脈経(みゃくきょう)は、中国医学古典の一つであり、代の王叔和による脈診書である。王叔和は、張仲景の医書(『張仲景方』)を『傷寒雑病論』として編纂したことでも有名である。 脈診については、『脈経』より古い医書にも記載があるが、脈診の専門書としては最も古い。日本の鍼灸における脈診といえば、『難経』を基礎とするといわれているが、これは誤りであり、むしろ基礎的には『脈経』の巻一の内容が詳しい。

また、中国の脈診は、『瀕湖脈学』を基礎と言われることがあるが、現在の「現代中医学」の脈診が、『瀕湖脈学』の内容と同一というわけではない。むしろ,中医学の脈診は古典的内容を包括しているようで,現代独自のものである.

日本における『脈経』の註解書といえば池田政一の『脈経』(全4冊)しかない。研究のためには、『脈経版本叢刊』(オリエント出版社、1994年)が必携である。現在、『脈経』研究における第一人者といえば、日本鍼灸史学会中川俊之などが挙げられる。