪色・陥凹などの有無)
    • 病変の場(胃底腺領域 vs 幽門腺領域)
CTMRI
巨大胃癌でない限り、一般にこれらによる胃癌の診断は困難である。リンパ節、肝などへの転移・浸潤の評価に施行される。

検体検査

編集
ABC検査
ヘリコバクターピロリ感染は胃粘膜の萎縮を引き起こし、胃の発癌要因となるため、陽性であれば除菌療法が望ましいとされている。ペプシンの前駆体であるペプシノゲン (PG) の測定を行うことで胃癌高リスク群を類別するという方法[45]で、検診スクリーニングでの有用性が期待されている。PG-Iは胃底腺の主細胞・副細胞より分泌され、PG-Ⅱは胃底腺以外より分泌されるが、いずれも胃の慢性萎縮性変化で低値となり、分化型腺癌の発生リスクを類別し、高リスク群に対し内視鏡検査へのサーベイランスを計るというもの。
腫瘍マーカー
進行してくるとCEA、CA19-9などの上昇が見られる。転移などが出てくる場合に高値が認められる。

病期(ステージ)

編集

胃癌の進行度は以下のように分類され、生存率がほぼ等しくなるようにグループ分けしたのが病期(ステージ)であり、数字が大きくなるほど進行した癌であることを表す。国際的にはUICC (International Union Against Cancer) のTNM分類が用いられるが、日本では胃癌取扱い規約による病期分類が広く使用されている。

画像検査による、臨床診断による病期診断が行われ、手術加療を行う場合には、手術結果によって最終的な病期診断 (Final Stage) が確定される。

病期分類

編集
 
組織学的深達度によってT分類は決定される。T分類はクリニカルステージを決定するのに非常に重要な因子である。
粘膜(M):mucosa、粘膜下層(SM):submucosa、筋層(MP):Tunica muscularis propria、漿膜下層(SS):subserosa、漿膜(S):serosa)

病期(ステージ)は下記表の様に分類される。

胃がんの病期(ステージ)分類
深さ・転移 リンパ節転移
NO N1 N2 N3 M1
記号 ※ 解説 リンパ節転移がない リンパ節 1〜2個に転移 リンパ節 3〜6個に転移 リンパ節 7個以上に転移 遠隔への転移
T1a (M)
T1b (SM)
胃の粘膜・粘膜下層にとどまっている。 IA IB IIA IIB IV
T2 (MP) 胃の筋層に達している。 IB IIA IIB IIIA IV
T3( SS) 胃の筋層を越え、漿膜下層に達している。 IIA IIB IIIA IIIB IV
T4a (SE) がんが漿膜を超え、胃の表面に出ている。 IIB IIIA IIIB IIIC IV
T4b (SI) がんが胃の表面に出たうえに、
他臓器にもがんが続いている。
IIIA IIIB IIIC IIIC IV
肝臓、肺、腹膜などに転移している。 IV IV IV IV IV
※ 深さ・転移 記号欄中の括弧付き記号は、旧分類による記号(旧ガイドラインで標記される記号。
  • 国立がん研究センター がん情報サービスの胃がんの病期(ステージ)分類表[46]より引用し改変。

治療

編集

他のの治療と同様に、治療方針は癌の病期によって変わってくる。主に以下にあげられる治療を集学的に行っていく。以下は狭義の胃癌の治療について記述する。なお、がん治療には、手術・放射線治療化学療法の三つがあるが、感染症を原因とする「アジア型のがん」である胃がんの治療には、それが全摘できる例外的な臓器であり、開腹手術で最初に確認できるという点から手術が向いている[47]

悪性リンパ腫GISTの治療については各項を参照。

内視鏡治療

編集
内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD:Endoscopic Submucosal Dissection)
分化型でリンパ節転移のない「早期胃癌」と診断される病変に対しては、EMRESDといった内視鏡切除治療が広く行われてきている。詳細はEMRESDの記述を参照。

