自然人類学(しぜんじんるいがく、英語:biological anthropology)は、別名形質人類学(けいしつじんるいがく、physical anthropology)と 生物人類学 (せいぶつじんるいがく、bioanthropology) とも呼ばれる[1]人類学の一分野である。 人類チンパンジーゴリラなどヒト科の共通祖先からどのように現生人類が進化してきたのかを解明する学問である。主に発掘された霊長類人類化石を対象に、その形態を分析する。形態からその古人類運動様式食性生殖生活環境社会構造などを明らかにする。進化の過程ではなく、進化のメカニズムに焦点を当てた下位分野は進化人類学とも呼ばれる。分子人類学を自然人類学に含むこともあるが、形質人類学と言う場合には分子人類学は含まない。

アメリカ合衆国においては、文化人類学考古学言語人類学応用人類学などと並んで主要な人類学の分野である。

生物としてのヒトの研究を目的とする自然人類学は、化石人類の研究による人類の進化の部分で考古学と密接に関連する。初期の人類の化石には、原始的な石器や食用と思われる動物の骨などが発見されることがある。

人類の進化の段階区分 編集

最も広く行われている区分は、アウストラロピテクス(Australopithecus)、ホモ・エレクトス(Homo erectus)、ホモ・サピエンス(Homo sapiens)の3区分である。アウストラロピテクスとホモ・エレクトスの間に、ホモ・ハビリス(Homo habilis)をどのように位置づけるかで異なる考え方がある。[1] またこれとは別に、猿人原人旧人新人という4区分も存在する。猿人はアウストラロピテクス、原人はホモ・エレクトスに相当し、旧人はネアンデルタール人、新人にホモ・サピエンスをあて、ネアンデルタール人はホモ・サピエンスとは異なるものとされていたが、最近、ネアンデルタール人はホモ・サピエンスに含まれるものと考えられている。[2]

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関連項目 編集

脚注 編集

  1. ^ a b 鈴木 1988, p. 140.
  2. ^ 鈴木 1988, p. 140-141.

参考文献 編集

  • 鈴木公雄『考古学入門』東京大学出版会、1988年。ISBN 978-4130220514