自動車化狙撃兵 (ロシア陸軍)

自動車化狙撃兵(じどうしゃかそげきへい、ロシア語: Мотострелковые войска)は、ロシア陸軍における兵科(ロシア語: рода войск)の一つ。他国軍における機械化歩兵に相当する。

旅団等の基幹部隊となり、各種戦術行動において主として近接戦闘により、敵を撃破又は捕捉し、あるいは必要な地域を占領確保するのが使命である。通常、AK-74Mか旧型のAK-74、AKS-74AKM、AKMSを装備する。完全に機械化されており、通常、歩兵戦闘車BMP-1BMP-2BMP-3)か、装甲兵員輸送車BTR-60、MT-LBV)で行動する。

ロシア陸軍の中では最も基本となる兵科で、人員も多い。他国の歩兵と同様、他兵科の行動も調整する地位にあるため、軍事教育施設では、諸兵科共通又は諸兵科連合ロシア語: общевойсковое)の用語も用いられる。

語源 編集

なおМотострелковыеの単語中で「狙撃兵」と日本語訳されている部分は形容詞стрелковыйで、これはстрелок(射手・狙撃手・砲手)のことである。つまりснайпер(英語でsniper、日本語で狙撃兵)で構成された部隊という解釈は誤りである。明治時代にロシア軍の兵科名を訳す際に、пехота(重装歩兵戦列歩兵の流れをくむ古典的な歩兵)とはまた別にстрелок(散兵戦術を旨とする快足の軽歩兵)があったことから、以来後者の役割を担う機動力に富む特に自動車化、機械化された歩兵は現在に至るまで「狙撃兵」の訳語が当てられている。

自動車化狙撃旅団 編集

自動車化狙撃大隊(機械化歩兵)を3個大隊、自走榴弾砲大隊を2個大隊、戦車大隊を1個大隊、その他いくつかの戦闘支援/後方支援部隊(大隊から小隊規模)を保有する諸兵科連合部隊であり、ロシア陸軍の基本的な展開部隊である。

自動車化狙撃大隊の編成 編集

自動車化狙撃大隊を構成する部隊は、下記のとおりである(2008年12月に承認された「定員表第5/60号」(MT-LBV装備)に従う。)。

  • 大隊司令部:大隊長、教育業務担当副大隊長、兵器担当副大隊長
  • 大隊参謀部:参謀長/副大隊長、教官(放射線・化学・生物学防護担当)、事務官
  • 自動車化狙撃中隊×3:96人(中隊本部(9人)+3個小隊)
    • 自動車化狙撃小隊×3:29人(小隊長、副小隊長+3個分隊)
      • 自動車化狙撃分隊×3:9人(分隊長、専任狙撃兵、照準手(車載機関銃)、照準手(PKM)、班員(PKM)、擲弾筒手、狙撃兵/擲弾筒主補佐、狙撃兵、操縦手)
  • 迫撃砲中隊
  • 擲弾筒小隊
    • 擲弾筒分隊×3
  • 対戦車小隊
  • 偵察小隊
    • 偵察分隊
    • 偵察分隊×2
  • 工兵小隊
    • 工兵分隊
    • 工兵分隊
    • 技術工兵分隊
  • 統制小隊
    • 統制分隊(大隊長)
    • 統制分隊(大隊参謀部)
    • 通信分隊
  • 保障小隊
    • 技術サービス分隊(装軌車及び輸送車)
    • 技術サービス分隊(自動車)
    • 自動車分隊
    • 自動車分隊(給油車)
    • 経済分隊
    • 浴場
  • 衛生小隊
    • 衛生分隊
    • 負傷兵集結・後送分隊×3

関連項目 編集