また胃GISTなどに対しての低侵襲治療として以下のものが行われてきている。

腹腔鏡内視鏡合同手術(LECS:Laparoscopy and Endoscopy Cooperative Surgery)[48]
2008年に癌研究会有明病院の比企直樹らが提唱し始めた。
非穿孔式内視鏡的胃壁内反切除術(NEWS:Non-exposed Endoscopic Wall-inversion Surgery)
2011年に慶應義塾大学の後藤修らが提唱し始めた。

手術治療

編集

旧来よりまた現在においても、根治術の根本としては外科的手術切除であり、胃切除術+D2リンパ節郭清が根治術の基本である。詳細は胃切除術の記述を参照。

D2以上のリンパ節郭清 (No13 14 16) については、症例に応じて検討して行われる。

また、癌の進行が進んでいると術前診断がなされれば、大網膜脾臓胆嚢といった周囲他臓器合併切除を行う拡大手術が行われる。発見時には腹膜播種リンパ節転移など胃以外に転移しているいった進行癌の場合には、先に化学療法などを試み、転移したがんを縮小させることが出来た場合に手術を行うこともある。

化学療法

編集

外科的根治切除治療が困難な進行胃癌に対する化学療法や、手術治療後の補助療法としての化学療法がある。化学療法は様々な薬剤を組み合わせて行われるが、個々の組み合わせのことをレジメンと呼ぶ。様々なレジメンの有効性が報告されている[49]

特定の受容体酵素に対しての低分子化合物もしくはモノクローナル抗体であり、上皮細胞増殖因子などの細胞の増殖シグナルの阻害や癌細胞の直接傷害により抗腫瘍効果を発揮する。
大腸癌などで有用性が認められているベバシズマブの効果は胃癌では認められなかった[50]ゲフィチニブエベロリムスラパチニブなどの臨床試験も行われたが、いずれも胃癌では効果が認められなかった
  • トラスツズマブ(抗HER2モノクローナル抗体製剤):HER2陽性の進行胃癌に対する一次治療として、フッ化ピリミジン系薬剤とプラチナ製剤と併用して投与される。
  • トラスツズマブデルクステカン:抗体薬物複合体
  • ラムシルマブ(RAM 抗VEGFR2モノクローナル抗体製剤):進行胃癌に対する二次治療以降で、RAM単剤もしくはパクリタキセルとの併用で投与される。
  • 免疫チェックポイント阻害剤
    • ニボルマブ(抗PD-1モノクローナル抗体製剤):日本においては、まず2017年9月に三次治療以降において適応推奨され[51]、その後2021年11月に一次治療におけるニボルマブと化学療法の併用療法が承認された[52]
    • ペムブロリズマブ (抗PD-1モノクローナル抗体製剤):MSI-high症例に対して適応あり。

術後補助化学療法

編集

胃がん治療ガイドライン第6版において、術後補助化学療法はpStageIIに対してはS-1投与を1年間、pStageIIIに対してはCape+OX、S-1+OX、S-1+DTXのいずれかが推奨されている[49]

  • S-1:ACTS-GC試験
  • Cape+OX療法:CLASSIC試験
  • S-1+DTX療法:JACCRO GC-07試験。S-1単独療法と比較して有意に優れていた。
  • S-1+OX療法

一次治療:HER2陽性例

編集
  • Cape (or 5-FU) + CDDP+トラスツズマブ療法:ToGA試験
  • S-1 + CDDP + トラスツズマブ療法

一次治療:HER2陰性例

編集
  • 5-FU療法:JCOG9205
  • 5-FU+CDDP療法:JCOG9205
  • CPT-11+CDDP療法:JCOG9912
  • S-1療法:JCOG9912
  • S-1+CDDP療法:SPIRITS試験
  • S-1+CPT-11療法:GCO301/TOP-002試験
  • S-1+DTX療法:START試験
  • FOLFOX療法:REAL2試験
  • S-1+OX療法:G-SOX試験
  • Cape+OX療法:REAL2試験とG-SOX試験に準じて
  • Cape+OX療法 or FOLFOX療法+ニボルマブ[53]:CheckMate649試験[54] 
  • S-1+OX療法 or Cape+OX療法+ニボルマブ[53][55]:ATTRACTION-4試験[56] 

