腎症候性出血熱

ハンタウイルスを病原体とするウイルス性出血熱

腎症候性出血熱(じんしょうこうせいしゅっけつねつ、英:hemorrhagic fever with renal syndrome, HFRS)とは、ハンタウイルス属のウイルス感染を原因とする人獣共通感染症。ハンタウイルス属はブニヤウイルス科に属するRNAウイルスの一属。自然宿主齧歯類であり、齧歯類では不顕性感染を示す。ヒトへの感染は感染動物の排泄物の飛沫を吸引することにより、あるいは咬傷を受けることにより成立する。ヒトでの症状は発熱、頭痛、腎不全、皮下および臓器における出血。治療は対症療法による。

ハンタウイルス(ハンタウイルス肺症候群の原因ウイルス)の電子顕微鏡像

原因ウイルス 編集

腎症候性出血熱の原因ウイルスは、ブニヤウイルスハンタウイルス属に属すハンターンウイルス(HTNV、宿主はApodemus agrarius)、ソウルウイルス(SEOV、宿主はRattus norvegicus)、ドブラバウイルスタイランドウイルスプーマラウイルスアムールウイルス(AMRV)、Soochongウイルス、などがあげられる。プーマラウイルスは病原性が低く、それによって引き起こされる病名は流行性腎症と呼ばれている。

歴史と現状 編集

1931年に中国北東部で最初に記録され、1955年以降多くの地区で感染している。中国では31の1級行政区中28の地域で土着感染しており、世界中のHFRS患者の90%を占めている。中国では、1950年から1997年の間に、患者120万人と死者44,300人が発生した。

中国本土の各県でのHFRS上位6省は、黒龍江省、山東省、浙江省、湖南省、河北省および湖北省で、患者の約70%は上記の6省から報告された。新疆ウイグル自治区、チベット自治区および青海省のみが、一度もHFRS患者を報告していない[1]

研究 編集

関連項目 編集

参考文献 編集

脚注 編集

  1. ^ ProMED情報詳細 20071005-7005 タイトル 景観要素とHantaanウイルス関連の腎症候性出血熱 2007/09/30
  2. ^ 米国 胎児のじん臓、大量に買う 韓国から二万数千個 軍事研究などに使う『朝日新聞』1977年(昭和52年)3月9日、13版、23面