二次治療以降

編集
  • CPT-11療法:ASCO2009 AIO study
  • DTX療法:ASCO2011 Korea study
  • PTX療法:ASCO2012 WJOG4007
  • nab-PTX療法:ABSOLUTE試験
  • RAM+PTX療法:RAINBOW試験
  • RAM療法:REGARD試験

三次治療以降

編集
  • Nivolumab単剤療法:ATTRACTION-2 試験
  • TAS-102:TAGS試験
  • トラスツズマブ デルクステカン:HER2陽性例に限る

放射線治療

編集

腺癌が多いため、日本では放射線療法は多くは行われない。術後病変に対する治療や、未承認治療法として術中照射 (intraoperative radiation therapy) が手術の補助として有効かどうか研究されている。

生物学的療法(免疫療法)

編集

生物学的療法(免疫療法とも呼ばれる)は身体の免疫が癌細胞を攻撃するのを補助する治療法であり、他の治療法の副作用から回復させる補助としても施されることがある。2019年秋時点で上述の免疫チェックポイント阻害薬(ニボルマブ、ペムブロリズマブ)だけが有効性の証明がなされた免疫療法である。これら以外に胃癌に対する有効性が証明された免疫療法は存在しないため、正当な手続きを経て専門機関にて行われる治験以外では実施するべきではない。

予後

編集

国立がんセンター中央病院胃がんグループの統計によると、5年生存率は胃癌全体で71.4%、Stage Iで91.2%、Stage IIで80.9%、Stage IIIで54.7%、Stage IVでは9.4%であった[57]

胃を切除した後にビタミンB1の腸からの吸収が悪くなりその結果、脚気症状で心不全(衝心脚気)を起こしたり、Wernicke脳症を発生することがある[58][59]。 またビタミンB12の腸からの吸収には胃が分泌している物質(内因子)が必要であるため,胃切除後にはビタミンB12の腸からの吸収ができずに、平均5年で体内の備蓄分を使い果たすと、B12の欠乏により造血機能に支障を生じて貧血を生じることがある(胃切除後貧血)。B12を含む食品を摂取しても吸収されないため、欠乏の生じる頃からは注射により補充する必要が出てくるとされる。しかし注射によらずメコバラミンの顆粒製剤の経口投与でも吸収されるという報告がある[60]

胃がんになった人物

編集

(アイウエオ順)

Category:胃癌で亡くなった人物も参照

脚注

編集

注釈

編集
  1. ^ 漬物いくらとびこ数の子からすみといった塩蔵魚卵、塩辛、魚介類、味噌汁、米を多くとる一方、パンバターチーズはあまりとらない[38]

出典

編集
  1. ^ a b c d Gastric Cancer Treatment (PDQ®)”. NCI (2014年4月17日). 5 July 2014時点のオリジナルよりアーカイブ。1 July 2014閲覧。
  2. ^ Ruddon, Raymond W. (2007). Cancer biology (4th ed.). Oxford: Oxford University Press. p. 223. ISBN 9780195175431. オリジナルの15 September 2015時点におけるアーカイブ。. https://books.google.com/books?id=PymZ1ORk0TcC&pg=PA223 
  3. ^ a b c d e f g h i j k l World Cancer Report 2014. World Health Organization. (2014). pp. Chapter 5.4. ISBN 978-9283204299 
  4. ^ Chang, A. H.; Parsonnet, J. (2010). “Role of Bacteria in Oncogenesis”. Clinical Microbiology Reviews 23 (4): 837-857. doi:10.1128/CMR.00012-10. ISSN 0893-8512. PMC 2952975. PMID 20930075. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2952975/. 
  5. ^ Sim, edited by Fiona; McKee, Martin (2011). Issues in public health (2nd ed.). Maidenhead: Open University Press. p. 74. ISBN 9780335244225. オリジナルの17 June 2016時点におけるアーカイブ。. https://books.google.com/books?id=Jn8xC6_UW8YC&pg=PA74 
  6. ^ González CA, Sala N, Rokkas T; Sala; Rokkas (2013). “Gastric cancer: epidemiologic aspects”. Helicobacter 18 (Supplement 1): 34-38. doi:10.1111/hel.12082. PMID 24011243. 
  7. ^ a b “Chapter 1.1”. World Cancer Report 2014. World Health Organization. (2014). ISBN 978-9283204299 
  8. ^ WHO Disease and injury country estimates”. World Health Organization (2009年). Nov. 11, 2009閲覧。
  9. ^ 研究プロジェクト - 独立行政法人国立がん研究センターがん予防・検診研究センター予防研究グループ
  10. ^ がん情報サービス「がん登録・統計」 (Report). 国立がん研究センター.
  11. ^ Hochhauser, Jeffrey Tobias, Daniel (2010). Cancer and its management (6th ed.). Chichester, West Sussex, UK: Wiley-Blackwell. p. 259. ISBN 9781444306378. オリジナルの15 September 2015時点におけるアーカイブ。. https://books.google.com/books?id=9sW0eCoZFt4C&pg=PA259 
  12. ^ Khleif, Edited by Roland T. Skeel, Samir N. (2011). Handbook of cancer chemotherapy (8th ed.). Philadelphia: Wolter Kluwer. p. 127. ISBN 9781608317820. オリジナルの18 September 2015時点におけるアーカイブ。. https://books.google.com/books?id=6Nz_87OLrtcC&pg=PA127 
  13. ^ Joseph A Knight (2010). Human Longevity: The Major Determining Factors. Author House. p. 339. ISBN 9781452067223. オリジナルの16 September 2015時点におけるアーカイブ。. https://books.google.com/books?id=HBY_GxOY_6oC&pg=PA339 
  14. ^ Moore, edited by Rhonda J.; Spiegel, David (2004). Cancer, culture, and communication. New York: Kluwer Academic. p. 139. ISBN 9780306478857. オリジナルの15 September 2015時点におけるアーカイブ。. https://books.google.com/books?id=kHLlOePrWgYC&pg=PA139 
  15. ^ a b 『やさしい腫瘍学』小林正伸 著 南江堂 p106
  16. ^ 杉満紀子, 原田直彦, 岩佐勉「臨牀指針 鳥肌胃炎に合併した若年者未分化型胃癌の2症例」『臨牀と研究』第88巻第9号、福岡 : 大道学館出版部、2011年9月、1177-1180頁、CRID 1521417755330317696ISSN 00214965国立国会図書館書誌ID:11249995 
  17. ^ ヘリコバクター・ピロリ菌感染と胃がん罹患との関係:CagAおよびペプシノーゲンとの組み合わせによるリスク(2006/09/04) - JPHC Study
  18. ^ Ford AC et al. Helicobacter pylori eradication therapy to prevent gastric cancer in healthy asymptomatic infected individuals: Systematic review and meta-analysis of randomised controlled trials. BMJ 2014 May 20; 348:g3174.PMID 24846275
  19. ^ a b 伊藤公訓, 小刀崇弘, 保田智之, 木曽まり子, 益田和彦, 畑幸作, 田中信治, 茶山一彰「Helicobacter pylori除菌後の胃がん」『日本消化器内視鏡学会雑誌』第60巻第1号、2018年、5-13頁、doi:10.11280/gee.60.5 
  20. ^ 上村直実, 八尾隆史, 上山浩也, 藤澤貴史, 矢田智之「H. pylori未感染胃癌の特徴」『日本消化器内視鏡学会雑誌』第56巻第5号、日本消化器内視鏡学会、2014年、1733-1743頁、doi:10.11280/gee.56.1733ISSN 0387-1207NAID 1300048117882020年11月2日閲覧 ( 要購読契約)
  21. ^ 遺伝要因がピロリ菌感染の胃がんリスクを高めることを解明-ピロリ菌除菌によりその高まったリスクを低減できる可能性-”. 2023年4月1日閲覧。 国立がん研究センター:プレスリリース(2022/03/30)
  22. ^ Helicobacter pylori, Homologous-Recombination Genes, and Gastric Cancer”. 2023年4月1日閲覧。 Pubmed: New England Jornal of Medicine. 2023 Mar 30; 388(13): 1181-1190. PMID 36988593, doi:10.1056/NEJMoa2211807.
  23. ^ Report of a Joint WHO/FAO Expert Consultation Diet, Nutrition and the Prevention of Chronic Diseases, 2003
  24. ^ 食塩・塩蔵食品摂取と胃がんとの関連について 国立がん研究センター 社会と健康研究センター 予防研究グループ
  25. ^ 食塩・塩蔵食品摂取と胃がんとの関連について(2004/01/18) - JPHC Study
  26. ^ 塩分・塩蔵食品と、がん・循環器疾患の関連について 国立がん研究センター 社会と健康研究センター 予防研究グループ
  27. ^ Nozaki K et al. Synergistic promoting effects of Helicobacter pylori infection and high-salt diet on gastric carcinogenesis in Mongolian gerbils. Jpn J Cancer Res 93:1083-9, 2002.PMID 12417037
  28. ^ 生体内でのニトロソ化合物の生成と胃がんとの関係:農林水産省”. www.maff.go.jp. 2019年2月23日閲覧。
  29. ^ 胃がん-がんに関する情報 がん研究会有明病院 2019年3月11日付
  30. ^ たばこ・お酒と胃がんの関連について(2002/11/20) - JPHC Study
  31. ^ アルコール代謝関連遺伝子(アルコール・アルデヒド脱水素酵素)と飲酒量に基づく胃がん罹患について がん対策研究所 予防関連プロジェクト JPHC Study
  32. ^ 胃癌のリスクを減らすサプリメントL-システインの効果は二日酔い改善だけではない プレスリリース 東北大学, 2015年4月2日
  33. ^ 総コレステロール値とがん発生リスクとの関連 がん対策研究所 予防関連プロジェクト JPHC Study
  34. ^ 血中のカロテノイドと胃がん罹患との関係について(2008/07/17) がん対策研究所 予防関連プロジェクト JPHC Study
  35. ^ 緑茶飲用と胃がんとの関連について がん対策研究所 予防関連プロジェクト JPHC Study
  36. ^ 血中の緑茶ポリフェノールと胃がん罹患との関係について がん対策研究所 予防関連プロジェクト JPHC Study
  37. ^ 胃がん検診受診と胃がん死亡率との関係 がん対策研究所 予防関連プロジェク JPHC Study
  38. ^ a b 食生活パターンと胃がんとの関連について がん対策研究所 予防関連プロジェクト JPHC Study
  39. ^ 野菜・果物摂取と胃がん発生率との関係について がん対策研究所 予防関連プロジェクト JPHC Study
  40. ^ 太田 昌幸(千葉大学大学院医学研究院 診断病理学) (2020年). “癌取扱い規約の最近の変更点”. 癌取扱い規約の最近の変更点(千葉県臨床検査技師会)資料: 32(高分化管状腺癌(tub1)). https://www.chiringi.or.jp/camt/wp-content/uploads/2020/02/643db05b148b5777ab8dc82b4b705700.pdf. 
  41. ^ 中原慶太 これなら見逃さない!胃X線読影法 虎の巻. 羊土社 2015, ISBN 978-4-7581-1058-7 , p30
  42. ^ 【対談】胃癌を知る――『胃癌の構造』第3版発刊によせて”. 医学書院 (2006年3月6日). 2013年3月17日閲覧。
  43. ^ 胃がんは「ピロリ菌除菌」でなくせる 浅香正博・秋野公造(著)潮出版2013/10/5、潮新書2017/3/4
  44. ^ 胃がん・乳がん検診に関する指針の改正について (PDF) 厚生労働省 健康局 がん・疾病対策課
  45. ^ ペプシノゲン(PG)検査チャート”. 臨床検査受託BML. 2023年2月13日閲覧。
  46. ^ 胃がんの病期(ステージ)分類 国立がん研究センター がん情報サービス
  47. ^ 中川恵一『ドクター中川の"がんを知る"』毎日新聞社、2008年。pp.22-23 ISBN 978-4-620-31868-4
  48. ^ 比企直樹、福永哲、三木明 ほか、胃粘膜下腫瘍に対する新しい術式: 腹腔鏡・内視鏡合同胃局所切除 日本消化器外科学会雑誌 2008年 41巻 9号 p.1661-1668, doi:10.5833/jjgs.41.1661
  49. ^ a b Jin Pok Kim, Keon Young Lee, Hang Jong Yu, Han Kwang Yang (1997). “Immunoregulatory Effect of Mesima (R) as an Immunotherapeutic Agent in Stage III Gastric Cancer Patients after Radical Gastrectomy.”. J Korean Cancer Assoc. 29: 383-390. https://www.e-crt.org/journal/view.php?number=1205. 
  50. ^ Ohtsu A et. al. Bevacizumab in Combination With Chemotherapy As First-Line Therapy in Advanced Gastric Cancer: A Randomized, Double-Blind, Placebo-Controlled Phase III Study. J Clin Oncol. 2011 Oct 20;29(30):3968-76.PMID 21844504
  51. ^ オプジーボ®点滴静注(一般名:ニボルマブ)がん化学療法後に増悪した治癒切除不能な進行・再発の胃癌に対する国内製造販売承認事項一部変更承認取得”. 小野薬品工業、ブリストル・マイヤーズ スクイブ (2017年9月22日). 2018年10月21日閲覧。
  52. ^ 胃がん新ガイドライン「条件付き承認」で増える治療選択、1次治療でオプジーボ承認”. 2023年3月18日閲覧。 がんサポート(2022年1月)
  53. ^ a b 半世紀ぶりに大きく変わる胃がんの1次治療”. 2023年3月18日閲覧。 がんナビ:レポート(2022年1月18日)
  54. ^ First-line nivolumab plus chemotherapy versus chemotherapy alone for advanced gastric, gastro-oesophageal junction, and oesophageal adenocarcinoma (CheckMate 649): a randomised, open-label, phase 3 trial”. 2023年3月18日閲覧。 Pubmed: Lancet 2021 Jul 3; 398(10294): 27-40. PMID 34102137, PMC 8436782, doi:10.1016/S0140-6736(21)00797-2.
  55. ^ 日本、韓国、台湾で行われた進行胃癌対象フェーズ3試験の長期観察でニボルマブと化学療法によるOS改善は良好な傾向【日本胃癌学会2023】”. 2023年3月18日閲覧。 がんナビ:ニュース(2023年2月24日)
  56. ^ Nivolumab plus chemotherapy versus placebo plus chemotherapy in patients with HER2-negative, untreated, unresectable advanced or recurrent gastric or gastro-oesophageal junction cancer (ATTRACTION-4): a randomised, multicentre, double-blind, placebo-controlled, phase 3 trial”. 2023年3月18日閲覧。 Pubmed: Lancet Oncology 2022 Feb;23(2):234-247. PMID 35030335, doi:10.1016/S1470-2045(21)00692-6
  57. ^ がんの統計'03”. 国立がん研究センターがん対策情報センター (2004年12月1日). 2013年3月17日閲覧。
  58. ^ 春田英律, 細谷好則, 倉科憲太郎, 宇井崇, 斎藤心, 瑞木亨, 中野今治, 佐田尚宏, 安田是和「噴門側胃切除術後6年目に発症した脚気ニューロパチー,衝心脚気の1 例」『外科と代謝・栄養』第47巻第4号、日本外科代謝栄養学会、2013年、99-104頁、CRID 1390282679738103296doi:10.11638/jssmn.47.4_99ISSN 0389-5564 
  59. ^ 宗兼麻美「胃切除後にWernicke 脳症を呈した一例」『川崎医学会誌』第41巻第1号、川崎医学会、2015年、51-55頁、CRID 1390572172510407040doi:10.11482/kmj-j41(1)51ISSN 0386-5924 
  60. ^ 織畑道宏, 加戸秀一, 竹内弘久, 畑真, 森脇稔, 掛川暉夫「胃切除術後および胃全摘術後患者に対するビタミンB12の経口投与の有効性」『日本消化器外科学会雑誌』第34巻第5号、日本消化器外科学会、2001年、439-444頁、CRID 1390001204915926272doi:10.5833/jjgs.34.439ISSN 0386-9768 

参考文献

編集

関連項目

編集

外部リンク

編集